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『レター教室』
- 2018/10/06(Sat) -
三島由紀夫 『レター教室』(ちくま文庫)、読了。

「読みたい本リスト」に、ずーっとあった本。
ようやくブックオフで出会えたので購入。

レター教室という名前ですが、手紙の指南本ではなく、
5人の登場人物たちが書きまくる手紙を通して、いろんな物語が断片的に紡がれていきます。

いくつか手紙のやり取りがあって、そのエピソードの紹介はそれで終わるので、
次のエピソードに移った時に、「この前の手紙のやり取りが人間関係にどう影響してるのかな?」
というところを想像で補いながら読むのが面白かったです。

そして、手紙の文字に現れる表の建前と裏の本音、
それをまた別の人宛の手紙で吐露してしまったり、
人間の心の裏表が表現されていて、
「あぁ、他人とのコミュニケーションって難しいなぁ」と思ってしまいました。

登場人物たちは、かなりコメディタッチにデフォルメされているので
手紙の内容は極端な感情も書かれていますが、
形式的に送る手紙以外の内容のある手紙というのは
実はこんな感じで、エキセントリックなものが多いのかなと感じました。

三島由紀夫、やっぱり凄いわ。




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『美徳のよろめき』
- 2015/07/07(Tue) -
三島由紀夫 『美徳のよろめき』(新潮文庫)、読了。

タイトルは知っていたのですが、
どんな作品なのか良く分からないまま、ずーっと積読でした。

で、ようやく手に取ってみたら、不倫モノの娯楽小説でした。
もう少し社会派の内容なのかと思っていたので、
手強いかなと身構えていたのですが、読みやすい文章でした。

正直、惚れた腫れたの世界は、
あんまり小説のテーマとして好みのものではないので、
三島作品でなければ読まなかったと思いますが、
当時の日本流行語にまでなったというのですから、
衝撃を与える作品だったのでしょうね。


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『行動学入門』
- 2014/11/06(Thu) -
三島由紀夫 『行動学入門』(文春文庫)、通読。

古本屋の店頭でパラパラっとめくったときに
普通のエッセイっぽかったので買ってきたのですが、
なかなかに歯ごたえのある内容でした。

大きく3つの連載が収められており、
学生運動に対する思いを書いた「行動学入門」、
ウィットに富んだ内容の「おわりの美学」、
そして、陽明学について述べた「革命哲学としての陽明学」です。
どうやら、真ん中の連載の部分をパラパラっと読んでしまったようです(苦笑)。

学生運動に関しては、著者の思いが熱すぎて、
この時代を経験した人でないと、読み取るのが大変かなと感じてしまい、
流し読みで終わってしまいました。

「おわりの美学」は、皮肉のこもった文章で、面白おかしく読めました。

陽明学は、思想自体に詳しくなく、
また、さほど興味も持っていない分野だったので、
結局コレも流し読み・・・・・。

三島作品は、油断できません・・・・・。


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『宴のあと』
- 2011/06/23(Thu) -
三島由紀夫 『宴のあと』(新潮文庫)、読了。

「プライバシー裁判」で教科書にも載ってしまうような作品ですが、
そんな下世話な話を抜きにして、小説として面白かったです。

まず、何よりも文章が読みやすい!

どうにも、私は、三島作品に対して心理的距離を感じているようで、
いつも作品を読むたびに「意外と読みやすかった」という変な印象を持ってしまうのですが、
本作でも右に同じくでした(苦笑)。

都知事選に打って出た、いわゆる「一昔前の偉人」が、
政治という世界の価値観を掴むことができずに、落選してしまいます。

そんな男の妻として選挙を戦い、料亭の女将として金銭的にも支援し、
選挙に敗れた後は、その敗戦処理をいかにも「政治的に」行う手腕を見せる主人公。

この対比が、非常に面白かったです。

そして、決して、政治の世界の理屈が分かっているわけではないのに、
女将としての肌感覚や、人間を見極める目を持っていることで、
いっぱしの政治感覚を本能的にもっているところが、興味深く感じられました。

特に、この女将の目を通して評価される「老人」や「男」というものの
冷静な分析は、非常に面白かったです。

やはり、一時代を築いただけあって、三島作品は面白いです。


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『潮騒』
- 2006/10/26(Thu) -
三島由紀夫『潮騒』(新潮文庫)、読了。

相当久しぶりに三島由紀夫作品を読んだのですが、
物語の中身云々の前に、
「こんなに読みやすい日本語を書ける人なんだ・・・」
ということに驚きました。
(大作家に向かって失礼な感想なのですが)
『金閣寺』『仮面の告白』などを読んだときの遠い記憶では
結構、苦労したような気がします。

ストーリーについては、
我が出身地・三重県の小島が舞台となれば、無条件に引き込まれずにはいられません。
それにしても、歌島の人々の純粋な生活は、
今の自分の生活とはあまりにもかけ離れたものでありながらも
「そんな生活もあるだろうな」と納得できてしまう描写力に感動。

また、観敵哨での「その火を飛び越して来い」のシーンに突き当たったとき、
「ウンナンのコントで時々出てくるシーンは『潮騒』から来てたのか!!」と
三島センセイに怒られそうな感想を抱いてしまいました。
あの二人なら小説より映画のほうでしょうけれども。


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