『素直な心になるために』
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- 2021/11/12(Fri) -
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松下幸之助 『素直な心になるために』(PHP文庫)、読了。
積読だった中から何となく手に取りました。 今まで、何冊か松下幸之助氏に関する著作を読んできましたが、 今更ながらに思ってしまったのは、「松下幸之助という経営者は同時代の人ではないんだな」ということ。 私が生まれた時点で既に経営の最前線からは退いており、 亡くなった年に私は10歳。 大経営者は言え、私にとっては過去の人であります。 これまで著作などを読んできたときは、その経営者としての大局観や、お客様への思い、 部下や社員への心遣い、社会をこうしていきたいという熱意、それらを「凄い人だ」という 目線で見てきました。 しかし、今回、読んでいて湧き出てきた思いは、 「大成した経営者は、その大成した後で、それまでやってきた経営過程がすべて上書きされるから うらやましいな」というものでした。 例えばダイエーとの値引き販売大戦争。 販売代理店のオーナーを旅館に集めて対策を練ったというエピソードは、 ややもすると、現場の声を吸い上げて経営方針で改善すべきところは改善し トップから現場の最前線まで一丸となって取り組んだ・・・・・という美談になりがちですが、 販売代理店に課せられた熾烈な競争は、やっぱり非人道的なようにも思えます。 そういう若かりし頃、壮年期の頃の突っ走った行動について、 第一線を退いてからどう総括しているのかというのは、知りたいところです。 退いてから、最後、自分の中に残った信念や思いというのも大切ですが、 若い時から引退後までの自分の事業活動の推移を、 引退後の目線で一つ一つ振り返った本を読んでみたいなと思いました。 以前に読んだ『若さに贈る』が、それに該当するのかもしれませんが、 もっと、率直に、若いころの自分にダメ出しして欲しいなと感じました。 『若さに贈る』を読んだときは、納得して読んでいたのですが、 今、自分が小さいながらも経営者の立場になったので、 本作は、なんだか現場を離れた人のキレイゴトのように感じてしまっているのだと思います。 不況で客が減ってしまったうどん屋へのメッセージとか・・・・・私には刺さりませんでした。 ![]() |
『若さに贈る』
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- 2018/08/13(Mon) -
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松下幸之助 『若さに贈る』(PHPビジネス新書)、読了。
新書をドカ買いしてきた中の一冊。 松下幸之助氏が、若い世代の人々に向けて 自分の経験談や仕事の哲学を語った本です。 丁稚奉公の頃の話とか興味深く読みましたが、 9歳で奉公に出て、母を思う寂しさで涙が出る毎夜。 しかし、初めてお給金をもらうと、働いてお金をもらうという仕組みにはまり、 一人の寂しさも忘れて、働くことに熱中する日々。 この気持ちの切り替えが、松下幸之助ですよね。 このエピソードに触れると、その人の人生哲学というものは 子供の頃に出来上がっているのかなと思いますね。 三つ子の魂百までということかもしれません。 そんな少年が大人になると、日本一の経営者になっていくわけですが、 取引先の青年社長に向けて「小便が赤くなったことがあるか!」と迫る著者。 今、このセリフを言ったら(例えば三木谷さんが言ったとしたら)、 ブラック経営とか、圧迫経営とか、総叩きになるでしょうね。 どっぷり昭和なエピソードです。 でも、今の時代の、何でもかんでも「ブラック」と批判する風潮も、個人的にはどうかと思います。 確かに、松下氏のような経営者が、従業員に向けて「血尿が出るまで働け!」と強制したら そりゃ大問題だと思います。 でも、松下氏が、自分の考えで、血尿が出るまで働くのは、個人の価値観だと思うんですよね。 まぁ、経営者がそんな働き方をしてたら、直属の部下は休みにくいから 直接的な強制はなくても、間接的に強制だ!と言われると、それまでなのですが。 経営者は、陰に陽に従業員に与える影響を考えなければいけないですが、 一従業員の働き方を、形式的に統制する方法、 特に、今議論されている、労働時間を基準に管理する方法は辞めてほしいなぁと サラリーマンとして働いている頃はよく感じてました。 とことん仕事に取り組みたいという人間もいるんですよ~、ここに。 結局、長時間労働を続けると、勤務先に迷惑をかけてしまうとわかり、 独立することにしたのですが(苦笑)。 働き方改革の中で、高プロの議論がありましたが、 個人的には、自由に働けるようになると嬉しいなと思いつつ、 各企業がこの制度を趣旨通りに上手く運用できるかは疑問だなと感じました。 制度に問題があるというよりは、国会や世論の議論の内容を見ていると、 この制度を適切に運営できるレベルに、日本はいないのではないかと感じました。 高プロ制度を活用できる企業を許可制にするとか、 高プロ制度を導入していることが、企業にとって一つのステイタスになるような エリート意識をよりくすぐるような制度にした方が、 日本経済にとっては成果は出るんじゃないかなと思いました。 と、話が横にそれちゃいましたが、 一番印象に残ったエピソードは、散髪屋のお話。 「念入りにサービスしますね」との散髪屋の主人の心遣いで、 1時間で終わる散髪が、1時間10分に長引いたとのこと。 より丁寧にすべての工程を行ったのでしょうけれど、 むしろ松下氏としては同じ品質で50分に短縮してほしかったというもの。 私も同感。 日本人は、「スピード」「時間」に関する価値の置き方が弱いように思います。 「急いてはことを仕損じる」という言葉のせいですかね。 行動が早ければ、補正も早くできますし、 いろんな人の意見を反省させながら方向修正もしやすいですし、 良いことづくめなきがするのですが、一緒に働いている人を見てても スピードが遅く感じます。 スピード経営、もっと実践的に広まらないかなぁ。
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『松下とホンダ』
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- 2011/02/12(Sat) -
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大西宏 『松下とホンダ』(実業之日本社)、読了。
日本の大企業の経営論を知りたいなぁと思っていた時に この本を見つけたので、早速買ってきました。 よく、東洋経済やダイヤモンドなどの週刊誌に取り上げられるので、 なんとなく知ったつもりでいた両社ですが、 実は、本でしっかりと読んだのは初めてかもしれません。 (松下幸之助の本は読んだことがありましたが) 突き詰めれば、松下幸之助と本田宗一郎の話にはなるのですが、 彼らの理念や思想を、組織としてどのように受け継いでいるのかが 大きなテーマになっています。 まるでそれは、利己的な遺伝子が、自分のDNAを活かし続けるために 生物という組織を余すところなく活用し、再生する過程を見ているようで 非常に面白く読みました。 創業者の熱い思いが、大企業となった今も、 組織の一つ一つの細胞である従業員一人一人に息づいている そんな姿が目に浮かびます。 一方で、組織のカラーとしては、 全社一丸になる松下と、自由奔放のホンダ、 この対比が、また見事なまでに両極端で、面白いです。 日本の企業の発想の豊かさに触れられる一冊です。
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『人を活かす経営』
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- 2006/11/26(Sun) -
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松下幸之助 『人を活かす経営』(PHP文庫)、読了。
読み易い、理解し易い、腑に落ちる。 ふむふむと肯きながら、面白く読むことができました。 エピソードも豊富です。 松下幸之助翁のカリスマ性だからこそ通用したんだと感じる荒業の対処法でも、 その真意を説いている文章を読むと「なるほど」。 商売というものの考え方について勉強になりました。
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『松下幸之助の人の動かし方』
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- 2006/11/15(Wed) -
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藤井行夫『松下幸之助の人の動かし方』(三笠書房)、読了。
「経営者とは何ぞや」の答えを求めて、本書を読んでみました。 松下幸之助氏の経営者としての数々のエピソードをもとに、 経営者として部下に接する姿勢が説かれており、興味深く読みました。 また、松下氏の下で働いていた人々のによる松下評も多く取り入れられており、 バランスの取れた視点構成になっていたと思います。 自分の会社の経営者に、 松下翁と同じ行動を求めるつもりは皆目ありませんが、 松下翁と同じように熱意を持った経営を望みたいものです。
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