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『百器徒然袋 風』
- 2022/12/09(Fri) -
京極夏彦 『百器徒然袋 風』(講談社NOVELS)、読了。

約10年ぶりぐらいの京極作品。
なんてったって、分厚いですからねー。
何冊かいただきものがあるのですが、積読のまま溜まっていく一方です。

先日、東京出張に持って行ったのですが、
なんと続きものの2冊目の方を持っていってしまい、読めず。
かさばるのに自分アホですねー。
しかも帰宅後に1冊目を探したら、持っていないという・・・・ブックオフで買わないと・・・・。

というわけで、京極作品を読む気にはなっていたので、
積読の中から別の本を。

本作も、シリーズ物の2冊目のようでしたが、どうやら探偵小説の中編集のようなので、
途中からでも行けるかな?と読んでみました。

榎木津薔薇十字探偵と、その下僕たちの物語ですが、
主人公は、下僕じゃないのに騒動に巻き込まれ続けている図面書きの本島君。
彼は凡人中の凡人で存在感のない男として描かれていますが、
これほど奇妙奇天烈な男たちに愛されているのは、それだけで変な人ですよ(苦笑)。

この本島君が、友人の近藤君と一緒に訪れた豪徳寺の参道で
たまたま出会った女性2人組の相談を受けることになり、
それを最終的に榎木津探偵事務所に持ち込むことで騒動が激化します。

そして、収録されている3つの事件は、別々のものかなと思っていたら、
黒幕は繋がっていて、連作集のような流れでした。
しかも、この黒幕に榎木津が狙われる元凶になった「伊豆の事件」というのは
どうやら長編作品として先行発表されているようですが、
そこもあんまり気にせず本作は楽しめました。

何より、コメディタッチで、この主人公の本島君が全ての登場人物の変な行動に
心の中でツッコんでいくので、それを軸に読んでいけば楽しめます。
小心者の凡人なので、あくまで「心の中で」のツッコミであり、
変人たちの暴走は一向に収まらず、好き放題に暴れてます。
凡人の本島君は心の中でツッコミながらも巻き込まれ被害は全く止まらず、哀れ哀れ。

そこに、中禅寺の博識が挿入され、なんとなく実のある話を読んだような気になりますが、
でも全体を通すとバカバカしいという。

ページ数の多い大作ですが、中身は軽いという、まぁそれはそれで面白かったです。




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『百鬼夜行 陰』
- 2013/02/17(Sun) -
京極夏彦 『百鬼夜行 陰』(講談社文庫)、読了。

京極堂シリーズのサイドストーリーという位置づけの作品らしいです。
本編で主要な役回りを演じるキャラクターを主人公にした短編なのですが、
『姑獲鳥の夏』しか読んでない私には、本編に思い入れようがなく・・・(苦笑)。

物の怪の仕業と思わせる話から、人間の精神世界の問題まで扱ってますが、
なんだか散漫な印象を受けてしまいました。
やっぱり、本編を知ってないと、深みが感じられないようです。

600ページもある分厚い本だった割には、
読んだ後に残るものが少なくて残念。


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『嗤う伊右衛門』
- 2011/10/16(Sun) -
京極夏彦 『嗤う伊右衛門』(角川文庫)、読了。

有名な四谷怪談をモチーフにした作品です。
かなり大きく手を入れて、新しい四谷怪談になっているようですね。

一つ勉強になったのは、「お岩さん」というのは元もとの名前で、
顔が崩れたことを指したニックネームでは無いということ。
怪談物は好んで読みたいジャンルではないため、自分の無知っぷりが激しいです(恥)。

さて、京極作品ですが、前に読んだときも感じたのですが、
過剰な修飾に慣れるまでに時間がかかってしまいました。

ただ、その過剰さを受け入れることが出来ると、人物造詣の深みがありますから、
それぞれの心の内がしっかりと掴みとることができ、
物語の展開の異様さにも、きちんと付いていくことができます。
この筆力は素晴らしいです。

また、ミステリー作品としての要素も色濃く出しており、
決して探偵役が登場するわけではないのですが、
それぞれが知っている事実を順に語らせていくことで、
物事の真相に辿り付ける仕組みになっています。
このあたりのどす黒いワクワク感もお見事。

映画化されていますが、
このグロさをどこまで画面に出したのだろうかと、気になるところです。
でも、怖いの嫌いなので、多分、見ないですけど・・・・。


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『姑獲鳥の夏』
- 2010/08/15(Sun) -
京極夏彦 『姑獲鳥の夏』(講談社文庫)、読了。

初の京極作品でございます。
おがさわら丸の船中で読書に耽ろうと思い、この大作を持っていきました。

京極作品というと、横溝正史のような、おどろおどろしいものと
勝手に思い込んでいて、今まで遠慮してきたのですが、
さほどホラー色は感じませんでした。

最初の、京極堂が巽に語った理屈尽しは、なかなか読み進めるのが大変でしたが、
京極堂の思考回路や世界との接し方が頭に入り、
これは、ホラーではなく、非常に科学的な思考の作品だとわかりました。
おかげで、事件発生後の展開がわかりやすくなりました。

事件の真相については、好みが分かれそうな気がしますが、
案外、この世の中で起きている事件というのは、
こういうものなのかもしれません。

時々、ミイラ化した遺体が民家で見つかって、
カルト的な言い訳をする家族が登場したりましすが、
それも、この作品と同じような土俵の上で起きている事象なのかなと思います。

今後、京極堂シリーズも、追いかけてみたいと思います。


文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)
文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)京極 夏彦 笠井 潔

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stars「姑獲鳥の夏」、タイトルからして良い
starsそういう作品なんだと思わないとダメですね。
stars日本人の贅沢かも
stars百鬼夜行ミステリ
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