『段取り力』
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- 2018/04/30(Mon) -
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斎藤孝 『段取り力』(ちくま文庫)、読了。
「段取り」という概念が大好きです。 仕事も勉強も、段取りが全てだと思っています。 実際、自分の段取り力には結構自信があります(笑)。 で、斎藤センセがどういう目線で「段取り」を説いているのか 興味があって読んでみました。 プロローグの最初の一行、 「段取り力とは社会を生き抜く力」とあり、 そうそう、その通り!と気持ちよく読書をスタート。 主婦業がテキパキこなせる人は、仕事もテキパキできると思うんですよ。 異性の扱いが上手いスマートな人も、仕事がテキパキできると思うんですよ。 (ここは少し、斎藤センセと意見が異なる部分ですが・・・・程度の差かな?) 結局、その分野が得意かどうかよりも、 どうやって結果を得るかということを考えて実行に移す能力のある人は、 どんな状況にも適応できると思います。 その思考力、実行力、適応力の総合力が、段取り力かなと考えています。 ただ、本作を読んで感じたのは、段取り力って、結局は子供の頃にどんな風に 親や先生や周囲の人に教えられ、躾けられ、伸ばされてきたのか次第であり、 大人になってから身に付くものではないような気がしました。 だから、著者が言う、段取り力の技化については、 そもそもの土台となる段取り力がある程度身についている人じゃないと 無理なんじゃないかなぁ・・・・・・と思ってしまいました。 私の家は商売をやっているので、子供の頃から手伝わされ、 いかに早く、安く、上手にモノゴトを仕上げるかということを叩き込まれました。 祖父には、通信文を折って封筒に入れるという単純作業で「もっと頭を使いなさい」と叱られ、 父には、料理をしながら洗い物を手際よく片付けるように仕込まれ、 母には、仕入れで良いものを安く買うコツを伝授され、 小学生のときに、何だかんだで段取りというものが身に付いた気がします。 始める前に手順を考える、やりながら上手く行っているか確認する、 上手く行っていないところはやりながら修正する、最後に出来栄えを見て改善点を考える、 今思うと、PDCAサイクルなんですけど、これが身に付いたおかげで 勉強も苦労することがなく、好きになれた気がします。 今では、同僚が何も考えずにいきなり行動に移しちゃう姿とか、 何かを途中で放棄して新たに興味が湧いたものに移っちゃう姿とかを見ると引いてしまいます(苦笑)。 自分は、PDCAサイクルじゃない形で何かに取り組むことが不安で仕方なく、 きちっと段取りを組まないと、気が気ではありません。 もう習い性です。 だから、大人になってから、段取り力って身につけることができるのかな?と ついつい疑問に思ってしまいます。 眠っている段取り力を表に出すとか、芽吹いている段取り力を伸ばすとかは 出来るかもしれませんが、段取りを意識できない人に段取り力を持たせるのは、無理かなと。 とりあえず、私に段取りを仕込んでくれた両親や祖父母に感謝!
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『質問力』
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- 2018/02/08(Thu) -
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斎藤孝 『質問力』(ちくま文庫)、読了。
相手から有意義な話を引き出すための質問力。 その役割や技術を解説した本です。 前半は、主に役割の話をしていますが、 中盤から、具体事例をもとに、技術面での解説に移っていくと 役に立つ内容が満載で勉強になりました。 特に、著名人へのインタビューや対談を取り上げて解説しているところは、 その応対のテクニックについても興味深かったですが、 短い抜粋においても対話の面白さが垣間見え、 できあがった会話とは、どんなものなのかが伝わってきました。 自分はまだまだ、間が怖かったりして 時間を埋めるための質問とか無駄にしてしまう方なので、 もっとパフォーマンスを高めないといけないなと思いました。 それには、会話の技術の積み上げと、会話に入る前の準備のようなものが 両方足りていないんだろうなと思います。 技術を知った後は、結局、場数なのかなぁ。
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『座右の諭吉』
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- 2017/09/22(Fri) -
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齋藤孝 『座右の諭吉』(光文社新書)、読了。
座右シリーズとでも言うものでしょうか。 ゲーテに続いて諭吉さん。 福沢諭吉のことって、意外と知らない気がします。 『学問のすゝめ』というタイトル、「天は人の上に人をつくらず」というフレーズ、 慶応大学、1万円札、そんなところじゃないでしょうか。 本作では、『福翁自伝』を中心に諭吉の言葉を題材に 諭吉の人生哲学を深堀りしていきます。 「喜怒哀楽に振り回されない」とか「非玉砕主義」だとか、 福沢の哲学に興味を感じて読み進めましたが、 途中からは、斎藤センセの言葉の方が面白くなってきました。 「一緒にやってなくてもやったかのように話を合わせられるコミュニケーション能力」 デキる人って、流行の話題にもきちんとついていきますよね。 それでいて、政治も押さえてるし、コツコツ勉強もしてるし。 例えば、話題のゲームの話、ゲーム自体を自分で体験しているのではなく、 そのゲームに関する情報を効率よく集めて、自分なりに解釈してるんだと思います。 だから話についていけるし、ゲームに費やす時間を勉強に向けられる。 そして、知識として集めた情報を知ったかぶりをするでもなく、 上手に会話の中に織り交ぜながら相手に気持ちよくしゃべらせるコミュニケーション能力。 こういう要領の良さ、手際の良さというのは、仕事にも勉強にも人生設計にも フィールドを超えて適用できる能力だと思います。 「大学生なら物凄い速度で回転している高度な情報の海をくぐり抜ける経験を積め」 最近の大学生や高校生と話していると、 「自分が生まれ育った町に役立てるよう、地元で就職したいです」みたいなことを 言う生徒さんが多いのですが、私としては、あまり賛成できない印象です。 本当に地元の役に立ちたいと思うなら、 都会で一流の人に出会って、自分の能力をしっかり高めてから地元に戻った方が よっぽど地元のために役立てると思います。 地元に残るという保守的な発想を、なんとか前向きな表現にしようと ごまかしているように思えて、残念な気持ちになります。 本当は、社会人経験も都会で身に付けた方が良いと思いますが、 せめて大学生時代は都会で過ごした方が得るものは多いと思います。 齋藤先生の人生観というか、 教育観、成長論に私は共感するところが多いのだと思います。
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『1分で大切なことを伝える技術』
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- 2016/12/16(Fri) -
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齋藤孝 『1分で大切なことを伝える技術』(PHP新書)、通読。
齋藤センセイの本ですが、 本作はイマイチでした。 齋藤センセイじゃなくても書けるかな・・・・・という内容で、 既読感もありました。 あまり頭に残りませんでした。
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『孤独のチカラ』
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- 2016/09/12(Mon) -
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齋藤孝 『孤独のチカラ』(新潮文庫)、読了。
齋藤センセの本ですが、 いつもの明快に小気味良く進めていく筆とは違って、 本作では、自分の内面についての告白が続きます。 大学入試に失敗して浪人してから大学で職を得るまでの10年間が、 著者にとっては暗黒の時代であったという。 境遇が不遇というのではなく、 自身の思考の結果、周囲と馴染むことを拒否し、 自ら孤独を求めていってしまった10年間。 その暗さや閉塞感に驚かされます。 今、テレビなどで見かける著者の爽やかさとの繋がりが見いだせないほど。 しかし、だんだんと読み進めていくと、 今の著者の歯切れのよいコメントや会話の切り替えしのバランス感覚などを構成しているのは この暗黒の時代に積み上げた膨大な知識の土台。 そして、自分の暗さや孤独を肯定し、受け入れる力強さ。 著者は、誰もがこのような孤独に向き合うと言いますが、 ここまでの孤独を、孤独として認め、受け入れられる人は そうそう居るものではないと思います。 こんな土台を持っているとわかってしまうと、 あの笑顔は、仮面のような気がして、少し怖いものさえ感じてしまいますが、 しかし、大人な空気も感じ取れます。 孤独を受け入れた著者には、 世界を飲み込むような凄みがあると思いました。
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