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『教養としての聖書』
- 2024/03/28(Thu) -
橋爪大三郎 『教養としての聖書』(光文社新書)、通読。

著者の別のキリスト教についての本は、キリスト教徒から内容に多数の誤りがあると批判を
受けているようですが、本作はどうなんでしょうね?
まぁ、著者が批判を受けて本の内容を書き直した、もしくは絶版にしたという話は聞かないので、
基本的に著者は自分の解釈が正しいと考え、他の本も同様に誤っている(もしくは独自の解釈をしている)
という可能性が高いんだろうなぁ・・・・・・と思いながら本作を読んでみました。

正直、私自身はキリスト教にはそんなに興味がなく(爆)、
どちらかというと、西洋人の物事の考え方を知るのにキリスト教というものを通して考えてみたいなと
思う口なので、むしろ著者のように独自の解釈をしている人の目を通した方が面白かったりするんですよね。
さすがに基本情報の事実誤認とかはマズいですけど。

で、本作ですが、キリスト教信者でない日本人であっても教養の一つとして
聖書の世界観は知っておいた方がいいですよ・・・・という目的の本です。
聖書の重要な個所を抜き出して説明してくれるのかな?と期待して買ってきたのですが、
確かに重要場面を抽出して説明してはいるのですが、大きな全体の物語の流れについては
それほど丁寧には書いていないので、正直、断片的なシーンごとの解釈にとどまっていて
根底に流れる聖書のストーリーみたいなものは掴みにくいです。

ただ一方で、著者は、聖書がもともと複数の本で構成されており、しかも後代の人が書き足したり
再編集したりしているものもあるため、そもそも一貫性はないんだということを述べており、
私のように、一貫したストーリーがあるという前提に読もうとする方が無理なのかもしれません。

そして、これまで何冊かキリスト教について書かれた本や聖書について書かれた本を読んだものの
全然腹落ちする感覚が得られず、未だに「キリスト教がなぜこんなに多くの人が信じるのか
よくわからない宗教だ」という感覚が拭えないのは、私が「一貫性」や「統合性」を求めてしまっているから
かもしれません。

たぶん、仏教も親和性の低い宗派の2つを取り上げて比較してみると、「全然一貫性がない」と
感じるのかとは思いますが、仏教が日本人の生活に深く関わっているため、
「仏教」という大括りな概念ではなく、「浄土宗」とか「真言宗」とか、もしくはもう少し大きく
「日本で一般的に信仰されている仏教の平均的概念」に沿って仏教を理解しようとするので
一貫性や統合性を感じられるのかと思います。

結局、自分自身が信仰していたり、もしくは自分が籍を置く社会に深く関わっている宗教でない限り
本質の理解というか、体全体で馴染める理解というものは、難しいのかなと思ってしまいました。

本作で一番印象に残ったのは、「キリスト教では信徒が神に質問したり提案したり議論したりしても構わない」
というところ。確かに、神と交渉している様子が聖書に描かれていることを読むと、
ちょっと自分が抱いていた一神教の神のイメージとはズレてきます。

宗教の話は、その経典や歴史だけでなく、信者の価値観や人生観みたいなものとセットで学んで、
さらに、学びの対象を宗教ではなくリアルな人間である信者の方に置いた方が
理解しやすいのかなと感じました。




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『ふしぎなキリスト教』
- 2017/10/03(Tue) -
橋爪大三郎、大澤真幸 『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書)、読了。

先日読んだキリスト教解説の本が肩透かしだったので、
出版後に話題になっていた本作に挑戦。

分かりやすいという感想以外にも
間違いが多すぎるという指摘が多いという問題作です。

まずは、批判を読まないまま、本作の方を読んでみました。

いつも通り、橋爪センセの、本来の定義や意味合いとは異なる視点からの
新たな定義づけだったり、切り口を替えた意味づけだったりで、
キリスト教の教義や意義を語ってくれるので、
キリスト教にどうしても馴染みが持てない自分としては
「そういうことか!」と理解が進んだような気持になりました。

キリスト教を信仰している方や、キリスト教を研究している方からすると
「その解釈は間違っている!」「そんなぞんざいな物言いをするな!」と
怒りたくなってしまうところもあるのでしょうけれど、
キリスト教アレルギーがある人間が読むには、
これぐらいの解説の方が頭にすんなり入ってくる感じです。

ちょっと、大澤真幸氏が対談においてはしゃぎ過ぎな印象もありますが、
キリスト教の思想に大きな声で突っ込みを入れたくてしょうがないという本心が
モロに出ちゃっている感じです。
それに対して橋本センセが、「まぁまぁ、こういう考えなんだから仕方がないじゃない」
とクールダウンさせるキャラ付けになっています。

その躁状態で口走る内容と、クールダウンさせるために行う解釈の
両方が、キリスト教を崇める方々には癪に障るのでしょうね。
かなり上から目線で両氏ともキリスト教を語ってますから。

読み終わってから、「ふしぎなキリスト教×間違い」で検索したら、
見事な間違い指摘の一覧表が出てきて、
結局、キリスト教側の人々も、この本を間違い探しのレクリエーションとして楽しんでるじゃない(爆)
という歪んだ感想を持ってしまいました・・・・・・・・すみません。


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橋爪 大三郎 大澤 真幸

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『はじめての言語ゲーム』
- 2015/02/01(Sun) -
橋爪大三郎 『はじめての言語ゲーム』(講談社現代新書)、通読。

著者の名前で、ある種、ブランド買いをしてみたのですが、これは難解でした。

ヴィトゲンシュタインの幼少期の話から始まり、
記号論理学という数学の話、ナチスによるドイツ帝国支配、そして論理哲学論考の話へと、
分野を超えて、様々な話に広がっていくところは非常に興味深いです。

しかし、それぞれの話のレベルが高度すぎて、
読んでいる途中で思考停止状態になってしまいます(苦笑)。

ま、毎日、11時、12時まで残業している生活の中で手にとる本ではなかったですね・・・・。

作中で、「クリプキのクワス」という話が出てくるのですが、
あるとき2人の人が、同じ計算問題を解いていたが、途中で答えが合わなくなってきた。
1人は、「A+B」の計算をしていたが、
もう1人は、「A+B、ただしAかBが57を超えるとA+B=5となる」というロジックで計算をしていた。
閾値が57という比較的小さい数字だったために相違に気づいたが、
閾値が1兆というような場合は、簡単な計算をしている間は、2人は相違に気づかず、
同じロジックのもとで計算をしていると思い込んでしまう・・・・・。

この話は、数学の話から、社会生活へと視点を変えてみると、
非常に面白いことを指摘していると思います。
みんな、全員が同じ考え方のもとで動いているように思い込みがちだが、
たまたまこの瞬間に同じ方向を向いているだけで、拠って立つ思想や価値観は全く異なるということは
普通に起こりうることだと思います。

抽象度の高い議論は、
様々な分野に応用が効いて面白いなと感じる事例でした。

でも、他に解説されている抽象度の高いお話は、
難しくてよく理解できず・・・・・・(悲)。


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『科学技術は地球を救えるか』
- 2014/02/27(Thu) -
橋爪大三郎、新田義孝 編 『科学技術は地球を救えるか』(富士通ブックス)、読了。

気象学の本を探しに行ったら、
橋爪センセのお名前が目に付いたので、買って来ました。

生物学、植物学、化学、大脳生理学、物理学など、
様々な自然科学のジャンルが扱われており、
問題認識の立て方や、仮説の設定の仕方、解決へのアプローチ方法、時間軸の捉え方など、
それぞれの特徴が出ていて面白かったです。

三重県生まれとしては、「四日市ぜんそく」は、小学校で公害病を習う際に
必ず頭に植え付き、かつ、このようなテーマで全国に名前が知られることに対して
不名誉な感情を覚えるという、ブルーな思い出を持っています。

ただ、今回、その「四日市ぜんそく」の問題に対して、
当時、どのような原因調査が行われ、対策が打ってこられたのかということについて
自分が全く無知であったことを恥ずかしく感じました。
保健所や県庁がどのような判断と対応をしてきたのか、基本的なことを知ることができ
良かったです。

そして、お目当ての気象学については、やはりと言うか何と言うか
「地球温暖化」問題について、橋爪センセ自らが筆を取っています。
(残念ながらセンセは「CO2削減のため炭素税を!」派です・・・)

しかし、こうして他の自然科学の分野と並べて読んでみると、
際立った特徴が2つあることを再認識しました。

①論じられる内容が、「事実」「分析」「データ」から、いつの間にか「政策」の話になる
②気象学の専門家ではない人が何かと主張を述べやすい

つまりは、「温暖化問題」というのは、自然科学のテーマではなく、
際立って政治的・経済的なテーマだということが分かると思います。

図らずも、そのような政治的な臭いを
自ら強く発してしまっている本だと思います。




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『人間にとって法とは何か』
- 2011/02/07(Mon) -
橋爪大三郎 『人間にとって法とは何か』(PHP新書)、読了。

最近お気に入りの橋爪先生の著作。
これは、人間学アカデミーという講座での講義録です。

前から、橋爪先生の言葉の定義が非常に明快でわかりやすい感じていたのですが、
本作を読んでいて、そのわかりやすさの理由がわかりました。

抽象的な言葉の定義をするとき、だいだい人は、理念のようなところから
話をスタートさせてしまいます。どうあるべきかというような。
でも橋爪先生の定義は、どちらかというと、結果の方に重きを置いた定義なんです。

例えば、「秩序」とは、

各人の自由が制限されて、人間の相互関係がパターン化すること

これが普通の辞書的な定義になると

その社会・集団などが、望ましい状態を保つための順序やきまり

前者の方が、自分の身で感じていることをベースに理解できて、
体感的に理解することができると思いませんか?
こういう面白さが、橋爪作品にはあるんだということが、本作での発見でした。

さて、内容はというと、人間と法との関係を宗教をベースに説明していて、
前に読んだものとテーマが被ってました。
しかも、本作の方が、歴史の話にもウェイトが置かれていて、
歴史解説の方は、さほど目新しい視点での話ではなかったので、
これまでに読んだ本ほどの衝撃は無かったです。

でも、他の著作も、どんどん挑戦してみたいと思います。


人間にとって法とは何か (PHP新書)人間にとって法とは何か (PHP新書)
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『政治の教室』
- 2010/09/12(Sun) -
橋爪大三郎 『政治の教室』(PHP新書)、読了。

以前、ブックオフでドカ買いしてきた中の一冊。
「教室」という言葉のニュアンスから、
小泉政権とか民主党政権とかいった、今の政治を取り扱ってるのかな?と思いきや、
政治の原理などについて詳しく解説された本でした。

当初の予想とは違いましたが、非常に面白い内容でした。
『社会学講義』でも感じたのですが、
「政治」とか「権力」とかいう抽象的かつ根本的な用語の定義が
簡単明瞭で非常にわかりやすい。そして、一つ一つの言葉の定義で終わるのではなく、
各定義の内容に一本筋が通ってるんです。だから、全体を通してわかりやすい。

本作では、政治の母体が宗教を軸とする思想の持ち方にあると考え、
各文化における宗教的発想の解説が前半でなされています。
ここでの整理・比較が非常に面白かったです。

そして、日本人が、政治というものをどれだけ理解できていないのか、
むしろ、なぜ理解できないのか、という観点で解説されていて、
眼からウロコでした。

こりゃ、橋爪先生の著書を他にも読んでいかないといけませんね。


政治の教室 (PHP新書)
政治の教室 (PHP新書)橋爪 大三郎

おすすめ平均
stars政治の仕組みが分かる啓発書
starsムラ社会・党派・西洋崇拝
stars小室直樹の劣悪なエピゴーネン
stars動機付けのための本。出版が一年遅れていたら売れたかも。
stars何もかも中途半端 情報に信頼性が低い

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橋爪大三郎の社会学講義 (ちくま学芸文庫)
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『橋爪大三郎の社会学講義』
- 2009/04/27(Mon) -
橋爪大三郎 『橋爪大三郎の社会学講義』(夏目書房)、読了。

購入してからずーっと本棚に飾られていたのですが、
ふとした拍子に手にとってパラパラしてみたら、
「なぜ人は結婚するのか」「猥褻と道徳」「オウム真理教」など
なかなか面白そうな内容だったので、そのまま読んでみました。

読み終わった今、なぜもっと早く手をつけなかったのかと後悔。
「政治」「経済」「文化・宗教」という切り口で
社会学の考え方を易しく説き諭してくれます。

むしろ、大学1年生の時に読みたかったなぁというのが正直なところ。

社会とは人間と人間の関係に他ならず、
「関係」を人間と切り離さないところが社会学のモノの見方の最大の特徴

この指摘には、大きくうなずけました。

高校生の時に「社会学って面白そうだな・・・・」と思ったのは
まさにこの「関係」「有機的なつながり」を重視する
視野の広い学問だというところに惹かれたからです。
(もちろん、こんなにスマートに言語化できていたわけではありませんが)

本作を読んで、「やっぱり社会学って面白いな」と再認識できました。


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