『精神と物質』
- 2015/05/03(Sun) -
立花隆、利根川進 『精神と物質』(文春文庫)、通読。

ノーベル賞受賞直後の利根川センセに、立花氏がインタビューをした内容をまとめた本。
単なる対談やインタビュー記録なのではなく、立花氏による生物学の解説が入っているので
何とか話についていけるようになっています。

ただ、やはり内容はかなり高等です。

そもそも生命を突き詰めていくと、遺伝子という物質に至ってしまうということが
理屈では何となく分かったつもりでも、イメージが追いつきません。
しかも、アミノ酸とか、たんぱく質とかで表現されてしまうと、
全くもって無機質なイメージが先行してしまい、それらと生命とが結びつきません。

あぁ、貧相な私の想像力・・・・・。

そんな状態でこのインタビューを読んで、ま、どこまで理解できたかは別にして、
面白いなと感じたのは、実験の手法論について。

仮説のひらめきのところが、科学者としてはゾクゾクする瞬間の1つなのでしょうが、
それを実証することができなければ、ただの空想に過ぎないというわけで、
どうやって実証するか、どんな実験を行えばよいかというところで頭を悩ますという
描写が興味深かったです。

その悩みが、技術革新によって解決することもあれば、
ふとしたアイデアで簡単に解決する糸口が見つかったりと様々なのですが、
結局、汎用性の高いアイデアというものは、非常にシンプルで本質的な部分に
由来しているような印象を持ちました。

真実は、シンプルで、美しい!というような感じです。

私自身、この先、遺伝子とかDNAとかいうジャンルに
どこまで興味を持てるかはアレですけど、
自然科学の研究姿勢というものを学ぶには、面白いジャンルだなと再認識しました。


精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)
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『東大生はバカになったか』
- 2012/10/21(Sun) -
立花隆 『東大生はバカになったか』(文春文庫)、読了。

キョーレツなタイトルに惹かれて買ってきました。
他人事のつもりで読み始めたら、「97年入学者から学力レベルが下がった」と書かれており、
まさにドンピシャ年代のワタクシ、他人事の読書ではなくなりました(苦笑)。

まず、大学受験において、受験科目が絞られたことによる
基礎知識の欠落の問題を嘆いていますが、これには賛同します。

先日の震災のあと、みんなが緊急地震速報の有用性を認識しましたが、
会社で同僚と話していて、そもそもの仕組みを理解していない人が多くて驚きました。
天気予報と同じように、「未来の予測」だと思っている人が少なからずいるんです。
だから、速報が来たのに揺れなかったり小さかったりすると、
「外れたね」という表現の言葉が飛び交います・・・(=_=)
地震のP波、S波の知識って、確か中学校1年生の理科だったと思うんですよ。

立花センセは、物理や生物を重要視しているようですが、
私は、自分の生活に直結しているという点で、地学と人体学を高校で
必修科目にするべきだと考えてます。
自分の通っていた高校では、1年生全員が地学必修だったのですが、
ものすごく恵まれた勉学環境に置かれていたのだと、本作で初めて認識しました。

あと、詰め込み教育についてですが、
私は丸暗記そのものは、あまり否定的ではありません。
知識の集積って、やはり何をするにも土台になるものだからです。
また、覚えるべきことを選別したり優先順位をつけたりして効率的に身に着けていく
プロセスを習得するのは、情報化の時代、一つのスキルとして有用だ思いいます。

ただ、知識をため込んで終わりになってしまっている状況が悪いのであって、
それをどうやって使っていくのかを学ぶ場がないことが問題なのだと思います。

私の中学校では、社会科の授業で、「自衛隊は合憲か、違憲か」というようなテーマで
ディベートをやったりしました。(今思うと、すごい題材ですが・・・・)
公民の制度の知識や、日本史・世界史など戦争という事象に関する知識を使って、
3回分ぐらいの授業時間を当てて討論をしたような記憶があります。
知識から自分の意見を組み立てて、しかもそれを意見の異なる相手に伝えて
納得とまではいかないまでも理解してもらうことの難しさを実感できる授業でした。

そんな中学校での授業体験があったので、高校の授業は聞く一方で・・・
授業の中で感動したり、興奮したりという機会はめっきり減ってしまいました。
でも、熱心な先生が多かったので、放課後に職員室で数学の雑談なんかを
してくれたり、なんでこの回答で7点しかくれないんですか!と直談判したり(苦笑)
それなりに面白い高校生活でもありました。

私は、自分の大学の同級生と話をしていて、経験は違えども、
やっぱり皆、勉強に対して何らかの面白さや取り組み甲斐を見つけて、
自分なりに楽しみながら、満足しながら受験を勝ち抜いてきたんだと感じることが多いです。
(もちろん、ただただ苦しいだけの、つまらない受験生生活だったと振り返る友人もいますが)

先輩方に比べれば、受験がテクニック化している面は否定できないですが、
でも、その時代に即した知的好奇心や知的興奮への渇望は持ってると思うんですよねー。

立花先生は、自身の講義を取った人のレポートが酷いと嘆いていますが、
東大生全員のレポートではないのですから、東大という組織の中で、
どういう層の人が立花先生の講義を受講したのかを分析する必要があると思います。
勝手なイメージですが、官僚、法曹、実業、研究どんな分野であっても
日本を引っ張っていくことを目指して勉強している真面目な人は、
あまり、この手の異色な講義は受講しないような気がします。
それは、立花さんの言う、実利に結びつかないものに手を伸ばさないという欠点でもあり、
人間に広がりを加えられないという点では、大きなマイナスでもあるのですが。

また、学生も効率よく単位を取ることを考えてますから、
優先順位の低い講義のレポートは手を抜きます。
「単位取れれば評価は何でも良いや、それよりもこっちの重要な試験の勉強を・・・」
となります。立花先生の講座がどのように学生から位置づけられていたかも
レポートの質という点で、重大な因子になってくると思います。

「大学生活はモラトリアムだ~♪」と軽~く考えているような層の東大生が受講し、
なおかつ、「とりあえずレポート出しとけ~、受かったらラッキー」てな調子なら、
お粗末レポートがてんこ盛りでも、そんなに違和感を感じません。
その辺、当時の東大生の方々(というか、同級生クラスか・笑)に聞いてみたいです。


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『青春漂流』
- 2012/03/10(Sat) -
立花隆 『青春漂流』(講談社文庫)、読了。

人とは違う人生を選んだ若者11人へのインタビュー。

彼らが、その独特な人生を選ぶ切っ掛けとなった青春時代の出来事を中心に
インタビューをしていくのですが、
基の単行本は1985年発行ということで、まさにバブル真っ只中。
彼らが語る人生の端々に、バブルの香りが感じられます。

アルバイトでお金を貯めて、就職口の宛てももないのに海外へまず行ってしまう。
あるいは、全く人生設計など無いままに就いた仕事の世界にのめりこみ、頂点を目指す。
バブル期で日本全体がイケイケだったエネルギーを、
自分の活動のエネルギーにしているようで、
そのバイタリティに憧れるとともに、バックグラウンドが羨ましくもあります。

そして、著者による人選も、バブルの香り。
ソムリエやナイフ職人、家具塗師、猿まわし、果ては鷹匠。
それぞれに苦しく貧しい時代を経験しての今の地位に至っているわけであり、
彼らの人生のそのものは深く重みのあるもとの感じ入りました。

しかし、もし、今このようなインタビュー企画があったら、
そこに並ぶ人々は、IT関係、アニメ・漫画関係、はたまた震災復興関連でしょうか。
もしくは、派遣社員とか、日雇い労働者とかにスポットを当てるのでしょうか。

2012年の青春とは何だろうかと、考えてしまいました。


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『アポロ13号 奇跡の生還』
- 2009/04/18(Sat) -
ヘンリー・クーパーJr 『アポロ13号 奇跡の生還』(新潮社)、読了。

「起きた事実を記録する」ということに重点を置いているようで、
事故の大きさにも関わらず、淡々とした記録になっています。

なので、物語性を期待すると、拍子抜け。

もう少し、誰が何をどう感じ、考えたか・・・・
というところが補えれば、読んでいてハラハラドキドキするような
面白い作品になったように思います。


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star訳者と名乗るからにはちゃんと自分で訳して下さい立花先生!!
starメリハリが感じられない
star宇宙空間で試される、意志の強さ

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『ぼくはこんな本を読んできた』
- 2008/04/02(Wed) -
立花隆 『ぼくはこんな本を読んできた』(文春文庫)、読了。

立花隆氏の読書にまつわる記憶・記録たち。
あまりに膨大な読書量で、「参考にする」なんてレベルではありません。

好意的に言うと「その読書量に感嘆した」となりますし、
否定的に言うと「一般人にとっての現実の外」という感じです。

この本は誰に向けられて書かれたんでしょうね?

読書論そのものではないのですが、
秘書公募顛末記における面接・テスト結果の分析が
なかなかおもしろかったです。


ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論 (文春文庫)
ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論 (文春文庫)立花 隆

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starsなぜか語学学習術の記載に惹かれた
stars週刊文春に連載されていた書評は今でも参考になります
stars様々な魅力に満ちた著書
stars著者がどのように考えているかを少しでも・・・
stars乱読のすすめ

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『宇宙からの帰還』
- 2006/06/09(Fri) -
立花隆 『宇宙からの帰還』(中公文庫)、読了。

柳田邦男氏がトム・ウルフ『ザ・ライト・スタッフ』と本作を併せて紹介しており、
前者が非常に面白かったので、本作も読んでみました。

宇宙空間を体験した宇宙飛行士たちの内面の変化を
本人たちへのインタビューを基に描いた作品。

『ザ・ライト・スタッフ』を既に読んでいたことで、
米国の宇宙航空史がそれなりに頭に入っていたので、
社会背景や宇宙飛行士個々人のキャラクターについて
イメージが湧きやすかったです。

彼らのインタビューの中では、
特に「神」「宗教」というトピックスで語られる「人間」についての
考察が興味深かったです。
科学信奉者であり即物的であろうと想像していた宇宙飛行士は、
熱心な信仰者であったり、「創造」を肯定していたり、
宇宙空間で神の顔に手を触れたり・・・
神の存在を肯定しつつも科学的見地と折り合いをつけようと
既存の宗教ではなく、
自分なりのロジックで語っている人物の言葉に惹かれました。

特に、エド・ギプスンの、科学は「いかにして」しか説明できない、
「なぜ」という質問には答えられない、という趣旨の不可知論や、
ラッセル・シュワイカートの、地球と人間の関係は、
人間と人間の体内に住むバクテリアに過ぎない、という比喩による説明が
興味深かったです。

また一方で、帰還後に精神に異常を来たしてしまった宇宙飛行士の件では、
この宇宙飛行士個人が持つパーソナリティに由来する面が大きいとはいえ、
「燃え尽き症候群」的な精神疲労は誰もが感じうるであろう要素であり、
その転落していく様子には、恐ろしいものを感じました。

宇宙からの帰還
宇宙からの帰還立花 隆

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star宇宙から地球を見てみたくなる本です。
starこれを読んでスペースシャトルのパイロットに
star宇宙飛行士は宇宙体験を経てどう変わったか

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