『美徳のよろめき』
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- 2015/07/07(Tue) -
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三島由紀夫 『美徳のよろめき』(新潮文庫)、読了。
タイトルは知っていたのですが、 どんな作品なのか良く分からないまま、ずーっと積読でした。 で、ようやく手に取ってみたら、不倫モノの娯楽小説でした。 もう少し社会派の内容なのかと思っていたので、 手強いかなと身構えていたのですが、読みやすい文章でした。 正直、惚れた腫れたの世界は、 あんまり小説のテーマとして好みのものではないので、 三島作品でなければ読まなかったと思いますが、 当時の日本流行語にまでなったというのですから、 衝撃を与える作品だったのでしょうね。
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『行動学入門』
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- 2014/11/06(Thu) -
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三島由紀夫 『行動学入門』(文春文庫)、通読。
古本屋の店頭でパラパラっとめくったときに 普通のエッセイっぽかったので買ってきたのですが、 なかなかに歯ごたえのある内容でした。 大きく3つの連載が収められており、 学生運動に対する思いを書いた「行動学入門」、 ウィットに富んだ内容の「おわりの美学」、 そして、陽明学について述べた「革命哲学としての陽明学」です。 どうやら、真ん中の連載の部分をパラパラっと読んでしまったようです(苦笑)。 学生運動に関しては、著者の思いが熱すぎて、 この時代を経験した人でないと、読み取るのが大変かなと感じてしまい、 流し読みで終わってしまいました。 「おわりの美学」は、皮肉のこもった文章で、面白おかしく読めました。 陽明学は、思想自体に詳しくなく、 また、さほど興味も持っていない分野だったので、 結局コレも流し読み・・・・・。 三島作品は、油断できません・・・・・。
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『宴のあと』
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- 2011/06/23(Thu) -
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三島由紀夫 『宴のあと』(新潮文庫)、読了。
「プライバシー裁判」で教科書にも載ってしまうような作品ですが、 そんな下世話な話を抜きにして、小説として面白かったです。 まず、何よりも文章が読みやすい! どうにも、私は、三島作品に対して心理的距離を感じているようで、 いつも作品を読むたびに「意外と読みやすかった」という変な印象を持ってしまうのですが、 本作でも右に同じくでした(苦笑)。 都知事選に打って出た、いわゆる「一昔前の偉人」が、 政治という世界の価値観を掴むことができずに、落選してしまいます。 そんな男の妻として選挙を戦い、料亭の女将として金銭的にも支援し、 選挙に敗れた後は、その敗戦処理をいかにも「政治的に」行う手腕を見せる主人公。 この対比が、非常に面白かったです。 そして、決して、政治の世界の理屈が分かっているわけではないのに、 女将としての肌感覚や、人間を見極める目を持っていることで、 いっぱしの政治感覚を本能的にもっているところが、興味深く感じられました。 特に、この女将の目を通して評価される「老人」や「男」というものの 冷静な分析は、非常に面白かったです。 やはり、一時代を築いただけあって、三島作品は面白いです。
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『潮騒』
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- 2006/10/26(Thu) -
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三島由紀夫『潮騒』(新潮文庫)、読了。
相当久しぶりに三島由紀夫作品を読んだのですが、 物語の中身云々の前に、 「こんなに読みやすい日本語を書ける人なんだ・・・」 ということに驚きました。 (大作家に向かって失礼な感想なのですが) 『金閣寺』『仮面の告白』などを読んだときの遠い記憶では 結構、苦労したような気がします。 ストーリーについては、 我が出身地・三重県の小島が舞台となれば、無条件に引き込まれずにはいられません。 それにしても、歌島の人々の純粋な生活は、 今の自分の生活とはあまりにもかけ離れたものでありながらも 「そんな生活もあるだろうな」と納得できてしまう描写力に感動。 また、観敵哨での「その火を飛び越して来い」のシーンに突き当たったとき、 「ウンナンのコントで時々出てくるシーンは『潮騒』から来てたのか!!」と 三島センセイに怒られそうな感想を抱いてしまいました。 あの二人なら小説より映画のほうでしょうけれども。
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