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『日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条』
- 2023/08/29(Tue) -
山本七平 『日本はなぜ敗れるのか 敗因21ヵ条』(角川ONEテーマ21)、読了。

戦争・憲法を考える夏・・・・シリーズで、積読の山から。

冒頭、昭和の半ばにもなって戦地から日本に帰ってきた横井さんや小野田さんの話から始まります。
彼らの言葉は、全て、「戦地の真実」として受け止められますが、
著者は、30年前の「記憶・思い出」は、今現在の自分自身の社会の中で置かれている「現実」に
大きな影響を受けているのではないか、30年前の記憶というものをストレートに話すことは難しく、
今現在の自分の価値観や感じていることがその記憶を修正してしまうのではないかという指摘に、
そうだよなー、と目からウロコ。

かつて、中島京子さんの『小さいおうち』を読んだ時に、戦時中の庶民の暮らしが
思いのほか穏やかで華やかさもあったことを感じて、驚いたことがあります。
戦争の語り部さんとかから話を聞くと、社会は混乱、お先真っ暗みたいな日々を描いてしまうので
そうか、空襲が行われた最後の半年は死と隣合わせの日々でも、
それ以前は過去から続いている日常の延長線だもんなぁ・・・・・と。

でも、そういう戦時中の楽しかった日々とか普通の日常とかの話って、
戦後生き残った人、特に何十年も経って、「もう戦時中のことを語れる人が少なくなってきた」と
言われるようになると、社会からの期待感が変に高まって
「戦争とはどんなに辛いことなのか」「当時の日本政府や軍部はどんなに悪だったのか」というような
側面が強調された話をするように、暗黙の了解で強要されるような感覚に陥るのではないかと思います。
そこから、「庶民は日本政府のひどい仕打ちを受けていた」とか、「実は私は負ける気がしていた」とか、
本当なのかなぁ?と思うような振り返りが生まれてくるんだろうなと思います。

本人の盛り癖とか、悪意とかではなく、過去の記憶に今の状況が影響を与えていくのは
生き物として仕方がないことだよなぁ、と思う反面、
割り引いて話を聞くとか、自分で裏を取るとか、そういうリテラシーを高める努力を
自分自身でしなきゃだめだよな、「それは嘘だ!」と相手を責め立てるだけでは意味ないよな
と思うようになりました。

前置きが長くなりましたが、本作は、昭和19年1月にフィリピンに派遣された技術員の小松真一氏が
現地でつけた日記の内容を、著者が解説している本です。
そのため、後からの記憶修正が比較的少ない記録だと思います。
もちろん、立場とか、経験とかで、歪んでしまったり、矮小化されたりしている面はあるかもしれませんが。

かなりガッツリ丁寧に小松氏の日記の文面を引用して紹介しているので、
正直、著者自身の戦争観とかをストレートに語る形式ではなく、
山本七平氏の癖のある思考・文章が結構好きな私としては、本作はベンダサン度が低くて(苦笑)
やや物足りない面もありましたが、ただ、著者自身、フィリピンの戦地に赴きそこで捕虜になっているので
著者の経験も語られていて、小松氏の見解と著者の見解と双方を読むことで
立体的に戦地の様子が見えてきた感じはしました。

しかし、本作でも、昭和19年のフィリピン戦線は、兵隊ばっかり船で送り込まれてくるけど
武器やその他の必要物資が足りなくて、結局、現地で何もできないという状況だったようで、
しかも後半は、その大量の兵隊を運ぶ船が爆撃されて大勢が兵隊として活動する前に
亡くなってしまうという、まさに『昭和16年夏の敗戦』でのシミュレーション通りになっていて、
なんで、この、若い精鋭たちが首相をはじめ内閣メンバーに対して正式に行った意見を
真正面から受け止めなかったのか・・・・と悔やまれます。




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『昭和東京ものがたり 1』
- 2019/06/27(Thu) -
山本七平 『昭和東京ものがたり 1』(日経ビジネス人文庫)、読了。

主に著者の15歳ぐらいまでの東京の様子が描かれています。

家庭は中の上ぐらいの感じでしょうか。
平穏で安定した毎日があり、謹厳な父が居て、優しくも躾はしっかりした母が居て、
近所の友と日々遊び、夏は千葉に避暑に行き・・・・。

大正末期から昭和20年までって、
日本史の教科書だと、第一次世界大戦と第二次世界大戦の話ばかりで、
正直、庶民の生活がどんな時代だったのか全然イメージが付きません。

中島京子さんの『小さいおうち』を読んだ時に感じた
「昭和初期って、こんな時代だったんだ!」という驚きを
本作でも改めて感じました。
こちらは男の子目線。

中の上のおうちですから、男の子でも結構お上品な感じで
その分、たぶん目線も大人な感じが出ていて、
当時の東京の描写が興味深かったです。

そして、山本七平さんの文章が読みやすいです。
短い文章を重ねていくリズム感。
自分がこういう文章を書けないので、憧れます。

そしてご両親は和歌山県新宮市の出身とのこと。
私の住む三重県のお隣なので、親近感がわきます。

終盤、避暑に訪れた千葉県の漁村の様子が結構なページ数で描かれており、
東京のおぼっちゃんが見た千葉の漁村の生活も、これまた興味深かったです。
もし、当時、新宮に行ったことがあるなら、その話も読んでみたいなと思いました。




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『「常識」の非常識』
- 2011/09/23(Fri) -
山本七平 『「常識」の非常識』(文春文庫)、読了。

雑誌のコラムということで、時事評論として面白かったです。
前回に読んだもののような回りくどさも無く、
論旨がわかりやすかったです。

日本人の思考の浅さ、マスコミの独りよがりなどを
バッサバッサと斬っていきます。

このような言論人というのは、今の時代で言うと誰なんでしょうかね。
七平氏にしても、夏彦氏にしても、
鬼籍に入った人たちの本しか思い当たらないのは、残念です。


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『空気の研究』
- 2011/08/19(Fri) -
山本七平 『空気の研究』(文春文庫)、通読。

一時期、「KY」という表現が流行りましたが、
日本人が特殊なニュアンスを込めて使う「空気」という言葉と、
その空気に「水を差す」という行為について述べた本。

テーマ的には非常に興味があるものだったのですが、文章がとっても回りくどい。
「こんなに面倒くさい人だったかしら?」と思わずにはいられず、
結局、イライラする気持ちに耐えられず、流し読みで終えてしまいました。


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『帝王学』
- 2008/10/21(Tue) -
山本七平 『帝王学』(日経ビジネス人文庫)、読了。

飲み会の席の流れで、会社の先輩から借りてしまった一冊。
「読んでみます」と言いつつも、「ベンダサンだしなぁ~」という心持も。
本田勝一や浅見定雄を読んでしまっているので、
どーも疑念が拭えません。

というわけで、『貞観政要』については
中国の歴史物語を読んでいるようで面白かったのですが、
なんとなく「翻訳・解釈それで合ってるの?」と突っ込んでしまいがちな一冊でした。


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