『百鬼夜行 陰』
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- 2013/02/17(Sun) -
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京極夏彦 『百鬼夜行 陰』(講談社文庫)、読了。
京極堂シリーズのサイドストーリーという位置づけの作品らしいです。 本編で主要な役回りを演じるキャラクターを主人公にした短編なのですが、 『姑獲鳥の夏』しか読んでない私には、本編に思い入れようがなく・・・(苦笑)。 物の怪の仕業と思わせる話から、人間の精神世界の問題まで扱ってますが、 なんだか散漫な印象を受けてしまいました。 やっぱり、本編を知ってないと、深みが感じられないようです。 600ページもある分厚い本だった割には、 読んだ後に残るものが少なくて残念。
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『嗤う伊右衛門』
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- 2011/10/16(Sun) -
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京極夏彦 『嗤う伊右衛門』(角川文庫)、読了。
有名な四谷怪談をモチーフにした作品です。 かなり大きく手を入れて、新しい四谷怪談になっているようですね。 一つ勉強になったのは、「お岩さん」というのは元もとの名前で、 顔が崩れたことを指したニックネームでは無いということ。 怪談物は好んで読みたいジャンルではないため、自分の無知っぷりが激しいです(恥)。 さて、京極作品ですが、前に読んだときも感じたのですが、 過剰な修飾に慣れるまでに時間がかかってしまいました。 ただ、その過剰さを受け入れることが出来ると、人物造詣の深みがありますから、 それぞれの心の内がしっかりと掴みとることができ、 物語の展開の異様さにも、きちんと付いていくことができます。 この筆力は素晴らしいです。 また、ミステリー作品としての要素も色濃く出しており、 決して探偵役が登場するわけではないのですが、 それぞれが知っている事実を順に語らせていくことで、 物事の真相に辿り付ける仕組みになっています。 このあたりのどす黒いワクワク感もお見事。 映画化されていますが、 このグロさをどこまで画面に出したのだろうかと、気になるところです。 でも、怖いの嫌いなので、多分、見ないですけど・・・・。
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『姑獲鳥の夏』
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- 2010/08/15(Sun) -
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京極夏彦 『姑獲鳥の夏』(講談社文庫)、読了。
初の京極作品でございます。 おがさわら丸の船中で読書に耽ろうと思い、この大作を持っていきました。 京極作品というと、横溝正史のような、おどろおどろしいものと 勝手に思い込んでいて、今まで遠慮してきたのですが、 さほどホラー色は感じませんでした。 最初の、京極堂が巽に語った理屈尽しは、なかなか読み進めるのが大変でしたが、 京極堂の思考回路や世界との接し方が頭に入り、 これは、ホラーではなく、非常に科学的な思考の作品だとわかりました。 おかげで、事件発生後の展開がわかりやすくなりました。 事件の真相については、好みが分かれそうな気がしますが、 案外、この世の中で起きている事件というのは、 こういうものなのかもしれません。 時々、ミイラ化した遺体が民家で見つかって、 カルト的な言い訳をする家族が登場したりましすが、 それも、この作品と同じような土俵の上で起きている事象なのかなと思います。 今後、京極堂シリーズも、追いかけてみたいと思います。
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