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『地域メディアを学ぶ人のために』
- 2022/10/06(Thu) -
田村紀雄 『地域メディアを学ぶ人のために』(世界思想社)、通読。

地方行政の本をいくつか読んだので、積読の中の同種の本を全部やっつけてしまえ!
というわけで、ずーっと積読だった本作を手に取ってみました。

なぜ買ったのか記憶が定かではないのですが、
たぶん、地方への移住をきっかけに、地元メディアをビジネス活用できないかなという
そういう狙いだったのではないかと思料。

で、読んでみましたが、うーん、なんか思ってたのと違う・・・・。

そもそも「地域」という表現の定義がイマイチ分かりませんでした。
私が購入したときの「地域メディア」のイメージは、新聞で言うなら、
発行地域が単一の都道府県内に収まるぐらいの規模でした。
行政主体で言うと、県庁レベルではなく市町村レベルでの活動範囲のイメージ。

そして、「地域メディアを学ぶ人」を読者層として設定しているので、
その地域に生活する人が、地域メディアを活用するために学ぶための本、
つまり住民目線の本かなと思っていたのですが、
本当にタイトルのまま、学術的に学ぶ人のための本でした。
情報整理には良いのかもしれませんが、味気ない・・・・・。

途中で、鎌田慧氏の『地方紙の研究』という本の一文が引用紹介されていましたが、
正直、そちらの本の方が面白そうだなと思いました。




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『ぼくが世の中に学んだこと』
- 2012/07/12(Thu) -
鎌田慧 『ぼくが世の中に学んだこと』(ちくま文庫)、再読。

実家にちょっと寄った際に、
「最近、ビジネス本とか、支配者側の視点の作品ばっかり読んでたなぁ・・・」と思い、
本作を持ってきました。
ま、反動ありすぎですが(苦笑)。

学生の時に、最初の授業で課題図書だったのが『自動車絶望工場』でした。
その後、その流れで鎌田慧を読むことが多かったです。
本作も、学生時代に一度読んだ作品です。

前半は、著者が金の卵として東北から東京に出てきて、
その後、職を転々とし、労働運動に巻き込まれ、最後はその世界に自ら飛び込んでいくという
作家・鎌田慧ができるまでを描いています。
後半は、『自動車絶望工場』の取材を中心とした、ルポの取材日記。

以前、『蟹工船』を読みましたが、
舞台が北洋の船上よりも、工場労働のほうがイメージが湧きやすく、
本作のほうが、そこに身を置く人の絶望感など刺さってくるものがありました。

学生の頃の自分が、読みながら線を引いたあとが残っていて、
著者の苦悩のシーンなどにたくさん線があることに、「青いなぁ・・・(苦笑)」と感じてしまいました。

でも、こうやって、真摯に自分の生活や仕事と向き合う人の姿って、
とても大事なことだと思います。

社会人になって、さすがに鎌田慧の本を読み続ける習慣はなくなってしまいましたが、
たまには、こういう視点を思い出すのも必要ですね。

ただ、一つ引っかかったのは、こういうルポルタージュが、
工場労働者というか、技術系労働者の立場を無闇に引き下げているのではないかということです。

自動車工場ともなれば、基本的には、専門的な技能を要しない単純労働に細分化して、
初心者がすぐにでも作業に入れるように、また要員の入れ替えが利くようにしてあるはずなので、
本作で描かれているような世界について、まぁ、そうだろうなと思います。

ただ、工場以外の技術系労働者について、
協力会社=下請け=3Kの単純労働者みたいな理解が一般化しているような気がします。
例えば、鹿島建設の水島コンビナートでの事故では、
海底トンネル内での作業を協力会社の方がやっていて犠牲になられましたが、
専門技術を持っている特殊なスタッフがいる協力会社という側面もあるのではないでしょうか?

それが、事故の報道の直後から、「本体の社員は危険な仕事をせずに、下請けがまた犠牲に」
というような受け止められ方をしていたように感じました。
この事故を詳しく調べたわけではないので、事実は3K労働としての下請け仕事だったのかも
知れませんが、なんでもかんでも下請けは可哀想な仕事と捉える風潮は、
専門スキルをもってプライドある仕事をしている協力会社の人々に対して失礼だと思います。

3K労働の現場があること、そして、そこで働く人々がいることを知ることは大事ですが、
一部を知ることと、全てを知った気になることは全く違うことなので、
自分も、世の中を知ったつもりになってしまわないよう、気をつけたいと、改めて感じました。


↓ちくま文庫版の画像が出てこなかったので、岩波文庫版を貼っておきます。

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『家族が自殺に追い込まれるとき』
- 2007/01/11(Thu) -
鎌田慧 『家族が自殺に追い込まれるとき』(講談社文庫)、読了。

自分が会社勤めであるため、
関心はやっぱり「自分の身に起き得ることなのか」ということに向かってしまう。

仕事の量、責任と権限のバランス、共同作業者の数、上司の資質など、
彼らが置かれた勤務環境は、今の自分のそれとどのくらい違うのか。

そして、適切な手抜きは一種の才能だと尊び、
「最後は何とかなるさ」と楽観視してしまえる自分のこの能天気な性格でも、
彼らのような環境に置かれたら、追い詰められてしまうのか。

この本を通して、また、学生の頃に触れた幾つかの類似の本を通して、
様々な事例を読んではみたものの、
結局、自分自身と「過労自殺」という事象との距離感がつかめない。
身に迫るような危機感は無いが、漠然とした不安を消せない。
「何かの拍子に突如『過労自殺』という概念が自分に重圧をかけ始めることが
起き得るのではないか。『起きない』とは決して断言できない」

そして、これらの事象を読んでいて一番怖いのは、
そういうのっぴきならない状況に陥ってしまっても、
家族でさえも十分なフォローができていないということ。
「休んだら?」「仕事辞めたら?」とひと声かけることはおろか、
本人が悩んでいた当時、ことの重大さを正しく認識し、
その悩みを共有してあげられていたのか。

置かれた環境と、本人の性格と、周囲の人間の関わり方。
この3つの要因が絡み合っているところは、
昨今の社会問題である「いじめ」の構造とよく似ていると思う。

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『死に絶えた風景』
- 2005/08/12(Fri) -
鎌田慧『死に絶えた風景』(講談社文庫)、読了。

85年の時点で「死に絶えていた」という製鉄の街の風景。
05年の今、20代の者には、すでに歴史の中の話のように感じられる。

『自動車絶望工場』よりも、さらに未知の世界。

安全人間工学について興味を持っているため、
製鉄所での労務管理と安全管理について、
より詳しい文献を読んでみたくなった。

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