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『つくられた「環境問題」』
- 2022/08/07(Sun) -
日下公人、武田邦彦 『つくられた「環境問題」』(WAC)、読了。

武田センセ、選挙に落ちちゃいましたねー。
こういうタイプの人が参議院議員として公人の立場で発言権を持つと
意外と面白い展開になったかなーと期待するところもありましたが、
しかし、社会の常識とか組織のルールとかには馴染めなさそうなので(苦笑)、
あんまり日本人には好まれないキャラかもしれませんね。

しかし、なんで参政党からの出馬だったのかなぁ?と今でも疑問です。
反ワクチンという点では繋がっていたのかと思いますが、
参政党の食の分野の主張とかは、非科学的なものやニセ科学的なものも目立っており、
武田センセの「科学で合理的に考える」というスタンスに合わないような気がしたのですがねぇ・・・・・。

参政党は温暖化に対してどういう主張だったのか記憶にないのですが、
陰謀論的な言説が多いイメージからすると、温暖化懐疑論的なのかな?(勝手な想像です)

で、その武田センセによる環境問題への懐疑論の本。
経済評論家の日下公人氏との対談です。

「日本における環境問題は解決した」という武田センセの物言いは、
相変わらず意図的に強めの表現で炎上狙いのような主張です(苦笑)。
ただ、「環境省という組織を作るから環境問題という仕事を無理に作り出すようになるんだ」
「今の日本は足元の環境問題が解決してしまっているから温暖化のような未来の空想を仕事の種にする」
というような趣旨の部分は、表現の過剰さはともかくとして、
「今、この環境問題に、これだけの金と時間を投資する必要があるの?」という点で
社会問題の優先順位付けをする際には重要なポイントかなと思います。

温暖化に何千億円も予算を投じるよりも、例えば日本なら、自殺対策とか、子供の貧困問題とか
教師の過剰労働とか、そういうものへの予算をもっと増やした方がいいんじゃないの?と
思えてしまいます。

でも、環境省として独立しちゃってるから、環境問題の対策予算を取ってこないと
自分の仕事がなくなっちゃうから必死で環境問題を作り出してる面はあると思います。
厚生労働省は、自殺対策を後回しにしても、他にしなきゃいけない仕事が山のようにありますからね(苦笑)。

あと、私は、武田センセの科学者なのに哲学的な発想をもつ一面に興味があるのですが、
本作の中で、東京大学教養学部の卒業だと知り、「あ、そういう学問を修めた人だからか!」と納得。
てっきり、理学部とかを卒業されているのかと思ってました。

東大の学部の構成は、部外者なので詳しいことは知りませんが、
勝手なイメージで思うに、教養学部ではリベラルアーツ的な観点がより強く意識された
教育がなされているのではないかなと。

なので、武田センセの発言には、ただ単に自然科学で合理的に論じるだけでなく、
「人間とはこう生きるべき」「社会において構成員1人1人はこういう心構えを持つべき」というような
視点での物言いも多いのだろうなと思いました。

本作も、そういう観点での発言がたくさん見られ、興味深く読めました。




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『暴走する「偽」環境ビジネス』
- 2022/04/27(Wed) -
武田邦彦 『暴走する「偽」環境ビジネス』(ベスト新書)、読了。

久々の武田センセイ。
参院選に出馬するってニュースになってましたが、
ほんとに出るんですかねぇ?
その影響でメディア出演がなくなったので、お見掛けしなくなっちゃいましたねー。

著者の主張は、基本的に世の中で常識としてまかり通っていることに
「それは違う!」と噛みつくことが多いですが、
噛みつく相手が「環境問題」とか「男女同権」とか、
いわゆる意識高い系の人々が推している社会問題であることが多いので、
必要以上に炎上している印象があります。
まぁ、戦術として著者が極端な物言いをしている面もあるとは思いますが。

そして、そういう意識高い系のテーマは、
一見、自然科学的なもののように見えつつ、本質部分は政治的なものだったりしており、
その政治的な利害関係に対して、自然科学者の立場で斬り込んでいくから
面白い視点だなと思うことが多いです。

自然科学的に著者の主張がどこまで正しいのかは分かりませんが、
いわゆる世の中で「常識」とされていることに対して
まったく違った角度から論点を投げかけてくれるので、勉強になります。

温暖化問題は、国際社会においては、経済の第一線から取り残された欧州勢が
米国や中国、ついでに日本らの足を止めるために張った罠と
国連関係機関の「先進国から発展途上国への富の配分」みたいな発想とが
絶妙にマッチしたために、一気に大きな国際問題に祀り上げられたのかなと感じてます。

さらに各国内では、環境対策という名目で、国の予算が確保され、学術予算も優先され、
民間企業は国の政策に従って予算を組んでいくことで、大きな利権構造が生まれており、
ある種、関係産業にお金を回すための経済的な政策なのではないかと思ってます。
産業全般に枷を嵌めることとによるマイナスと、環境関連産業が成長するプラスと比較し、
米国はマイナスの方が大きいと判断したから京都議定書を批准せず、
特定関連産業が成長することで経済全体の成長に寄与するなら・・・・と考えたのが
日本政府なのかなと。
ピュアに「地球環境のために」という判断ではやってないと思うんですよね・・・・・穿ちすぎ?

環境問題とかは、知見や分析として正しい、正しくないという議論よりも、
「地球環境はどうあるべき」「私たちの生活はどうあるべき」という価値観の戦いになるから
正直、どこまで行っても決着はつかないですよね。
考えるのが面倒になったら、「温暖化はダメ!」「省エネしよう!」という方に
とりあえず乗っかっておけば、世の中一般からは批判されないですから、
思考停止したくなりますよねー。

こういう論点を、メディアで堂々と発言する著者がメディアに出られなくなったのは
マイナスの影響の方が大きいのではないかと思うところもありますが、
こんな人が環境庁長官とかになったら、議論が紛糾して超面白そう!と
無責任な想像をしてしまいました(苦笑)。
ま、参政党なら大臣は関係ないか・・・・。




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『生物多様性のウソ』
- 2017/04/01(Sat) -
武田邦彦 『生物多様性のウソ』(小学館新書)、読了。

COP10が開催されていた頃、
やたらとテレビから「生物多様性」とか「里山文化」とかいうフレーズが
溢れだしていましたが、「何で急にこんな議論になったの?」という疑問を感じてました。

で、本作は、その生物多様性の議論について論じています。

正直、著者が語る進化論とか個々の生物の生態の話とか、
雑な説明が多いので、引っかかるところはかなり多かったです(苦笑)。
13年ゼミのところとか、ロジックが良く分からない説明もありましたし。

ただ、生物多様性の議論が国際的に登場してきた経緯については、
そういう視点があるのね~という気づきがあった点では興味深かったです。
ま、それが正しい認識なのかは別途精査しなければいけませんが。

地球温暖化論と同じような不安定感を、
生物多様性の議論にも感じることができるのは、確かにそうだなと思いました。

そして、純粋に、環境を守ろう、自然を守ろうという、理想論というか
現実離れした議論にしてしまいがちな日本人と比較して、
自国の利益をきちんと追求しつつ、表立っては大義名分をかざす欧米のしたたかさを
理解するには面白いテーマだなと思いました。
これも、地球温暖化論と同じ臭い。

というわけで、生物学の観点では胡散臭さがありましたが、
政治学の観点では興味深かったです。


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『日本人はなぜ環境問題にだまされるのか』
- 2016/02/13(Sat) -
武田邦彦 『日本人はなぜ環境問題にだまされるのか』(PHP新書)、読了。

タイトルから、「メディアに流される日本人」「科学的思考力を持たない日本人」的な
論が展開されるのかと思ったのですが、
日本人論というよりは、地球温暖化に関する言説の真偽を解説した本でした。

うーん、看板に偽りあり(苦笑)。

ま、地球温暖化論を盲目的に信じている人が多いようには思いますので、
こうやって一石を投じるのは、「ちょっと立ち止まって考えようよ」と呼びかける
良い機会になるとは思います。

ただ、著者が、「温暖化論推進者は、説明を都合よく編集・簡易化することで日本人を丸め込んでいる」
という趣旨の批判をしているのに対して、じゃあ著者自身の説明はどうかというと、
似たり寄ったりで、簡略化したし、端折ったり、丸めたりの説明が多く、
あまり科学的な思考を誘発するようなレベルの論理展開ではないように感じました。

日本人には基本的な自然科学教育が足りないと私も思いますが、
だからと言って甘やかすのではなく、きちんと順を追って説明する根気強さが
必要なのではないかと思います。
それに応えられるレベルの人に絞って、少しずつその輪を広げていくイメージです。
ま、それは教育者の仕事であり、
本を売らねばならない著述業の仕事ではない、ということなのかもしれませんが。

地球温暖化懐疑派の議論としては、
ロンボルクのアプローチ方法に近い幅広さを感じました。


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『放射能列島 日本でこれから起きること』
- 2015/05/29(Fri) -
武田邦彦 『放射能列島 日本でこれから起きること』(朝日新書)、通読。

武田センセの主張は、
みんなが何も考えずに思い込んでいる事柄に対して、
「自分の頭を使って考えなさい!」という投げかけをしてくれるという観点では
非常に有意義なものだと思うのですが、かといって、武田センセの主張自体を
信じてよいかということになると、私はちょっと疑問符
数字の取り扱いが非常に雑というか、エモーショナルな印象を受けてしまいます。

例えば、本作でも、福島第一原発から漏れた放射性物質の量を80京ベクレルだと説明した後で、
「日本人1人あたりの量にすると80億ベクレル」と述べています。
日本人1人あたりに換算する意味って、何なのか、サッパリ分かりませんでした。
御丁寧にも直後、「漏洩した放射性物質が日本人1人1人の上に均等に降ってきたとして」と
シチュエーションを解説しているのですが、こんな非現実的な仮定を置いて説明する意味が
理解できません。
これこそ、頭を使わない人々に向けて感情的に訴える手法そのものではないでしょうか。

原発問題と切っても切れない関係になってしまった感のある温暖化問題に関しても、
ICPPの報告書を気象庁は反対の意味に日本語訳をしている・・・・なんていう
暴論を展開しています。
私も、温暖化論には懐疑的な意見を持っていますが、この気象庁批判は暴論でしょう。

なんで、日本人というのは、専門家から、知識人から、一般人まで、
冷静で客観的な議論ができないのでしょうかねぇ・・・・・と憂鬱な気持ちになってしまいました。


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『その「エコ常識」が環境を破壊する』
- 2013/12/07(Sat) -
武田邦彦 『その「エコ常識」が環境を破壊する』(青春新書)、読了。

武田センセのエコ活動糾弾本でございます。

以前に、著作を読んだときは、それなりの納得感をもって読んだはずなのですが、
本作では数字の扱い方の粗さが目に付いてしまって、
あまり内容が頭に入ってきませんでした。

同時並行で、地球温暖化に関する政治的な側面での議論を読んでいるからかもしれませんが、
数字を恣意的に使ったり、「素人にも分かり易く」という大義名分で
ミスリードするかのような数字の端折り方をする手口に敏感です(苦笑)。

環境問題を必要以上にとやかく言う人の傲慢さとか、
エコの名の下での経済活動の推進とか、
そもそも一つの生物の分際で地球環境の管理人になったつもりでいるおこがましさとか
著者の思想に賛同したい部分がいろいろあるのですが、
何分、数字の扱い方が、どうしても不信感。

例えば、消費エネルギー量を「金額」に換算して評価しようとするのは、
「モノ」に対して払っている費用についてはそれで良いと思いますが、
人件費に関しては、賃金と生活費(=活動費)に分けないと
エネルギー消費量の観点では変じゃないかなぁと思ってしまいます。
労働の対価って、消費エネルギー(=労働力)に対する価値だけで支払われている
わけではないですからねぇ。

数字の扱い方の恣意性は、どんな主張をしていようとも、
その主張を信頼するにはマイナスに働きます。
少なくとも、私は、賛同しかねてしまいます。
うーん、思想の方向は同じなだけに、残念。


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『偽善エコロジー』
- 2008/07/29(Tue) -
武田邦彦 『偽善エコロジー』(幻冬舎新書)、読了。

『博士も知らないニッポンのウラ』とか『そこまで言って委員会』とかで
武田センセイの発言を聞いたことがありますが、とにかく面白い!
弁が立つというか、斜に構えた姿勢がテレビ映えするというか。

「環境」を捉える角度が全く違うため、
いわゆる「環境派」と議論が噛み合うはずも無く、
そのせいで(ご本人も書かれているとおり)異端児扱いされているようです。

データの真偽のほどは素人には判断がつきませんが、
今年に入ってやたらと「環境」「環境」とうるさくなった日本人を見ていると、
とりあえずセンセイの側に立ちたくなります。

普段いーっぱい無駄遣いしている日本人が、
「マイお箸」とか「エコバッグ」とか「ふろしき活用」なんて喜んでやっているのを見ると、
他の無駄遣いから目を背けるための免罪符、
または単なる流行に群がる烏合の衆のような印象を受けます。

そういやぁ、昔、「プルタブを集めて車椅子を!」っていうのがブームになったなぁ。
あの運動はどこに行っちゃったんだろう?

エセ環境活動に浮かれて自己満足最高潮な頭からっぽ人間よりは、
口では「環境保護」と言いながらもビジネスとして算盤をはじいている腹黒人間のほうが、
状況を適切に理解しているという点では、
ある意味、信頼できるような気がします(極論ですけれど)。

今年の暮れあたりでも、この環境ブームは続いているのでしょうか?
続いていなけりゃ、つくづく、日本人って・・・・と思ってしまいますし、
続いていたら、それはそれで、ユーウツかも。


ところで、仕事で必要になって、この本を書店へ(ブックオフじゃないよ)
買いに行ったのですが、新書って、めちゃめちゃ増えましたね(驚)。
一昔前まで、新書と言えば、岩波とか筑摩とか新潮とか
結構限られていたような印象なのですが。

そして、新書の性質もだいぶ様変わりしたような。
本作を読んで感じたのは、「現在」を強烈に感じるということ。
2年後に読んでもピンとこないだろうな・・・という。

学生の頃は、新書は一般書と学術書のつなぎ役のようなイメージだったのですが、
今や一般書と雑誌の中間点のような感じです。
耐久財から消費財に変質したような。
あれ?これって、新たなゴミのモト??


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