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『悪女の美食術』
- 2023/03/31(Fri) -
福田和也 『悪女の美食術』(講談社文庫)、読了。

タイトルは「悪女の~」となっていますが、実質は「和也の美食術」です。

前半で、女性(OLさんたち)がグループでワイワイとランチに行くことをディスっているので
まぁ、そこからタイトルに「女」がやってきたのかもしれませんが、
その議論をそこまで深めているわけでもないので、なんだか変な感じでした。

いわゆる昭和なグルメのノリを満喫できる本だと思います。
世の中のことに興味を持つようになった時には、すでにバブル崩壊が始まっていた私としては
物語の世界の話って感じなぐらい、遠い時代の話に思えます。

ただ、著者も白洲正子さんに触れていますが、
そういう人たちに象徴されるような時代の洗練さというものを
著者は追いかけているんだろうなと思います。

今どきの、点数化や映えが重視されるグルメとは一線を画す、
ルールやしきたり、空気に重きを置く価値観だと思います。
博物館に見学に行ったような気分で読んでました。

ところで、少し前に、ラーメン屋の店主が「ラーメン食べるときにスマホ(特に動画サイト)を見ないでほしい」
とツイートして話題に(半分炎上?)なっていましたが、その報道に触れたとき、
活字中毒の私としては、「やっぱり本読みながら料理食べられるのは料理人として嫌なんだろうな」と反省。
でも、何もせず、ただ食べるだけという行為は、私にはそれこそ味気なく感じられてしまって
たぶんダメだと思います。
「スマホ見るな」「本読むな」という考えのお店は、入り口にデカデカと書いておいてほしいです。
避けるようにしますので。

そう思っていたところにこの本を読んだら、なんと著者はフレンチの高尚な店に1人で行き、
料理と料理の間のサーブの待ち時間には本を読んでいるとのこと。
高級フレンチに一人で行くのか・・・・・と、まずそこから驚いたのですが、
本を読んでてもマナー違反じゃないんだなと、そこにもビックリ。
実際、本式のフランス料理のマナーとしてはどうなのかは分かりませんが、
少なくとも著者は許されているということですよね。
日本だと、高級フレンチに対して思い入れがあるというか、思い込みがあるというか
「かくあるべし!」みたいなものを確立しているお客さんが多そうなので、
周囲の人は眉をひそめてそうな気もしますが、まぁ、それは、そういう世界に足を踏み入れたことのない
私の偏見というか、思い込みかもしれないですね。




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『続 なぜ日本人はかくも幼稚になったのか』
- 2022/12/18(Sun) -
福田和也 『続 なぜ日本人はかくも幼稚になったのか』(ハルキ文庫)、読了。

ブックオフで見つけて、「お、続編なんて出てたのか!」と買ってきたのですが、
なんだか思ったよりもマイルドな中身でした。

最初の本を読んだときは、「凄いことを大っぴらに言う人だなぁ」と驚いた記憶があったのですが、
「あれ?記憶が極端な方に補正されてる??」と疑い、読書感想の記録を本ブログで探したら
出てきませんでした。

ブログを始める前、20年ぐらい前に読んだのかなぁ?
一体何に驚いたか、全然記憶が残ってないわ(苦笑)。

本作は、ペルーの日本大使館人質事件の話から始まっていますが、
当時私は高校3年生。
事件当初は、「なんて衝撃的な事件なんだ!」と驚き、ニュース番組にかじりついてましたが、
事態が硬直してしまってからは、受験生ということもあり、気にしなくなっちゃいました。
ペルー軍による突入作戦が行われたときには大学に入学してしまっており、
一人暮らしの部屋で毎日ニュース番組を見るという習慣がなくなってしまっていたので、
新聞報道で事実として押さえただけで、特に感慨もなく。

改めて本作でその経過を読んでみて、「へ~、橋本龍太郎首相はそんな腰の引けた対応だったのね」と
ようやく日本政府のへっぴり腰具合を認識した次第です。

まぁ、でも、私の子供の頃の記憶では、「毅然とした首相」って、思い浮かぶ人が居ないんですよねー。
社会人になってから、小泉純一郎首相とか、安倍晋三首相とか、はっきりと日本国としての意見を言う
首相が出てきたイメージです。
だから、橋龍がグダグダでも違和感なし(爆)。

ただ、それは、首相が日本人の政治レベルを象徴していただけで、
当時の日本人全体の政治感度や国際感度が低かったんだと思います。
その後、全世界の紛争地域(「非戦闘地域」とされる場所だけど)に自衛隊が出て行ったり、
はたまた日本人がどこかで紛争に巻き込まれて自己責任論とかが国内で巻き起こったりして
ようやく世間一般の議論のレベルや意識のレベルが引き上がってきたのかなと思います。

だから、今、この20年以上前の文章を読むと、マイルドに感じちゃうのかなと。
当時は、著者のような一部の言論人だけが、一国の首相の姿勢に対して
厳しい言葉を投げかけて、それに読者が反応していたのかなと思いますが、
今やYoutubeなどで、かつては一般人とされたような立場の人たちも
自分の意見を強く主張できるようになってますからね。
みんながキツイ言葉で主張し合っている今から思うと、本作の著者の言葉は
批判の本質は厳しくても、表現はお上品に思えてしまうのかなと感じました。

果たしてそれが素直に社会の良い変化と言えるのかは微妙か気がしますが、
でも、いろんな人がいろんな主張を自分の言葉でできるようになったのは進歩だと思います。
たとえ罵詈雑言や誹謗中傷が混じっていたとしても、
そうではない真っ当で聞く価値のある意見が世の中にたくさん出てくるというのは、
最終的には社会の進歩に繋がると、私は希望を持っています。
罵詈雑言をゼロにするために言論空間を必要以上に制約するような方向には向かってほしくないです。
それよりは、意見を聞く側、参照する側が、アホな罵詈雑言は無視するという技術を身につけて
結果的に罵詈雑言を繰り出す輩の楽しみを奪ってしまうような知性ある社会になって欲しいというか、
そうしていきたいです。






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『日本人であるということ』
- 2019/05/10(Fri) -
福田和也 『日本人であるということ』(ハルキ文庫)、読了。

久々の福田センセ。

タイトルから、ガッツリと日本人論を語っているのだろうと思ったのに、
思いのほか前半は時事的な話題が多くて、ちょっと思っていたテイストと違ってました。

冒頭、平成の米騒動の話から始まりましたが、
「あぁ、そんなこともあったわね~」というぐらい、自分の中で過去の出来ごとになってました。
もう30年近く前ですね。

その後、東日本大震災のときに米不足というか、野菜なども含めて全般的に不足してました
それでも、この平成5年の米騒動ほどの混乱はなく、
「あれはいったい何だったのか」と思う一方で、
「主食となるものが、ほとんど不足することがない日本って、凄いよなぁ」と素直に感心してしまいました。

食料自給率自体は低下の一途を辿っているのでしょうけれど、
米に関しては、これだけ安定して生産・供給されているのって、
生活の安定度合いからすると、ものすごい貢献度だと思います。
日本人は、あんまりその有難味が分かっていないのではないかなと、
自分自身も反省。

著者の政治家評価(特に小沢一郎氏の評価)は興味深く読みました。
改元前のNHKの番組で、小沢一郎氏が仕掛けた小選挙区制による2大政党制の実現について
やっていたのをたまたま実家で見たのですが、その時も面白い政治家だなと思いました。
大局観をもって政治に当たり、自分が描いた理想の実現に邁進するという姿勢は
現役の他の政治家を見ても、そのレベルの人はごく僅かなように思います。

邁進する姿勢や剛腕なところは、好き嫌いが分かれるかと思いますが、
でも、批判されるのは、それだけブレずに筋が通ったことをやっている証拠だと思います。
今で言ったら、安倍首相がそんな感じ。
ブレブレヨレヨレで批判もままならない政治家よりも、
批判されるほど芯の通った主義主張を行う政治家の方が信用できると思いますね。

後半は、歴史を絡めた分析が続きましたが、
ちょっとニーズ違いだったので、また日を改めて読んでみますわ。




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『悪の対話術』
- 2015/04/28(Tue) -
福田和也 『悪の対話術』(講談社現代新書)、通読。

うーん、これは期待はずれでした。

みんな外面は作るから、会話をするときは気をつけなさいよ、
ということは分かるのですが、なんだか中身が薄い感じが・・・・・。

著者が口頭でわーっと話したことを
そのまま本にしたのではないかと思ってしまうほど。

残念。


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『暴論 これでいいのだ!』
- 2015/03/16(Mon) -
坪内祐三、福田和也 『暴論 これでいいのだ!』(扶桑社)、読了。

福田センセの本は何冊かチャレンジしてみたことがありますが、
坪内センセは、これまで意識したことがなかったので、試しに。

基本的には、2人がどこかの居酒屋で時事ネタをつまみに放談するという内容で、
人権派などが目くじら立てそうな発言もありつつ、ま~ぁ、言いたい放題な感じです。

10年前の対談シリーズのせいか、
最初は、ちょっと流れについていくのがしんどくて、
寝る前に、ちょぼちょぼ読み進めながら10日間ぐらいかかっちゃいました。

『SPA!』での連載だったということで、
結構、過激な発言をしても許されるという特権があったのでしょう。
身も蓋もない発言で笑わせてくれます。ただ、文量が物足りない。
もっと語り尽くしていたんだろうけど・・・・。
あと、構成の石丸元章さんのチャチャがちょっと鬱陶しいかも(苦笑)。

なんだか対談の内容そのものよりも、
お酒を飲みながら、いろんなテーマで自分の知識をぶつけ合い、
その化学反応や横道への逸れ方を楽しむという姿に、憧れてしまいました。
2人とも高い老舗から安い居酒屋まで、グルメの幅が広くて素敵。

高等遊民的な姿とでも言うのでしょうか。
もちろん、著述家として多忙を極めているというのが真の姿なのでしょうけど。

結局、これだけのページ数のある本を読んで、
坪内センセが早稲田で教えているということ以上には、
人物像がよく分からなかったのですが、後で検索してみたら、
父はダイヤモンド社社長、親戚に柳田國男や洋学者、英文学者がごろごろ居るという
まさに高等遊民を地で行くような人なのかもしれない・・・・・と驚愕。

そりゃ、博学にもなりますわなぁ。


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『怪物伝』
- 2014/02/26(Wed) -
福田和也 『怪物伝』(ハルキ文庫)、読了。

27人の人物が登場しますが、
知った人がほとんどいない・・・・・爆。

知っている人と言っても、教科書に名前が載ってた「○○事件の人」・・・ぐらいの認識で。

最初の感想は、
「いろんな日本人が居るんだなぁ」という、幼稚なものとなりました(苦笑)。

いわゆる日本人論で語られがちな、
「勤労」「まじめ」「控えめ」「清廉」などという枠組みには
全く当てはまらない人たちばかりが登場します。

個人的には、やはり政治家・軍人といった
日本を動かしていた人たちの「生」の部分に興味を持ちました。

この本を機に、伝記とかに進んでいくのが良いのでしょうね。


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『大丈夫な日本』
- 2014/02/17(Mon) -
福田和也 『大丈夫な日本』(文春新書)、通読。

読書の傾向が迷走しております。
陰謀論小説の次に、福田和也氏(苦笑)。

この本が書かれたのは2006年だったので、
まさに弱っている当時の日本に対して、
「本当はもっと強いんだ!」という力強い声をかける本かと思っていたのですが、
戦国時代、江戸時代など、過去の日本の強さを紐解いていこうという本で、
ちょっと期待した方向性のものではありませんでした。

なので、全然内容が頭に入ってこなくて、ツルっと表面を舐めただけに終わりました。

別の機会に読み直したいと思います。


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『この国の仇』
- 2013/09/22(Sun) -
福田和也 『この国の仇』(光文社)、読了。

この世の中、「正論」と言われるものほどタチの悪いものはないと思います。
「正論」と言われるものって、現実味ゼロなんですもの。
実行が難しいというレベルのものではなく、そんな状態は実現しえないというレベルです。
ハッキリ言って、思考停止と等しい主張だと思います。

なので、本作における著者の主張には、溜飲が下がりました。

「正論」を振りかざす人って、
今のこの瞬間におけることしか考えていないですよね。
その主張が実現できるかとか、実現すれば良い社会になるのかとか、
そういう長期的なスパンで考えるのではなく、
「今がダメだ!」と責め立てるための思考でしかないと感じます。

一体、日本という国をどうしたいのかが、さっぱり分かりません。

でも、彼らが言う「民主主義」の世の中では、
彼ら1人1人の主張にも意味があり、尊重せねばならないのです。
それこそ、2:6:2の法則で、上位20%の意見こそ真剣に検討すべきだと思うのですが。

こういう主張って、会社の経営などのテーマであれば、
それなりに大きな声で言っても大丈夫だと思いますが、
これが国家の運営というテーマになると、
「国民をバカにしているのか!」なーんてことになっちゃうんでしょうね。
なんとも残念。



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『人間の器量』
- 2013/08/12(Mon) -
福田和也 『人間の器量』(新潮新書)、読了。

タイトルはなかなかに上から目線ですが(苦笑)、
明治維新以降の大人物を紹介するという一冊。

小気味良いテンポで文章が進むので、面白く読み終えられました。
ただ、「器量」とは何か?という問いが
イマイチ曖昧なままで終わってしまいました。

大人物なら器量がデカイという理解で良いのでしょうか?
紹介されている各人物の器量の「形」が異なるので、
それ以上の具体的な理解につながりませんでした。

ま、でも、今の時代に器量のデカイ人物がいないということには納得。


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『超・偉人伝』
- 2011/05/15(Sun) -
福田和也 『超・偉人伝』(新潮文庫)、読了。

オバはん編集長との対決再び!ということで、見つけて即買い。
今回は、歴史上の人物にスポットを当て、その再評価をしようというもの。

ラインナップが政治家に偏っているわけでもなく、
宮本武蔵やナイチンゲールなんかも登場してきて、興味深いです。

ただ、どの人物においても、世間的な評価というのは
当人もしくは後裔による再構成が行われており、
世の評価に客観性というものは無いのだと再認識しました。

ま、偉人であればあるほど、利用価値は高いのですから、
当然、そうなるのですが・・・・。

巌流島集団リンチ事件についても触れられていました。
結構、有名な説なんですね。

著者とオバはん編集長&怪しい編集者たちとのくだらないやりとりを読んでいたら、
土屋教授と助手とのやり取りを思い出しました。
ま、土屋センセの死闘に比べれば、役に立つ情報は格段にありますが(苦笑)。

私の住まいのご近所にある新潮社別館で
日夜このようなバカ騒ぎが繰り返されていたとは・・・・。
道端で、オバはん編集者に遭遇できたりしないかしら?


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