『原稿零枚日記』
- 2017/01/16(Mon) -
小川洋子 『原稿零枚日記』(集英社文庫)、読了。

不思議なタイトルだなぁ・・・・と思って買ってきたのですが、
タイトル以上に中身が不思議なお話でした。

女性作家が、原稿を書こうとするも書けない日々を
日記形式で綴っているのですが、
その毎日に起きる出来事がなんとも不思議。

苔料理専門店に迷い込んだり、
無関係の小学校の運動会に参加したり、
スーパー銭湯で子宮風呂に遭遇したり。

日記のように書かれていますが、
そこに出てくる世界は夢の中のように頼りなく歪んだ世界。
どこまでがこの作家の廻りで本当に起きていることで、
どこからが作家の妄想の世界なのか、分からなくなってきます。

全てが妄想の世界の話であり、
本当は、この作家さん自体が居ないのかも、
作家だと思い込んでいる人の日記なのかも・・・・と思えてしまいます。

なんだか、立っている世界がボロボロと崩れていくような恐ろしさ。

小川洋子、やっぱり怖いです。


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小川 洋子

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『科学の扉をノックする』
- 2016/05/24(Tue) -
小川洋子 『科学の扉をノックする』(集英社文庫)、読了。

著者の数学に対する熱意は
小説でも対談でも十分に堪能できるのですが、
本作ではさらに視野を広げて自然科学の専門家にお話を伺います。

小説家なのに、子供のころから自然科学に興味があったという著者。
文系/理系の枠組みに囚われない幅広な興味関心の持ち方は、
私自身もそうですし、こうやって「数学って面白い!」「地学って不思議!」という感動を
素直に表現できる姿勢に爽快さを感じます。

自然科学の専門家の先生が、
自分の分野について「こんなに面白い分野なんですよ!」と語ってくれる本にも
ワクワクする面白さがありますが、
こうやって専門家ではない人が、専門家の話を聞いて、
どんな風に感動したかをじっくり書いてくれると、とても共感できる楽しい読書になります。

小説家が書く「こんなに感動した!」という文章は、
そのワクワクの臨場感が伝わってきて、自分自身が感じたように思えてしまいます。

あ、自然科学って、単純に純粋に知的好奇心を刺激する分野なんだなということが
良く伝わってきました。

それと、

人間の力など到底及ばないスケールで地球は出来上がっているのだから、
多少人間が愚かな失敗を犯しても、取り返しがつくように思える

この発言には、非常に共感を覚えます。
地球への絶大なる信頼感と言いますか、人間の非力さを認める控え目さと言いますか。
地球環境に悪影響を与えないという心配りは当然必要ですが、
しかし、人間の影響力を過信するのも何だか違うように思います。
地球に住む1つの生物として、身の丈を自覚しながら生きたいものです。


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『妊娠カレンダー』
- 2014/02/07(Fri) -
小川洋子 『妊娠カレンダー』(文春文庫)、読了。

ちょっと体調を崩してしまい、午前中に病院に行った以外は
ずーっと寝ていました。

で、夜9時ごろに目が覚めて、ぼんやりした頭で読書をば。
そんなときに読む本ではないような気もしたのですが、手元にあったので(笑)。

ちょっと精神が不安定な感じの姉が妊娠。
旦那も何だか頼りない。妊娠の喜びをあまり表に出さない夫婦。
そんな2人と一緒に住んでいる妹の目線で見た妊娠の記録。

「食べること」「話すこと」「嗅ぐこと」「不快なこと」
そんなことの緻密な描写を通して描かれる妊娠。
生命というものに対して、何だか得体の知れない怖さを感じてしまう作品でした。

そう、小川作品って、根底に不気味な怖さが流れてるんですよねー。

併録されている「ドミトリイ」も、先生の日常を想像すると
やっぱり不気味なものを感じます。
それは、障害というものへの感想ではなく、障害を持った先生が持っている雰囲気への感想です。

給食室の話も、大鍋の中で茹でたジャガイモを踏み潰す長靴の足など
いままで考えたことがなかったのですが、確かにその姿を目撃してしまうと
給食が食べられなくなってしまうかも・・・なんて思ってしまいました。

日常生活の中にある不気味さには、一度気づいてしまうとドヨーンとした
怖さが背中に貼り付きますね。


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『まぶた』
- 2012/08/26(Sun) -
小川洋子 『まぶた』(新潮文庫)、読了。

ちょっと気味の悪いカバー絵。

物語の内容は、ストレートに怖いものを描いているのではないのですが、
そこはかとなく不穏な空気が漂ってきます。

人間の持つ不気味な部分・・・
それは、悪意とか、憎悪とかいうような具体的で攻撃的なものではなく、
誰もが持っていそうな抽象的な気味の悪さとでもいうのでしょうか、
肌がそわそわするような空気を感じさせる短編集です。

まだ、小川作品をたくさん読んだわけではないので、当っているか分かりませんが、
著者の特徴的な世界観が現れているのかな?と感じました。

ただ、私の得意分野ではなく、そこが残念。

それぞれの物語には、結末らしい結末がつかないものもあり、
余韻を味わう作品だと頭では分かっていても、
やはり物足りなさを感じてしまうんです。

私の想像力の無さ、もしくは想像力を楽しむスキルの無さが問題なのでしょうけれど。
単純明快に、起承転結のある話を好んでしまう身としては、難しい作品でした。


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『博士の愛した数式』
- 2011/03/30(Wed) -
小川洋子 『博士の愛した数式』(新潮文庫)、読了。

あまりに映画がヒットしたので、ちょっと距離を置いていたのですが、
これは、読んでおいてよかったです。

母子の愛情とか、博士が子供に見せる愛情とか、
博士の純粋さとか、息子の成長度合いとか、主人公の懐の深さとか・・・
いろんな要素が詰まっていて、好きな角度から楽しめる作品ですが、
私は、何よりも、数学を語る言葉の美しさに惚れ惚れとしました。

清水センセの本でもそうでしたが、
数学というのは、神様が仕組んだのではないかと思わずにはいられないような
摩訶不思議な規則性が突如現れたりします。
不規則な数字の羅列と思っていたら、一つの式で表現することができたり。

この作品の中に出てくる、様々な数字の神秘性が、
読んでいて、とてもワクワクさせてくれました。

しかも、「江夏投手の背番号28は完全数」という、
まさに江夏投手の業績についての本を読んだ直後だったので、その偶然にも驚きました。

全編を通して、温かな愛情を感じる作品ですが、
小説としての構成は、非常に緻密さを極めたものだと思います。

小川洋子、恐るべし!


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『ブラフマンの埋葬』
- 2008/12/27(Sat) -
小川洋子 『ブラフマンの埋葬』(講談社文庫)、読了。

タイトルでなんとなく買ってしまったのですが、
私には難しかったです。

場所も登場人物の名も生き物の正体も分らないまま進んでいく物語。

そして、唐突に訪れる終焉。

消化しきれませんでした。


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