『ある日、アヒルバス』
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- 2013/04/15(Mon) -
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山本幸久 『ある日、アヒルバス』(実業之日本社文庫)、読了。
お気楽小説を・・・と思って手に取りました。 正解! テンポよくスイスイ楽しく読めました。 5年目のバスガイドを主人公に、 問題児のお客様のあしらい方、新入社員の研修、自分の仕事への思いなど、 バスガイドという仕事を多面的に描いていきます。 こういう「お仕事小説」は、読んでいて楽しいですね。 その職業についての新たな発見があり、特に、働く人の思いに触れることが 結構な刺激になります。 昔は、大変な仕事と楽な仕事があると思ってました。 そして、バスガイドという仕事は、非難を承知で言うと、楽な仕事だと思ってました。 決まったルートに沿ってバスで巡り、これまた決まった案内をするのだと。 しかし、様々な「お仕事小説」を読むにつれ、 大変な仕事と楽な仕事という分類はないのだという、当たり前のことに気づきました。 あるのは、仕事に真剣に取り組む人と、手を抜く人との違いだけです。 バスガイドという仕事においても、 鋼鉄母さんの異名を持つ先輩社員はさることながら、 入社5年目の主人公は、自分なりのガイドテクニックに磨きをかけ、 同期のアキは、新しいツアー企画の提案に熱を上げる。 こういう、やる気の塊のような熱意が感じられる小説は、 読んでいて自分の励みにもなります。頑張ろうと。 山本作品は、明るく前向きなので、 自分が前を向きたいときにはぴったりですね。
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『はなうた日和』
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- 2010/10/25(Mon) -
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山本幸久 『はなうた日和』(集英社文庫)、読了。
世田谷線沿線を舞台にした短編集。 最初の数編は、正直、ちょっと軽いかなぁ~と感じました。 すらすら読めるんですけれど、あまり残るものが無い感じ。 テーマへの踏み込みが甘いような印象を受けたんです。 でも、いくつか読み進めていくうちに、 世田谷線沿線という繋がりの中で、それぞれの話に繋がりがあることが見えてきて、 そういう生活空間がイメージできるようになったら、 一気に面白くなってきました。 最後は、「アカコとヒトミ」まで出てくるし。 全体を読みとおして見ると、上手い作品だなぁと感じられました。
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『笑う招き猫』
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- 2010/06/10(Thu) -
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山本幸久 『笑う招き猫』(集英社文庫)、読了。
これは、読んだタイミングが悪かったです。 シャララの舞台の後に読んではいけなかった・・・・。 主人公は、駆け出しの女性漫才コンビ「アカコとヒトミ」。 彼女たちの、お笑いライブに向けてネタを作る毎日を描いた作品。 そこに、他の芸人や、昔からの友人、家族、マネージャー等が絡んできて、 青春小説となっているのですが、 「何事も上手く行き過ぎで、甘あまじゃない!」って思っちゃいました。 ネタを作り続けることの大変さとか、芸人という職業への憧れと葛藤とか、 コンビという特殊な職場の人間関係における悩みとか、 「こんなにあっさり乗り越えていけるもんじゃなーい!」と 叫びたくなってしまいました。 真剣に悩み、苦しみ、葛藤してこその青春だろうに! シャララで濃すぎるほどの青春を見せつけられたので、 余計にそう感じてしまったのだと思います。 あと、芸人さんが主人公の小説は、本作に限らず、 思いが強すぎて、フラットな気持ちで楽しめないのかもしれません(苦笑)。 それはそれで、残念なことです。
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