『ぼくのおじさん』
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- 2018/06/17(Sun) -
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北杜夫 『ぼくのおじさん』(新潮文庫)、読了。
児童文学なのかな? 9つの物語が収録されていますが、メインは表題作。 主人公のぼくの家に居候する30代独身のおじさん。 大学の先生ということですが、子供相手に適当なことを言ったり、 いたずらしたり、漫画を買うお金を出させたり、 まー、しょうもない男なんです(苦笑)。 ユーモアではあるのですが、あんまり親しみを持てないというか。 主人公の男の子が、文句を言いつつも意外と懐いているのが共感できず。 妹の冷たい態度の方が、はるかに分かりやすいです。 あとがきを読んだら、どうやら、著者自身が兄の家に居候していた時のことをベースに この作品を編んだ模様。 その情報を事前に知ってたら、北杜夫さんをおじさん役にして頭の中で シーンを描いたと思うので、もう少し笑って読めたかな。 残念。 ちょっと上手くノレない読書となってしまいました。
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『どくとるマンボウ青春記』
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- 2017/05/10(Wed) -
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北杜夫 『どくとるマンボウ青春記』(新潮文庫)、読了。
久々のマンボウ先生。 本作は、旧制高校時代を振り返った作品です。 バンカラな生徒が集まった松本高校・西寮での生活は、 先生にいたずらしたり、テストが分からず詩を書いたり、 もう、やりたい放題な感じです。 平たく言ってしまうと、集団躁状態のような。 その反動で大学生活では、内面に引きこもってしまうような 思索にふけったようですが、躁鬱の北杜夫、ここに生まれりという感じでしょうか。 終戦前後の時期を旧制高校で過ごすという 非常に特殊な時期を経験しているマンボウ先生。 貧しさと戦争が終わった解放感が変にマッチして、パッカーンと明るい高校生活です。 しかし、大学に進学する頃になると、 次第に日本という国も生活が回復してきて、 モノゴトを考える余裕が出てきたリ、将来に向けて何かを企てたりする時期に なってきたのでしょうね。 そこから深い思索の谷に落ちていったようです。 加えて、父親が有名な歌人であり、医者の家系を継げというプレッシャーもあり、 追い込まれる要素は出揃ってますなぁ・・・・。 あんまり直接的な言及はないですが、 しかし、やっぱり、圧力はすごかったと思います。 それに抵抗したという感じはなく、 素直に従ったような印象でしたが、 その分、自分の内面で整理をつけていくのは大変だったのでしょうね。 それが、後年の発病につながるような気が。 いずれにしても、最後の旧制高校性として、 その充実した日々を活き活きと描いている作品として、 面白く興味深いものでした。
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『どくとるマンボウ途中下車』
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- 2014/05/18(Sun) -
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北杜夫 『どくとるマンボウ途中下車』(中公文庫)、読了。
昨日は、大学時代の友人たちと集まり、 昼間っから飲んで、終電がなくなるまで遊んでました。 結果、本日、二日酔いです・・・・。 うだうだと横になり読書。 先日読んだ阿川弘之エッセイの中でもマンボウ先生は鬱々と列車旅をしていましたが、 本作でも、何だかんだと理由をつけて、なかなか旅に出て行かない(苦笑)。 こういう、旅に消極的、時には否定的とも見えてしまう言動を取るあたりが、 百閒先生に通じるものがある気きがします。 でも、実際に旅に出てみると、 小船をチャーターして小島に渡ったり、 カラコルムへ50日間も行ってみたりと、行動の幅がハンパない。 これぞ躁鬱なんでしょうか。 うだうだ読書にはちょうど良い振れ幅でした。 あと、ちょこっとお名前が登場するニューギニアの畑中さんって、 有吉女史が押しかけた畑中センセですよね、きっと。 なんだか発見してちょっと嬉しかったり(笑)。
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『怪盗ジバコ』
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- 2013/02/20(Wed) -
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北杜夫 『怪盗ジバコ』(文春文庫)、読了。
北杜夫の小説は、なんだか暗いイメージがあったので、 このようなユーモア小説があることは意外に感じました。 でも、「どくとるマンボウ」シリーズを思えば、 ユーモア小説も変じゃないですね。 本作は、神出鬼没、完全無敵の怪盗ジバコの活躍に関する連作短編です。 最後の数行で落とす感じで、お気楽に読めます。 結構、読者に挑戦的なユーモアもありますしね。 じゃあ、読み終わった後に何か残るかというと、 そこまでのものでもないのですが、 ま、でも、たまにはこういうのもね。
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『夜と霧の隅で』
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- 2006/09/08(Fri) -
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北杜夫 『夜と霧の隅で』(新潮文庫)、読了。
父親の本棚に北杜夫が数冊あって、私もそこから何冊か読んでみたのですが、 やっぱり本作も重いよー。 精神病を扱った作品では、 描写が容赦ないので、ところどころ耐えられずに読み飛ばしました。 私は「どくとるマンボウ」シリーズに留めておいたほうがよさそうです。 ![]() |
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