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『調べる技術 書く技術』
- 2023/01/30(Mon) -
佐藤優 『調べる技術 書く技術』(SB新書)、読了。

インプットとアウトプットの具体的な技術論、方法論について
事細かに丁寧に説明した本です。

敏腕外交官だった著者なのに、
「封筒に5万円入れよう、何にいくら使ったか都度封筒に書いていこう、何日で使い切るか確認しよう」
なーんて、懇切丁寧に簡易家計簿のススメをしており、
一体どんな読者層が想定なんだ!?という感じでしたが、
若者向けの啓発書という位置づけなんですかね?

私も、金銭的に余裕がなかった20代前半は、ブックオフで100円の本を買い込み、
新刊書はもとより、神保町の古本でも、1000円超えると何度も足を運び
本当に欲しいか、かなり悩んでから買ってましたからね。

金銭的に制約がある中で、インプットをしていこうと思うと、
本作に書かれているような工夫が必要ですよね。
そういう若者向けには、すぐに役立つ本かもしれませんね。

ただ、やっぱり、敏腕外交官が書くべき本なのかしら?という疑問は
最後までモヤモヤしました(苦笑)。




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『創価学会と平和主義』
- 2022/01/13(Thu) -
佐藤優 『創価学会と平和主義』(朝日新書)、読了。

佐藤優と創価学会という組み合わせ、
そして、どストレートなタイトルから、一体何が書いてるのかと買ってみました。

思いのほか、公明党の政治的主張や創価学会の宗教理念を高く評価しているようで、
へー、そういうスタンスなんだ・・・・・と、ちょっと読む前の予想と違ってたのですが、
少なくとも、自公連立政権の中で、一つのブレーキ役にはなっていると思うので
そういう点での役割は重要なのかなと思います。

一方で、先日の10万円ばらまき政策に関しては、目的も効果も良くわからなかったので、
良くも悪くもブレーキ役が適任であり、自分たちで政策を主導するのは
利益誘導的な面が目に付いてしまい、ちょっと役者不足なのかなと思ってしまいました。

本作での著者の解説を通して、代々の会長である牧口常三郎氏、戸田城聖氏、池田大作氏の
個人としての平和への思いは、確かにそういう確たる信念があるからこそ
創価学会がこれだけの信者を集めてるんだろうなー、というのは何となくイメージできます。

しかし、末端の信者の人たちが、どれだけ平和主義の理念に重きを置いているのかは
自分の実感からすると、あんまりイメージがないです。
むしろ、経済的に恵まれていない階層の人を中心に公明党への支持があり、
政策への期待は、経済的な面や社会福祉の面が重要視されていて、
安全保障問題とかに強い意志を持っているのかな?という印象です。

安全保障政策の積極推進に予算や労力をかけるよりは、
経済政策などに予算を付けてくれ!という、政策の優先順位付けの結果、
安全保障政策が後回しになって、結果的にブレーキ役になっているというような
そちらの方が構造としてイメージが湧きます。

まぁ、もちろん、信仰の対象者が「平和!」と言っていれば、
信者の方々は同じく「平和!」と言うのだというのは分かりますが、
どれだけの熱量と意思を持って「平和!」と言っているのか、気になります。

創価学会や公明党というものを著作で扱うのは、いろいろ気を遣うテーマだとは思いますが、
是非、代表者の思想だけでなく、末端信者の考え方や行動のあり様も
取り扱ってほしいなと思いました。




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『督促OL修行日記』
- 2015/11/06(Fri) -
榎本まみ 『督促OL修行日記』(文春文庫)、読了。

佐藤優氏の本で紹介されていたので、早速読んでみました。
(本書の解説を佐藤氏が書いてましたが、なんだかそれはイマイチな解説でした)

なんせ、私の勤め先も金融機関の端くれですので、当然、債権回収部門があります。
そこに配属になった同期から、先輩たちの武勇伝は聞いたことがあります。

自動車に3時間監禁されたとか、
会社に乗り込んできたので警察に連絡したとか、
呼び出されて部屋に行ったら首を吊・・・・とか。

私はもっと暢気な部門に配属になったので、「大変な仕事だなぁ・・・」と他人事だったのですが、
借金で精神的におかしくなってしまって、「もうすぐノーベル賞を取れるから、それで返済する」とか
訳の分からないことを口走るお客様のエピソードとかを聞いてしまうと、
お金って怖い・・・・と思ってました。

それが、著者は、体重が10キロも減り、身も心もボロボロになりながらも、
自分の責任ではないところで借金を背負ってしまったお客様を哀れに思い、
寄り添うような心遣いを見せる姿に感心しました。
私だったら、「そんなバカ男にカードを貸すのが悪いんだよ・・・・」とバッサリ斬っちゃいます。

それ以上に驚いたのが、体重10キロ減どころか、
寝ている間に鼻血を流してたとか、毎晩38度以上の高熱が出るとか、
もう明らかに一線越えちゃってる体調なのに、仕事を休まず続けたという実績です。
正常な判断ができなくなるぐらいの過重労働だったんだろうなと思いますが、
本作を書くにあたって振り返っている様子からも、著者はそんなに異常と感じていないような気がして
このあたりの感覚のズレが、債権部隊でやっていける人材としての資質なのかなと思いました。

この忙しい状況で、心理学の本を読んだり、話し方教室に通ったり、
とにかく勉強熱心なのも凄いです。
勉強することが、精神的に逃げ道というか、安定剤になるタイプの人なのかもしれませんね。

ブラック企業、ブラック職場が成立してしまう背景には、
そういう職場環境に耐えてしまう側の人がいるという事実も、見逃してはいけないんだろうなと感じました。
それは、終電逃しても仕事して、さらに家に帰ってからも仕事をしている自分自身も含めての反省です・・・・・。


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『人に強くなる極意』
- 2015/10/21(Wed) -
佐藤優 『人に強くなる極意』(青春新書)、読了。

私の著述の中ではもっとも読みやすい記述になっているはずだ。
ただし、テーマのレベルはかなり高度である。


と、まえがきで御本人が語っているように、人が生きていくうえで大切な基本テーマ8つについて、
易しい語り口で意見を述べられています。
しかし、その1つ1つの内容は重いです。
易しい語り口なだけに、その行動を貫徹する意思は強いものが必要だとひしひしと感じられます。

シンプルな内容なので、1回やるだけなら、実行は簡単だと思います。
最初の数回は意識的に続けられると思います。
でも、日々の場面で、継続して行動していくとなると、そのハードルは高いです。

「怒らない」「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断らない」
「お金に振り回されない」「あきらめない」「先送りしない」
この8つのテーマで、今日できたこと、今日は出来なかったことを
日記のように記録していくだけでも、随分、反省の機会を得られ、
成長につながるのではないかなと感じました。

やってみようかな。


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『テロリズムの罠』
- 2015/03/15(Sun) -
佐藤優 『テロリズムの罠 左巻』(角川ONEテーマ21)、通読。

右巻のファシズムに続いて、左巻では新自由主義の話。

序盤の筆の勢いにググッと引き寄せられたのですが、
中盤で、小説や対談の長々とした引用が続き、
そこで気持ちが離れてしまいました。

引用された作品が悪いというのではなく、
引用は所詮引用であり、どんなに長々と引っ張ってきても
断片を見せられていることに変わりなく、中途半端な印象で終わってしまいます。

そのまま、後半は流し読みになってしまいました。

うーん、勿体無いなと自分でも思います。

別の機会に改めて読んでみます。


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『国家情報戦略』
- 2015/01/26(Mon) -
佐藤優、高永喆 『国家情報戦略』(講談社+α新書)、読了。

佐藤優氏と元韓国海軍少佐の対談です。
この元少佐は、政権による軍部粛清に遭い禁固刑を食らうという、
まさに韓国版佐藤優のような立ち位置です。

佐藤本には、非常に高いところから世界を俯瞰する視点を学びたいと思うのですが、
本作は過去の出来事の思い出話的な要素が少し強く、
全体感を捉えるという感じではなかったのは残念でした。

ただ、個別具体的な話は興味深いものが多く、
読み物として面白かったです。


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『テロリズムの罠 右巻』
- 2014/09/12(Fri) -
佐藤優 『テロリズムの罠 右巻』(角川ONEテーマ21)、通読。

右巻・左巻で対になっていますが、
左が100円で見つからないので、フライング気味に右だけ読んでみました(笑)。

「今の社会のあり様を、どのように考えるか」という
漠然とした、しかも非常に大きな命題を出されると、
どこから手をつけて考え始めればよいか途方に暮れてしまいます。

しかし、本作を通して考えたのは、
とりあえず「現代世界は、資本主義が主要な枠組みとなっている社会である」というところを
スタート台にすると良いのかなということです。
本作で解説されている新自由主義とか、ファシズムとかは、
相対的な価値観の表れに過ぎないと思うのですが、
資本主義社会という仕組みは、好きか嫌いかに関わらず、
厳然とした力を持ってそこにあるという前提で考えてよいのかなと思います。
資本主義社会に取って変わる、新たな社会の仕組みが出てきていない以上は。

そこから、なぜ、今の日本にはナショナリズムの風が吹いているのかとか、
アメリカに黒人大統領が誕生した背景とか、
中東情勢とか、
考察の視野を広げていけるようになるのかなと思います。
まだ、自力で考察をしていけるような知識は持ち得ないですが(苦笑)。

先日の楠木先生の経営学の話をここでも思い出したのですが、
具象と抽象の間を行ったり来たりすることで、
具体的な出来事の普遍的な意味合いを確認したり、
ある価値観が現実世界にどのような形で具現化されているのかを発見したり、
そういうモノの見方を見につけることが大事なんだなと再認識しました。

見えないものを見えるようにすることが、理論家の責務なのだ

これは、同じ知的活動のことを指しているんだろうなと思います。

様々な思考活動が、根底で繋がっているということを確認するのも
読書の楽しみですね。

残念ながら、後半のファシズムに関する論証は、
抽象度が高すぎて読めませんでした。
また、いつか、挑戦します。


テロリズムの罠 右巻  忍び寄るファシズムの魅力 (角川oneテーマ21)テロリズムの罠 右巻 忍び寄るファシズムの魅力 (角川oneテーマ21)
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『人間の叡智』
- 2014/04/14(Mon) -
佐藤優 『人間の叡智』(文春新書)、読了。

やっぱり、この方の大局観の捉え方は面白いです。
非常に説得力があり、また、他の問題にも適用できるフレームを提供してくれます。

本作では、東大の9月入試改革の話から始めつつも、
国家論や民族論に展開されていく。
そして、ロシアという国を眺めながら、
帝国主義やファシズムの話へと広がっていき・・・・。
この自由自在な世界観の表現が、読んでいて気持ち良いです。

世の中の個々の事象の「つながり」が分かり、
そして、自分の視野が「広がる」感覚を味わえるのです。

橋下徹氏の政治手法についても詳細に分析されていますが、
具体的な政策の内容や、挙動を取り上げるだけではなく、
「ファシズム」という概念の定義を明確にした上で、
それに当てはまるのか否かを1つ1つ検証していくので、
センセーショナルで印象に残りやすい出来事に流されることなく
橋下徹という政治家を評価する軸を、自分も持てたように感じることが出来ます。
ま、今度は私自身がその軸を使って、次の橋下政策を評価できるように
ならなくてはいけないのですけどね。

本作は、民主党政権下での政治状況の分析だったので、
次は、自民党政権下での政治状況についての評価を読んでみたいです。
(そういう「今を読む」という意味では、雑誌を読んだほうがよいかな)


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『国家と人生』
- 2013/01/23(Wed) -
佐藤優、竹村健一 『国家と人生』(角川文庫)、読了。

3日間かけて行われたという両氏の対談。
たった3日で、これだけの内容をもった言葉を交わせるのかと驚嘆。
才人の集いは素人には想像できません。

本作では、竹村氏が質問をして、佐藤氏が持論を述べるという構図が
主な役割分担になっているようでした。
竹村氏のような知識人であれば、当然知っているだろうことも疑問文で投げかけ、
うまーく佐藤氏から分かりやすい解説を引き出してくれています。
この本で一番感じたのは、インタビュアーのように引き出す役としての竹村氏の力量です。
とにかく読者に分かるように議論を導いてくれるんです。

もちろん、佐藤氏の話は多岐にわたり、またウィットにも富んでいて面白いです。
ロシア研究や外交問題だけでなく、沖縄研究や負け犬問題まで(笑)、
非常に幅広い「語るべきこと」を持っている方です。

そして、佐藤氏が竹村氏をどれだけ尊敬しているのかも、よく伝わってきました。
自分が真剣に学んでいたときに、その師となってくれた人が
自分の主張を受け止めて、理解しようとしてくれるというのは、
本当に嬉しいことなんだろうなと思います。

すてきな知識人たちの交流が見える本でした。


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『闇権力の執行人』
- 2012/08/05(Sun) -
鈴木宗男 『闇権力の執行人』(講談社文庫)、読了。

佐藤優本は何冊か読んできましたが、いよいよムネオさんの本です。
もちろん、解説は佐藤優氏。

自らが嵌ってしまった「政治家-官僚-検事」の罠について、
起訴された事件を一つ一つ見ながら、
それぞれの「闇権力」のあり方を告発した本。

外務省の面々を中心に、実名がバンバン登場してきて、
その生々しさは、佐藤本にも勝るとも劣らない出来です。

ただ、ムネオ氏の凄いところは、
これだけ大変な思いをさせられたにも関わらず、
新党を立ち上げて、再び国政の場に戻ってきたことです。
戻った上で、これだけの告発本を書くというのは、
相当の覚悟がなければ出来ないことだと思います。

書かれている過去の出来事の中には、
外務官僚の失態をもみ消そうとしたり、政治家の圧力を駆使して予算を獲得したりという
あまり褒められたものではないところもありますが、
しかし、その瞬間での判断として、
少しの悪も最終的な国益のためなら・・・という考え方は、私は受け入れられます。

もちろん、国益とは何かという根本的な問いや、
各場面での「国益」と「少しの悪」の評価は人により幅があるでしょうけれど、
「国益のために眼をつぶる」という考え方自体は、アリだと思ってます。
あまりに清廉潔白な理想論の元では、外交はおろか、国家の運営なんて出来ないでしょうから。

一般受けする政治家と、骨のある政治家は
なかなか一致しないんだなぁということが、よく分かりました。

あと、ムネオさん、意外とマスコミへの評価は低くないんですね。
自浄作用があるなんて言っちゃって。
これは本気でしょうか?それとも、発言権確保のための戦術ですか?(笑)



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