『さぶ』
| ||
- 2013/02/03(Sun) -
| ||
山本周五郎 『さぶ』(新潮文庫)、読了。
職人世界の「若さ」を感じられるかなぁと思って読み始めたのですが、 どうにも、主人公・栄二が大人びてて、イメージと違ってました。 さぶも、グズな性格を気にして、あまり表立った行動をしないですし・・・。 彼ら2人を取り巻く女性陣は、チャキチャキしているのですが、 いかんせん、この若さが足りない2人の男の目を通して描かれるので、 なんだか、その活き活きとした性格が減衰してしまってます。 純粋な男の生き様を描いた作品だと思いますが、 自分が予想していたものと違ってたので、 今回の読書では、自分の気持ちに合いませんでした。 ま、いつか読み直しかな。
![]() |
||
『樅ノ木は残った』
| ||||||
- 2012/03/22(Thu) -
| ||||||
山本周五郎 『樅ノ木は残った』(講談社)、読了。
丸っと1週間かかってしまいました。 しかし、この作品は凄い重みをもって、読む側に迫ってきます。 毎晩、本を手に取るのが楽しくて仕方ありませんでした、 仙台・伊達藩に起こった御家騒動の顛末を、 一家臣である原田甲斐の視点で描いていきます。 導入部、誰が黒幕なのか分からない状態で事態が進行していきますが、 サスペンスものかと思うほどのドキドキ感を覚えました。 やがて、各人物の関係性が分かってくるのですが、 お家のために、悪だくみグループの中に潜入する作戦をとった甲斐。 当然、もともと周囲にいた家臣団たちと距離ができ、やがて絶交になってしまう者も。 このあたりの悲哀が、甲斐が飄々としている分、一層強く漂ってきます。 そして、江戸では上品過ぎるほどに振舞う甲斐は、 地元に戻ると山にこもり、獣を追いかけ回す狩人の一面も持っています。 山でしか本音が出てこないというところにも、彼の内面の閉塞感を感じてしまい、 非常に重苦しいものがあります。 ここまでの苦労を重ね、何とか状況改善に努めようとしながらも、 状況の悪化を防ぐのが精一杯という日々が続き、次第に追い詰められていく甲斐。 最後は、どんな結末になるのだろうかと大きく期待が膨らんでの、最後の十数ページ。 この展開は、想像していませんでした。 歴史好きの方には良く知られている事件なのかもしれませんが、 歴史という現実だからこそ生まれた、劇的なエンディングだったと思います。 山本周五郎の歴史長編、他にも挑戦してみたいですね~。
![]() |
||||||
『赤ひげ診療譚』
| ||
- 2012/02/14(Tue) -
| ||
山本周五郎 『赤ひげ診療譚』(新潮文庫)、読了。
タイトルは知っていたのですが、 内容については、全く知らない状態で読み始めました。 勝手に、人情話的なストーリーを想像していたので、 (「赤かぶ検事」のイメージかしら・・・苦笑) 赤ひげ先生が無骨な医者として描写されていて、ちょっと驚きました。 主人公は、長崎の遊学から戻り、御目見医師になるつもりが 小石川療養所に配されることとなった若手の医師です。 頭でっかちで、過剰な自信をもった主人公は、 当初は、小石川療養所での貧民を対象にした無償治療を鼻にもかけません。 が、自らの世間知らずを痛烈に感じさせられる事件を契機に、 次第に赤ひげ先生の人柄と診療方針に共感を覚えるようになり・・・・・・ と書くと、ありきたりな物語の紹介になってしまいますが、 小石川療養所に勤める面々の人物造詣が上手く、面白く読めました。 貧乏長屋における、下層の人々の助け合って生きる姿も、 しっかりと描かれていて興味深いです。 主人公は、トンガッていた割には、意外と素直に改心していくので、 そこは少しご都合が良いようにも感じましたが(苦笑)、 ま、毎日寝食を共にしていたら、そうなるのかもしれませんね。 もっとシリーズ化されているのかと思いきや、 小説のほうは、この一冊だけなんですね。意外。 映画化やTVドラマ化を何度もされているから、膨大なシリーズだと勘違いしてしまっていたようです。
![]() |
||
『寝ぼけ署長』
| ||||
- 2009/12/23(Wed) -
| ||||
山本周五郎 『寝ぼけ署長』(新潮文庫)、読了。
この作家さんの作品はお初です。 この作品から入るのは邪道のような気もしますが、 たまたま100円で見つけたので買ってみました。 というわけで、作家さんに強い思い入れも思い込みもない状態で読んだのですが、 あまり自分には刺さりませんでした。 探偵小説というには犯人探しのドキドキ感がいまいちですし、 署長のケリのつけ方が、今の感覚からすると ちょっとアンバランスに感じてしまうからでしょうか。 ただ、たぶん、一番の原因は、 自分が時代背景をよくつかめなかったからでしょう。 戦後、少し経ったあたりだと思うのですが、 地方都市の様子や、物価の感覚なんかの実感が湧きませんでした。 自分の知識不足のせいかな。
![]() |
||||
| メイン |
|