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『水底の歌』
- 2016/05/11(Wed) -
梅原猛 『水底の歌』(新潮文庫)、通読。

梅原猛先生による柿本人麿に関する論文です。
上下二巻の大作。

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む

百人一首のこの歌は、リズム感が良くて好きな歌です。

三十六歌仙の1人ですが、正史に登場してこないため
詳細が良く分かっていない人物とされていたとのことですが、
その真相を突き止めようとするのが本論文です。

歴史ミステリの謎解きのようで、1つ1つの解釈を追っていくのは
ワクワクしますが、しかし如何せん、論文といことで、
詳細な論説が続くため、正直しんどい読み物です。

しかも、柿本人麿の業績の偉大さは当然認識できているものという前提で
論が進んでいくため、いきなり謎解きの部分に入ってしまい、
なぜ、この謎を解くことが重要なのかの説明は端折られています。
素人としては、そこからの解説が欲しかったです。

今や、この梅原論文の結論が定説化しているようですが、
この論文が出た当時は、どんな学会の反響だったのでしょうかね。


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『新しい哲学を語る』
- 2014/09/25(Thu) -
梅原猛、稲盛和夫 『新しい哲学を語る』(PHP文庫)、読了。

思想の大家と経営の大家の対談です。

それぞれの発言を1~2ページ程度にまとめているので、
対談とはいえ、結構、読みやすかったです。

ただ、内容は、なんだかキレイゴトのような印象でした・・・・・・。

9.11から数ヵ月後という時期のせいかもしれませんが、
世界に平和をもたらすためには良心が必要だ!なんて正論を吐かれても、
じゃあ、昨日の怒りは今日どうすればいいのよ!?という問いには
上手く答えられないのではないかと危惧します。

というか、ドギツイ言い方をすると、
安全地帯にいる人間が、高みから、混乱している人々を見下ろして
コーショーな議論をしているようにも感じました。

正論と現実をつなぐ術が、この本からは見えてきませんでした。
そこは自分で考えろということなのかもしれませんが。

途中で出てきた「働くということの意義」というテーマでの議論は、
結構面白く読めました。


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『最澄と空海』
- 2014/09/11(Thu) -
梅原猛 『最澄と空海』(小学館文庫)、通読。

著者による講義録になるんですかね。

個人的な仏教とのお付き合いからすると、
母方の宗派が真言宗なので、お経(というか真言)は耳に馴染みます。
 オン アボキャ ベイロシャノウ 
 マカボダラ マニ ハンドマ
 ジンバラ ハラバリタヤ ウン

一方で、父方は浄土宗なので、法然さんとか親鸞さんとかの本は読んだことがありますが、
その源流を辿ると出てくる最澄という人は、正直、教科書どまりの知識でした。

本作では、まず、最澄の人となり、その教えについて解説されています。
平易な言葉で述べられているので、読みやすいです。
ただ、読みやすさ重視のためか、それほど深く踏み込んだ仏教思想を説くものではありません。
しかし、やはり、その思想の幅広さや奥深さ、
そして時代を変えたエネルギーを思うと、すらすら読める気になっているだけで
じっくり読み込もうとすると骨が折れます。

正直、書かれている文章の奥にある思想の厚みにたじろぎ、
今回は表面をなぞるだけの読書となってしまいました。
それも、前半の最澄で力尽きてしまい、後半の空海は流し読み・・・・・・ごめんなさい。

読みながら考えていたのは、ビジネスの側面で考察すると、
日本という市場に仏教が入ってきて、一部のエリートに信仰されていた奈良時代、
そこで一旦、市場の成長が停滞してしまった時機を捉えて、
勉学・知識・教養の対象から、信仰へと顧客層を広げたのが、最澄と空海だったのかなと。
南都六宗は、イノベータ層を対象としていたのが、
天台宗や真言宗は、アーリーアダプタ層まで巻き込むことに成功したのかなと思いました。
で、その次の法然や親鸞がアーリーマジョリティに拡大し、庶民をも巻き込んだと。

不敬なものの見方かもしれませんが、
日本における仏教信仰の浸透という観点では、
こういう整理も分かりやすいかなと思いながら読んでいました。
こんな脇道から眺めるような読書だったので、後半は息切れしたのかな(苦笑)。


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『自然と人生 思うままにⅡ』
- 2007/10/20(Sat) -
梅原猛『自然と人生 思うままにⅡ』(文春文庫)、読了。

まさに「思うままに」様々なテーマで書かれていますが、
やはり宗教を扱ったページが興味深かったです。

日本仏教の成り立ち、縄文時代の宗教儀式、アイヌの宗教観、
日本人の日本人たる心性は、やはり宗教感(死生観)に根ざしているように
思えました。

『仏教の思想』全11巻という力作に
興味があるものの、その圧倒的なボリュームに尻込み・・・。

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