『私の岩波文庫』
- 2015/02/24(Tue) -
山本夏彦 『私の岩波文庫』(文春文庫)、読了。

夏彦翁が、岩波書店について、そして日本の出版界について語り尽くします。

雑誌『室内』という異端児の編集長(かつ社長)だからこそ、
また名コラムニストとしてならしたからこそ、
業界の最大手であり権威ですらある企業に対して
容赦のない批評を下します。

読者として、その容赦のなさが小気味いいのではなく、
むしろ、批評が叱責やただの毒舌に成り果てないバランス感覚にこそ
心地よさを感じるのではないかと思います。

本作では、あまり読んだことのない、日本の出版界史を知ることができ、
なかなかに興味深かったです。

そして、辛口批評が並ぶからこそ、
夏彦翁が出版業を愛してやまないという姿が垣間見えます。


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『誰か「戦前」を知らないか』
- 2014/11/29(Sat) -
山本夏彦 『誰か「戦前」を知らないか』(文春新書)、読了。

夏彦翁と『室内』の女性編集員さんとの問答集。
先日、先に続編の方を読んでしまい、改めて本作をば。

すでに師弟問答の形が出来上がっているのが流石ですが(笑)、
夏彦翁が本題からそれていくと、巧みに・・・・・というよりバッサリと斬って軌道修正させる
この女性編集員さんの能力や恐ろしい。

夏彦翁が否定する「戦前戦中まっ暗史観」について、
こうやって指摘されると、確かに昭和も後半の生まれの私としては、
戦前戦中はグレー一色のような空間を描いてしまうところがあるなと気づかされました。
負けたとはいえ、あれだけの大きな戦争を引き起こすだけの力は少なくとも
当時の日本にはあったわけで、産業力や技術力だけでなく、
国民の生活水準や意識の高さみたいなものも、相応の程度だったのだと思います。

戦争に負けるということは、
自国の記憶をも変えていってしまうのですね・・・・・・。


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『百年分を一時間で』
- 2014/05/23(Fri) -
山本夏彦 『百年分を一時間で』(文春新書)、読了。

夏彦翁と、雑誌『室内』の編集部員との間の問答集。

一方的に夏彦翁がしゃべるのかと思いきや、
編集部員、かなり頑張って応戦しています(笑)。

この、大御所と、それに歯向かう下っ端の構図は、
内田百閒先生とヒマラヤ山系くんとのぼわぼわとした会話、
もしくは、土屋賢二センセと助手との仁義なき戦いを彷彿とさせます。

しかも、相変わらず、世の中に向けて毒も吐いており、言いたい放題です(笑)

どうやらこの問答集、第2弾のようなので、
前の作品も見つけ次第読みたいと思います。


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『「夏彦の写真コラム」傑作選1』
- 2013/10/27(Sun) -
山本夏彦著、藤原雅彦編 『「夏彦の写真コラム」傑作選1』(新潮文庫)、読了。

夏彦翁のコラムを、藤原センセが編集したもの。
すでに読んだコラムも含まれていると思いますが、
何度読んでも切れ味抜群。

今回は、「写真コラム」と銘打っているだけあって、
週刊新潮にコラムを掲載していた際の写真も何点か載っています。

全てのコラムに写真が付いていたはずなのですが、
本作にするにあたってチョイスされた写真が、これまた強烈です。

初っ端に、いきなり原爆で亡くなった方の遺体の写真。
戦後6年経って「アサヒグラフ」に掲載された写真だそうですが、
戦争の恐ろしさや人間過ち云々を考える前に、「死って怖い」「死体って気持ち悪い」という
感覚的な嫌悪感がぞくぞくと湧き上がってきました。
「アサヒグラフ」の特集が話題になっていた当時に、
「週刊新潮」にこの写真が転載されても、受け入れる気持ちの準備は相応にあったと思います。
しかし、今の時代に、コラム集という形で文庫本を読んでいる際に、
この写真に遭遇するのは避けたかったなぁという思いです。
藤原センセなりの思いがあってのチョイスだったのでしょうが・・・。
こういうヤワな読者へのムチなのかもしれませんね。

他の写真も、「役者のくせに勝手に太る」と題し、歌舞伎役者が太り過ぎだと非難したのち、
「江守徹の太ったのに驚いた。気味が悪い。」と書き連ね、江守徹の笑顔の写真を掲載。
これを「週刊新潮」上でやったというのだから、思い切りの良さに脱帽。
夏彦翁にしかできませんわ。

本当は、文章だけ読んでいても、江守徹のことをズバッと批判しています。
「夏彦翁、いつもどおり口が悪いなぁ・・・(苦笑)」なんて思えるはずなのですが、
写真が付くと、その口の悪さが際立って見えてきます。

というわけで、本作で感じた最大の事は、「写真の威力」というものです。
「写真は『ありのままの事実』を突きつける」ということは分かっていましたが、
文章と並んで掲載されることで、文章のパンチ力、写真のパンチ力ともに
大いに増すものなのだと実感しました。

そして、『ありのままの事実』とカッコ書きにしたのは、
「客観的な事実なんてない」と私が思っているからです。
江守徹の写真も、説明書きを「日本を代表する有名俳優」と付ければ、
その笑顔は堂々とした俳優に見えるはず。
「太り過ぎて気味が悪い、えくぼを出して笑ってる」なんて書かれれば、
確かに気味が悪く見えてしまう(苦笑)。

『事実』なんて、切り取り方、見せ方で、どうにでも作れてしまうということを
改めて認識し、情報というものの怖さを痛感しました。


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『「社交界」たいがい』
- 2011/10/15(Sat) -
山本夏彦 『「社交界」たいがい』(文春文庫)、読了。

夏彦翁の安定した毒舌(苦笑)に、
ついつい引き寄せられてしまいまう、だるい週末。

報道されなければ存在しない

最近の日本で喧々囂々の状態を巻き起こしている社会問題を
指摘しているかのような内容。
いつの時代にも当てはまる真実を伝えてくれる名コラムだと思います。

表題作の「社交界たいがい」は70ページもの長文でしたが、
毒舌コラムを期待している立場からすると、
ちょっと読み通すのがしんどかったです。


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『かいつまんで言う』
- 2011/09/17(Sat) -
山本夏彦 『かいつまんで言う』(中公文庫)、読了。

さて、夏彦翁。

特に考えずに手に取ったら、
小林多喜二の話や、学生運動の話など、
最近、読んだ本にまつわる話が多くて、ヒットでした。

婦人参政権なんていらないと、またまた問題発言していますが、
表面的な言葉の意味ではなく、
皮肉の向こう側にある思いを捉えれば、
なかなか、どうして、深い言葉です。


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『変痴気論』
- 2011/03/16(Wed) -
山本夏彦 『変痴気論』(中公文庫)、読了。

気持ちが沈んでしまう時には、
夏彦翁の毒に当たったほうがよいかもしれないと思い、
読んでみたらピッタリ!

世の中を、バサバサと斬っていく物言いに、
背中がシャンとする感じでした。

本日現在の日本の社会に立ち会ったら、
夏彦翁は、なんと声を発したのでしょうか。
聞いてみたいです。


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『毒言独語』
- 2010/12/23(Thu) -
山本夏彦 『毒言独語』(中公文庫)、読了。

「週刊朝日」と「毎日新聞」に連載されたコラムをまとめた一冊。
文庫本で3ページないし2ページの分量で、
この年末のバタバタした時期には、とっても読みやすい(笑)。

「何用あって月世界へ」の話も出てきましたが、
この方の批評には、言葉にリズムがあって、心地よいです。

もちろん、その批評の中身も、ズバッと来るので、心地よいです。

本作は、2~3ページというのが、この著者のリズムと
ちょうど合っていたように感じました。

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『茶の間の正義』
- 2010/11/21(Sun) -
山本夏彦 『茶の間の正義』(中公文庫)、読了。

BOOK OFFに夏彦翁が3冊並んでいるのを発見。
全部買ってきました(笑)。

日本人がどれだけ空っぽなのかを懇々と説く一冊です。

相変わらずの捻くれ文章。
その捻くりぶりを妻に責められたと、この本の中でも嘆いていますが、
その文章も捻くれています(笑)。

「職業にはやっぱり貴賤がある」なんてことをずばりと言ってのける毒舌ぶりですが、
みんな差別の意識に蓋をして、口先だけを繕っているだけで、
きっと、腹の中ではそう思ってますよね。
それを敢えて口にしないのが、結局は、「茶の間の正義」なんですよね。

「正義」なんて、薄っぺらいモノですね。


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『何用あって月世界へ』
- 2007/12/05(Wed) -
山本夏彦 『何用あって月世界へ』(文春文庫)、読了。

相当お久しぶりの山本夏彦翁。
なかなかブックオフでは出会えません。

で、やっと見つけた本作は、コラム集ではなく「名言集」。
一つの文章の中で毒舌を味わいたかったなぁと思いながらも、

「馬鹿は百人集まると百倍馬鹿になる」

なんて台詞を突きつけられたら、やっぱり「フフフ」と笑ってしまうのです。


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