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『ひとりをたのしむ』
- 2022/12/07(Wed) -
伊集院静 『ひとりをたのしむ』(講談社)、読了。

伊集院静氏は、大作家さんだと思うのですが、
これまであんまり接点がないままになってました。
わずか4冊しか読んだことがないのに、うち2冊がサイバラ女史との本ということで、
私はかなり歪んだ読み方をしているはず・・・・・(苦笑)。

たまたまブックオフで本作を見かけて、
「ひとり」がテーマだったので、買ってみました。
そんなに内容は気にしてなくて、時間つぶしの一冊ぐらいのつもりでしたが、
読んでみたら凄く心に沁み込んできました。

シリーズの第10弾ということですが、
雑誌の連載のようで、途中から読んでも問題なかったです。
というか、読み始めて気づいたのですが、2021年の発行で、コロナの話とかが出てきて
とても「今」を感じるエッセイでした。

「おひとり様」みたいな要素を感じるタイトルですが、
読んでみたら、著者のほんの些細な日常を切り取ったエッセイが続き、
肩ひじ張らない姿と、でも、気になることには「バカモノが!」と憤慨している姿と、
その作っていない感じが、読んでいてすんなりと受け入れられました。

とにかく穏やかな感じの文章が、心に染みます。
ところどころ「バカモン!」と怒ってますが、それすらも染みてきます。
ものすごく忙しい日常を生きているはずの著者ですが、
年老いた愛犬に寄り添う時間を大切にしたり、ランチに入ったレストランでの隣の席の
お客さんの会話に耳を傾けたり、編集者との電話の言葉の端々を気にしたり。

コロナ禍で、「不要不急の外出を控えてください」と言われる生活の中で、
窮屈な日々を暮らしていても、小さな気づきからいろいろ思いを巡らして
こんな世の中で良いのか?というような視線を向けていることに、
あぁ、感受性が高い人は、窮屈な日々でもいろいろ考えてるんだなーと感嘆。

読んでいて、心が落ち着いていく様子が感じられました。

一方で、あんまり著者のことを知らなかったので、
エッセイの中に出てくる「前妻」という言葉や「家人」という言葉になんだか含意がありそうな気がして
読み終わってから検索してみたら、夏目雅子に、篠ひろ子!?
なんとまぁ豪華な奥様陣、そして波乱万丈の夫婦生活・・・・・。
ちょっと読後感のイメージ変わりました(苦笑)。

そして、マッチの大ヒット曲の作詞は著者だったのかと初めて知りました。
わたくし、たしか、保育園の運動会でこの曲でお遊戯したはず・・・・。




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『アホー鳥が行く』
- 2019/07/31(Wed) -
伊集院静、西原理恵子 『アホー鳥が行く』(角川文庫)、読了。

伊集院センセとサイバラ画伯のタッグ。
私が読むのは2作目ですが、本作がシリーズ第1作とのこと。
第1作目からギャンブル話満載・・・・というかギャンブル話しかないです(苦笑)。

伊集院センセは、競輪が一番お好きなようですが
競輪って見たことないし(競馬も生では見たことないけどテレビ中継なら見たことあります)、
オリンピック種目にもなってる割には人気が出ないし、
一般人に知られている選手は中野浩一さんぐらいだし、
最も親しみの無いギャンブルかもしれません。
(地元にボートレース場があったので、まだ競艇の方が身近な感じ)

そんな縁のない世界について、個々の競輪選手名や得意なスタイルを詳しく述べながら
どのレースでどんな券を買ったのかという話を展開していきます。
それで、こちらは興味ナッシングなのかと言えばそうでもなく、
1つ1つのレースを通して、なぜ今の競輪業界が不況なのか、顧客離れが進んでいるのかという
そういう分析まで広げており、結構、興味深く読めました。
本物のファンが苦言を呈するときって、本当の正念場だと思いますから。

本作で初めてタッグを組んだという伊集院センセとサイバラ女史ですが、
ギャンブル話にきちんとついていって、前世で賭け友達だったのじゃなかろうかというぐらい。
旦那さんの顔志田さんも登場してきますが、ちょっとレベルが違う印象があります。
伊集院センセのギャンブル好きはギャンブル狂のさらに向こう側に居る感じ。
普通のギャンブル狂は理性をなくしちゃってると思うのですが、
伊集院センセは、理性自身がギャンブルを求めているような感じです。
よりダメ人間(爆)。

伊集院センセや鴨志田さんに囲まれているサイバラ女史。
なぜに、そんな男ばかりを呼び込んでしまうんだぁぁぁぁぁ。
頭イイ人だと思うのに、残念。




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『ぜんぜん大丈夫』
- 2014/09/10(Wed) -
伊集院静、西原理恵子 『ぜんぜん大丈夫』(角川文庫)、読了。

伊集院静という人の作品は、
2つばかししか読んだことがありません

著作以外にも、あんまり他メディアでも私は接点がなく、
作品の(私の勝手な)イメージとか、風貌とかから、
物静かで真面目な人柄を想像してました。

それが、サイバラ画伯と組んでエッセイを書いてて、
しかも、この表紙絵って・・・・・大丈夫なの?と思わず買ってしまいました。

が!伊集院静氏は、ドップリ浸かったギャンブラーでした・・・・・意外。
いや、これは、本好きの人ならみんなが知ってる常識なのかしら?

競馬に競輪、地方まで見に行き、海外でも券を買う。
しかも、ご実家もなかなか難しい境遇を凌いできたようなことがかかれてますし、
結構な激しいバックボーンの方なんですね。

正直、エッセイの内容の7割はギャンブルの話だったのですが、
競馬はともかく、競輪の世界は仕組み自体がよく分かっていないので
なんとなくの雰囲気でしか読めませんでした。

ギャンブルものとしては、
森巣博のドキドキ感に比べると、ややクールで第三者的な印象を受けてしまい
そんなに惹き込まれることもないまま終わってしまいました。

なんだか、とりあえず、
伊集院静という人を大きく誤解していたということを痛感したことが
本作での収穫(?)ですかね。


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『アフリカの王』
- 2008/12/04(Thu) -
伊集院静 『アフリカの王』(講談社文庫)、読了。

会社の先輩から貸してもらいました。
(最近、こんなの多いな・・・)
あまり自分では選びそうにないジャンルの作品です。

酔いどれ編集者がアフリカの大地に魅せられて
職も財産も投げ捨ててロッジ作りに取り組む。

主人公・黒田の周りに集まってくるのは
純粋で良い人ばかりですね。

こんなに上手くいくのかしら?と思いつつも、
アフリカを舞台にした物語なら、それもありかな・・・・・なんて。

マサイ・マラの自然の偉大さに心を打たれ、
そこにロッジという人工物を建ててしまおうという夢は、
私個人はちょっと賛成しかねますが、
ケニアのジャングルは一度見てみたいですね。

そして、黒田のお爺ちゃんもお父さんも会長さんも、
魅力的な言葉・行動を残した粋人ですね。


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『オルゴール』
- 2007/04/30(Mon) -
伊集院静 『オルゴール』(講談社文庫)、読了。

これまで縁がなく、とりあえず取っ付きやすそうな短編集をば。

まず感じたのは、「文章がさりげなくうまいなぁ」というコト。
静かに語りかけてくる感じです。

そんな文章に納得させられつつ、
よくよく考えると不可解な物語が多いです。
特に「鏡の中の女」。
これは、どこまでが現実世界なのかわからない構成で、
読後感はしっとりとした恐怖があります。

スポーツを扱った作品が多かったので、
さわやかなスポーツ観戦を久々にしてみたくなりました。

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