『倒錯の死角』
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- 2014/08/26(Tue) -
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折原一 『倒錯の死角』(講談社文庫)、読了。
倒錯シリーズ。 最初の事件らしい事件が起きるまでが、長い! しかも、そんなに興味を惹かれるような事件でなく、 新聞の三面記事の片隅に載るような内容で、 全然、読んでいて気持ちが乗ってきません。 しかも、翻訳家でアル中の男、その向かいに住む若い女、アル中仲間の窃盗犯の 大きくは3人の登場人物の視点で語られていくのですが、 3人とも共感を覚えないため、肩入れの仕様もありません。 よくぞまぁ、この過酷な読書を読み終えたなぁと、 400ページ近い厚みを前に、ため息をついてしまいました。 倒錯シリーズなら、叙述ミステリとして読むべきなのでしょうし、 『倒錯のロンド』もかつて読んでいるので、 著者の描く世界観は知らないわけではないのですが、 でも、やっぱり、著者が利用する「からくり」は、ちょっと卑怯なように思ってしまいます。 アル中なら、何でもありなのかっ!って。
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『ファンレター』
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- 2013/03/10(Sun) -
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折原一 『ファンレター』(講談社文庫)、読了。
熱狂的な読者から届く厄介な頼みごと。 人気覆面作家の西村香が巻き込まれるゴタゴタを、手紙形式の連作もので描きます。 本作の主人公である「西村香」なる人物、すぐに北村薫さんがモデルだと分かります。 なんたって、「覆面作家」「天駆ける木馬」「ステップ」なんですもの。 ところが、結構な偏屈人間として描いていて、 「北村氏の方は大丈夫なのかしら?」と不安になってしまうぐらいのネタ巻きぶり。 (後で調べたら、北村氏と著者は高校・大学の先輩後輩の間柄で、 ミステリクラブでも一緒という親密な関係なんですね・・・ほっと一安心) で、この覆面作家の偏屈ぶりの大きく上を行くのが 熱狂的ファンと自認する偏執狂の方々。 ファンレターの中で、こういう類の手紙は、どのくらいの割合で存在するんでしょうかね? そういう人たちへの、著者なりの皮肉と復讐の作品だったりするのかしら。 で、わたくし、この手の偏執狂の描写が苦手・・・。 周りが見えてない中で、思い込みを募らせていくという人間の狂気が、 まさに、何をしでかすか分からないという不安を増幅させて、 生理的に嫌な気持ちになってしまうんです。 本作のタッチが、かなり軽めで、ギャグ的ドタバタ要素もあったので、 なんとか最後まで読めましたが、偏執ぶりをじっとり書かれたら、 辛くて読めなかったかも・・・。 自分勝手な人間って、ホント怖いわー。
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『倒錯のロンド』
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- 2006/12/09(Sat) -
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折原一 『倒錯のロンド』(講談社文庫)、読了。
ストーリー構成に思わず唸ってしまいました。 「なるほどねぇ」 読み進めていて、ところどころ腑に落ちないというか、 違和感を覚える箇所があったのですが、 真相がわかったら全て解決。「そういうことだったのね」と。 貫井徳郎さんの『慟哭』を読み終わった後の感覚に似てるかな? ただ、作品の「からくり」を知ったとき、 「現実世界から半分逃避してるな」と感じたのも事実。 複雑なからくりを駆使したストーリーなので感嘆の気持ちが先に来るけど、 「そういう設定なら何でもありじゃない?」と醒めている気持ちも在り・・・。 でも、世の中の犯罪なんてどれも、 明瞭な頭ではなく夢うつつの頭で起こされてるのかもしれません。 いずれにしろ、この作品を面白いと感じたことには変わりありません。 推理小説好きの方のblogを見ると、 必ずと言って良いほどこの作家さんのお名前を目にするので、 今回初めて読んでみたのですが、その評判は伊達じゃないですね。
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