『見仏記 4 親孝行編』
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- 2022/11/26(Sat) -
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いとうせいこう、みうらじゅん 『見仏記 4 親孝行編』(角川文庫)、読了。
岡田斗司夫先生に教えてもらってみるようになった山田五郎先生の絵画解説動画。 そこに先日、みうらじゅんさんが登場し、仏像について熱く語っていたのを見て、 「『見仏記』面白かったのになー」。 第3弾で海外にまで見仏に出かけて行ってしまったので、 それで完結したような印象を持ってましたが、ブックオフで第4弾を見つけて、 「えー!終わってなかったのか!」とビックリ。 というか、第7弾ぐらいまで出てるようで、まだまだ楽しめそうです。 第4弾は、再び国内に戻っての見仏となりますが 奈良や京都などの基本のお寺のツアーから穏やかに始まり、 中盤、「親見仏」として、いとうせいこう父母が加わった4人組ツアー、 続いてみうらじゅん父母が加わった4人組ツアーと、 思いもよらない変化球を混ぜてきて、見仏以外に、「親子とは」という裏テーマが 非常に興味深かったです。 つまりは、家族旅行に友達がひとりくっ付いてきているような形になるのですが、 私だったら恥ずかしくて無理。 そもそも、友達の前での私と、家族の前での私は全然別人ですから。 標準以上に、私はその空間の人間関係や自分の立ち位置によってキャラ変えちゃうので(苦笑)。 この4人組ツアーを敢行できるなんて、友達同士がお互いを信用してないと無理だと思います。 いとうさんとみうらさんって、本当に仲良しというか、信頼しあってるんだなと分かりました。 そして、家族旅行に余計なものがくっ付いてきている形だからこそ、 その余計なものの視点で見つかる気づきがあり、 息子と同じ行動を取ってしまう父親、息子の変なところが母親に由来することが発覚、など あ、血の繋がりって、こういうことなのか・・・・・と実感できるシーンがたくさんあり、 面白く読みました。 それでいて、見仏の対象は即身仏! 親子でミイラ見に行ってどうするのよ・・・・と思ったら なんとみうらじゅん氏は子供の頃に百貨店の催事で両親とともに即身仏を見ているそうで、 キワモノの超エリート教育を施す家庭だったんだなと、みうらじゅん誕生の原因が判明。 この親仏記が面白過ぎて、最後、本当の見仏としてはイチオシであろうと思われる 北陸見仏ツアーが、ちょっと地味な感じになっちゃったのは、まぁ仕方ないよね。 お二人がとっても見仏の成果に満足していることは伝わってきたけど、 でも、親子の縁にはかなわないわ。 ![]() |
『万博少年の逆襲』
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- 2018/07/12(Thu) -
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みうらじゅん 『万博少年の逆襲』(河出文庫)、読了。
みうらじゅん氏の私的エッセイは初めてでしたが、 うーん、キャラが強すぎて、私には付いていけない内容でした(苦笑)。 『見仏記』のような、特定のテーマがあるエッセイは興味深く読みましたが、 本作のような、私的な青春エッセイとなると、 その生き方に共感できる人じゃないと読みづらいかな・・・・という感じです。 少年みうらが見た世界、感じた世界、 同じような少年時代を送ってきた人には、楽しめるんだろうな。
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『色即ぜねれいしょん』
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- 2015/06/30(Tue) -
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みうらじゅん 『色即ぜねれいしょん』(光文社文庫)、読了。
じゅんさんの小説はお初です。 仏教系の高校に通う主人公。 教室ではヤンキーが幅を利かせ、フォークが好きな主人公はちょっと引き気味。 そんな夏休みに、中学時代からの友達に誘われ、隠岐島のユースホステルに泊まりに行く・・・。 冒頭のシーンから、ヤンキーたちが講堂でがなる「ホーネン、ホーネン」のシーンに圧倒されます。 本当に、こんな高校あるのかしら?と疑問に思いつつも、 でも、なんだか有ってもおかしくなさそうな変な存在感があります(笑)。 このヤンキーたちが意外とお茶目。 主人公も、文科系を自認していながら、結構ヤンキーと普通に話ができちゃってます。 このお話の山場は、やっぱり隠岐島。 友人が仕入れてきた「フリーセックスの島」というトンデモ情報に踊らされて遊びに行くものの、 もちろん、そんなことはなく、ユースホステルとしてのオモテナシと、 そこに集まる人々との交流があるわけで、ま、良い人もいれば悪い人もいる中で、 数日間を過ごした主人公は何かを得て日常生活に戻ってきます。 この主人公の変化が、非常に自然な形で書かれていて共感できました。 一歩を踏み出すきっかけを掴む瞬間が良く分かります。 そして、自信を持った少年が、どんな風に成長していくのか、非常に面白く読めました。 あと、この作品の安心感は、主人公の両親がもたらす温かい愛情から来てるのかなと思いました。 理解がありすぎな感じもしますが、でも、主人公が変なムチャをしない、ある意味冷静な判断を 重ねていくところは、この両親の元で育ったならそうだろうなと納得できるものがあります。 じゅんさんの私小説にあたるのでしょうが、 この少年が大きくなって、みうらじゅんという特異な人物になるとは、 人生って不思議なものですね(笑)。
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『見仏記3』
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- 2014/01/29(Wed) -
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いとうせいこう、みうらじゅん 『見仏記3』(角川文庫)、読了。
見仏野郎たちが、ついに海を渡りました(笑)。 仏教伝来のルーツを逆に辿っていく旅ということで、 韓国、タイ、中国、インドの諸仏を巡ります。 ただ・・・・今のご時勢、なかなか韓国の仏像の話題は、 気持ちが重くなりますね。どうしても政治の話が頭に浮かんでしまって。 本作の中でも、秀吉の朝鮮出兵による仏像破壊の話に触れています。 現地の人との交流もあまりなかったようで・・・・。 一方、中国では、その文化の奥深さに触れるとともに、やはりここでも仏像破壊の跡が。 日本人によるものだけでなく、文化大革命などによるものも多そうですが、 いずれにしても痛ましいことです。 ただ、中国では、現地の人々と「阿弥陀=アミトヮフォ」の大合唱で一体感を得たようで 中国人の懐の深さというか、歴史ある国が持つ泰然さを感じました。 タイやインドでは、仏教以外の宗教の寺院のレポートもあり、 いろんな文化に触れられて面白かったです。 で、この本を読んで得た私なりの結論は、 「いろんな仏教文化があるけれど、日本のものが私には一番面白いな」というもの。 優劣の問題ではなく、自分は、どれが一番心惹かれるか、落ち着くかという問題です。 木造の仏像の温かさが一番好きです。
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