『君が壊れてしまう前に』
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- 2015/11/03(Tue) -
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島田雅彦 『君が壊れてしまう前に』(ピュアフル文庫)、読了。
タイトルで買ってきましたが、当たりでした。 面白かった! 14歳、中学生、男子が、自分の日々を書いた1年間の日記という体裁です。 学校に行き、友人とバカをし、好きな子ができ、けんかし、 父親が家出し、家庭教師が来て、映画を撮って・・・・・。 淡々と日々が流れていきますが、どの毎日も興味深く読んでしまいました。 なんでだろ。 確かに、好きな子が難病にかかって手術したり、 父親が外に女を作って(と想像される)家出して数ヶ月も帰ってこなかったりと、 普通の中学生には起きない事件も起きてはいますが、 本人の日記は、至って飄々と書かれており、そういうことも起きうるかなぁ・・・・と思えてしまいます。 なのに、なぜか面白い。 島田作品のなせる技でしょうか。 主人公が、男子にも女子にも、心を開いて良いと思っている友人が1人いることが、 この物語の深い味になっているような気がします。 上手く表現できないですが。 こういう人間関係って、中学生のときにしか築けない気がします。 そして、全ての中学生が築けるわけではない、 というか、こういう友人がいる中学生の方が珍しいように思います。 羨ましい!
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『徒然草 in USA』
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- 2014/07/14(Mon) -
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島田雅彦 『徒然草 in USA』(新潮新書)、読了。
何冊か著者の作品を読みましたが、 私のチョイスが偏っているのか、的を外しているのか、 未だに島田雅彦というものが良く分かりません。 リーマンショックさなかに米国に滞在した著者の思想を書き留めたものです。 序盤は、理路整然とした展開に、ふむふむ、なるほど・・・・と読んでいたのですが、 途中から、なんだか陰謀論的なニュアンスが漂ってきて、 やや距離を置いてしまった感があります。 別に、そんな突飛なことを行っているわけではないのですが、 ちょっとした表現とかが・・・・ね・・・・。 で、あーだこーだ述べてきて、 最後に行き着くのが「グリーン・エコノミー」の提言であっては、 あんたもか・・・・・と思わざるを得ません。 現代社会の歪みを世界規模の視点で語ってきたのに、 なんで最後が「グリーン」なのでしょうか? そんなに革命的な要素がありますかねぇ? よっぽどシェール革命の方が、石油メジャーが牛耳る世界を変えるポテンシャルと インパクトの大きさを持っているように感じるのですが。 「里山ランド」では、日本が再浮上することは無理ですよ。
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『文学賞メッタ斬り!リターンズ』
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- 2013/12/23(Mon) -
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大森望、豊崎由美 『文学賞メッタ斬り!リターンズ』(PARCO出版)、読了。
企画自体は知っていたのですが、 文章として読むのは今回が初めてです。 いきなり島田雅彦を迎えてのトークショーから始まってしまったので、 そもそも大森&豊崎のメッタ斬り書評というものが分からないまま それを評価するくだりになってしまったのが残念。 (というか、これは本の順番を守らずに読む私が悪いのですが・・・) ようやくROUND2から書評そのものが始まり、 どんなもんかが、よーく分かりました。 通常の書評というのは、 評価する側とされる側の1対1の関係なのですが、 本作における書評は、そこに選考員の書評に対する評価も加わり、 この複雑なところが受けるのだろうなと分かりました。 というか、選考員への評価のくだりの方が面白い(笑)。 100円リーダーである私としては、 まだ読んでいない(100円では出回っていない)本もたくさんあり、 共感しつつ書評を楽しめる範囲は限られていたので、 これよりも古い版を探して楽しみたいと思います。 あ、W杯になぞらえた企画は、意味不明でした・・・・・。
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『優しいサヨクのための嬉遊曲』
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- 2012/11/27(Tue) -
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島田雅彦 『優しいサヨクのための嬉遊曲』(新潮文庫)、通読。
左翼学生を皮肉った作品。 まー、発表当時、どんな感じでサヨクに受け止められたのだろうかと、 心配になっちゃうような内容です。 ただ、同時代を生きていないと、 一緒に嗤うにしろ、批判するにしろ、あんまりのめり込めないのも事実。 深い意味までは、汲み取ることができませんでした。 著者に関しては、昭和天皇を扱った本を最初に読んでしまったせいで、 未だに、1人の文筆家としての像が結べないでいます。
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『彼岸先生』
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- 2012/04/02(Mon) -
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島田雅彦 『彼岸先生』(新潮文庫)、読了。
天皇家を扱った『おことば』が面白かったので、 どれどれ、本業の小説のほうはどんなものかな?と思って買ってみました。 が・・・・よく分からない世界観でした。 川向こうのマンションに住む小説家と親しくなり、 彼を毎日のように訪ねていく主人公、 小説家の不思議な人生哲学を、自称・弟子として学んでいきます。 しかし、やがて物語は、先生のNY時代に飛び、 破天荒な日々を日記形式で振り返ることに。 このあたりから付いていけなくなりました。 ま、描写がかなりエロに寄っていったせいもあるのですが(苦笑)。 そんな中で眼にとまった一文は、 日記を書くために何かことを起こそうという気にもなるだろう。 日記が私を書くのだ。 これって、BlogやSNSが隆盛の昨今では、 思い当たる人も多いのではないかと思います。 私の場合、Blogが本を読んでいるのかな(笑)
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『おことば』
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- 2011/09/29(Thu) -
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島田雅彦 『おことば』(新潮社)、読了。
100円だったので、なんとなしに買ってきたら、 思いのほか面白く、寝る時間を削って読んでしまいました。 昭和天皇、今上天皇を中心とする皇室の人々の「言葉」一つに 1ページずつ島田氏の解説が付くというもの。 あまり皇室について詳しくない身からすると、 一つ一つの皇族の言葉というのは、 読み飛ばしてしまいそうな平易な文章なのですが、 著者の解説により、その奥に仕舞い込まれた思い等がわかり、 とても興味深かったです。 昭和天皇は、口語の会話が最後まで不自然だったという記述に、 終戦までの間に置かれた立場の特殊性を改めて感じましたし、 また、今上天皇は、その昭和天皇を補うように皇室外交を担い、 さらには、美智子皇后の表現豊かな言葉や当意即妙のお答えに その人柄と知性が伝わってきます。 意外と、皇太子夫妻に対する評価が冷めているというところがあり、 最近また賑やかになってきた雅子様バッシングとも相俟って、 これからの皇室は、前途多難だなあ・・・・・・と感じてしまいました。 いや、もう、すでに難まみれか?
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