『東京のオカヤマ人』
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- 2014/11/02(Sun) -
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岩井志麻子 『東京のオカヤマ人』(講談社文庫)、読了。
最近は、下ネタ系というか、痛いオバチャンのラインで話題になることが多いので ちょっと作品から遠ざかっていたのですが、 このエッセイは「読みたい本リスト」に入ってたので、挑戦してみました。 一応、体裁はエッセイということになっているのですが、 著者の日常生活と空想の世界とが入り混じった内容で、 非常に創作の世界に近いエッセイでした。 ホラー作家ということで、ファンを名乗る人なり、友人を名乗る人なりからの接触が 非常に怪しいというか、かなりアブナイ感じの出来事になっており、 その出会いをきっかけに、著者の空想の世界が広がっていきます。 ホラー作家たるもの、やっぱり、危ないものには積極的に絡んでいくことで 仕事に厚みが出るというものなんでしょうかね。 こういう、ちょっと心に異常を来たしている人々のお話は本来苦手なのですが、 本作では、著者というフィルターがかかっているおかげか、 すんなりと読むことができました。 やっぱり、小説家として、この人の才能は凄いわ。 全編、岡山弁で語られていくのですが、 田辺聖子センセの大阪弁は明るくポップな空間が広がるのに、 志麻子センセの岡山弁は、どこか陰鬱な重みに圧迫される空間が広がります。 これは、岡山弁の性質なのか、 著者の語る岡山弁のせいなのか・・・・・・。
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『黒焦げ美人』
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- 2009/12/15(Tue) -
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岩井志麻子 『黒焦げ美人』(文春文庫)、読了。
裏表紙のあらすじで、ミステリーだと思い込んで読み始めたら、 不幸な姉妹をめぐる人間模様を描いた作品でした。 謎解きメインで期待していたので、ちょっと拍子抜け。 藤原と大橋という姉妹がそれぞれ憧れる2人の男が、 どうもジメジメしていて苦手でした。 そんなことを思いながら読んでいたら、 終わってしまった感じでした。 最初の思いこみさえなければ、楽しめたかもしれないのに、残念です。 しかし、解説で初めて知ったのですが、 岩井志麻子女史って、かなりぶっ飛んだ方なのですね・・・・・。
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『ぼっけえ、きょうてえ』
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- 2008/01/23(Wed) -
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岩井志麻子 『ぼっけえ、きょうてえ』(角川ホラー文庫)、読了。
あんまり怖い話は好まないのですが、方言モノと知り、挑戦してみました。 全編岡山弁による語りかけ。 語られている内容は非常に怖いのですが、語り口はとても優しくマイルド。 この心地よさが、方言作品の魅力です。 自分の出身地のせいもあるのでしょうけれど、 本作の岡山弁といい、有吉佐和子作品の紀州弁といい、 西の言葉の語り口が大好きです。 さて、内容ですが、いずれも霊・怨・念が底辺を伝わっていく おどろおどろしい作品が揃ってます。 「黒いもの」が登場する際の気配の振り撒き方が、どの作品も同じような表現だったので、 そこはもっとバリエーションが欲しいなと感じてしまったのですが、 反対に「来るぞ、来るぞ」というゾクゾク感がありました。 農村・漁村の世界は、牧歌的でもありながら、 閉鎖性からくる後ろ暗さみたいなものも感じさせるので、 ホラーの舞台として独特の恐ろしさを醸し出しますね。
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