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『男は敵、女はもっと敵』
- 2019/11/17(Sun) -
山本幸久 『男は敵、女はもっと敵』(集英社文庫)、読了。

映画のフリー宣伝マン(こんな職業あるの?)の藍子を軸に、
家族やら業界の人々やらの人間関係をポップに描いた連作短編集。
1話ずつ視点が変わっていくので、複層的に世界観が構築されていって
後半になるほど面白さが積み重なってきます。
その分、前半はちょっと単調な印象かな。

藍子は超美人で、スタイルも抜群で、仕事もバリバリできる女傑というような設定ですが、
本人の発する言葉や行動を見ていると、なんだか、あんまりそんな風に感じなかったんですよねー。
周囲の人物を通して描かれる藍子像は、確かにバリバリできる人なんですけど、
本人自身の言動が、その他人から見たイメージとうまく重ならないというか。
見た目についての描写も結構なされていたにもかかわらず、
私の頭の中に具体的な人物イメージが浮かび上がってきませんでした。
なんでだろ?
そのぶん、ちょっと作品と読み手の私の間に距離があったのかなぁ。

映画業界とか宣伝業界というあたりが舞台だったので
お仕事小説として面白く読んだのですが、ちょっと恋愛の部分が
さすがにリアリティに欠けたところが、ついていけなかった要因だったのかな。

藍子の仕事観とか、正義感とかは好きでした。
自分の役割は100%の力でこなすという使命感。
そのあたりは共感できました。

なんだか、しっくりこない感が最後まで残ってしまいましたが、
面白いのは面白かったです。
説得力無いな(苦笑)。




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『カイシャデイズ』
- 2019/03/19(Tue) -
山本幸久 『カイシャデイズ』(文春文庫)、読了。

弱小内装施工業者「ココスペース」を舞台にしたお仕事小説。
この会社に勤務する従業員たちの目を通して、
日々の仕事を描いた連作小説です。

冒頭、営業チーフの高柳の仕事ぶりを描いた話では、
社内での業績報告の捏造とか、
そもそも遅くまで飲み明かして会議資料を当日の朝に作っているとか、
「こんな仕事ぶりで大丈夫なのか???」と思ってしまう出だしでしたが、
しかし、2つ目のエピソードで主人公の視点が変わると、
その人物から見た高柳の仕事ぶりが、テキトーだけど最後は何とかしてくれるという
ある意味、営業の鑑みたいな感じで、ものすごくデキる人材に見えてきました。

そして、高柳だけでなく、フーゾク大好きな施工管理の篠崎とか
我が儘ばっかりのデザイナー隈元など、一見問題児のように見えて、
その実は、自分の仕事にプライドを持って真剣に取り組んでいる姿が見えて、
「この会社、素敵だな、チームワーク素晴らしいな」と思えてきます。

そう、山本幸久氏のお仕事小説って、
基本的に明るくて、ものすごく前向きな気持ちになれるんですよね。
解説で「悪人が出てこない」と表現されていますが、
そういうネガティブ要素がないということだけでなく、基本的に根底からポジティブなんですよね。
読んでいて力をもらえる活力があります。

仕事って、良いことばかりではないし、
前向きであれば全てが上手くいくわけでもないですが、
でも、ポジティブシンキングって、すごく大事な要素だと思います。
仕事を成功させるためにも、気持ちよく毎日を過ごすためにも。

山本作品は、言ってしまえばお仕事小説のファンタジーかもしれないけど、
でも、「こういう職場って素敵だな」「こんなチームで仕事に向き合いたいな」と
前向きなパワーをもたらしてくれる作品が多いように思います。

私自身、「最近、働き過ぎで疲れてるな・・・・・」と感じてましたが、
この作品を読んで、「暇で詰まらない日々よりも、忙しくても充実した日々を送りたいな」と
気持ちを持ち直すことができました。
ヒーリング効果というか、リフレッシュ効果がある作品を書く作家さんだなと思います。

また疲れた時に読んでパワー注入しよう!




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『ある日、アヒルバス』
- 2013/04/15(Mon) -
山本幸久 『ある日、アヒルバス』(実業之日本社文庫)、読了。

お気楽小説を・・・と思って手に取りました。
正解!
テンポよくスイスイ楽しく読めました。

5年目のバスガイドを主人公に、
問題児のお客様のあしらい方、新入社員の研修、自分の仕事への思いなど、
バスガイドという仕事を多面的に描いていきます。

こういう「お仕事小説」は、読んでいて楽しいですね。
その職業についての新たな発見があり、特に、働く人の思いに触れることが
結構な刺激になります。

昔は、大変な仕事と楽な仕事があると思ってました。
そして、バスガイドという仕事は、非難を承知で言うと、楽な仕事だと思ってました。
決まったルートに沿ってバスで巡り、これまた決まった案内をするのだと。

しかし、様々な「お仕事小説」を読むにつれ、
大変な仕事と楽な仕事という分類はないのだという、当たり前のことに気づきました。
あるのは、仕事に真剣に取り組む人と、手を抜く人との違いだけです。

バスガイドという仕事においても、
鋼鉄母さんの異名を持つ先輩社員はさることながら、
入社5年目の主人公は、自分なりのガイドテクニックに磨きをかけ、
同期のアキは、新しいツアー企画の提案に熱を上げる。
こういう、やる気の塊のような熱意が感じられる小説は、
読んでいて自分の励みにもなります。頑張ろうと。

山本作品は、明るく前向きなので、
自分が前を向きたいときにはぴったりですね。


ある日、アヒルバス (実業之日本社文庫)ある日、アヒルバス (実業之日本社文庫)
山本 幸久

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『はなうた日和』
- 2010/10/25(Mon) -
山本幸久 『はなうた日和』(集英社文庫)、読了。

世田谷線沿線を舞台にした短編集。

最初の数編は、正直、ちょっと軽いかなぁ~と感じました。
すらすら読めるんですけれど、あまり残るものが無い感じ。
テーマへの踏み込みが甘いような印象を受けたんです。

でも、いくつか読み進めていくうちに、
世田谷線沿線という繋がりの中で、それぞれの話に繋がりがあることが見えてきて、
そういう生活空間がイメージできるようになったら、
一気に面白くなってきました。

最後は、「アカコとヒトミ」まで出てくるし。

全体を読みとおして見ると、上手い作品だなぁと感じられました。


はなうた日和 (集英社文庫)
はなうた日和 (集英社文庫)山本 幸久

おすすめ平均
stars短編の魅力を感じる一冊でした
starsございまする
starsありがちでないストーリーのリアルな展開
stars読者に殆どストレスを与えない一冊
stars肩肘張らずに読めます。

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笑う招き猫 (集英社文庫)
笑う招き猫 (集英社文庫)山本 幸久

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starsなんか癒されます
stars読みやすさはぴかいち
starsもっともっともがくヒトミが見たかった
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『笑う招き猫』
- 2010/06/10(Thu) -
山本幸久 『笑う招き猫』(集英社文庫)、読了。

これは、読んだタイミングが悪かったです。

シャララの舞台の後に読んではいけなかった・・・・。

主人公は、駆け出しの女性漫才コンビ「アカコとヒトミ」。
彼女たちの、お笑いライブに向けてネタを作る毎日を描いた作品。
そこに、他の芸人や、昔からの友人、家族、マネージャー等が絡んできて、
青春小説となっているのですが、
「何事も上手く行き過ぎで、甘あまじゃない!」って思っちゃいました。

ネタを作り続けることの大変さとか、芸人という職業への憧れと葛藤とか、
コンビという特殊な職場の人間関係における悩みとか、
「こんなにあっさり乗り越えていけるもんじゃなーい!」と
叫びたくなってしまいました。

真剣に悩み、苦しみ、葛藤してこその青春だろうに!

シャララで濃すぎるほどの青春を見せつけられたので、
余計にそう感じてしまったのだと思います。

あと、芸人さんが主人公の小説は、本作に限らず、
思いが強すぎて、フラットな気持ちで楽しめないのかもしれません(苦笑)。
それはそれで、残念なことです。


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