fc2ブログ
『コロヨシ!』
- 2017/02/26(Sun) -
三崎亜記 『コロヨシ!』(角川文庫)、読了。

高校生の運動部「掃除部」。
過去の戦争の歴史の経緯から、国家の統制下に置かれることとなったスポーツで、
高校3年間しか活動することを許されない。
そんな架空の国での架空のスポーツに青春を捧げる高校生たちの物語・・・・・。

という要約になると、清く正しく明るい高校生のスポーツものを想像しくなりますが、
この本では、むしろ、国家によるスポーツ統制の重苦しい面が強調されており、
スポーツ小説と謳うには、苦しいところがあるような気がしました。

三崎作品の、「なんだ、この設定は!?」という驚きは、
本作も十分に味わえるのですが、相変わらず私との相性は悪く、
設定に凝り過ぎて、読んでいて世界感が窮屈なんですよねぇ・・・・。

掃除部としてのスポーツ&青春の面をキラキラと描くこともできるだろうに、
そうではなく、国家、統制、制約、政治といった要素をこれでもかというほどに書き込んでいます。

架空の国の架空のスポーツの状態を描写することに一生懸命で、
そこで活動する人々の生活の息吹のようなものが感じられず、
私には合いませんでした。

設定を描くことに一生懸命になりすぎるというのは、
小説としては、本末転倒な気がします。


コロヨシ!! (角川文庫)コロヨシ!! (角川文庫)
三崎 亜記

角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-12-22
売り上げランキング : 728140

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  三崎亜記 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『失われた町』
- 2013/04/14(Sun) -
三崎亜記 『失われた町』(集英社文庫)、通読。

この作家さんの作品には、いつも、
「目の付けどころが面白いなぁ」と設定に驚かされ、興味を持つのですが、
作品というアウトプットになると、自分の思ってたものとズレるんですよね(苦笑)。

本作も、街の消失という、舞台設定は非常にワクワクするものなのに、
冒頭から、なんだか凄く分かりにくい・・・・。
変に小難しくしてしまっているような気がして、作品に入っていけないんです。

この設定を活かすなら、もっとエンタメ色の強い作品にして欲しいなぁという
自分の嗜好と、著者の思いとが違っているので、仕方がないことなのですが。

登場人物たちの思考が重苦しいこと、
作品の世界観を形作る概念が、複数の要素を絡ませて複雑なこと、
そして、その概念に関わってくる一つ一つの言葉が難解なこと、
どれもが、エンタメ性から距離を作ってしまうんですよねー。

本作は、分量が多いこともあって、
半ば脱落するような飛ばし読みになってしまいました。

残念。


失われた町 (集英社文庫)失われた町 (集英社文庫)
三崎 亜記

集英社 2009-11-20
売り上げランキング : 171349

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  三崎亜記 | CM(0) | TB(1) | ▲ top
『バスジャック』
- 2011/06/27(Mon) -
三崎亜記 『バスジャック』(集英社文庫)、読了。

「バスジャック」というタイトルから、
乃南アサさんの『再生の朝』がイメージとして連想されて、
勝手に、真面目な小説だとばかり思い込んで読み始めてしまいました。

ところが、最初の短編が、二階扉の話・・・・・・。

「あぁ、そうか、『となり町戦争』の作者か」と、やっと気づきました。

シリアスモードを求める頭で読んでしまったせいか、
ずーっと作品と気持ちがずれているような感覚が付きまとって、
きちんと楽しむことができませんでした。

ただ、『となり町戦争』でも感じたことなのですが、
設定が非常に斬新なので、冒頭でグイグイ引き込まれる割には、
最後の展開があっさりしていて、やっぱり食い足りない印象を受けてしまいます。


バスジャック (集英社文庫)バスジャック (集英社文庫)
三崎 亜記

集英社 2008-11-20
売り上げランキング : 263605

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ
この記事のURL |  三崎亜記 | CM(0) | TB(1) | ▲ top
『となり町戦争』
- 2009/12/30(Wed) -
三崎亜記 『となり町戦争』(集英社文庫)、読了。

突然、町役場がとなり町と戦争を始めた・・・・。

ファンタジーの世界で現実を皮肉る作品かと期待してました。
全然、物語の設定は違うのですが、『ガリバー旅行記』のような
風刺に富んだ作品なのかと。
でも、思いのほか真面目な内容で、少し重かったです。

設定は非常に興味深いものだったのに、
あまり真相に奥深さがなかったのも、話を淀んだ感じにさせていました。
ただ淡々と戦争が目につかないような形で行われているという。
せめて、戦死者が出る場面を描写してくれたら、
もうちょっとすっきりした気持ちになれたかと思います。

そして、こんな戦争に偵察要員としてかかわった主人公も
これまた淡々と業務をこなしていて、テンパリ感がないんですよね。
そして、どんどん内的な思考に落ちていくので、重くて暗いです。

となり町との戦争というシチュエーションと、主人公の重さ暗さに
バランスが取れていないように感じました。

せっかくの斬新な設定が、もったいなかったです。


となり町戦争 (集英社文庫)
となり町戦争 (集英社文庫)
おすすめ平均
starsレヴューというより、雑感です
stars現実の中に突如として戦争が組み込まれる
stars今後に期待?
starsとても面白い話が作れるはずの状況設定なのに・・・
stars長い

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ガリヴァ旅行記 (新潮文庫)
ガリヴァ旅行記 (新潮文庫)中野 好夫

おすすめ平均
starsガリ”ヴァ”旅行記
stars恐ろしいほどの人間に対する批判描写
stars人間嫌い
stars痛烈な風刺の物語
stars意外と読んだ人が少ないようですが

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  三崎亜記 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン |