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『誰のために愛するか』
- 2023/08/01(Tue) -
曽野綾子 『誰のために愛するか』(青春出版社)、読了。

近所のおばちゃんに先に続編の方をもらってたのですが、本編ももらえました(苦笑)。

夫婦の話が多く、各章の扉には夫の三浦朱門氏の言葉もついています。

いつもの著者らしく割り切った発想が子気味良いです。
相手に過度の期待をせず、自分も無理な背伸びをしない。
他人からどう見られているかは気にせず、他の夫婦と比較もしない。
ここまでできれば幸せな夫婦の暮らしが送れると思います。

結婚前に三浦朱門氏と食事をしているときに、魚を美味しそうに食べる著者を見て朱門氏が
「ニャンニャンと啼き出しそうに食べるなあ」という感想を漏らしたというシーンが描かれていて、
こういう風に相手の自然体の様子を和やかに、しかも自分独自の感覚で捉えてくれる配偶者だと
日々の暮らしの中で躊躇せずに自分自身を出せそうだなぁと感じました。

そして、著者が、小説家を辞めようかと切り出したときにも、朱門氏は
「本当に辛かったら、おやめよ。だけど、やめて本当にしあわせか?」と
柔らかく受け止めてあげる様子も、良い夫婦だなと感じました。

著者が世間に向けて鋭いことを、ときには放言だと批判されながらも
自由に思うことを表現できるのは、この旦那さんがいるからなんだろうなと。
逆に、旦那さんの表現者としての仕事にも、著者が何らかの良い影響を与えてるんだろうなと。

著者のエッセイは、今後も追いかけていきたいと思います。




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『生きる姿勢』
- 2022/07/23(Sat) -
曽野綾子 『生きる姿勢』(河出書房新社)、読了。

この方のサバサバした生き方、好きです。
ただ一方で、裕福な家庭に生まれ、才能があり、生活に余裕があるからこそ
こういう割り切った考え方を実行できるのか、
それとも、こういう割り切った考えを実行できるから成功したのか、
どちらなのかなー、なんて本題に関係ないことを思いながら読んでました。

どっちが、というものではなく、
余裕があるから割り切れるし、割り切れるから成功するという
良いループにはまっているということなのかなと思いますが、
自分の信念にそって一生懸命頑張り、現場に立ち、また組織のトップに立ち、
やれることはやってきたという清々しさも、エネルギーになるのかなと思いました。

悪意というものはもともと破壊的なものだが、善意と信じられる感情もまたやっかいな存在。
善意の背後には、自分がその人を理解しているという自負がある。

ありがた迷惑という言葉があるように、概念としては理解できてて、
具体的にそういうものを押し付けられたときに嫌だなと感じても、
それに対処するのはなかなか難しく、つい諦めて受け入れてしまいますよね。

私自身は、なるべく、ありがた迷惑なことはしないように気をつけてるつもりですが、
断る力までは持っていません。
でも、きっと著者は、断る力まで持ってそうだなー、うらやましいなー、と思ってしまします。
まぁ、断るストレスもあるので、断って捨てられるストレスと、どちらが大きいかを
判断することになると思うのですが、著者のような強い心で判断できるようになりたいなと。

強い心を形成している1つは信仰心だと思うのですが、
私は、仏教+神道+アニミズムの上に積みあがった日本人的な常識観みたいなものに、
ビジネスライクなコスパ重視の考え方をミックスしたものが拠り所なのかな。
なんだか相反するもののようでもありますが、なんとなく自分の中には共存できてるので
きちんと自分なりに考えて突き詰めていくプロセスが大事なのかなと思います。




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『続 誰のために愛するか』
- 2017/07/18(Tue) -
曽野綾子 『続 誰のために愛するか』(角川文庫)、読了。

近所のおばちゃんから頂いた本。
続編の方だけ(笑)。

夫婦間、親子間、兄弟間など
様々な人間関係の元での「愛」について語った本。

ただ、そこは、曽野綾子さんらしく、
情熱的に「愛」を語るのではなく、かなり冷淡です。

私は、この方の、冷淡な物言いが小気味良くて好きなのです。
今の時代なら炎上しかねない放言もありますが、
こうやって世の中を突き放す人の存在って、結構、大事な気がします。

本作では特に、女性に対して冷淡であり、
妻、嫁、母、どんな立場の女性に対しても冷淡です(笑)。

かといって、決してモノの考え方が男性的なのではなく、
女性らしい現実主義的な面が強いのかなと思います。

続編から読んでしまいましたが、
第一作にはどんな物言いが登場してたのでしょうかね。


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『人づきあい』
- 2016/10/12(Wed) -
曽野綾子 『人づきあい』(イースト・プレス)、読了。

自著からの名言集。

普段は、この手の抜粋文章は
話の流れというか、バックグラウンドが見えないので
あまり好きではないのですが、
本作にある数々の言葉は、心にしっかりと入ってきました。

基本、曽野綾子氏は冷静というか冷淡というか、
世の中を突き放したような見方をする人だと思っているのですが、
本作でも、善悪の捉え方とか、他人を信頼することの意味とか、
本来は道徳的だったり倫理的だったりを求められるジャンルの話を
バッサリぶった斬っているので、爽快感すら覚えます。

心の中で思ってはいても、
なかなか口に出しては言いにくい本音の意見って各自持っていると思いますが、
そこを思うままに口にしてくれるので
著者が代弁してくれたような気持になります。

各名言の出典が書かれているので、
それらの本も追いかけていきたいと思います。


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『人間にとって成熟とは何か』
- 2015/11/12(Thu) -
曽野綾子 『人間にとって成熟とは何か』(幻冬舎新書)、通読。

うーん、あんまり中身が頭に入ってきませんでした。

仕事が忙しい状況で読むには、合ってなかったのかもしれません。

タイトルほどの重みが感じられないというか、

ちょっと寄せ集め感のある本だと思ってしまいました。


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『人生の旅路』
- 2014/07/11(Fri) -
曽野綾子 『人生の旅路』(河出書房新書)、読了。

久々となった曽野センセの本。
雑誌の連載とかですかね?エッセイです。

イタリアに行ったり、ウイグルに行ったり、ウガンダに行ったり、イスラエルに行ったり、
まー、とにかく海外に行きまくり、しかも一般人があまり行かなそうなところに出没してます。

でも、「作家先生はあちこち行けていいわね」とか
「これらの支援活動は高額所得者の道楽かしら?」とならないのは、
結構、辛らつな目をお持ちだから。

支援対象の人々に向けて、
「国づくりのビジョンもないのに独立したって未来が見えない」とか
「そんな技術レベルでは民芸品として売り物になってない」とか
バッサリ斬っていて、支援対象者を過保護にちやほやするのとは違います。
このあたりの著者の姿勢を、私は、結構、信頼してます。
ま、言い過ぎな表現とか、決め付けに過ぎるのではないかと思うところもありますが・・・・・。

近所の口うるさいオバサン的な立ち位置で面白いかなと思います。
若干、無責任な放言な所も含めて(苦笑)。

本作は、誌面の都合と思いますが、1本1本が短いのが残念。
もうちょっとしっかりと主張を読みたいです。


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『虚構の家』
- 2011/04/30(Sat) -
曽野綾子 『虚構の家』(文春文庫)、読了。

曽野綾子の代表作に挑戦。
経済的には豊かな2つの家庭が、内側で次第に崩壊していく様子を描いた作品。

どちらの家庭も、母親目線で語られるシーンが多いのですが、
視野の狭さがあまりにも残念です。
ま、彼女たちが受けてきた教育の内容からすると、仕方がないんでしょうけれど。
そして、それと対をなすような父親の家族への無関心。
関心があるのは、自分の世間体に関わる部分だけ。

両親がこんな状態なら、当然、子供もおかしくなるわけで、
息子たちは、人間らしい感情を持たないガリ勉受験生と感受性が高すぎる潔癖症。
彼らに比べて、娘たちは人間らしく育っていて、そこだけが救いです。

この2つの家には、特別に問題が集中しているわけではなく、
どの家でも、何か一つ問題が起きると、連鎖的に問題が発生してくるのではないかと
思わせる怖さがあります。
例えば、ありきたりなストーリーとしては、両親の不仲から、子供たちが非行に走り、
家族が崩壊していくというような・・・。

登場してくる家族は、誰も、問題にぶつかったときの対処を反省することなく、
なし崩し的に進んで行ってしまったので、破滅へと向かっていきましたが、
果たして、自分の家族は、問題を先送りにしたり、反省をないがしろにしたりしていないか、
見つめなおす良い機会だと思いました。


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『夫婦の情景』
- 2009/02/24(Tue) -
曽野綾子 『夫婦の情景』(新潮文庫)、読了。

30組以上もの夫婦の日常を扱った短編集。

夫婦の危機もひょいと乗り越えてしまう作品を読んでいると
田辺聖子作品を読んでいるような軽やかな気分になりますが、
ところどころで悲しい展開を予感させる物語もあって、
「おぉぉ、曽野綾子作品だった・・・」と気づかせてくれます。

どの夫婦にも存在感というか現実感があって、
なかなかに面白い作品でした。




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『飼猫ボタ子の生活と意見』
- 2007/12/01(Sat) -
曽野綾子 『飼猫ボタ子の生活と意見』(河出文庫)、読了。

曽野綾子のネコシリーズ。

『ボクは猫よ』
は面白く読んだのですが、
本作は、いまいち乗りきれず・・・。

猫になんだかんだ言わせることが
ちょっとくどいように感じました。

雌だったのが良くなかったのかな?






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『あとは野となれ』
- 2007/05/23(Wed) -
曽野綾子 『あとは野となれ』(朝日文庫)、読了。

宗教感を題材にした文章が多かったので、
ちょっと距離を置きながら読んでいたのですが、
この方らしい物言いが面白かったです。

物不足と闘っているマダガスカルの産院を訪ねたその足で
取材のためにカジノへ行き、
たまたま勝った配当金を産院へ寄付する・・・

両極端な世界の間を、一本の線でぐっとつなげてしまう行動や思考に、
清々しさと違和感とを同時に感じさせてくれる人です。




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