『人は死ぬから生きられる』
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- 2021/06/14(Mon) -
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茂木健一郎、南直哉 『人は死ぬから生きられる』(新潮新書)、通読。
モギケンさんの著作には、最近、不満げな感想しか書いていないのですが、 ブックオフで50円だったので買ってしまいました(爆)。 モギケン先生と禅僧との対談です。 生とは、死とは、目の前の世界とはいったい何なのか、 そういう哲学的な話が続きます。 モギケン先生の言う「クオリア」という概念について、南氏は世界を捉えるために有効な概念と 捉えているような感じでしたが、正直、私にはよく分かりませんでした。 「現象学と何か違うの?」てな感じです。 まぁ、私は、哲学分野は苦手なので、現象学についても学生向けの簡単な本を読んだ程度の 知識しかないので、正しく理解できてるとはとても思えませんが、 南氏が、さもモギケン先生の「クオリア」という概念を絶賛されているので、 「そういう考え方って、昔からあったように思うんですけど・・・・・」と、ちょっと引いちゃった感じです。 一方の南氏についてですが、私は、仏僧という存在に、結構無防備な信頼感を覚えてしまうたちなのですが、 本作も、そういう心理的スタンスで最初は臨んでいました。 しかし、途中、恐山を初めて訪れた際のエピソードに触れ、「あれっ?この僧侶、大丈夫?」と若干不安に。 極楽浜の草が結んであるのを見ていたずらだと思い、 南氏が「どこに行ってもバカなことをする人がいますね」と発言したところ、 お参りした人が思いを込めて結んだものだと教えられ、驚いたという話が紹介されていました。 僧侶の口から、短絡的に「バカな人がいる」というフレーズが出てきたことに、 私の僧侶像と全く繋がらず、ぼんやり感じていた信頼感が一気に減ってしまった感じです。 まあ、読者に分かりやすいエピソードとして提供するために 若干表現を盛ったのかもしれませんが、そんな演出を私は僧侶には求めていないので、 イマイチな読書となってしまいました。 対談の中で、「疑い続けなければいけない」という真理探究の姿勢について、 モギケン先生は「我々科学者は方法論的困難に直面する」と困惑を表現してますが、 私の感覚からすると、「えっ?常に疑問の目で見るというのは科学の基本姿勢なのでは?」と 驚いてしまいました。 私が大学で学んだ科学は社会科学の分野なので、「世の中で常識だと思われていることを当たり前と思うな」 「世論を鵜呑みにするな」「活字になっていることを正しいと思い込むな」というようなことを 4年間ずっと叩き込まれてきました。 自然科学は、確かに全てを疑っていたら基礎研究から応用研究に進めないというなことは あると思いますが、でも、自然科学も、あくまで「すべて仮説の上に成り立っている学問」ではないのでしょうか。 私は、自然科学はそういうものだと思い込んでいたので、自然科学者も当然、 「今まで全員が正しいと思っていたことがある日突然崩れるかもしれない」という不安の上に 自分の学究成果を積み上げていってるものだと思っていたのですが、 それは私の思い込みだったのですかね・・・・。 なんだか結構なモヤモヤが残る読書となってしまいました。 ![]() |
『東洋脳×西洋脳』
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- 2015/06/27(Sat) -
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茂木健一郎、加藤徹 『東洋脳×西洋脳』(中公新書ラクレ)、読了。
モギケン先生と漢文学者の加藤先生の対談です。 最初は、中国文化と日本文化の対比のようなところから始まるのですが、 段々と中国や日本を含む東洋の思想と、西洋の思想との対比に広がっていくところが 面白かったです。 そして、中国文化に影響を受け続けたかのように感じてしまう日本文化も、 結局は、受け入れられる部分だけと効率よく吸収して、 合わない部分は排除してしまうという日本の「柔軟性」により、 臣下の国とはまた違った影響受け方をしてきたのだなぁと再認識。 いすれにしても、はやり中国の文化がもつ影響力なり浸透力、破壊力というのは 凄まじいものだと思います。 そこは素直に受け止めないとね。 いつか、中国の歴史というものを、きちんと学んでみたいなと思います。
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『それでも脳はたくらむ』
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- 2012/05/10(Thu) -
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茂木健一郎 『それでも脳はたくらむ』(中公新書ラクレ)、読了。
雑誌のコラムをまとめたものだそうで・・・・・ 新書だから、もうちょっと体系だった話になっているかと期待した分、残念。 ま、気軽に読めるエッセイです。 テーマは脳科学的なものを扱ってますが、 そんなに踏み込んだ専門的な話はなく、 「モギケンだからこそ書ける」という内容には至ってないと思います。 内容で印象に残ったのは、 子供の遊びは、自分たちでルール作りをすることが大事なんだという主張。 確かに、これは、TVゲームには無い要素ですよね。 こういう視点の話が、もっと読みたかったです。
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『欲望する脳』
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- 2012/01/05(Thu) -
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茂木健一郎 『欲望する脳』(集英社新書)、読了。
ブックオフの割引券が期限切れ目前でピンチ!というときに あまり考えもせずに買った中の一冊(苦笑)。 今更感のあるモギケン本です。 社会ダーウィニズムとか、利己的な遺伝子とか、 話題に上る言葉は、興味関心の強いものがいろいろあったのですが、 それらを使って「欲望する脳」を語っている著者の文章に あまりピンと来るものがありませんでした・・・・・残念。 脳科学的なものへの私の関心が低いということなのかなぁ。 それとも、モギケン先生の論の進め方が好みじゃないのかなぁ。 これがモギケン本2冊目ですが、まだ、手触り感がないです。
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『ひらめき脳』
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- 2011/07/05(Tue) -
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茂木健一郎 『ひらめき脳』(新潮新書)、読了。
かのブームは去り、やや批判的な意見も出がちな今日この頃ですが、 やっとモギケンの著作を読みました。 対談が面白かったので。 本作が、最も売れた著作にあたるのでしょうか? とにかく、素人が読んでも楽しめるように工夫されているエンタメ性と 身近な例示で伝えていく説得力、 キャッチーなネーミングをできる才能など、 ある意味、プレゼンテーションの教材として良い本でした。 他の脳科学者からは批判も出ているようですが、 本作に関して言えば、科学を論理的に話すところまで至らない超入門書のような内容なので 書かれている内容にも特に違和感を持ちませんでした。 脳について考えてみようという気持ちを 多くの読者に持たせたことは、やはり、この人の功績ではないでしょうか。 ところで、アハ・ピクチャーの一つが、答えを見ても、なんとなくしか見えてこないのですが、 これはもう、一生、私には見えない絵なんでしょうかね・・・・。 ![]()
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