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『召集令状』
- 2015/06/20(Sat) -
小松左京 『召集令状』(角川文庫)、読了。

久々の左京作品は、戦争を扱った短編を集めたもの。

SF作品にしては政治的なメッセージが濃いような印象も受けましたが、
しかし、やはりSFの大家、面白い作品がたくさんありました。

冒頭の「戦争はなかった」は、ある日突然、自分の周りから太平洋戦争の記録が消滅し、
周囲の人の認識からも消え、なかったことになってしまうという物語。
これを、異世界に飛んだとか、タイムトラベル的な要素を入れるとかという王道SFではなく、
「みんなが事実を封印しようとしているのではないか」というような発想に行くことが
新鮮で面白かったです。政治的な策略とかまで想像が膨らんでいくので。

「春の軍隊」は、日常生活に突如現れた戦争空間を描くことで、
戦争の異様な状況をデフォルメして示します。

「召集令状」は、真相が、かなり怖いSF作品でした。
目の前の不思議な事実の真相だけでなく、歴史的な大きな話にまで
一気に発展していくところが不気味でした。

「お召し」は前に一度読んでいるのですが、
内容を忘れていたこともあり(苦笑)、改めて面白く読めました。

これら良質な短編の間に挟まって、ショート・ショート風「コップ一杯の戦争」が
良いアクセントになっています。


召集令状 (角川文庫)召集令状 (角川文庫)
小松 左京

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『復活の日』
- 2011/03/15(Tue) -
小松左京 『復活の日』(角川文庫)、通読。

タイトルに惹かれて読み始めたのですが、
地震の余震が続く中で読むべき本ではありませんでした。

未知のウィルスが世界中に蔓延する話なので、テーマは異なるのですが、
それでも「街が壊滅」というような描写に行きあたると、
被災地の映像が思い起こされて、読み飛ばしたくなります。

1964年に書かれた作品ですが、
先日の新型インフルエンザ騒ぎを思うと、この想像力の的確さには恐れ入ります。
さすが日本が誇るSF作家です。

ただ、小説としての完成度については、私は不満を持ちました。
被災レポートのような描写が続き、
正直なところ、物語としての進展がほとんどありません。
最後の数十ページで、やっと主人公が動き出すような感じです。

その点では、『油断!』と同じような感想です。


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『見知らぬ明日』
- 2007/06/28(Thu) -
小松左京 『見知らぬ明日』(角川文庫)、読了。

小松左京の長編ものはやっぱり面白いなぁと実感させてくれる作品でした。
本作は、たまたま父の本棚で見つけ、
タイトルも知らない作品だったのですが、
「とりあえず」ということで黙って持ってきたものです。

『日本沈没』『日本アパッチ族』『物体O』等で、
SFとしてのストーリーの面白さだけではなく、
描写に社会科学的な批判の眼が含まれているため、
読んでいて気付かされることが多いです。

ノーマークだった本作ですが、十分楽しめました。


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『アダムの裔』
- 2007/02/07(Wed) -
小松左京 『アダムの裔』(新潮文庫)、読了。

文明批判の色合いが若干強すぎるかな・・・という印象を受けた短編集でした。
モチーフが直接的に描かれている作品が多いです。

さらに、ちょっとエログロ的要素もあり、ある意味、濃い一冊でした。

「お召し」が物語性に富んでいて、一番面白かったです。


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『夜が明けたら』
- 2006/06/13(Tue) -
小松左京 『夜が明けたら』(文春文庫)、再読。

一度読んだような気がしないでもないけれど・・・
と思って読み始めたら、やっぱり読んだことありました。

「あぁこの展開憶えてる」と思い出せたのは面白いと感じた作品。
読んで「ふ~ん」で終わった作品は、
読み終わっても全く記憶無しの状態でした。
無意識のうちに情報の取捨選択をしていた模様。
人間の脳って不思議。

「海の森」「ツウ・ペア」「真夜中の視聴者」が特に面白かったです。

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『鏡の中の世界』
- 2006/05/31(Wed) -
小松左京 『鏡の中の世界』(角川文庫)、読了。

小松左京のショート・ショート集。

「この人は大スペクタクルSF作家だ」という思い込みがあるせいか、
物足りなさを感じてしまいました。

単純に作品一つ一つをみれば、設定が面白いものも多く、
楽しめるべきものなのでしょうが、
何分「小松左京作品!」という期待感があるので、
ちょっと重みが足りないような印象を受けました。

思い込みに縛られているのは、
一読者として不幸なことだと思います。

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『闇の中の子供』
- 2006/03/28(Tue) -
小松左京 『闇の中の子供』(新潮文庫)、読了。

小松左京の作品は、社会をチクっと皮肉っているものが好きなので、
本作の中では「養子大作戦」が面白かったです。
表題作の「闇の中の子供」は、
「菅原伝授手習鑑」の作品を江戸時代の人々の視点と現代人の視点との
二重の解説が非常に興味深かったです。
「犬」も不気味さが漂っていて、面白く読めました。


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『空から堕ちてきた歴史』
- 2005/08/16(Tue) -
小松左京 『空から堕ちてきた歴史』(新潮文庫)、読了。

小松左京テイストかと思いきや、
思いのほかエンタメ性の薄い作品だった。
読み進むのに時間がかかった。

時折盛り込まれる宇宙人の地球人に対する皮肉は
面白かったが。

空から墜ちてきた歴史
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