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『世界観』
- 2023/12/24(Sun) -
佐藤優 『世界観』(小学館新書)、読了。

雑誌『SAPIO』での連載をまとめたものだそうで。

掲載時に話題になっていたと思われる国際情勢について、
著者独自の視点による解説や、外交官時代のエピソードなどを交えて述べたもの。
タイトルはかなり大きいですが、書かれているのは断片的な時局の解説であり、
大局観はあまり感じられなかったので、ちょっとタイトル詐欺な印象はあります。

外務省でロシアを担当し、ロシアの日本大使館に駐在していたこともある著者が語る国際情勢は、
ロシアを中心に、中国、ウクライナ、トルコ、イスラエルなど多岐にわたり、
しかも、出版から10年以上たった現在もホットな地域ばかりです。

ロシアとウクライナの領土戦争という足元の問題を語るには、
旧ソ連時代の出身地による派閥関係というか勢力対立の経緯があり、
トルコのヨーロッパとアラブの狭間に位置する地政学的な観点と、エルドアン首相(現大統領)の強権ぶり、
イスラエルの強気な独自の外交戦略の裏には、宗教的な思想や周辺国との複雑な利害関係があったり、
具体的な政治家の名前と活動実績、その功罪について、著者の見解は勉強になります。

正直、今、ウクライナやイスラエルは戦争状態にあって日々報道がされているから
私自身も意識をもって情報に接することが出来ますが、もし本作の発売時点で読んでいたら
興味を持てずに・・・・・というか読み通すことすらできないまま終わっていたかも・・・・と反省。
結局、大きな出来事が起きて、誰かの上に悲劇が降りかかって行かないと、
遥か遠い地での政治問題に興味関心を持つのって、難しいですよね。

逆に言うと、その辺の政治問題に意識を持たずに済めているというのは、
地理的な面もありますが、日本の政治や官僚組織を一定程度信頼していて
「普段は、政府や官僚に任せておけば大丈夫だろう」と判断して
無関心ともとれる態度をとっていても問題ないと考えているということなんだなと思いました。
だって、ウクライナのように離れていない北朝鮮の話題でも、
何か起きなければ意識の外ですからね。
ミサイルが飛んできたときだけニュースを見て気にするだけで。

そういう意味では、自分も、平和ボケだなぁと思ってしまいますが、
政府と官僚組織を無意識の中でも信頼出来ている国というのは、
相応に幸せなことなんだろうなと思いました。




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『インテリジェンス人間論』
- 2023/09/26(Tue) -
佐藤優 『インテリジェンス人間論』(新潮文庫)、読了。

著者の手による政界の人物評価となると、
やはりロシア人脈、プーチン大統領やエリツイン大統領を期待する人が多いかと思いますが、
私は日本の政局というか、日本社会を牽引している政治家の能力というものを知りたいので、
本作では、橋本龍太郎総理、小渕恵三総理、森喜朗総理といった面々が
ロシア外交においてどんな腹の括り方をしたのか、その決断の瞬間を
担当外務省職員の目を通して描かれていて、面白かったです。

「外交政策は選挙の票にならない」と言われているせいか、
政治家側も積極的に外交持論を発表しないし、メディアも結果のみの後追い報道で
「こういう外交を展開すべき」「日本の外交政策のためにこの政治家が期待できる」みたいな
報道は少ないですよね・・・・・。

でも、国益の実現のためには外交が最重要な手段だと思いますし、
政治家の大局観が必要で、真の実力を発揮できる分野は外交だと思います。
だから、安倍総理は、現役世代では安定した支持があったように思えますし、
なんとなく小泉総理に大衆人気があったのは日米の距離が近くて明るい雰囲気で
安定していたからなのかなとも思います。

そういう点では、著者のように、当時の総理の間近で、その政治家としての力量を見定めてきた
人物による政治家評は面白いです。

森総理とかは、メディアが植え付けた無能イメージで埋め尽くされてしまってる気がしますが、
もうちょっと実績とか、政治家としての信念とか、人間性みたいなことろは
個別の作品で読んでみたいなと思います。




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『調べる技術 書く技術』
- 2023/01/30(Mon) -
佐藤優 『調べる技術 書く技術』(SB新書)、読了。

インプットとアウトプットの具体的な技術論、方法論について
事細かに丁寧に説明した本です。

敏腕外交官だった著者なのに、
「封筒に5万円入れよう、何にいくら使ったか都度封筒に書いていこう、何日で使い切るか確認しよう」
なーんて、懇切丁寧に簡易家計簿のススメをしており、
一体どんな読者層が想定なんだ!?という感じでしたが、
若者向けの啓発書という位置づけなんですかね?

私も、金銭的に余裕がなかった20代前半は、ブックオフで100円の本を買い込み、
新刊書はもとより、神保町の古本でも、1000円超えると何度も足を運び
本当に欲しいか、かなり悩んでから買ってましたからね。

金銭的に制約がある中で、インプットをしていこうと思うと、
本作に書かれているような工夫が必要ですよね。
そういう若者向けには、すぐに役立つ本かもしれませんね。

ただ、やっぱり、敏腕外交官が書くべき本なのかしら?という疑問は
最後までモヤモヤしました(苦笑)。




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『創価学会と平和主義』
- 2022/01/13(Thu) -
佐藤優 『創価学会と平和主義』(朝日新書)、読了。

佐藤優と創価学会という組み合わせ、
そして、どストレートなタイトルから、一体何が書いてるのかと買ってみました。

思いのほか、公明党の政治的主張や創価学会の宗教理念を高く評価しているようで、
へー、そういうスタンスなんだ・・・・・と、ちょっと読む前の予想と違ってたのですが、
少なくとも、自公連立政権の中で、一つのブレーキ役にはなっていると思うので
そういう点での役割は重要なのかなと思います。

一方で、先日の10万円ばらまき政策に関しては、目的も効果も良くわからなかったので、
良くも悪くもブレーキ役が適任であり、自分たちで政策を主導するのは
利益誘導的な面が目に付いてしまい、ちょっと役者不足なのかなと思ってしまいました。

本作での著者の解説を通して、代々の会長である牧口常三郎氏、戸田城聖氏、池田大作氏の
個人としての平和への思いは、確かにそういう確たる信念があるからこそ
創価学会がこれだけの信者を集めてるんだろうなー、というのは何となくイメージできます。

しかし、末端の信者の人たちが、どれだけ平和主義の理念に重きを置いているのかは
自分の実感からすると、あんまりイメージがないです。
むしろ、経済的に恵まれていない階層の人を中心に公明党への支持があり、
政策への期待は、経済的な面や社会福祉の面が重要視されていて、
安全保障問題とかに強い意志を持っているのかな?という印象です。

安全保障政策の積極推進に予算や労力をかけるよりは、
経済政策などに予算を付けてくれ!という、政策の優先順位付けの結果、
安全保障政策が後回しになって、結果的にブレーキ役になっているというような
そちらの方が構造としてイメージが湧きます。

まぁ、もちろん、信仰の対象者が「平和!」と言っていれば、
信者の方々は同じく「平和!」と言うのだというのは分かりますが、
どれだけの熱量と意思を持って「平和!」と言っているのか、気になります。

創価学会や公明党というものを著作で扱うのは、いろいろ気を遣うテーマだとは思いますが、
是非、代表者の思想だけでなく、末端信者の考え方や行動のあり様も
取り扱ってほしいなと思いました。




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『督促OL修行日記』
- 2015/11/06(Fri) -
榎本まみ 『督促OL修行日記』(文春文庫)、読了。

佐藤優氏の本で紹介されていたので、早速読んでみました。
(本書の解説を佐藤氏が書いてましたが、なんだかそれはイマイチな解説でした)

なんせ、私の勤め先も金融機関の端くれですので、当然、債権回収部門があります。
そこに配属になった同期から、先輩たちの武勇伝は聞いたことがあります。

自動車に3時間監禁されたとか、
会社に乗り込んできたので警察に連絡したとか、
呼び出されて部屋に行ったら首を吊・・・・とか。

私はもっと暢気な部門に配属になったので、「大変な仕事だなぁ・・・」と他人事だったのですが、
借金で精神的におかしくなってしまって、「もうすぐノーベル賞を取れるから、それで返済する」とか
訳の分からないことを口走るお客様のエピソードとかを聞いてしまうと、
お金って怖い・・・・と思ってました。

それが、著者は、体重が10キロも減り、身も心もボロボロになりながらも、
自分の責任ではないところで借金を背負ってしまったお客様を哀れに思い、
寄り添うような心遣いを見せる姿に感心しました。
私だったら、「そんなバカ男にカードを貸すのが悪いんだよ・・・・」とバッサリ斬っちゃいます。

それ以上に驚いたのが、体重10キロ減どころか、
寝ている間に鼻血を流してたとか、毎晩38度以上の高熱が出るとか、
もう明らかに一線越えちゃってる体調なのに、仕事を休まず続けたという実績です。
正常な判断ができなくなるぐらいの過重労働だったんだろうなと思いますが、
本作を書くにあたって振り返っている様子からも、著者はそんなに異常と感じていないような気がして
このあたりの感覚のズレが、債権部隊でやっていける人材としての資質なのかなと思いました。

この忙しい状況で、心理学の本を読んだり、話し方教室に通ったり、
とにかく勉強熱心なのも凄いです。
勉強することが、精神的に逃げ道というか、安定剤になるタイプの人なのかもしれませんね。

ブラック企業、ブラック職場が成立してしまう背景には、
そういう職場環境に耐えてしまう側の人がいるという事実も、見逃してはいけないんだろうなと感じました。
それは、終電逃しても仕事して、さらに家に帰ってからも仕事をしている自分自身も含めての反省です・・・・・。


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『人に強くなる極意』
- 2015/10/21(Wed) -
佐藤優 『人に強くなる極意』(青春新書)、読了。

私の著述の中ではもっとも読みやすい記述になっているはずだ。
ただし、テーマのレベルはかなり高度である。


と、まえがきで御本人が語っているように、人が生きていくうえで大切な基本テーマ8つについて、
易しい語り口で意見を述べられています。
しかし、その1つ1つの内容は重いです。
易しい語り口なだけに、その行動を貫徹する意思は強いものが必要だとひしひしと感じられます。

シンプルな内容なので、1回やるだけなら、実行は簡単だと思います。
最初の数回は意識的に続けられると思います。
でも、日々の場面で、継続して行動していくとなると、そのハードルは高いです。

「怒らない」「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断らない」
「お金に振り回されない」「あきらめない」「先送りしない」
この8つのテーマで、今日できたこと、今日は出来なかったことを
日記のように記録していくだけでも、随分、反省の機会を得られ、
成長につながるのではないかなと感じました。

やってみようかな。


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『テロリズムの罠』
- 2015/03/15(Sun) -
佐藤優 『テロリズムの罠 左巻』(角川ONEテーマ21)、通読。

右巻のファシズムに続いて、左巻では新自由主義の話。

序盤の筆の勢いにググッと引き寄せられたのですが、
中盤で、小説や対談の長々とした引用が続き、
そこで気持ちが離れてしまいました。

引用された作品が悪いというのではなく、
引用は所詮引用であり、どんなに長々と引っ張ってきても
断片を見せられていることに変わりなく、中途半端な印象で終わってしまいます。

そのまま、後半は流し読みになってしまいました。

うーん、勿体無いなと自分でも思います。

別の機会に改めて読んでみます。


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『国家情報戦略』
- 2015/01/26(Mon) -
佐藤優、高永喆 『国家情報戦略』(講談社+α新書)、読了。

佐藤優氏と元韓国海軍少佐の対談です。
この元少佐は、政権による軍部粛清に遭い禁固刑を食らうという、
まさに韓国版佐藤優のような立ち位置です。

佐藤本には、非常に高いところから世界を俯瞰する視点を学びたいと思うのですが、
本作は過去の出来事の思い出話的な要素が少し強く、
全体感を捉えるという感じではなかったのは残念でした。

ただ、個別具体的な話は興味深いものが多く、
読み物として面白かったです。


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『テロリズムの罠 右巻』
- 2014/09/12(Fri) -
佐藤優 『テロリズムの罠 右巻』(角川ONEテーマ21)、通読。

右巻・左巻で対になっていますが、
左が100円で見つからないので、フライング気味に右だけ読んでみました(笑)。

「今の社会のあり様を、どのように考えるか」という
漠然とした、しかも非常に大きな命題を出されると、
どこから手をつけて考え始めればよいか途方に暮れてしまいます。

しかし、本作を通して考えたのは、
とりあえず「現代世界は、資本主義が主要な枠組みとなっている社会である」というところを
スタート台にすると良いのかなということです。
本作で解説されている新自由主義とか、ファシズムとかは、
相対的な価値観の表れに過ぎないと思うのですが、
資本主義社会という仕組みは、好きか嫌いかに関わらず、
厳然とした力を持ってそこにあるという前提で考えてよいのかなと思います。
資本主義社会に取って変わる、新たな社会の仕組みが出てきていない以上は。

そこから、なぜ、今の日本にはナショナリズムの風が吹いているのかとか、
アメリカに黒人大統領が誕生した背景とか、
中東情勢とか、
考察の視野を広げていけるようになるのかなと思います。
まだ、自力で考察をしていけるような知識は持ち得ないですが(苦笑)。

先日の楠木先生の経営学の話をここでも思い出したのですが、
具象と抽象の間を行ったり来たりすることで、
具体的な出来事の普遍的な意味合いを確認したり、
ある価値観が現実世界にどのような形で具現化されているのかを発見したり、
そういうモノの見方を見につけることが大事なんだなと再認識しました。

見えないものを見えるようにすることが、理論家の責務なのだ

これは、同じ知的活動のことを指しているんだろうなと思います。

様々な思考活動が、根底で繋がっているということを確認するのも
読書の楽しみですね。

残念ながら、後半のファシズムに関する論証は、
抽象度が高すぎて読めませんでした。
また、いつか、挑戦します。


テロリズムの罠 右巻  忍び寄るファシズムの魅力 (角川oneテーマ21)テロリズムの罠 右巻 忍び寄るファシズムの魅力 (角川oneテーマ21)
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『人間の叡智』
- 2014/04/14(Mon) -
佐藤優 『人間の叡智』(文春新書)、読了。

やっぱり、この方の大局観の捉え方は面白いです。
非常に説得力があり、また、他の問題にも適用できるフレームを提供してくれます。

本作では、東大の9月入試改革の話から始めつつも、
国家論や民族論に展開されていく。
そして、ロシアという国を眺めながら、
帝国主義やファシズムの話へと広がっていき・・・・。
この自由自在な世界観の表現が、読んでいて気持ち良いです。

世の中の個々の事象の「つながり」が分かり、
そして、自分の視野が「広がる」感覚を味わえるのです。

橋下徹氏の政治手法についても詳細に分析されていますが、
具体的な政策の内容や、挙動を取り上げるだけではなく、
「ファシズム」という概念の定義を明確にした上で、
それに当てはまるのか否かを1つ1つ検証していくので、
センセーショナルで印象に残りやすい出来事に流されることなく
橋下徹という政治家を評価する軸を、自分も持てたように感じることが出来ます。
ま、今度は私自身がその軸を使って、次の橋下政策を評価できるように
ならなくてはいけないのですけどね。

本作は、民主党政権下での政治状況の分析だったので、
次は、自民党政権下での政治状況についての評価を読んでみたいです。
(そういう「今を読む」という意味では、雑誌を読んだほうがよいかな)


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