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『新・堕落論』
- 2023/11/18(Sat) -
石原慎太郎 『新・堕落論』(新潮新書)、通読。

なんとなく買ってきたまま積読になっていた本。
なんとなく手に取ってみたのですが、イマイチ刺さってこなかったです。

石原氏は大学の先輩なので、特に都知事などの目立つ政治活動をされていた際は
普通の人よりも注目していたつもりですし、その行動力の高さやメッセージ性の強さは
有能な政治家だったと思っています。
その政策や発言の全てに賛同できたわけではないですが、やること言うことが明確なので
賛成も反対もしやすいというところが、政治家としては重要な資質だと思います。
世論に迎合して右行ったり左行ったりするフニャフニャな政治家よりも、
多少世論が割れるような対立構造が白日の元に晒されちゃったとしても、
建設的な議論が生まれるなら歓迎すべきかと。

そういう思いは私にはあるのですが、本作は、東日本大震災に際しての著者の「天罰」発言から
始まっており、さすがに大批判を浴びたので、本作でも被災者への配慮が足りなかった旨の
お詫びはしていますが、しかし、本意の部分は撤回していません。

これは、東京都民が、福島県などに原発施設を押しつけて、その生成した電力という果実を
東京都民が貪って、都会の人間だけが経済的に成長していく・・・・というような
都市部と地方部の格差なり負担の質量双方の不平等みたいな部分を考え直す必要がある
というような指摘であれば、十分、共感を得られたと思っています。

しかし、「津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある」なんて言っちゃうから、
津波を実際にその身に被った人が、何かわが身の誤りを是正しなければいけないんだ、
要は自業自得で被災した、みたいに聞こえちゃうところが下手だったかなとい思います。
しかも、震災からわずか数日の時点で発言しちゃってますからね。

3カ月とか半年とか経過して、現地が一定の落ち着きを見せ、被害状況も把握され、
被害が大きくなった原因に目星がつけられた段階で、
なおかつ、口頭での発言ではなく、どこかの言論誌に寄稿するなどの落ち着いた行動なら
もうちょっと穏やかに伝わったんじゃないかと思うんですけどね。
映像でそこだけ切り取って報道されちゃうと、炎上して当たり前な発言かと。
切り取りをするな!という声もありますが、切り取りされるようなスタイルでの発言は
リスク回避する意識をもとうよ・・・と思うところもあります。

というわけで、冒頭の文章の内容で、「うーん、こういう風に発言で炎上すること多かったよな」と
思ってしまえる政治家だったことを思い出してしまい、本文の方は若干流し読みに
なってしまいました。

基本的には、日本人としてこうあるべき、日本社会としてこうあるべき、という
著者の思いが熱い言葉で書かれていて、そうだなと共感する部分も多いのですが、
やっぱり、冒頭の影響で、こういう言い方するのを嫌う人も居そうだなと
思えてしまうところもあり、距離を置きつつの読書となりました。

政策とかではなく、日本人観みたいな思想の部分は、最後は個人の価値観だから
議論したって対立する思想を持つ相手を論破できることはないし、
議論したから思想が変わって同意できるというケースも少ないように思います。
相手の思想が自分とは違っても、尊重するという姿勢を皆が持つしかないかと思います。
その点で、ちょっと主張が熱すぎるな・・・・と、本作では引いてしまったところがありました。




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『天才』
- 2017/02/10(Fri) -
石原慎太郎 『天才』(幻冬舎)、読了。

昨年のベストセラー。
徳ちゃんも紹介していたので気になってました。

そしたら、なんと親がハードカバーで買ってて、
ラッキ~♪と思って持ってきたものの、分厚いな・・・・ということでしばらく積読。
いつ読もうかなぁ?とペラペラ捲ってみたら、
字デカっ!行間広っ!ということで、すぐ読んでみました(笑)。

田中角栄氏が独白しているかのような文体。
そこに著者である石原氏の存在は消えています。

この本を通して感じたのは、
政治家・田中角栄の天才ぶりではなく、
作家・石原慎太郎の天才ぶり。

自民党総裁にのし上がるまでの間は、
ほとんど政策や政治エピソードには触れずに話を進め、
総裁になったとたんに外交の裏側のことを書き尽くす。
この緩急のつけ方、無駄の削ぎ落し方が、お見事です。

田中角栄の政策がどうだったか、
政治家としての手腕が日本にどんな影響を与えたかということよりも、
とにかく、田中角栄というのはどういう人物だったかを浮き彫りにし、
その人生哲学のようなものを描き出した作品だと思います。

いはやは、面白い読書でした。


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『石原家の人びと』
- 2012/07/28(Sat) -
石原良純 『石原家の人びと』(新潮文庫)、読了。

なんだか凄い本ですが、ドカ買いしてきた中に混じっていたようです(苦笑)。

石原慎太郎、石原裕次郎兄弟についての本のようであり、
慎太郎一家の4兄弟の話のようであり、
実は、著者本人の思い出話だったという・・・。

もう少し、石原慎太郎という人の哲学的な部分が垣間見えるかなと思ったのですが、
断片的なエピソードで終わってしまった感じでした。

長男・伸晃さん、相当な悪役を担わされてますが、
ずる賢いのは政治家に必要な要素ですよね。

金持ち一家の話なので、世間一般の生活とずれているところは多々ありますが、
個性的な面々のエピソードは面白かったです。


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『勝つ日本』
- 2011/08/05(Fri) -
石原慎太郎、田原総一朗 『勝つ日本』(文春文庫)、読了。

田原総一朗氏の思想は、あんまり知らないのですが、
石原慎太郎氏の国家論を知るには、手ごろな本だと感じました。

対談と謳っていますが、数ページずつ、それぞれが考えを述べる形式に編集してあり、
非常に読みやすいです。
その分、討論というほどには、白熱した意見の交換というものにはなっていないですが、
おかげで、こちらも冷静に読めるようになっています。

石原慎太郎という政治家は、好き嫌いがはっきり分かれると思いますが、
それは、この政治家の信念に筋が通っていて、ブレがないから。
そして、その信念を常にはっきりと口にするから。
だから支持する人は熱心だし、反対する人は露骨に嫌う。
でも、首都を背負う政治家としては、あるべき姿だと思います


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『法華経を生きる』
- 2007/08/12(Sun) -
石原慎太郎『法華経を生きる』(幻冬舎文庫)、読了。

石原慎太郎×法華経という組み合わせが奇妙で、つい買ってしまいました。

法華経の解説本というよりは、
法華経という教えを通して著者が何を考えたのかという
エッセイの要素が強い本でした。

霊友会の組織を紹介するのに陸軍の師団を例えに持ち出したりと、
仏様に遠慮無しで石原節炸裂でしたが、この方の味でしょう。

石原慎太郎氏の著作や、新聞などのコラムを読んでいつも感じるのは、
文章が上手いなぁ、読ませる文章をかくなぁということ。
主張がある人であっても、聞かせる言葉も持っている人というのは
なかなか居ないなぁと・・・。
特に政治家さんには居ないですねぇ・・・・・・。


法華経を生きる (幻冬舎文庫)
法華経を生きる (幻冬舎文庫)石原 慎太郎

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『亡国の徒に問う』
- 2007/04/08(Sun) -
石原慎太郎 『亡国の徒に問う』(文春文庫)、読了。

都知事選ですわなぁ~ということで、
積読状態にあった慎太郎さんの本を読んでみました。

この方の信義主張が自分に合うか合わないかは別として、
言うことがはっきりしてるから、
こっちも賛成・反対しやすいですよね。
ただし、周囲の反対の意を相応に汲む人なのか、独裁者なのかは知りませんが。

都知事選も、対立候補があれじゃあなぁ・・・と思って眺めていたら
やっぱり3選を決められたみたいで。

骨のある政治家って、居ないものですねぇ。

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