『魚の祭』
- 2016/09/02(Fri) -
柳美里 『魚の祭』(角川文庫)、読了。

柳美里作品は、重たいから読むのしんどいんだよなぁ・・・・・と思いつつ、
表紙のきれいなベラの絵に惹かれて買ってしまいました。

が、ベラは出てきませんでした。
魚も出てきませんでした。

四男を不慮の事故で亡くした一家の通夜の日を描いた戯曲と
女子高校生5人の放課後を描いた戯曲の2本が収録されています。

戯曲なので、会話で物語が進んでいくのですが、
リズムよく掛け合いをしていたかと思えば、
突然ギラリと刃のように光る悪意や狂気。
ぁ、人間って怖いし気持ち悪い・・・・と思ってしまいます。

歪んだ家族の形が露骨に語られるのも気持ち悪いですが、
ちょっとした言葉で意図的に傷つけあう「仲良し」女子高校生5人組も
場面が日常を描いているからこそ、気持ち悪さが際立ちます。

この気持ち悪さを、普通は「闇」と表現するのでしょうかね。
そういう抽象的な表現ではなく、私は「気持ち悪い」と感じてしまいました。

とにかく、柳美里作品だなと感じさせてくれる戯曲でした。


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『私語辞典』
- 2012/10/23(Tue) -
柳美里 『私語辞典』(角川文庫)、読了。

「あ」から順番に44の言葉をピックアップしたエッセイ。

エッセイの内容は、この作者らしい露悪ぶり。
分かってはいても、そのドぎつさに辟易することも。

そんなに露悪趣味ではないものは、
視点の置き方とか、そのつなぎ方とか、面白く感じました。

構成で引っかかったのは、
冒頭に書かれている言葉の解釈が「定義」になっていないこと。
その言葉が生み出す状況を描写しているものが多く、
「辞典」と銘打っている割には、「辞典」になっていないように感じました。


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『水辺のゆりかご』
- 2007/10/21(Sun) -
柳美里 『水辺のゆりかご』(角川書店)、読了。

「柳美里」がどのようにして形成されたのかを辿る自叙伝。

読み進めるたびに気持ちが沈殿していくのですが、
読み止めることができず一気読み。

大人社会・子供社会を冷静な目で見つめ、
時に非常にシニカルな物言いをする少年少女を主人公とする作品が好きで、
これまでにいくつかの作品を読み、楽しんできました。

しかし本作は、「楽しむ」という余裕を与えてはくれませんでした。

作家本人=主人公が真正面から読者に挑んでくるような
圧迫感を受け続けたような印象です。

いじめ、家庭内のいざこざ、家族のルーツの闇、
あまりにも困難な問題に、この主人公は立ち向かわざるを得ない状況に置かれ、
わずか3歳にして、自分が置かれた環境を悟ってしまっていたかのように思います。

「柳美里は早死にするのではないか」と解説で林真理子女史が危ぶんでいますが、
まさに、生まれた時から大人の目線を身につけさせられた少女は
二十歳になるまでにどれだけのエネルギーを使い、奪われたのか。
激烈な半生を見せつけられて、こちらのエネルギーも摩耗したような感覚に
とらわれました。
それほどパワーを持った作品でした。

水辺のゆりかご (角川文庫)
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『フルハウス』
- 2006/10/28(Sat) -
柳美里 『フルハウス』(文春文庫)、読了。

初めてこの方の作品に触れました。
訴訟問題等、ニュースになっている面の印象が強かったので、
これまで何となく遠ざけてしまっていたのですが、
本作は裏表紙に「家族の不在をコミカルに描いた」とあったので、
読んでみました。

ところが・・・
読後感は、「重い」「不気味」「しんどい」でした。

冷静な文章で綴られているので、
地に足が着いた世界が描かれているのですが、
突如、平穏な生活には違和感のある瞬間が登場してきます。
「きみに性的虐待はしていない」と不意に娘に言い訳する父親、
肩を掴んで話しかけてくるジョギングの男、
テレホンショッピングの商品を薦める電話を架けてくる不倫相手の妻・・・。
この異様な瞬間も、同じく冷静な文章で描かれていて、
こちらも読み進めてしまうのですが、
その場面を想像すると、なんともいえない不安な心持ちになります。
滑稽さが狂気を増大させているような。

凄い才能を持った作家さんだと実感しましたが、
今後、自分が彼女の作品を読んでいけるかは、正直なところわかりません。

フルハウス
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