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『きらきらひかる』
- 2010/09/28(Tue) -
江國香織 『きらきらひかる』(新潮文庫)、読了。

この方の作品を読むにつれ、
「なんでこんな不思議なお話を、リアリティをもたせて書けるんだろうか」と
不思議に思います。

ホモで人が良すぎる夫とアル中で精神不安定な妻。
この2人に、夫の同じ嗜好の友人たちや妻の唯一の友人、
さらには双方の両親までが登場して、この2人の不思議な生活を
散らかしたり、片づけたり。

なんとも不思議な毎日が展開されていくのです。

でも、この夫婦は、この夫婦なりにお互いのことを考えていて、
ちょっと、というか相当に思いつきな行動を取って
お互いを傷つけてしまったりもするのですが、
この2人らしい道を辿って、乗り越えていくんです。

行き当たりばったりな行動で、窮地に追い込まれるタイプの人物は
あんまり好きになれないのですが(苦笑)、
結構、淡々と乗り越えていく彼らに、不思議な強さを感じました。

そして、そんな彼らに強さをそこはかとなく与えられる作者は、
やっぱり凄い。


きらきらひかる (新潮文庫)
きらきらひかる (新潮文庫)江國 香織

おすすめ平均
stars水を抱く。
stars軽薄
stars江國ワールド
starsいたってピュアな恋愛小説
stars三冊目です

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『赤い長靴』
- 2010/06/12(Sat) -
江國香織 『赤い長靴』(文春文庫)、読了。

読んでいて、辛い小説でした。
妻にも、夫にも、共感できませんでした。

それは、彼らの存在にリアリティがないからではなく、
逆にリアリティがありすぎて、
「あぁ、結婚生活というのは、とどのつまり、こういうことなんだろうなぁ」と
非常に悲しい気持ちになってしまったからです。

妻と会話をしようとしない夫、
それは、会話を拒否しているのではなく、
意味のある会話をすることに意義を見つけられないからのようであり、
こういう人間と毎日生活をするなんて、絶望的な状況だと私は感じてしまいます。

なのに、妻は、その夫を受け入れ、
何かしらの不安を感じてはいるものの、概ね、その夫との生活を肯定してしまいます。
この妻の思考感覚が、私には受け入れられず、それで共感できなかったのだと思います。

ディスコミュニケーションの状況に不満を持っているはずの妻が、
なぜか、そんな夫との生活を良しとしてしまうこと。
もしこれが、世間一般の夫婦の在りようならば、
結婚というもののが非常に怖くなりました。


赤い長靴 (文春文庫)
赤い長靴 (文春文庫)
おすすめ平均
starsひとりでいる孤独と、ふたりでいる孤独と
stars何故かぐいぐいと読んでしまう
starsきっとこうなるのだろうなあ、と思った。
stars我が家と照らし合わせ
starsある意味「結婚生活」とはこういうことかも

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『思いわずらうことなく愉しく生きよ』
- 2010/05/09(Sun) -
江國香織 『思いわずらうことなく愉しく生きよ』(光文社文庫)、読了。

三姉妹それぞれの生活を描いた作品。
あまりの面白さに、一気読みしてしまいました。

江國さんが描く家族の様子、特に姉妹の交流が、私は大好きです。

自分に姉妹がいないから、想像たくましくしてしまうのでしょうか。
それとも、憧れなのでしょうか。

姉妹3人の生活における哲学というか人生観というか、
それは、一般的なものから見ると極端なものに映るのですが、
でも一本筋が通っているので、非常に清々しいです。

私は、仕事面では治子、生活面では育子の考え方に近いように思ったため、
彼女たちに肩入れしながら読んでいましたが、
でも、彼女たちのようにはなれないし、なりたいという感じでもありません。

ただ、彼女たち個人個人は客観的に見ることができても、
彼女たちの姉妹としてのつながりには、「いいなぁ」と思ってしまいます。

私も、家族は大事に思っていますし、
離れて暮らしていても、それぞれとしっかりと繋がっていると感じていますが、
姉妹でバーに行って、あれこれ言いあう姿を見ると、
ちょっと羨ましく感じてしまいます。

弟を呼び出して、お酒でも飲もうかしら。


思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)
思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)
おすすめ平均
stars不毛な男女関係の痛み
stars図書館で借りて読んで、よかったので自分で購入しました。
stars土日で読めました
stars読後、しばらく頭か離れない
stars女はやっぱり強いもの

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『号泣する準備はできていた』
- 2009/09/13(Sun) -
江國香織 『号泣する準備はできていた』(新潮文庫)、読了。

直木賞受賞作でございますが、
何冊か江國作品を読んできた身からすると、
「この作品で受賞なのか・・・・」という気がしないでもありません。

面白いのは面白いのですが、
突き抜けて面白いのかと問われると、そうでもないような気が。
他にもっと好きな作品があるので。

直木賞候補という意味では、
『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』のほうが
より面白く読めたように思えます。

まぁ、賞の受賞というのは、他の候補作との競争でもありますから、
そのときの運不運も絡んでくるのでしょうけれど。

収録作の中では、
「じゃこじゃこのビスケット」にあるような少女の視線や
「熱帯夜」で描かれた人間関係の隙間にある諦念のようなもの、
「溝」に出てくる演じられた人間が集まってにぎやかに見せる寂寞感、
「こまつま」の主婦の自己主張の滑稽さ、
「どこでもない場所」の女の友情など、
それぞれに淡々とした言葉の配置の中で鋭い観察眼を示していて、
相変わらず凄い作家だなあと思いました。

こうやって挙げてみると、やっぱり、この作品を十分に楽しんでいたみたいですね、私。


号泣する準備はできていた (新潮文庫)
号泣する準備はできていた (新潮文庫)
おすすめ平均
stars個人的には幸せな物語が読みたかった
starsほのめかすところが多すぎて。。
starsまあまあかな
stars情熱的な恋も、いつかはやがて冷めていく
stars庇護

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泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)
泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)
おすすめ平均
starsささっと
starsほんの3日で内容をすべて忘れてしまった
stars10人の女性の人生模様を垣間見る
starsすき。
stars駄目だ、この人

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『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』
- 2009/08/23(Sun) -
江國香織 『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』(集英社文庫)、読了。

私は、小説にしろ、映画にしろ、舞台にしろ、
「群像劇」というものが好きなんだな、と、改めて実感出来た作品でした。

おもしろかったです。

これだけの登場人物を、各章で、
正味1~3ページずつぐらいの分量で描いて行きながら、
それぞれのキャラクターが立っていて、何を感じ何を考えたのかちゃんと伝わり、
そして物語がちゃんと進行していくということに
またまた感じ入りました。

でも、物語として読むと、なかなか怖い作品です。

なんで、みんな結婚するんだろう?
何のために結婚するんだろう?
結婚すると幸せになれるんだろうか?

「幸福と呼ぶところのある種の愚鈍さ」

まさに、この小説の中で出てきたこの愚鈍さが無いと、
幸せな結婚はできない気がします。

どんどん、結婚することの意味がわからなくなってきました。


薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)
薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)
おすすめ平均
starsやりきれなさを感じる
starsファッション誌の連載だからこういう感じ?
starsズバリ、私は恋がしたくなりました。
stars情がない
starsまずタイトルが好きだ

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『ホテルカクタス』
- 2009/06/06(Sat) -
江國香織 『ホテルカクタス』(集英社文庫)、読了。

同じアパートに住む、「きゅうり」と「数字の2」と「帽子」のお話。

きゅうりがエクササイズに熱中したり、
数字の2が役場に勤めていたり、
帽子がカメを飼っていたり、
きゅうりが枝豆をゆでたり、
数字の2が数字の14と数字の7から生まれてきたり、
帽子が無常を嚙みしめたり。

普通の頭で考えると到底理解できないような世界が描かれているのに
「そんな世界もあるんだろうな」という気持ちで
何の疑いも無く受け入れられてしまう。
これぞ江國マジック。

3人ともファンタジーの世界の住人じみた幼さを持っているのですが、
その分、感じる心は洗練されているんです。

「あぁ、そういうときは、そんな気持ちになるよね」ということが
ストレートに伝わってくるんです。

最後、3人は約束をして別れます。
信頼の元で終わる物語というのは
読んでいてとても幸せな気持ちになれるんだなと実感しました。


ホテルカクタス (集英社文庫)
ホテルカクタス (集英社文庫)江國 香織

おすすめ平均
stars帽子ときゅうりと数字の2って・・・
stars愛すべき登場人物
starsいつも、もっていたい1冊
starsお気に入りです
stars不思議な国の物語

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『ウエハースの椅子』
- 2008/11/06(Thu) -
江國香織 『ウエハースの椅子』(ハルキ文庫)、読了。

こういう、あまりに内面と対峙し続けて
しかも取り留めのない思索が延々と繰り広げられる作品は
本来苦手なはずなのですが、これは楽しめました。

いや、楽しい、面白いというより、
主人公の精神がどうなっていってしまうのだろうかという恐怖にも似た気持ち。

出だしから、絶望とお友達の私。

どう考えても、悲しい結末に向かっていきそうな予感。

恋人とぴったりだからこそ、その終焉の悲しさは何倍にも。

感情とは関係無しのような細かい動作を一つ一つ述べることで、
大きな感情の流れを外枠で描いて行く・・・・・この技量には感服。


ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)
ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)江国 香織

おすすめ平均
stars氷でできた檻に閉じ込められる・・・そんなお話
stars脆いからウエハース?
starsある意味、終わってしまった恋
starsべったり甘くないです?
starsよくも悪くも少女趣味

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『こうばしい日々』
- 2008/10/25(Sat) -
江國香織 『こうばしい日々』(新潮文庫)、読了。

久々の江國作品は、中編2本。

表題作「こうばしい日々」は、あっさりしていてちょっと物足りなかったかな。
アメリカ嫌いのお姉ちゃんと「ハニー」なんて呼んじゃうお母さんとの
やりとりをもっと読みたかったな・・・・なんて。

もうひとつの「綿菓子」は連続短編集。
綿菓子の夢から始まるところも斬新でしたが、
主人公みのりの成長の過程も感じられて面白かったです。

解説で、前者の主人公ダイはまだまだ子供っぽくて
みのりのほうが大人の視線を持っていると書かれていましたが、
後者の作品に惹かれたのは、そんな違いからかもしれません。


こうばしい日々 (新潮文庫)
こうばしい日々 (新潮文庫)江國 香織

おすすめ平均
stars一番のお気に入り小説
stars恋のはじまり
stars素直に、こう思った。
starsさわやかです
stars香ばしいのはチョコレートブラウニーかな?

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『いじめの時間』
- 2008/03/22(Sat) -
江國香織 他 『いじめの時間』(新潮文庫)、読了。

「いじめ」とは、少年少女のモノの考え方、行動への映り方が
ある意味、最もストレートに表出する現象だと思います。

なぜ「いじめ」が起こるのか。

特定の生徒、特定の学校、特定の地域で発生するのではなく、
全国どこででも起きてしまうということは、
この年代の子供たちと学校という環境とが組み合わさったときに、
いじめの温床は出来上がってしまうものなのだろうと思います。

「いじめ」をテーマにした作品を読むこととは、
その温床に目を向け、理解しようとする行為だと思っています。

そういう観点でこの作品集を見ると、
「いじめ」の事象を真正面から描こうとはしているものの、
少し物足りない印象を受けました。
温床から芽が出る瞬間が、描き足りないように感じたのです。

かつて、山田詠美の「風葬の教室」において、
「いじめ」が発生するきっかけ、その瞬間を描ききった文章を読んでしまったため
相当ハイレベルな作品でないと、
私自身、読んでいて納得がいかないようになってしまっているのかもしれません。

でも、この短編集は、
「いじめ」を堂々とテーマに掲げ、短篇集に仕上げたという功績は
素晴らしいものだと思います。

子供の世界を納得性を持って描ける作家さんが増えればいいのにと
切に願います。


いじめの時間
いじめの時間江國 香織

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おすすめ平均 star
star心をえぐられる。
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蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)
蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)山田 詠美

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starsぞくぞく感
starsこの本に会えて良かった!!
starsおとな(←どういう字を書く?)のやり方
stars仲間はずれの日常の感覚
stars子どもの頃の切ない気持ち。

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『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』
- 2007/10/31(Wed) -
江國香織 『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』(集英社文庫)、読了。

思いのほかエロティックな作品集であったことに若干の驚き。

いずれも短い作品なのに、
それぞれの世界観が数ページ読んだだけで伝わってきます。

「普通」とはちょっと違う人々を描きながら、
「あぁこれが彼らにとってのありふれた日常なんだろうな」と
感じさせてしまう筆致に脱帽。

ボーリング場にいる主婦4人を描いた「うしなう」は
根底に「まがまがしさ」を孕んでいるように感じ、
読んでいてゾッとするようなところがありました。


泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)
泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)江國 香織

おすすめ平均
starsささっと
starsほんの3日で内容をすべて忘れてしまった
stars10人の女性の人生模様を垣間見る
starsすき。
stars駄目だ、この人

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