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『御子柴くんの甘味と捜査』
- 2020/10/06(Tue) -
若竹七海 『御子柴くんの甘味と捜査』(中公文庫)、読了。

ライトな感じのタイトルだったのでお気楽読書に選びました。

長野県警から警視庁に連絡係として派遣された御子柴くん。
東京で起きる長野県関係の事件の捜査に駆り出されていきます。

で、タイトルの「甘味」は、そのまま、長野県の特産品のお菓子たち。
甘いもの好きの上司から「長野県のアノ菓子を送ってもらえ」と命じられて取り寄せ、
長野県警のお偉いさんからは「東京のアノ菓子を送れ」と命じられ調達に走る、
まぁ、本筋の事件推理とはたいして関係のない設定ですが、
「長野って美味しそうな銘菓がいろいろあるんだなぁ、知らなかったけど」という感想です。

そして、相変わらず、若竹作品は、キャラクターや設定はポップなのに事件はヘビー。
今回も、殺人だったり強盗だったり人質立てこもりだったりするわけですが、
その動機というか原因がダークです。

いつも若竹ミステリには「ポップとヘビーのバランスが悪い」とか、
「現実感が薄い」とか、「シックリこない」とかいう感想ばかり書いているのですが、
結局、本作も、面白くなかったわけではないけど、シックリこない感はありました。

女子高が舞台の作品は凄く面白く読めた記憶があるので、
ついつい、「もしかすると面白いかも」と思って、100円で見つけたら買ってしまうのでですが
そろそろ見切り時かも。




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『静かな炎天』
- 2019/11/24(Sun) -
若竹七海 『静かな炎天』(文春文庫)、読了。

久々の若竹作品。
お気楽に読めるかなと手に取ったのですが、
シリーズ物の第5作だったようで、順番無視です。
ただ、1作目を飛ばして既に2作目を読んでしまっているので、今更順番を気にしてもアレですが。

というわけで、女探偵・葉村晶シリーズです。
古本屋でバイトしながら副業で探偵稼業の40代独身女って、
一体どんなキャラクター設定なんだ!?って感じですが、
まぁ本人がサバサバしてて、そんな身の所在を気にしてなさそうなので
読者がどうこう心配することではないのですが。

さて、コージー・ミステリ風な軽いコメディタッチのものではありまずが、
登場してくる事件は殺人や背乗りなど、なかなかヘビーなものが多いです。
女探偵だし、これはハードボイルドのジャンルに入るのかな?

ただ、そう考えるには、結構、都合よく真相が向こうからやってきてくれたり
幸運にも都合よくお話が展開していったりで、
ハードボイルドっぽい硬派さが足りず、なんだか座りが悪いです。

もうちょっと日常の謎的なレベルに抑えたら、
こじんまりとまとまって読みやすいようにも思えますが、
それだとありきたり過ぎるのでしょうかね。

あと、巻末の著者自身による用語解説で、
コージー・ミステリについて、「最近では、食べ物やペットの登場する楽しげな舞台に
謎や殺人のちょい足しミステリを、主にコージー・ミステリと呼ぶようです」とあって、
「えっ!コージー・ミステリって、そういう定義なの??」と驚いてしまいました。
これってホント?




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『閉ざされた夏』
- 2015/10/23(Fri) -
若竹七海 『閉ざされた夏』(光文社文庫)、読了。

とある作家の文学記念館を舞台に起きた連続放火事件と殺人事件、
職員たちが事件の真相を究明しようとするが、そこには作家の秘密も絡んできて・・・・

なかなか大きな事件が起きないこともあって、
非常に小さな範囲で登場人物たちがウロウロしているだけの印象を持ってしまいました。

物語としても、共感する対象が見つからず、
なんだか淡々と日常が進行していく感じです。

これだけのページを割いて書くほどの話なのかな?という作品でした。


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『マレー半島すちゃらか紀行』
- 2013/02/13(Wed) -
若竹七海、加門七海、高野宣李 『マレー半島すちゃらか紀行』(新潮文庫)、読了。

金子光晴のマレー旅行記を読んだときは、
あんまりマレー半島への興味が湧いてこずに、
むしろ、著者の日本語の美しさに惚れ惚れしたのですが、
本作は、日本語の美しさなんて何のその!のハチャメチャ旅行記なので、
却ってマレーシアの文化や人間への興味が湧いてきました(笑)。

三十路女の3人旅、しかも若竹&加門がいるなんて、
何かが起こらないはずがないです。
そう、「トラブル」ほどの大事に至らない「ネコブル」のオンパレード。

空港で荷物行方不明から始まり、電車が来ない、ヒルに吸われる、
湿疹が出る、タクシー運転手に言い寄られるなど、
様々なネコブルが勃発。

怪談話をしていたら、黒いモノにとり憑つかれるだなんて、
ネコブルどころか、大トラブルですよ~。
加門先生の必死の処置で、何とか切り抜けた一行。
怖いよー。東南アジアの霊って、なんだか重そう・・・。

訪問地は、KLやマラッカなどの有名地だけでなく、
ジャングルの奥地や無人島にまで。
うーん、なかなか日本人が行くところでは無さそうな旅行記に、これまた興味津々。
宿も決めずに旅程を組んでも、何とかなるものなんですね。
計画&予約がないと不安な私には、この旅は無理だわー。

16日間、休みなしで、みっちり旅行をして、ネコブルに遭遇し続け、
濃密な旅行記に仕上がってます。
この後、そのまま香港へ立ち寄って1週間遊ぶというのも、
これまた恐ろしい元気です。

これぐらいのパワーがないと、作家という職業には就けないんでしょうね。


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『船上にて』
- 2011/12/06(Tue) -
若竹七海 『船上にて』(光文社文庫)、読了。

重い読書が続いたので、ここらで軽めのものを・・・・と思って手に取ったのですが、
これは肌に合いませんでした。

あられもない言い方をすると、「狙い過ぎて現実感が無い」というところでしょうか。
物語の展開が、どうにもこうにも、起こりそうに無い印象を受けるのです。

そんな行動、普通とらないだろう・・・という作品が続いたので、
ちょっと途中で挫折しそうになりました。

過去の自分のレビューを読むと、若竹作品には結構辛口(苦笑)。


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『古書店アゼリアの死体』
- 2011/06/20(Mon) -
若竹七海 『古書店アゼリアの死体』(光文社文庫)、読了。

ロマンス小説専門の古書店を舞台にした殺人事件。

ロマンス小説というと、少し色眼鏡で見ていたところがあり、
古書店の女主人・紅子さんのキップのよさに感嘆しつつ、
一冊使ってここまで熱心に語られると、その世界も奥深いんだなぁと
恐れ入ってしまいました。

一方、本題のミステリのほうは、イマイチな感じ。

まず、殺人の対象となった前田家の関係が複雑で、
なかなかすんなりと頭に入ってきません。
しかも、殺人事件自体も捻りが多過ぎて、
ちょっと物語に入っていけませんでした。

というわけで、物語の骨格よりも
味付けのほうを楽しんだ一冊となりました。


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『スクランブル』
- 2011/05/22(Sun) -
若竹七海 『スクランブル』(集英社文庫)、読了。

とある女子高で殺人事件が起きた。
学校の中で異分子扱いの文芸部の面々が、
日常の中で起きる小さな事件の真相究明を図る過程で、
殺人事件の真犯人に迫っていく・・・。

と書くと、ミステリもののように思えますが、
それよりも、青春小説として、とても面白かったです。

中高一貫の女子高の独特な文化、
そして高校の学年から編入した「アウター」と呼ばれる少数派への偏見、
そのアウターの仲間たちの中でも、お互いを見る視線。

主人公たちは、このアウターの文芸部員を中心にしていますが、
特に面白いと感じたのは、一見、仲が良さそうに見える彼女たちの間にも
微妙な人間関係があり、喧嘩や反目、距離感があるということ。
そう、青春とは、そのような難しい人間関係の上に成り立っているのです!

この、彼女たちの間の人間関係に注がれる描写が、本当に上手いと思いました。
決して、一枚岩で仲が良いわけではなく、疲れを感じたりしてしまうのですよね。

ちょっと言葉遣いが乱暴な人たちが多いので、
会話文を読むのに、つっかえたりしてしまいましたが、そこはご愛嬌かな。

作品全体の構成としても、
高校生の頃のエピソードを、文芸部員一人ひとりを順番に主人公にして語らせ、
かつ、それから15年後の、文芸部員の結婚式における反芻で締めくくらせる。
この工夫も、とても面白かったです。

『死んでも治らない』のときも感じましたが、
作品の構成の面白さで楽しめるのは、新鮮で良いですね。

あと、文芸部員というだけあって、
実在する作品や著者の話がたくさん出てくるところも面白かったです。
この時代に『コインロッカーベイビーズ』って、もう出てたの?と疑問に思うところもありましたが、
そこは、最後に著者が説明を入れていて、納得。


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『依頼人は死んだ』
- 2011/05/19(Thu) -
若竹七海 『依頼人は死んだ』(文春文庫)、読了。

いまいちシックリこない作品でした。

女探偵が主人公の連作短編集。
それぞれの謎解きの答えは最後に示されるのですが、
どうにも、腑に落ちない締め方なんですよね。
客観的な証拠が出てくるわけではなく、
誰かの言葉で締められたり、主人公の気づきで締められたり。

阿刀田作品の短編であれば、
こういう情緒的なエンディングが、どんでん返しの妙になって面白いのですが、
ミステリの謎解きと思って読んでいくと、もうちょっと合理的な結末がほしくなってしまいます。
動かぬ証拠的なものが。

そして、それぞれの事件の真相も、
トリック的なものは面白いと感じるものもあったのですが、
人の心の問題にかかってくるようなものは、
やっぱり腑に落ち度合いからすると、ちょっと苦しかったです。
短編でさくさくっと描かれてしまうと、
心理的な問題を扱うには、描写が足りないと感じてしまうのかもしれません。

皮肉屋の主人公は、なかなか良いキャラをしてました。


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『死んでも治らない』
- 2011/02/11(Fri) -
若竹七海 『死んでも治らない』(光文社文庫)、読了。

最近、ミステリ好きさん達のBlogでお名前をよく目にするようになりました。
気になるので一冊チャレンジ。

軽いタッチの連作ミステリもの。
元警察官で、今はおバカな泥棒のエピソードを集めた本を書き、
全国を講演に回っているという大道寺圭。

この大道寺、頭の回転が早く、軽いアクションシーンもお手のもの。
友人の編集者・彦坂との掛け合いも面白く、なかなかのキャラです。
でも、所々で暗い影が射す。

その影の正体が少しずつ明かされるのは、
5つの事件の間に挟まれた、大道寺が警察官として最後に関わった事件の記録。
この事件の各パートが、本篇の5つの事件とも絡まり合って、
一冊の本として面白い構成になっています。

一つ一つの事件は、個別の事件のはずなのに、
人間関係が結びつきすぎじゃない?という都合のよさは若干ありますが、
一冊の本として見た時に、その構成の面白さから、
ま、止む無しかなと思えました。

他にも、工夫の施された作品がいろいろあるようで、
読んでみたいですね。


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