『懲戒解雇』
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- 2013/11/29(Fri) -
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高杉良 『懲戒解雇』(講談社文庫)、読了。
高杉作品3作目なのですが、 今まで漠然と感じていた「肌の合わなさ」感が、ようやくはっきりしました。 それは、著者が書く主人公に魅力を感じられないことに尽きます。 本作では、日本トップの素材メーカーに勤めるエリート社員が主人公なのですが、 一部の役員の暴走を止めようと、社長・副社長にいきなり「建白書」なるものを 郵送して対決しようとします。 この行動が、あんまり賢い行動に見えないんですよねー。 信頼できる上司にも、同期にも相談せずに、 独りで突っ走ってしまうんです。 あんまり、先の展開を読んだ行動には見えません。 中盤で、主人公の同期たちが集まって主人公の行動に賛否するシーンがありますが、 技術屋の同期として出てくる人物が、主人公と距離を置いた発言をするに及んで、 「そりゃ、そうだよなー」と共感してしまいました。 主人公が敵対する役員は、ヤクザみたいな態度と口のきき方で、 とてもリーディング・カンパニーの社長の座を狙う人の言動ではないのですが、 かといって主人公にも共感できず、イライラの募る読書になりました。 なんだか、高杉作品を読んでいると、ストレスが溜まります(苦笑)。 世の中の男性サラリーマンにとっては、 これぐらい組織の常識に刃向う主人公を讃えたくなるのかもしれませんが、 最後に自分も割を食っていては、それこそ喧嘩両成敗のように思えてしまいます。 もっと賢く立ち回る主人公の話が読みたいものです。
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『広報室沈黙す』
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- 2013/10/15(Tue) -
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高杉良 『広報室沈黙す』(文春文庫)、読了。
文庫で500ページ超の大作ですが、3連休の合間に挑戦してみました。 損保会社の広報室を舞台に、 会社を私物化する会長&副社長勢力と、良識派の社長との戦いを描いた作品。 どうやら安田火災海上保険がモデルのようですね。 最初は、営業から広報課長に異動になった主人公の行動があまりにも頼りなく、 「おいおい、そんなに脇アマで、しかも定時退社しちゃって大丈夫なの!?」と 読んでいて、驚いたり、イライラしたりの連続でした。 総じて、「広報の恐ろしさをわかっちゃいないなぁ~」という感想です。 ただ、昭和50年代であれば、大企業といえども、広報への認識は この程度だったということなのでしょうね。 今では考えられない甘さと軽さです。 後半になると、主人公は、自分で筋を描いて、 そのように周りの人たちを仕向けていく技を身に付けていきます。 上司も役員も上手く使って、なんとか会社の面目を保っていきます。 1人のサラリーマンの成長譚として面白かったです。 ちょっと物足りなかったのは、 主人公が組織的に動くという能力を身に付けていなかったこと。 部下の菊田などは、上手く使えば有能な手足となったはずなのですが、残念。 せっかく構築したマスコミ人脈も、イマイチ使いこなせていなかった感が。 終盤、広報室長が交代してから、ようやく広報室としての組織立った動きが できるようになってきた程度で終わってしまいました。 エンタメとして読むには、古さを感じずにはいられませんが、 初めて広報業務に携わった人は、今でも読んで勉強になる一冊だと思います。
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『銀行人事部』
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- 2008/11/08(Sat) -
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高杉良 『銀行人事部』(徳間文庫)、読了。
銀行・商社・グループ企業などを舞台にした短編集。 高杉作品は初めてだったのですが、 イマイチ主人公に魅力を感じられませんでした。 経験もない若者のくせに、 なんでこんなに気位が高いのだろうかと 引いてしまいました。 物語としても 起承転結が盛り上がりに欠けて、 あまり面白くなかったです。
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