『ペイド・バック』
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- 2014/01/19(Sun) -
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『ペイド・バック』
イスラエルの特殊諜報機関モサド。 ナチス時代に収容所で人体実験をしていた外科医を東ベルリンから拉致し、 イスラエルで裁判にかけるという任務を課せられた主人公たち3人。 拉致に失敗し外科医を射殺して帰国した3人は、イスラエルで英雄扱いとなる・・・ 英雄扱いをされたとはいえ、暗殺者としての過去を持ったまま30年を生きることとなった 主人公のヘレン・ミレン演じるレイチェルには、常に陰鬱な表情が浮かんでいます。 その表情の通り、物語は、鬱々と展開していきます。 英雄としての母、見方を変えれば暗殺者としての母についての伝記を出版する娘。 その出版パーティ前後の現代と、拉致の準備から実行までの過去の日々を 織り交ぜながら見せていきますが、現代世界は、パーティや明るい海岸といった舞台に ヘレン・ミレンの陰鬱な表情が対比され、その暗さが際立ちます。 また、過去の方は1960年代の東ベルリンが舞台ということで、全てが陰鬱。 拉致の準備期間の描写は、あまり大きな動きが無いのでやや間延びしますが、 拉致後の国外脱出に失敗し、外科医をアジトに隠してからの舌戦は興味深かったです。 拉致の目的はイスラエルに連れて行くことだと理解した外科医は、 ここで殺されることはないと判断したのか、モサド3人に対して心理戦を仕掛けます。 それぞれが持っている心の傷を抉るような言葉を投げかけたり、挑発したり。 「なぜユダヤ人を大量に殺すことができたのか」として語られた発言の中身は、 「こんなこと映画で発言させて大丈夫なのか?」というほどに、私は衝撃を受けました。 そして、隠されていた真実が明らかになり、戻ってきた現代のシーン。 真実を再び隠すために、ヘレン・ミレンが任務を負います。 ここからの展開は、スピード感もあって面白かったです。 真実を隠すか、暴露されることを許容するのか、 全ての判断は彼女の手にかかることに。 その最後の判断も、これだけの過去を背負ってきた彼女であれば納得。
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『RED』
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- 2013/02/03(Sun) -
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『RED』
前知識が全然ない状態で見たので、 いつもの、ちょい重苦しい感じのブルース・アクションものかと思ったら、 なんとも肩の力が抜けた素敵なオヤジが主人公じゃありませんか! しかも、めっちゃ強い! この緩急の付け方に、最初の15分ではまってしまいました。 リタイアして年金生活を送る元・凄腕CIA工作員。 ところが、ある日、CIAの暗殺部隊に命を狙われる羽目に。 しかも、年金係の女の子との電話を盗聴され、 女の子の元へ遊びに行くと言った一言から女の子までCIAに狙われることに。 過去のスパイ仲間の助けを借りながら、CIAの狙いを暴く! まー、アクション・コメディはこうあるべきだという、 お手本のようなテンポと会話とキャスティングです。 スパイ仲間の面々が、非常におしゃれでウィットに富んでます。 お爺ちゃん、お婆ちゃんになっても、めちゃ格好良い!! 特に、ヘレン・ミレンとブライアン・コックスが素敵でしたわー。 飄々とマシンガンをぶっ放すエリザベス女王に惚れました(爆)。 最後、冷静に考えると、ハチャメチャな結末ですが、 なんだか、この人たちなら、それも有りかなと思えてしまうところが、 この作品の良いところかも。
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『クイーン』
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- 2008/08/06(Wed) -
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『クイーン』
これは面白かったです! ダイアナ妃の事故死から1週間という とっておきの舞台設定であることもさることながら、 そもそも英国王室の日々の様子を垣間見られたことに興味津津。 毎日毎日鹿狩り?? そして、これぞ英国コメディという皮肉のオンパレード。 英国王室の皆様、コメディセンスが◎?! エジンバラ公も王太后もきっついわー。 また、女王陛下の自由度にもびっくり。 女王陛下が一人で車を運転してるわ、 突如、台所にやってきて電話に出るわ、 首相のアドバイスを蹴散らすわ。 「君臨すれども統治せず」とは言えども、 統治者としての実権力を発揮しているように感じました。 王室にも様々な形態があるようです。 そして、本作では、とにかくトニー・ブレアが格好良く描かれています。 まぁ、当時のトニー旋風は、本当にこんなものだったような記憶がありますが、 それにしても本作ではヒーロー扱いです。 こうして、「ブレア&国民vs女王」というシンプルな対立構図になるのですが、 そこで女王が一方的な悪者にならないところが、 この映画の脚本・演出の凄いところであり、 ヘレン・ミレンの演技の素晴らしさであり、 そしてエリザベス2世という統治者の治世への信頼の厚さであると思います。 女王陛下の判断は遅く、また真意ではなかったようですが、 それを自分の義務と決断してからの立ち振る舞いは見事です。 日本もそうですが、1000年以上も続く王家の重みは、 なんだかんだ議論はありつつも、その国民の支えになっていると思います。 それにしても、ダイアナという女性の神秘性は凄まじいです。 生前の報道映像を使っているだけなのに、 画面から訴えかけてくるものに迫力を感じました。
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