『パラダイス・ロスト』
- 2017/01/12(Thu) -
柳広司 『パラダイス・ロスト』(角川文庫)、読了。

D機関シリーズ第3弾ですが、
本作は、少し変化球のストーリーが多く、
私個人としては、あまり好みではありませんでした。

シリーズ物の宿命なのかもしれませんが、
スパイ活劇ばかり見せていても読者は飽きてくるという判断でしょうか。
それとも著者の方が飽きちゃうのかな。

最後に前後編で収録された
「暗号名ケルベロス」は、スパイものの王道のような、
スパイの主人公を中心に物語が展開していくので、面白く読めました。

やっぱり、スパイものは、スパイがあってナンボのもんでしょう!


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『ダブル・ジョーカー』
- 2016/08/04(Thu) -
柳広司 『ダブル・ジョーカー』(角川文庫)、読了。

D機関シリーズ第2弾。

表題作である冒頭の1篇を読み、
ジョーカー同士の競争を描いた作品なんだな!と思ってしまったのですが、
それは、その1篇のみでした。

ま、この1編で決着がついたということなんでしょうね。
ちょっと続編を読んでみたい気になりました。

が、そのあとに続く短編も、
スパイの世界を様々な角度から描いており、
飽きさせません。

第1作と比べると
衝撃度はゆるやかになりましたが、
本作も楽しませてもらいました。


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『ザビエルの首』
- 2016/01/07(Thu) -
柳広司 『ザビエルの首』(講談社文庫)、読了。

フランシスコ・ザビエルの年譜を逆に辿っていく形で
この偉人にまつわる謎を、タイムスリップした主人公が解き明かすというSFサスペンスです。
登場人物は本当に存在した人で、謎解きの対象となる事件自体は作り話という
理解で合っていますかね?

著者お得意の歴史ものなので期待したのですが
あまり物語りにはワクワクできませんでした。
キリスト教の布教活動という行為自体に
歴史の事象として、私が好ましい印象を持っていないからかもしれません。

その分、主人公の男が布教活動をしている登場人物たちに対して投げつける
厳しい言葉に多少スカッとするところがあったり(苦笑)。

でも、本作での宗教観は浅い感じなので
やっぱり物足りなさの方が強く感じちゃいますね。


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『キング&クイーン』
- 2013/10/20(Sun) -
柳広司 『キング&クイーン』(講談社文庫)、読了。

柳広司作品は、歴史のとある場面を切り出して
ミステリ仕立てにアレンジする作風だと思っていたので、
現在の世界の舞台にした護衛サスペンスと知り、意外に思いました。

しかし、読み進めていくと、物語の軸をなすのはチェスの歴史。
その歴代のチャンピオンたちの流れの中にいる現・チャンピオンの護衛ということで、
チェス文化が根付いている地域の人々にとっては、
れっきとした歴史の一部なのかもしれないと思い至りました。

私が小学生の頃、クラスの男の子たちを中心に将棋ブームが起こり、
私も皆の対局を観戦する輪に入れてもらってました。
で、家に帰り、父に将棋の手ほどきをしてもらい、
飛車角落ちの状態で何とか父との対戦が形になるくらいにはなりました。

そんな時、叔母の家の大掃除の手伝いに行ったときに、
チェス盤が出てきて、将棋に似ているゲームだと聞いて、もらってきました。
父も詳しいルールを知らなかったので、超・簡略化して遊んでみましたが、
正直、将棋ほど面白いとは思えませんでした。

将棋のように駒が成ったり、取った駒を再び使えたりという変化がないことが
将棋よりもつまらないもののように思えてしまった原因です。
ただ、後に何かの本で、「これは西欧と日本の戦争観・捕虜文化の違いによる」と読み、
比較文化論的な面では非常に興味深く感じた思い出があります。

とまぁ、本題から外れてしまって何ですが、
本作では、「今起きている護衛劇」「主人公のSP時代の話」「アンディのチェス戦歴」
この3つの物語が同時並行で語られていき、どれにもワクワクしました。
1つ1つの物語は、正直、本1冊にするには物足りないのですが、
3つを絡めていくことで、ワクワク感が醸成されていき、読む手を止められませんでした。

現在起きている事件の真相は、正直、風呂敷を広げ過ぎて内容は薄っぺらかったです。
真相究明を期待して読んでいた人は、ガッカリだったのではないでしょうか。
登場人物たちのキャラクターで言うと、バー「ダズン」の面々は活かせていませんでしたが、
SP仲間たちは魅力的でした。『ジョーカー・ゲーム』に通じる面白さを感じさせます。

チェス自体への私の興味は、結局、本作を通してもあまり盛り上がらなかったのですが、
実在するチェス王者たちの奇人ぶりには関心が向きました。
将棋や囲碁の世界の実力者たちは人格者が多いイメージがありますが、
チェスに限って、なぜ、こんな風に我が儘爆発な感じになってしまうのでしょうか。
これも、チェスや将棋が歴史の中でどのような地位でどのような役割を担っていたのかの
違いによるものなのでしょうかね。
将棋も囲碁も、武士のたしなみという側面により、人格者として振る舞うことが
運命づけれているように思いました。


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『ジョーカー・ゲーム』
- 2012/02/17(Fri) -
柳広司 『ジョーカー・ゲーム』(角川文庫)、読了。

これは、さすがヒットしているだけあって、面白かったです。

第二次世界大戦中に陸軍内に極秘に設立されたスパイ養成機関。
そこの訓練生や卒業生の活躍を軸に、
様々なスパイ活動を描いていきます。

まず、スパイ活動の内容が、非常に興味深いです。
どのような推論を組み立てていくのか、
どこでボロを出さないように注意するのか、
どんなはったりをかけていくのか、
一つ一つが、劇画的でありながらも、意外と説得力があります。

そして、このスパイたちの背景に、
敗戦に突き進んでいく日本陸軍という象徴的な失敗例の組織があり、
その対比が面白くもあり、また悲しくもあります。

スパイになるべき素質を持った人間が
あまりにたくさん集まりすぎているような気もしましたが、
ま、そこはシリーズ化するなら、必要なご都合主義でしょう(笑)。

続編も楽しみです。


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『トーキョー・プリズン』
- 2011/07/31(Sun) -
柳広司 『トーキョー・プリズン』(角川文庫)、読了。

戦後の巣鴨拘置所で起きた殺人事件の謎解きに
NZ人の私立探偵と拘置されているB級戦犯とがタッグを組んで取り掛かる・・・。
こんな風にまとめてしまうと、なんだか違う話のような感じになりますね(苦笑)。

B級戦犯自身、戦争当時の記憶を失っており、
また脱獄を繰り返すために独房に閉じ込められている始末。

そこに、占領者と非占領者の関係が最も先鋭的に表れる拘置所という環境、
米軍における人種差別構造、東洋と西洋の文化の相違など、
様々な要素が絡み合っており、要は、詰め込みすぎな感じ・・・。
結局、どれもが中途半端になってしまった印象を受けました。

ミステリーとして読むと、後半は、謎のほうから明るい場所に出てきてくれるので、
謎解きのカタルシスは、あんまりありません。

作品の冒頭で輝かしく描写されたキジマの観察力と推理力も、
要素としては後半も出てくるのですが、ビビッドな形で描かれることはなく、
なんだかパワーダウンな感じ。

ただ、戦後の東京と日本人の描き方としては、なかなか興味深い形式だと思いました。
ミステリーより文化論としての面白みがあるというのは、
『はじまりの島』と同じ感想ですね。

これからも、文句を言いつつも、この作家さんの本は読んでしまう気がします。
歴史好きとしては、新しい切り口で見せられるところに惹かれてしまいます。


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『百万のマルコ』
- 2010/11/10(Wed) -
柳広司 『百万のマルコ』(創元推理文庫)、読了。

牢屋につながれたマルコ・ポーロが、同房の囚人たちに
元の国で経験した不思議な話を、なぞなぞを出しながら語ってあげる。
そんな枠組みでの連作短編集。

謎解きの部分が、言葉尻を捉えるようなものが多くて、
ちょっとワンパターンだった気がします。
短編一つ一つの見せ方も、同じ展開でしたし。

『東方見聞録』自体を読んでみたくなりました。


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『はじまりの島』
- 2008/10/02(Thu) -
柳広司 『はじまりの島』(創元推理文庫)、読了。

お初の作家さんでしたが、面白かったです。
ダーウィンが種の起源を着想した船旅で連続殺人事件が起こっていた!?

孤島ものの本格ミステリーで、ちょっと軽めの文体ということで、
出だしは「あれっ?失敗したかな??」と思ったのですが、
キリスト教世界の人々 vs ダーウィンの言葉が面白くて、
ハマってしまいました。

そういう点ではミステリーとしてではなく、
社会科学的な要素に惹かれて読み進んでいった感じです。

動機も、まさに文明の衝突が引き起こした結果で、
なかなかにセンセーショナル。

解説を読むと、この手の作品を得意とする作家さんのようですので、
次も期待して読んでみようかな。


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