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『シャドウ』
- 2011/06/16(Thu) -
道尾秀介 『シャドウ』(創元推理文庫)、読了。

「ちょっと体がだるいなぁ・・・今日は早く寝よう」と夜10時に布団に入り、
「でも、さすがにすぐには寝付けないよなぁ」と、本作を手に取ったのが最後、
一気に読み通して、結局、寝たのは2時でした(苦笑)。

ところどころに違和感を感じさせる一文が入っていて、
「あ、今、何かトラップが仕掛けられたぞ」と思うと、
その謎を解きたくて、いてもたってもいられなくなり、結局一気読み。

何人かの登場人物の目を通して、
あくまで主観的に物事が描写されていきます。
なので、「あれ、この展開おかしくない?」「この反応おかしくない?」というのは
ある程度気づくことが出来ます。
例えば、お父さんの置かれた状況は、途中で気づけました。

が、
がっ!
最後のどんでん返しまでは、とてもじゃないけど、予想できませんでした。

いろんな人が「行動を思い立つ」という機会が
ある数日の間に集中しているのは、若干、都合が良過ぎるかな・・・という気もしますが、
全ては、一人の女性の死から始まっているということで、
ま、なんとか納得できるラインに収まっています。

物理学における「重力」や「作用・反作用」の観点から、
この展開はありうるのかしら?と思ったシーンが一つありましたが、
ま、そこには目を瞑りましょう。

それよりも、人間の主観というものが、どれだけ偏ったものなのか、
この作家さんのどの作品を読んでも、その観点に驚く始末です。
今回は、叙述トリックではなく、登場人物たちの主観の頼りなさという点で、
そこを強く認識しました。

人間とは、不思議な生き物です。


シャドウ (創元推理文庫)シャドウ (創元推理文庫)
道尾 秀介

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『片眼の猿』
- 2010/10/27(Wed) -
道尾秀介 『片眼の猿』(新潮文庫)、読了。

『向日葵の咲かない夏』のどす黒い印象が強かったので、
まず、軽めの文体に驚きました。

そして、発達した聴覚能力、遠視能力など、超能力的な描写と、
主人公の住むアパートの風変りな面々。
世界観がマンガみたい・・・。

殺人事件の謎解き自体も、大したからくりではなく、
本作の主題は、やはりレトリックによるミスリード。

なのに、解説に、「道尾秀介は人間を描いている」と書かれると、
「そんなに大した内容かなぁ?」と感じてしまいます。

劣等感や障害というものを取り上げてはいますが、
なんだか、ミスリードを誘うための手段にすぎないような・・・。

著者の仕掛けた罠を見抜こうと、一生懸命読んでしまうのですが、
読み終わっても特に残るものが無いような読後感でした。


片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫 み 40-2)
片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫 み 40-2)道尾 秀介

おすすめ平均
starsレトリック
stars欠けていること
stars向日葵よりもこちらのが好き
starsやはりいまいち・・・。
starsミステリーと教訓

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向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)道尾 秀介

おすすめ平均
stars普通に面白かった
starsミステリーと銘打たなければ……
stars映像化は不可能
stars時間をおいてからの再読感想。
starsミステリーではない

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『向日葵の咲かない夏』
- 2009/12/05(Sat) -
道尾秀介 『向日葵の咲かない夏』(新潮文庫)、読了。

次の展開が気になって仕方がなく、一晩かけて一気読みしました。

かといって、楽しく読んだかというと、そうではなく、
なんとも「趣味の悪い」作品だと思います。

狂気を孕んだ人たちしか出てこなくて・・・。
最初はみんなそれを隠しているんだけれど、
ふとした切っ掛けで噴出して、否応もなくその狂気を読者に叩きつけてくるんです。

さらに、違和感がある設定が多々出てきます。
3歳児なのに言動が大人びている少女、
「生まれかわり」を簡単に信じる同級生、
予知能力を持つおばあさん、
これらの違和感の原因は、全て最後に解き明かされるのですが、
読んでいる途中に違和感を覚える作品は、あまり好きになれません。

叙述トリックは、違和感を与えないほど完ぺきにだまされることに
読んでいる側の快感があると思うのです。

まぁ、そんなテクニック的なことよりも、
本作では、主人公が作り上げている世界観の歪さに愕然とし、
結局どこまでが事実でどこからが虚構だったのかわからなくなってしまいました。

読後感は、非常にダークです。


向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
おすすめ平均
stars他人にはお薦めできない
stars過大評価
starsジェットコースター的な
starsにわかに旬な本。
stars年齢にあわない描写

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