『カササギたちの四季』
- 2017/01/28(Sat) -
道尾秀介 『カササギたちの四季』(光文社文庫)、読了。

道尾作品にしては、やけにカラッとした作品で、
「いつか、どーんと暗い話に落ちるのかな」と思って読み進めましたが、
最後までのほほんと明るい作品で、
菜美の身に起きた事件とかに期待しちゃった分、なんだか肩透かし。

道化役が、一見それらしいけど的外れな推理を披露し、
それを探偵役が覆していくという二段推理は作品として手が込んでいると思いますが、
探偵役が道化役の顔を潰さないように、わざと的外れな推理を当たっているかのように
見せてあげるという演出は過剰ではないかと思いました。
また、そこまでしなければいけない理由も、ないように思えました。

1個1個は、たいした罪のないお話なので、
気軽に読むには手ごろな本ですが、
道尾作品だと思うと、なんだか勿体ないなぁ・・・・と思ってしまいます。


カササギたちの四季 (光文社文庫)カササギたちの四季 (光文社文庫)
道尾 秀介

光文社 2014-02-13
売り上げランキング : 274210

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  道尾秀介 | CM(0) | TB(1) | ▲ top
『球体の蛇』
- 2016/01/04(Mon) -
道尾秀介 『球体の蛇』(角川文庫)、読了。

幼なじみの姉妹の姉が子供の頃に自殺した。
その真相を知る主人公の男は、姉に似た雰囲気を持つ女性に出会い、
その女性に会いに行くのではなく、覗きに行くために床下に潜る・・・・・。

江戸川乱歩か!という感じの設定ですが、
床下に潜るという行為も、あくまで物語の中の1つのパートに過ぎず、
主人公と姉妹をめぐる物語が、長い時間をかけて語られ、振り返られ、進んでいきます。

この姉のサヨの人物造形が何とも不気味で、
大人の行動ならまだしも、小学生、中学生の頃に、このような思考回路を持っているとなると
相当に歪んだ何かを感じてしまいます。

その妹のナオは、純真で明るい女の子なので、ますます対比が際立ってきます。
しかし、その純真さは、姉の影響があることが段々と分かってくるにつれて、
こちらも何か歪んだものを感じざるを得ません。

大人になって、ようやく、コトの真相らしきものに近づいては行くものの、
その解釈は読者に任されており、自分なりの読み方ができるようになっています。

いくつか考えられるストーリーがあるのですが、
いずれにしても切ない結論になってしまうのが、何とも言い難いです。

読ませてくれる一冊でした。


球体の蛇 (角川文庫)球体の蛇 (角川文庫)
道尾 秀介

角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-12-25
売り上げランキング : 196524

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  道尾秀介 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『ラットマン』
- 2015/04/16(Thu) -
道尾秀介 『ラットマン』(光文社文庫)、読了。

上手く楽しめませんでした。

どんでん返しに次ぐどんでん返しを楽しむ作品なんだとは分かっているものの、
こんなストーリーにする必然性がないのではないかという疑問が
ずーっと付いて回ってしまい、作品の世界に入っていけませんでした。

なんでバンドなんだろうか、
なんで子供時代の不幸な思い出があるんだろうか、
なんで父親は出て行ったんだろうか、
なんで死のうとするのだろうか、死を作ろうとするのだろうか・・・・・・・

いろんな疑問が、読み終わっても、頭の中に残ってしまっている感じです。

こういう作風の著者なんだと思って読むしかないのかもしれませんが。


ラットマン (光文社文庫)ラットマン (光文社文庫)
道尾 秀介

光文社 2010-07-08
売り上げランキング : 113716

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  道尾秀介 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『シャドウ』
- 2011/06/16(Thu) -
道尾秀介 『シャドウ』(創元推理文庫)、読了。

「ちょっと体がだるいなぁ・・・今日は早く寝よう」と夜10時に布団に入り、
「でも、さすがにすぐには寝付けないよなぁ」と、本作を手に取ったのが最後、
一気に読み通して、結局、寝たのは2時でした(苦笑)。

ところどころに違和感を感じさせる一文が入っていて、
「あ、今、何かトラップが仕掛けられたぞ」と思うと、
その謎を解きたくて、いてもたってもいられなくなり、結局一気読み。

何人かの登場人物の目を通して、
あくまで主観的に物事が描写されていきます。
なので、「あれ、この展開おかしくない?」「この反応おかしくない?」というのは
ある程度気づくことが出来ます。
例えば、お父さんの置かれた状況は、途中で気づけました。

が、
がっ!
最後のどんでん返しまでは、とてもじゃないけど、予想できませんでした。

いろんな人が「行動を思い立つ」という機会が
ある数日の間に集中しているのは、若干、都合が良過ぎるかな・・・という気もしますが、
全ては、一人の女性の死から始まっているということで、
ま、なんとか納得できるラインに収まっています。

物理学における「重力」や「作用・反作用」の観点から、
この展開はありうるのかしら?と思ったシーンが一つありましたが、
ま、そこには目を瞑りましょう。

それよりも、人間の主観というものが、どれだけ偏ったものなのか、
この作家さんのどの作品を読んでも、その観点に驚く始末です。
今回は、叙述トリックではなく、登場人物たちの主観の頼りなさという点で、
そこを強く認識しました。

人間とは、不思議な生き物です。


シャドウ (創元推理文庫)シャドウ (創元推理文庫)
道尾 秀介

東京創元社 2009-08-20
売り上げランキング : 10849

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  道尾秀介 | CM(0) | TB(1) | ▲ top
『片眼の猿』
- 2010/10/27(Wed) -
道尾秀介 『片眼の猿』(新潮文庫)、読了。

『向日葵の咲かない夏』のどす黒い印象が強かったので、
まず、軽めの文体に驚きました。

そして、発達した聴覚能力、遠視能力など、超能力的な描写と、
主人公の住むアパートの風変りな面々。
世界観がマンガみたい・・・。

殺人事件の謎解き自体も、大したからくりではなく、
本作の主題は、やはりレトリックによるミスリード。

なのに、解説に、「道尾秀介は人間を描いている」と書かれると、
「そんなに大した内容かなぁ?」と感じてしまいます。

劣等感や障害というものを取り上げてはいますが、
なんだか、ミスリードを誘うための手段にすぎないような・・・。

著者の仕掛けた罠を見抜こうと、一生懸命読んでしまうのですが、
読み終わっても特に残るものが無いような読後感でした。


片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫 み 40-2)
片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫 み 40-2)道尾 秀介

おすすめ平均
starsレトリック
stars欠けていること
stars向日葵よりもこちらのが好き
starsやはりいまいち・・・。
starsミステリーと教訓

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)道尾 秀介

おすすめ平均
stars普通に面白かった
starsミステリーと銘打たなければ……
stars映像化は不可能
stars時間をおいてからの再読感想。
starsミステリーではない

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  道尾秀介 | CM(2) | TB(1) | ▲ top
『向日葵の咲かない夏』
- 2009/12/05(Sat) -
道尾秀介 『向日葵の咲かない夏』(新潮文庫)、読了。

次の展開が気になって仕方がなく、一晩かけて一気読みしました。

かといって、楽しく読んだかというと、そうではなく、
なんとも「趣味の悪い」作品だと思います。

狂気を孕んだ人たちしか出てこなくて・・・。
最初はみんなそれを隠しているんだけれど、
ふとした切っ掛けで噴出して、否応もなくその狂気を読者に叩きつけてくるんです。

さらに、違和感がある設定が多々出てきます。
3歳児なのに言動が大人びている少女、
「生まれかわり」を簡単に信じる同級生、
予知能力を持つおばあさん、
これらの違和感の原因は、全て最後に解き明かされるのですが、
読んでいる途中に違和感を覚える作品は、あまり好きになれません。

叙述トリックは、違和感を与えないほど完ぺきにだまされることに
読んでいる側の快感があると思うのです。

まぁ、そんなテクニック的なことよりも、
本作では、主人公が作り上げている世界観の歪さに愕然とし、
結局どこまでが事実でどこからが虚構だったのかわからなくなってしまいました。

読後感は、非常にダークです。


向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
おすすめ平均
stars他人にはお薦めできない
stars過大評価
starsジェットコースター的な
starsにわかに旬な本。
stars年齢にあわない描写

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ
この記事のURL |  道尾秀介 | CM(4) | TB(12) | ▲ top
| メイン |