『ドッペルゲンガー』
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- 2012/01/19(Thu) -
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『ドッペルゲンガー』
自分の生き写しに遭遇するというドッペルゲンガー現象を扱った作品。 ジャンル的にはホラー?サスペンス? 冒頭のドッペルゲンガーに出会うまでのシーンが怖過ぎ。 光と影、静寂と音、カメラワーク、様々なことを想像させる画面作りに、 血もお化けも出てこないのに、勝手に恐怖を感じ取ってしまいます。 カーテンがゆれてるだけでも、柱の陰に人が立ってるだけでも怖い・・・・。 で、ドッペルゲンガーに遭遇した主人公の恐怖を描くのかと思いきや、 意外とあっさり、ドッペルゲンガーと同居してます(苦笑)。 主人公と、その分身との会話の内容から、 どうやら、主人公の性格のうち、抑圧されていた部分が分身となって この世に誕生してしまったのではないかと推測されます。 陰と陽、内向性と外向性、自傷性と攻撃性、 相対する性格をもちながら、見た目は全く自分と同じという存在に苦しめられます。 ところが、後半になって事態は急展開。 それまで、研究室に引きこもって自分の研究に没頭していた主人公が、 装置の完成とともに、その分野の開発メーカーへ売り込みに乗り込みます。 ここから、欲望丸出しの行動に急変。 後先考えずに、目の前の目的を達成するためには、 誰かを殺すことさえためらわない。 いや、殺したかどうかを確認することさえせずに、ただ殴り倒し、目の前の障害を除けようとする。 みなが、短絡的行動の極致に至る。 そう、その急変が意味するものとは・・・・・・・。 ・・・・・・なのですが、早崎と君島が、ともに同じ方向性に急変してしまったので、 そこは納得いかず。 抑圧された早崎と、抑圧された君島が、同じ性向の人格になるとは思えないんですよねぇ。 そして、ラストシーンは、意外とありきたりなオチの付け方。 終盤が勿体ないなぁ・・・・。
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『十三人の刺客』
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- 2011/11/12(Sat) -
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『十三人の刺客』
140分かぁ、長いな・・・・・と、 見ようかどうしようか迷ったのですが、見ておいてよかったです。 これは、日本でしか作れないエンタメ大作だと思います。 徳川幕府が崩壊しつつある江戸末期、 将軍の弟という地位にかこつけ残虐な行為を楽しむ明石藩主、 こんな男が老中になると決まり、政治の混乱を未然に防ぐため、 筆頭老中の密命を受けて、明石藩主暗殺に立ち上がる男たち。 そして、明石藩の重臣として、藩主を守ろうとする男たち。 その両陣営が、参勤交代の道中の宿場町でぶつかり合う! 目が行くのは、作品の1/3もの時間を費やした戦闘シーンでしょう。 確かに、エンターテイメントとして、その見せ方はお見事でした。 しかし、しかし、私の印象に残ったのは、 天下の民のために暗殺実行に人生を賭す主人公と、 その同門であった明石藩重臣との、運命の受け入れ方。 主人公は、政治の筋の通し方として、暗殺という手段が最善の策とは思っておらず、 その同門は、己の藩主が藩主としての適正に欠けていることは身に染みて分かっている。 しかし、それぞれが置かれた立場を「運命」と受け入れて、 その役割を見事に果たすことに、全力を注ぐ。 この腹の括り方が、非常に日本人的な思考回路のように思い、 日本人ならではのエンタメ作品だと感じたのです。 そして、その「運命」を、それぞれの立場で受け入れた人々を演じる個々の役者に 強く惹かれるものがありました。 キャスティングもバッチリなら、役者の演技もお見事。 松方弘樹は流石の台詞回しと殺陣、伊原剛志はいくつもの刀を使い捨てて 流れるように切りかかるシーンがお見事。市村正則も敵役なのに清々しさを感じさせる腹の括りよう。 山田孝之は表情が素晴らしく、伊勢谷友介は男臭い作品での清涼剤となっています。 そして、何よりも、狂気の稲垣吾郎が素晴らしい! ただの狂気の発散では、バカ殿になってしまうのですが、 ある種の気品が漂う藩主を表現することで、狂気なりの知性が滲み出ているのです。 天下泰平で平和ボケの日本を、残酷な視線で、見事に言い当てているように思いました。 あれだけの戦闘に巻き込まれながら、決してジタバタせずに、 平静と戦闘の中を生き延び、むしろ決死の戦いを楽しんでいるような余裕さえ見せます。 これは、新たな殿様像ではないかと思います。 「人生で今日が一番楽しかった」との言葉は、印象に残りました。 そんなの最期を、「刺された痛み」ではなく、「死ぬことへの恐怖」で 表してみせたのも意表をついた演出でした。 はぁ、まだ書き足りない気がするけど、キリが無いので、このあたりで。 三池崇史監督の描く時代劇は、面白いですね!
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『アルゼンチンババア』
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- 2008/08/25(Mon) -
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『アルゼンチンババア』
あんまり期待せずに観始めたのですが、 思いの外面白かったです。 もしも、みつこの立場に居たら絶望的な状況なのですが、 ふわっとした笑いをまぶして、 なぜかほのぼの系の空気にしてしまえるところ、 この監督さんの感性が私に合うみたいです。 ストーリーは、たぶん、頭で理解しようとしてもダメなんでしょう。 普通なら、あり得ないシチュエーション。 でも、この街&人々の空気の中でなら、ありかな?なんて。 何といっても、キャストが良かったですね。 鈴木京香さん、役所広司さんは安定株として、 堀北真希さんも演技派ですね(若い女優さんってよく知らないもので・・・苦笑)。 岸部一徳さん、菅原大吉さんといった脇役の面々が配役バッチリ。 そして、森下愛子さん、実は大好きです。 あの、何歳だかよくわからないところなんて、素敵(笑)。 また、森下さんの息子役の小林祐吉さん、 新人さんとこのとでしたが、作品の空気に馴染んでました。注目株かも。 手塚理美さんは、最後まで気付かなかったです。ごめんなさい。 あと、この映画は画が良かったです。 アルゼンチン遺跡の上に広がる夏の青空が最高に美しい! その青と対比される緑の原っぱ。 また、黄色がかった画面も独特の雰囲気を醸し出していました。 久々に満足度の高い邦画に出会えました。
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『突入せよ!「あさま山荘」事件』
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- 2006/06/15(Thu) -
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『突入せよ!「あさま山荘」事件』(2006年6月12日放送)
W杯オーストラリア戦の裏番組として粛々と放送されていたものを 一応ビデオに録画しておきました。 「佐々淳行、格好良すぎだろぉ」と思わなくも無いけれど、 大事件対処の核をなす人間としては、 これぐらいの人物でないとやっていけないのでしょう。 脚本は、それなりに面白く作ろうと努力してたと思うのですが、 なにぶん怒鳴ったり叫んだりの台詞が多く、 キャストが若くないので聞き取り難かったのが残念。 また、ちょっと軽すぎかな? あと、誰が何の役をやっていて、その人のポジションがどの階層なのか、 端折りすぎてて理解できませんでした。 長野県警と警視庁の主導権の奪い合いを茶化すなら、 最初に役職関係をしっかりと視聴者に叩き込んでおかなければ伝わりません。 せめて登場シーンで、役名と肩書きは文字にして見せて欲しかったです。 突入後のシーンは、いまいちテンポに乗り切れず。 実際の事件でも、突入後は長丁場だったので、 クライマックスへ一気に突入!というわけにはいかないのでしょうが、 「緊張と緩和」のバランスが悪くてダレ気味。 カメラ・アングルも斬新さに欠けてました。 やっぱり、本で読むべきだったかなぁ。
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