『天の瞳 成長編Ⅱ』
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- 2010/06/24(Thu) -
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灰谷健次郎 『天の瞳 成長編Ⅱ』(角川文庫)、読了。
前作を読んだのが2年前で、 どんな物語展開だったのか、すっかり忘れてしまってました(苦笑)。 「赤竜隊」に「カンカン暴」って、そんなヤンキー風味の話になっていたのかと 読みながらビックリ。一回読んだはずなのにね。 でも、本作の醍醐味は、倫太郎を中心とする子どもたちの間の意思疎通の仕方とか、 倫太郎たちと理解ある大人たちとの間のコミュニケーションとか、 そういうところにあると思うので、正直、ストーリーわからなくても 十分に興味をもって楽しめます。 本作では、ミツルくんの詩の授業と、 そのあとの庵心藤子とのやりとりが、非常に良かったです。 これから大きな展開があると感じさせるところで 本作は終わってしまったので、次が楽しみです。
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『天の瞳 成長編Ⅰ』
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- 2008/07/06(Sun) -
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灰谷健次郎 『天の瞳 成長編Ⅰ』(角川文庫)、読了。
ダラダラと過ごした週末で一気に読んでしまいました。 成長編では中学校の先生の教育論というより学校運営論と 子供たち&親たちとの乖離が明らかになります。 意見の相違というのはどの世界にもあることでしょうけれど、 「こういう言い方をしたら相手が不快に思うな」とか 「相手を不快にさせたら、その後の話し合いがこじれるな」とか 普通なら考えて発言するところを、 このガッコのセンセがたは、全く考慮せずに思いついたまましゃべります。 そういう社会性の無さに無自覚でも仕事がしていける学校という世界には 大人が形成している職場として、異常さを感じてしまいます。 社会性のない大人たちだけが集まる特殊な世界なら放っておけばいいのですが、 そこで子供が毎日拘束され、教育という名のもとに管理されるのは 子供たち自身も親御さんもたまったもんじゃないだろうなぁと気を揉みます。 この中学校は、変わることができるのでしょうか? 次作に期待です。
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『天の瞳 少年編Ⅱ』
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- 2008/07/06(Sun) -
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灰谷健次郎 『天の瞳 少年編Ⅱ』(角川文庫)、読了。
一気に少年編を読み通しました。 下巻の方は、中学生になって、ちょっと色合いが変わりました。 好き放題の小学生は、先生vs生徒でしたが、 中学校ではそこに先輩vs後輩という関係も重く割り込んできます。 「非行少年」と呼ばれる子供たちと 同じ学校になったことがないので、自分自身あまり実感がわかなくて、 この作品に出てくる「非行少年」の描写を読んで、 「ほんとにこんな子供たちがいるのかなぁ。しかも倫太郎の住む世界に・・・」 という感想を持ってしまいました。 なかなか苦手なテーマです。 そしてもう一つ。 倫太郎の母とミツルの母が2人きりで会話を始めると なんとも理想主義的な話に飛躍するのがちょっと苦手。 それぞれが子供と向き合っているときは素敵な大人なのに 大人2人になると妙に堅苦しい話になります。 でも、この2人が校長・教頭・生活指導・担任と渡り合った場面では、 一生懸命応援しました。 レベルに違う人たちの戦いになって、全然話がかみ合ってなかったのですが。 いろいろ課題が出てきてしまった本作ですが、 次の成長編ではどうなっていくんでしょうね。
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『天の瞳 少年編Ⅰ』
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- 2008/07/05(Sat) -
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灰谷健次郎 『天の瞳 少年編Ⅰ』(角川文庫)、読了。
幼年編から1年半も間が空いてしまいました。 前作でどこまで話が進んだのかほとんど覚えて無くて(苦笑)、 子供たちそれぞれのお家の事情など「どんな問題が起こってたんだっけ?」でしたが、 それでも読んでいったら、「あぁこんな感じの子供たちだ」と 感覚がよみがえってきました。 小学5年生になって、 イッパシの会話をするようになっていますが、 仲間に向ける優しさや配慮はそこらへんの大人以上のものを持ってる子供たちです。 お節介と親切の境目を真剣に考え、 答えが出ない間は親にも相談しない、その心の強さ。 倫太郎には、教えられることが多いです。
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『海の図』
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- 2008/03/15(Sat) -
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灰谷健次郎 『海の図』(角川文庫)、読了。
久々の灰谷作品、上下巻の大作でした。 亡き父が漁師をやめて電力会社の調査員や民宿経営に乗り出した 真相を探ろうとする息子の話・・・・・・ 謎解きのような要素が強い作品なのかと思いきや、 企業による海洋破壊についての堅い作品でした。 主人公・壮吉が高校を登校拒否しているという設定から、 学校をめぐる物語の部分は、私が灰谷作品に期待している世界観にマッチしていて 登場してくる子供たちの主張に「なるほどなぁ」と唸らされる場面が多々ありました。 ただ、特に下巻のほうですが、 壮吉達が語る企業や自然についての言葉が あまりにも理屈っぽくて、小説としての活き活きとした感じを殺してしまっているような 印象を受けました。 高校生の言葉としては、リアリティに欠けるというか。 描こうとしているテーマは重要なのですが、 小説としてはイマイチな感想を持ちました。
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『天の瞳 幼年編Ⅱ』
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- 2006/09/23(Sat) -
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灰谷健次郎 『天の瞳 幼年編Ⅱ』(角川文庫)、読了。
倫太郎の成長を楽しみに読み始めたのですが、 倫太郎の友人達も心優しい少年に成長していて 大人として考えさせられました。 倫太郎も周囲の人たちも、 とても言葉を大事にしていて、 言葉で語りかける意義を最大限に活かしているように思えます。 自分の家族は、子供の私に対して こんなに雄弁に語りかけてくるタイプではありませんでしたが、 それでもやっぱり心に残っている言葉があって、 それが今の私に繋がっていることを思うと、 子供との真剣なコミュニケーションの大切さを実感します。
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『我利馬の船出』
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- 2006/03/08(Wed) -
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灰谷健次郎 『我利馬の船出』(新潮文庫)、読了。
第一章を読み、まずは語調の強さに驚いた。 選ばれている言葉が刺々しい。 私の中の灰谷作品とは、『砂場の少年』であり『少女の器』に代表される 優しく感受性豊かな子供たちの物語だった。 それが、本作では、16歳の尖がった少年が 貧しい生活から抜け出そうともがく姿を描いている。 灰谷作品は心の交流を描くものだと決めてかかっていた。 それが、この作品の前半では、心の交流をあえて断ち切ろうとするかのような 少年の強い意志でもって展開していく。 第三章以降、あらたな交流が始まっていくが、 「いつもと違う」という感じは最後まで抜けなかった。 前半は現実の厳しさを強調し、後半はぐぐっとファンタジー性が増していった。 灰谷作品の別の一面に触れることができた。
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『天の瞳 幼年編Ⅰ』
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- 2005/11/05(Sat) -
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灰谷健次郎 『天の瞳 幼年編Ⅰ』(角川文庫)、読了。
この著者の作品では、 子供の個性や感受性よりも、 子供を見つめる大人の目に心引かれる。 子供に寄り添おうとする姿に、 こんな大人がたくさんいてくれたら・・・と願う。 悲しい事件が多いけれども、 それはニュースがセンセーショナルなものしか選ばないだけで、 本当はこんな温かな大人が大勢いてくれて、 今の社会があるのだろうと思いたい。 この作品では、倫太郎のキャラクターの強さに 最初は正直辟易したが、 次第に彼の考え方が描かれるようになるにつれ、 受け入れられるようになってきた。 続編を早く読みたい。
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