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『猫怪々』
- 2019/07/16(Tue) -
加門七海 『猫怪々』(集英社文庫)、読了。

ホラー作家による愛猫エッセイとうことで、
猫との生活を綴った本かな?ぐらいのお気楽な気持ちで買ってきたのですが、
かなり「怪」寄りの内容でした。

そもそも猫を飼い始める前の話からスタートするのですが、
なんだか凄く理屈っぽい。
どんな条件で街を選んだのか、実際に街を見て何を感じたのか
事細かに書いているのですが、ずいぶん堅苦しいなぁ・・・・・と思ってました。

それが、猫が家にやってきてから起きる出来事の数々で
なんでこんなに理屈っぽく始まったのか理解できました。
猫から黒い虫の影が飛び出したり、家の中に死にかけの犬が出てきたり、
これでもかというぐらい怪現象が起きまくります。
時々起きるのではなく、もう毎日、というか毎場面ごとに。

著者が体験した実話という態になっているので、
怪現象が現実に起きたということに説得力を持たせるために、
著者が「私は理知的にモノゴトを考えてますよ」というポーズが必要だったのかなと。

正直、これだけの怪現象が起きたら、
こんな猫と一緒に暮らすのは、私は嫌です(苦笑)。
まぁ、ここまで立て続けに変なことが起きると、
猫を捨てたりしたら祟りや呪いがかかるかも・・・という恐怖で、
捨てるに捨てられないかもしれませんが。

私は霊感とか全く感じないので、怖い目に遭ったり、不気味な思いをしたりは経験ないのですが
だからといって、霊の存在を否定するつもりはありません。
ただ、本作では、あまりに怪現象が立て続けに起こるので、
正直、途中からは作り物の小説だと思って読んでました。
現実の話だと思うと、霊媒師的な人まで呼んびつけての騒動ぶりに、ちょっと引いちゃいます。

というわけで、なんだか微妙な読書となってしまいました。
好きな人はドはまりする作品なんでしょうね。




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『うわさの人物』
- 2017/09/16(Sat) -
加門七海 『うわさの人物』(集英社文庫)、読了。

「お、うわさの神仏シリーズだ!」と思って買って来たら、
なんと現代社会の霊能者たちのインタビュー集でガックシ。

これまでのシリーズが、神社仏閣巡りだったので、
てっきり、安倍晴明とか空海とか歴史上の霊能者にまつわる神社仏閣でも
巡るのかと思ってました。
ま、ちゃんと裏表紙には「インタビュー集」って書いてあるので、
そこを見ずに買ってしまう私が悪いのですが。

まえがきで著者が、「霊能者は統合失調症と評価する人も多い」と書いていますが、
私も、同じような目で見ているところがあります。
常識的な価値観を共有できないというか。

その問題について、インタビューの中でどう答えを出すんだろうか、
そして、その答えに私は納得できるだろうかという興味で読みました。

9人の霊能者たちとのインタビューを通して、
著者の結論は、「霊能者と統合失調症患者は違う、会えばわかる!」という
ことに落ち着いたように感じました。理論的じゃないけど(苦笑)。
あとは「当たるか、当たらないか」。これも検証できそうに見えて実は難しい。
彼らの言葉が抽象的だったり断片的だったりするから。

私自身の結論は、常識では測れない世界の話を
自分の思うがままに口にして周囲と折り合いがつけられないのが統合失調症、
聞き手に伝えるというところを意識して言語化できるのが霊能者という定義になりました。
つまりは、霊能力の否定ですが(爆)。

思うまま、感じたままを口にするのではなく、
自分なりの解釈の世界観を構築でき、それを他人に伝えて理解してもらおうという
努力とコミュニケーションができる人が霊能者なんだろうなと思います。
そして、理解できちゃった人が信者となり、傾倒していく。
理解できない人は、インチキ霊媒師みたいな目を向ける。

私としては、たぶん、この先も理解できない世界のように思いますが、
信じる人がそれで何らかの安心感を得られるのであれば、
それで良いのではないでしょうか・・・・・という感じです。
大金を払わされるとか、身体を傷つけられるとかいう刑事事件に発展さえしなければ。
なんだか、冷たい結論ですけど。

インタービュー対象は、「私には霊能力があります!」というガンガンのスタンスで話す人より、
「私には能力はないです」と謙遜しながらも、霊能力と一般社会との関係性みたいなことを
冷静に話す人の方に興味を覚えました。
自分たちの存在を、第三者的な目で冷静に捉えていそうで。
でも、結局、彼らも、聞かれれば「実はこんな体験が・・・・」と語りだし、同類か。


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『うわさの神仏 其ノ三』
- 2013/10/27(Sun) -
加門七海 『うわさの神仏 其ノ三』(集英社文庫)、読了。

『其ノ一』『其ノ二』とは別の雑誌に掲載されたものということで、
1か所あたりの文章量がぐっと減ってしまっているのは物足りない。

しかし、東京の神仏関係および怪しの場所について書かれているので、
行ったことがある場所や、気になっていた場所が盛りだくさんで、
東京在住者には面白い本です。

わたくし、霊感なるものは全くないので、
普通にビビりなだけで、「見た」とか「感じた」という経験はありません。
ただ、ふと通り過ぎた場所にある神社仏閣に、
「せっかくだからお参りしておくか」という気持ちになることはしばしば。
むしろ、「気になったからにはお参りしておかないといけないかな」という
義務感のような、罰が当たると嫌だなというような気持ちがムクムクと湧き上がる時があります。
これって、もしや、そこに祭られている人の「気の強さ」みたいなものなのでしょうか?

ちょっと大きめの寺社に行くと、様々なものが祭られていて、
本殿以外にどこまで参拝していけばよいのか分からなくなります。
で、怖くて、結局ぜーんぶ拝むことになってしまったり・・・。

拝めばご利益が授かれるとは思うものの、拝まないと祟りがありそうな気もして、
きちんと参拝のルールや、その寺社の謂われは学んだ方が良いのだろうなぁと思いつつ、
いつも付け焼刃な知識で目をつぶってしまいます(苦笑)。


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加門 七海

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『うわさの神仏 其ノ二』
- 2013/01/16(Wed) -
加門七海 『うわさの神仏 其ノ二』(集英社文庫)、読了。

神仏ご訪問エッセイの第2弾です。

前回は、ハイテンションぶりが目に余ったのですが、
今回はすんなりと読み進められました。
むしろ、加門流神仏の楽しみ方みたいなものが伝わってきて、
うっすらホラー要素は怖いのですが、基本的にはワクワク楽しめました。

著者の神仏もしくは霊的なものに向き合うスタンスが
それぞれの訪問記の中で何度も述べられているので、
自分が納得できたという要素が強いのかと思いました。
基本はまじめ。神仏霊の聖域を荒らさない。
でも、不思議な現象に行き当たると、本質的に期待してしまうというところ。
そして、ところどころ、おっちょこちょいなところなど。
根のところは間違っていない人だと思えるので、安心して読めるのだと思います。

京都での平安京歩き倒しツアーや、沖縄での異宗教の探索ツアー、
台湾での宗教的背景を持つ占いめぐりツアーなど、興味深く読めました。

一方で、お祭り訪問記では、お祭りという舞台を通して神仏に向き合った
奈良の春日大社のお話は面白かったですが、
御柱祭は、祭りを楽しむ方がメインになってしまってて、やや不満。

様々な形はあれど、信仰というものの純粋さや
思いの強さに心打たれるところがありました。


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『祝山』
- 2012/08/24(Fri) -
加門七海 『祝山』(光文社文庫)、読了。

先日読んだ加門ホラーが不発だったので、
評判が良さそうな本作で再挑戦。

いやー、怖いわ!

物語は、遊び感覚で肝試し行った連中が祟りを受け、
主人公がそのドタバタに巻き込まれるという至ってシンプルなものですが、
主人公が感じる恐怖の感覚をじっとりと描いていて、先を読むのが怖いんです。

肝試しに行ったみんながどんどん加速度的におかしくなるのではなく、
時々おかしくなるというのが、またリアリティがあって怖い。
何が現実なのか、境目が分からなくなる感覚があります。

主人公の立場を使って、心霊現象や肝試しといったものへの
著者の強い思い、主張が冒頭から書き込まれていて、
最初は、随分と肩に力が入ってるなーと邪魔に感じたのですが、
その信念が、物語の展開とともに土台になっていく感じで、
次のページをめくる後押しになっていました。

あと、先日読んだ別の作品でも感じたのですが、
加門ホラーは「異臭」「悪臭」というのが印象に残ります。
他のホラー作品は分からないので比較は出来ませんが、
目に見えないけど臭いだけが漂ってくるというのは、
想像力を掻き立てる怖さがありますよね。

「著者の実体験を下敷きにした・・・」って裏表紙には書いてありますが、
どこまでは実体験なのでしょうか・・・。
こんな騒動に巻き込まれるなんて、御免だわー。


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『203号室』
- 2012/08/12(Sun) -
加門七海 『203号室』(光文社文庫)、読了。

夏真っ盛りですね~、というわけで、珍しくホラーに挑戦。

ホラー作品は読みなれていないので、
この作品が王道なのか異色なのかの位置づけも分からないまま読みましたが、
素人目には、あまり面白くありませんでした。

「何が原因で」もしくは「何が目的で」この怪奇現象たちが起きていたのか
最後までさっぱり分からず・・・・・。
論理的な背景説明が無い小説は、読みにくくって苦手です。

怖がってばかりいた主人公は、
終盤になって、この怪奇現象を起こしている「何か」について
彼女なりの結論を出しているのですが、なんでそんな発想になるのか理解できず。
あまりの急な頭の切り替えに、こちらはついていけませんでした。

怪奇現象も、確かに1つ1つは怖いのですが、
似たようなことの繰り返しで、何かが迫ってくるような圧迫感を
あまり感じることがありませんでした。

うーん、納涼の読書にはならず・・・残念です。


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『うわさの神仏』
- 2012/04/12(Thu) -
加門七海 『うわさの神仏』(集英社文庫)、読了。

タイトル買いしてきた一冊。

ホラー作家の加門七海さんが、
神社仏閣や、その周辺領域の話題で盛り上がりまくるエッセイ。

ちょっと、作者のテンションが高過ぎて、
最初は文章についていけなかったです。
文体が軽すぎる感じを変に狙っているような印象を受けるところも
鼻につきました。

でも、取り扱っているテーマが、
仏教や神道の本筋ではなく枝葉末節の面白話なので、
内容的には興味深かったです。

後半の神社仏閣街歩きレポは、
前半よりもテンション抑え目で読みやすくなったので、十分に楽しめました。

ただ、さすがホラー作家なだけあって、
単なる神社仏閣めぐりではなく、ある意味、祟りスポットめぐりです。
怖いのなんの!

ご丁寧に写真まで載せられていて、
夜、寝る前に読むのは、しんどかったです。
途中で、なんだか気になって、一度お経をあげてしまいました(苦笑)。

この方の本職のホラー作品
実は、買ったものの、ずーっと積読状態になってるんです。
こんなエッセイ読んでしまったら、怖くて、ますます手が付けられない・・・・。


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