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『書く力』
- 2023/06/10(Sat) -
池上彰、竹内政明 『書く力』(朝日新書)、読了。

ここ数年は、池上彰氏への疑問の声をチラホラ見かけるようになり(主にネット保守界隈の人たちから)
あんまり著作に触れないようになってます。
ブックオフには依然としてたくさんの著作が並んでますが、触手が伸びず。

著作を読んでて、「これは変だ!」とド直球で違和感を覚えたことはないので、
大きな支障はないのですが、逆に、「これはお見事!」と刺さって来るものも少なく、
ちょっと表面的な印象を覚えてました。
テレビで名を売った人なので、テレビ的な広さ、浅さ、分かりやすさ、単純さを追求すると
こんな感じになるのかな、と、まぁ可もなく不可もなくという感じです。

本作は、竹内政明氏の名前を見つけて「読みたい!」と思ったものの、
池上氏が対談相手だったのでやや躊躇しましたが、
大勢に影響はないだろうと買ってきました(苦笑)。

読んでみて、やっぱり、両者とも自分の文章というか、対談のしゃべりことばを含めて、
自分の言葉のリズムを持っている人だなと感心。
池上氏も、やっぱり人気があるのは、表現の巧みさや比喩の単純化のテクニックがあるからで、
それらの技術は自分自身で研鑽を積み重ねてきた結果だと思います。

あと、池上氏は保険の掛け方、自分の身の守り方が上手い(爆)。
竹内氏も新聞紙面に自分の文章が載る立場として、当然、表現には気を配っているし
保険をかけていることも話を聞くとよく分かりますが、池上氏は、「私はこうやって保険を掛けるんですよ」
と露悪的に自分のテクニックを披露して、それすら自分の能力として演出できるところが
やっぱりテレビで活躍できるタイプですよねー。

文章の事例として、竹内氏が読売新聞紙面に書いた「編集手帳」の文章や、
池上氏が他人の著作に書いた解説文章などが出てきますが、
それだけなく、いろんな作家の文章が登場してきて、「あ、読みたい」と思うものが
いくつかあったので、それだけでも儲けものでした。

齋藤美奈子氏の『文章読本さん江』、ずーっと探してるけど出会えないよ~(涙)。
田舎のブックオフでは無理なのかなぁ・・・・・。






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『日本の聖域』
- 2022/02/27(Sun) -
「選択」編集部 編 『日本の聖域』(新潮文庫)、読了。

近所のおっちゃんにもらった本。
会員制の雑誌『選択』の名物企画を本にしたものということで、
単なるエクゼクティブ向けというよりも、エスタブリッシュメント向けの雑誌なのかなと感じました。

記事は、無署名でジャーナリストや新聞記者が書いているようですが、
まさに「聖域」に突っ込んだものもあれば、表面的なデータの羅列程度のものもあり
出来の差は感じつつも、興味深いトピックスも多く、社会勉強になりました。

パチンコ業界の三店方式での脱法は有名ですが、
パチンコ台の型式試験という仕組みを使った利権構造などの指摘は、
「はー、なるほど、警察組織とそういう握り方をしてるのかー」と納得。

免許更新における交通教本の印刷利権についても、
確かに、毎年確実に2000万部近い発行が見込める利権は、よくできてるよなーと変な感心。
そして、電通という組織がここにも出てくるのは苦笑。

まぁ、オリンピックやコロナ助成金などを通して社会での電通バッシングが相当なものになってますが、
私はそこまで極端な嫌悪感は無いです。
過度な利権関係は良くないとは思いますが、全くクリーンな社会は逆にやり憎いと思うんですよね。
適度な潤滑油が必要というか、適度に利益配分をやる機能が必要だと思ってて、
そこを電通が取り仕切ってきたのが日本社会なんだと思います。

その取り仕切り能力が、昔は、絶妙なバランス感覚と手配力で、多くの人に適度なうまみが
配分されていたのに、今は電通の業務遂行能力が低下していて、配分結果がアンバランスに
なってるんじゃないかなと思います。だから不満が表面化してきて、その不満に触れて初めて
電通の役割を知った人たちが、むやみに拒否反応を示しているのではないかと。

大きな声で批判してるネット社会の人たちも、冷静に考えたら、自分の勤め先が何らかの形で
電通から利益をうまーく与えてもらっているかもしれませんよ・・・・と思ってしまいます。
あなた、会社の中で、そういうことを知れる立場にいないだけなんじゃないの?と。

ま、話が本題から逸れてしまいましたが、そういう日本社会の本音の部分における
歪みをいろんな角度から知ることができた面白い本でした。

保険会社の相互会社という形態とか、今まで意識したことがなかったのですが、
そういえば保険会社でしか聞かないなーとか、総代会ってなんだろう?とか
読み終わってからネットで調べるきっかけになりました。

株式会社と異なり監視機能というか内部統制が十分に働かない構造だという指摘は
確かにそうだなあと納得しました。そして、たぶん、社員である保険契約者1人1人は
そんな仕組みのことはほぼ意識していないというか、理解できていないんでしょうね。
欲を言えば、この相互会社のそもそもの仕組みについて、文章の中で分かりやすく
最初に説明してくれたら、わざわざネットで調べる手間を省けたのに・・・・・と思いましたが、
「このぐらいの知識は読者も持ってるでしょ」という前提が、エスタブリッシュ感だなと(苦笑)。

どうやら、文庫でシリーズ化されているようなので、
引き続き読んでみたいと思います。

解説は池上彰さんでしたが、最近のネット界隈での取材力に関する評判を見ていると、
本作の解説者には合わないんじゃないかな~と思ってしまいました(苦笑)。




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『池上彰のお金の学校』
- 2018/03/31(Sat) -
池上彰 『池上彰のお金の学校』(朝日新書)、読了。

池上センセによる金融関係の解説書。
Amazonのレビューは、分かりやすい!と評価が高かったですが、
私的には、そこまでかなぁ・・・・・という感じ。

金融用語の解説本は、それこそ巨万とあるので、
このレベルの開設本は、他にもあるように思います。
というか、私が読んだ他の解説本と比べて図抜けている感じはしませんでした。

私がそう感じてしまったのは、たぶん、用語解説のレベルにとどまっていたからかなと。
池上さんの役割って、多様な意見が噴出するテーマについて
うまく交通整理をしてくれることと、なぜそんな意見が、この立場の人から出てくるのか
バックグラウンド解説をしてくれることの2つだと思ってます。

それが活きてくるテーマは、足元の政治課題、国際問題など。
もちろん、金融政策についてなら、同じように交通整理をしてほしい分野なのですが、
残念ながら本作は、そこまで突っ込んでいなくて、単なる用語解説に過ぎないと思います。
深掘りできていないのが残念。

ただ、池上センセのネームバリューにより、
普段は金融関係の本なんか読まない読者が本書を手に取っているなら
それは社会に対して一つの貢献だと思います。


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『大世界史』
- 2017/10/25(Wed) -
池上彰、佐藤優 『大世界史』(文春新書)、読了。

久々に佐藤氏
池上氏との対談の形式をとった世界史の本。
でも、世界史というよりは、歴史を通じた世界情勢の解説本です。

時節に合わせて中東問題から始まりますが、
やっぱり中東って、遠いですよね・・・・・物理的にも心情的にも。

中東に始まり、トルコ、中国と舞台は移っていきますが、
日本に近づいてくるにつれて、やはり頭にすっと入ってくるようになります。

それを思うと、この2人の知識の幅広さは想像を絶します。
私の勉強や仕事の経験からしても、
知識や経験の積み重ねがある一定のレベルを超えたときに、
一気に知識同士が繋がって全体がクリアに見える瞬間があると思います。
が、何ぶん、世界全体のことを把握しようとすると、
その臨界点はかなり高い位置にあり、今の私からすると絶望的な距離を感じます。

どうやったら、この距離を縮められるかというのが目下の課題ですが、
本を読んで、人に会って、議論して、という地道な活動をしていくしかないんでしょうね。

そして、最後に、教育の話になっていきましたが、
本当に教育というものは大事だと思います。
その国の未来がどうなるかを左右する根本ですから。
先日『海賊と呼ばれた男』を読んでも思いましたが、
あの敗戦から短期間で国を立て直した日本というのは、
やっぱりそれまでの教育の蓄積が若い世代にあったからだと。

その点で、戦後の沖縄に対する日本政府の教育政策とか、
英仏の植民地における教育政策とか、
国としての方針が明確に出ていて、興味深かったです。

こういうところを思うと、やっぱり、どんな党に政権を取らせて、
教育政策を含めて国の将来に向けた絵を描かせるというが、
どれだけ重要なことかというのを実感します。

選挙は大事!


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『経済のニュースが面白いほどわかる本』
- 2017/03/01(Wed) -
池上彰 『経済のニュースが面白いほどわかる本』(中経文庫)、通読。

近所のおばちゃんからドカ借りしてきた本の中にあった一冊。

基本的な経済用語について解説した本ですが、
一般的な経済入門書と池上さんの違いは何なのかなぁ??
と思いながら読んでみました。

味気ない経済用語の解説なのですが、
池上さんの場合は、用語の意味よりも、
なぜその用語が重要なのかという背景の説明に紙面を割くため
その用語の位置づけが理解できるという点で、
頭に入ってくるのかなと思いました。

ま、でも、あまりに初歩的な用語解説だったので、
読み飛ばしちゃいましたが(苦笑)。


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『おとなの教養』
- 2016/11/12(Sat) -
池上彰 『おとなの教養』(NHK出版新書)、読了。

東工大のリベラルアーツセンターで教鞭をとる著者が、
「現代のリベラルアーツ」として選択した7つの分野。

「宗教」「宇宙」「人類の旅路」「人間と病気」「経済学」「歴史」「日本と日本人」

「経済」とか「法律」とかいった学問分野から7つ選ぶのかと思っていたので
この並びを最初に見たとき、「?」と腑に落ちないところがあったのですが、
「自分がどこから来て、どこに行くのか」という観点で選んだジャンルだと分かり、
1つ1つの解説を読んでいく過程で、だんだんと得心できました。

著者の本は、単なる解説にとどまらず、
著者自身の価値観を反映させた評価を加えていくので、
その見解に対して賛否どちらであったとしても、
読んでいて自分の頭が刺激される感覚を味わえます。

時々ドキッとするような右寄りの意見を言いながらも、
ベースは左寄りのような印象を受ける不思議な人です。
上手くバランス取ってる感じでしょうか。

とりあえず、この本を押さえておけば、
初歩の初歩であるにしても、教養の世界の入り口に指をかけるところに
行けるのではないでしょうか。


おとなの教養―私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書 431)おとなの教養―私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書 431)
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『池上彰の政治の学校』
- 2016/07/08(Fri) -
池上彰 『池上彰の政治の学校』(朝日新書)、読了。

参議院選挙だったり都知事選挙だったりで
政治の話題が盛り上がっているので、読んでみました。

さすが池上サン、冒頭から日本の政治のタブーとされる話題に
ズバッと斬り込んでくれています。
でも、当人はいたって冷静。
タブーはメディアが自主規制したり、反対に当然の知識として解説してこなかったりしたことを
分かりやすく解説しただけだというスタンス。

こんな風に開き直られちゃうと、当の政治家たちも
文句を言いにくくなっちゃうんでしょうね。

このあたりの駆け引きのセンスは、池上サン、非常に高い能力でお持ちだと思うのですが、
都知事選には出ないようで、このあたりの自分の立場を守る見識も
きちんとお持ちのようで・・・・・。

池上サンが本作で主張していた
「18歳から選挙権を!」は、今年から実現しているわけですが、
さて、日本人の政治センスの底上げにつながるでしょうか?
楽しみです。


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『先送りできない日本』
- 2016/01/15(Fri) -
池上彰 『先送りできない日本』(角川ONEテーマ21)、読了。

3.11の直後に書かれた本。

ただ、日本社会の諸問題を分かりやすく解説はしていますが、
3.11後に何かが変わったのか、もしくは3.11後にさらに何かの確信が強まったのかというのが、
あまり伝わってきませんでした。

というわけで、あんまり刺さってくるものがありませんでした。

自分の頭で考える・・・・となったときに
ちょっと池上さんの優し過ぎる解説では、頭が動くだけの衝動をもらえない感覚があります。
受け身なコメントであれですけど・・・・。


先送りできない日本  ”第二の焼け跡”からの再出発 (角川oneテーマ21)先送りできない日本 ”第二の焼け跡”からの再出発 (角川oneテーマ21)
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『知らないと恥をかく世界の大問題』
- 2014/04/17(Thu) -
池上彰 『知らないと恥をかく世界の大問題』(角川SSC新書)、読了。

佐藤優作品の流れで、何となく積読だった池上作品に手を伸ばしましたが、
濃厚な理論構成の次に読むと、はやり物足りなく感じてしまいました。

今の世の中で起きている事象について分かりやすく解説はしてくれますが、
「何が」という表面的なところが中心となり、
「なぜ」の掘り方が弱く感じてしまいます。

きっと池上氏の頭の中にはあるはずだと思うのですが、
読者層を気にしてか、自分に求められているものに忠実なのか、
どうしても著作になると、分かりやすさ重視になってしまうところが物足りないです。

テレビが与えた「お父さん」という役割を脱皮するのは、
相当に大変なことなんだなぁと感じました。


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『日本の1/2革命』
- 2014/02/15(Sat) -
池上彰、佐藤賢一 『日本の1/2革命』(集英社新書)、通読。

対談です。

フランス革命などの世界の転換点となった革命に比べ、
日本の転換点は、前半で終わってしまう「1/2革命」であるというテーマで
歴史から現在の政治までを語っています。

対談相手が、西洋史をテーマに小説を書いている佐藤賢一氏だったため、
対談の前半はフランス革命の話が中心です。

どうも私、フランス革命に限らず、
世界史で学ぶ革命の思想なり行動様式に共感できません。
それはきっと、この本で言う「1/2革命」側の文脈にどっぷり浸かっていて、
「1/2革命」の方が合理的だと思っているからだと思います。
それは、先日読んだ『日本辺境論』とも通じるものなのですが。

先のことなど考えていない民衆が、勢いだけで政権を倒してしまうという
その無防備さ、無計画さに共感ができないのだと思います。
だからこそ、明治維新や敗戦後の復興における日本人の強さが色鮮やかになるのですが。

というわけで、フランス革命側を軸に話が展開するこの対談は、
流し気味に読んでしまいました。
やっぱり、頭では理解できても、共感できないストーリーは読みにくいものです。

そして後半は、今の日本の政治との比較ということで、
出版当時の、自民党政権から民主党政権への政権交代と
フランス革命を比較して論じています。

今から振り返ると、たとえ1/2であっても、
フランス革命と比較するなんておこがましい限りですが・・・・(爆)。

というわけで、後半も共感が持てず、結局全編流し読みに(苦笑)。


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