『theTEAM』
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- 2017/02/24(Fri) -
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井上夢人 『the TEAM』(集英社文庫)、読了。
これまで井上作品は、ちょっと肌に合わないものが多かったのですが、 これは面白かったです! 次々と悩み事を解決していく霊媒師・能城あや子。 その実態は、科学的な捜査活動をするチームが見つけた真実を さも霊媒の結果のように伝える演出力にあった。 このチームの捜査のテクニックの数々と、 それを霊媒師がTVスタジオという舞台を使って 相談者に真相を突き付ける迫り方を面白く見せることで、 良質のエンターテイメント作品に仕上がってます。 能城あや子を含め、このチームの面々が、 全く霊感などを信じておらず、ビジネスに徹している姿勢も 良い味付けになっています。 そして、天敵の週刊誌記者が仕掛けてくる罠も 見事に回避するというか、反撃に打って出るアグレッシブさ。 最後は、ビジネス徹底で、さっと撤退するあたりもお見事。 楽しい読書となりました。 井上作品は、こういうポップなものが合うみたいです。
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『ダレカガナカニイル・・・』
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- 2012/05/13(Sun) -
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井上夢人 『ダレカガナカニイル・・・』(新潮文庫)、読了。
新興宗教団体の警備を担当することになった主人公は、 その初日に不審火に遭い、教祖が焼死する・・・・。 新興宗教の有り様を描いた導入部はリアリティがあって、 こんな環境下でいったい何が起こるのだろうかとワクワクしました。 ところが、主人公に降りかかった悩みの種というのが、 幽体離脱してきた教祖の意識が自分の中に飛び込んできたというもの。 リアリティ溢れる描写の中で、いきなり非科学的なことが起きるので、 正直、戸惑ってしまいました。 それまでの描写が素晴らしかったので、 「何もこんな展開にしなくても・・・」「せっかくのリアリティが台無しだわ・・・」と 感じてしまう始末。 事件の真相も、さほど、大したどんでん返しも無く、 本作で、著者は一体何を描きたかったのだろうか・・・・というところが 最後までもやもやしたまま残ってしまいました。 もっと現実に即した展開であれば、 いろいろ社会問題への鋭い視線を交えた慧眼の書となったのではないかと思うと、 なんだか勿体なく感じてしまいまいました。
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『プラスティック』
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- 2010/05/21(Fri) -
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井上夢人 『プラスティック』(講談社文庫)、読了。
Amazonでの評価は高いようですが、 私にはちょっと合いませんでした。 「真相を知りたい!」という思いにはさせてくれるのですが、 用意されている物語の枠組みが受け入れにくく、 距離を置きながらの読書となってしまいました。 1枚のフロッピーディスクには、事件の関係者たちが作成した文書が収められており、 順を追って読んでいくことで、コトの真相に辿り着くことができる・・・・・ なぜにみんなしてFDに文書を描きためていくんだ??? その必然性って何??? 出張に出た夫の帰りを待つ主婦が、 ワープロの練習にと日記をつけ始めるところから物語は始まります。 しかし、その日記の文章があまりに冗長で。 こんなにのんべんだらりとした日記はないだろう・・・って思ってしまいました。 だったら、無理に日記の体裁にせずに、登場人物たちの独白のシーンを 繋いでいくような構成で良かったんじゃないの? コトの真相のほうも、途中で読めてしまったこともあり、 一生懸命読み進めた割には、「面白かった!」という感想が残らない作品でした。
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『もつれっぱなし』
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- 2007/05/20(Sun) -
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井上夢人 『もつれっぱなし』(文春文庫)、読了。
amazonでは評価が高いようですが、 私はダメでした・・・。 証明を要求する側の言い分が、何とも不合理な気がして。 「よくこんなのに付き合ってられるなぁ」と 冷たい感想を持ってしまいました。
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