『ウェブ時代5つの定理』
| ||
- 2013/09/01(Sun) -
| ||
梅田望夫 『ウェブ時代5つの定理』(文春文庫)、読了。
久々の梅田本ですが、 今回は、シリコンバレーで活躍するテクノロジストや経営者の方々の 熱い言葉を紹介する本です。 「他人の言葉で本を出すなんて、気楽な商売だなぁ・・・」と 普通の本であれば思ってしまうところなのですが、 本作は著者の実体験を通して語られていて、生の声という実感が伝わってきて 非常に面白かったです。 思えば、初めて読んだ梅田本で、Googleの野望を知り、 これは凄い企業が現れたものだ!と大興奮した記憶があります。 そんな企業が発現する土壌は、やはりシリコンバレーの文化にあるということが 良く分かりました。 GoogleやAppleという企業のエネルギーは、日本人の誰もが知っていますが、 「なぜ日本では、こういう元気な企業が生まれてこないのか?」という問いに 答えられる人は少ないのではないかと思います。 この答えを探すのに、アメリカと日本を対比していたのでは答えが出ないと分かりました。 アメリカから切り離して、シリコンバレーという土地の文化の特異性を考えるべきなのです。 GoogleもAppleも、如何に企業を大きくするか、如何に儲けるかという思惑ではなく、 「自分たちがより良い世界を作るんだ」という気概に溢れています。 そういう点では、正義の味方・アメリカ様のピュアな精神の現れの1つかもしれません。 しかし、その思いに、「アメリカの国益」「我が国の繁栄」というものが入ってこない点が、 シリコンバレーの面白さだと思います。 彼らは、アメリカなんて小さな枠組みは全く意識しておらず、 「人類世界」もしくは「神が創ったこの世界」というものを相手にしていると感じます。 これは、「日本は・・・」「日本人は・・・」「最近の若者は・・・」という狭い枠組みで 世の中を捉えている人には、絶対に出てこない発想の広さを持っています。 自分も、そういう視野の広さを持って、日々、世界に接したいと思いを新たにしました。
![]() |
||
『フューチャリスト宣言』
| ||
- 2010/12/05(Sun) -
| ||
梅田望夫、茂木健一郎 『フューチャリスト宣言』(ちくま新書)、読了。
『ウェブ進化論』で衝撃を与えてくれた梅田氏と 前から興味があって読みたかった茂木氏の対談ということで、 非常に期待をして読んだのですが、期待通りの面白さでした。 IT化の進展により、遇有性が加速度的に高まるだとか、 ダーウィン的な発想が必要になるだとか、 IT化により社会全体の動きが一つの脳のような組織に近づいて行っているという 指摘が非常に興味深かったです。 人間が、技術を手に入れ、それをとことん活用しようとすると、 全く新しいものが生まれるのではなく、 自らの体に既に持っている物にどんどん近づいていくというところに 生物というものの不思議さを改めて感じました。 その生物の神秘を探るためにも、 今度は、モギケンの著作を読まねばいけませんね。 あと、何度も本作中に出てくるダーウィンの名前を見るたびに、 「あぁ、可哀そうなウォレス・・・」と思わずにはいられませんでした(苦笑)。
![]() |
||
『ウェブ時代をゆく』
| ||||||||
- 2010/07/29(Thu) -
| ||||||||
梅田望夫 『ウェブ時代をゆく』(ちくま新書)、読了。
『ウェブ進化論』の続編です。 さすがに、書いてある内容に受けた衝撃は『ウェブ進化論』の方が強かったですが、 本作では「ロールモデル思考法」の章が面白かったです。 自分の興味関心を見極め、それを仕事に結び付けていくには 具体的にどのように動けば良いのか。 著者の実際の行動体験を描いていくことで、 その道の歩き方というものが、非常によくわかりました。 そして、「ロールモデル」というものを、人物だけに追うのではなく、 「こういう会社がやっている仕事をやってみたい」と感じたら、 その法人自体をロールモデルに設定してしまう大胆さ。 この視点の広げ方は、興味深かったです。 『ウェブ進化論』では、「そもそもウェブ2.0とは何なのか?」を解説していましたが、 本作では「そのウェブ2.0を精一杯利用して自分らしく生きていくには どうすればよいのか」を読む側に考えさせてくれます。 「その時代を十分に生きる」ということを、見せてくれる一冊です。
![]() |
||||||||
『ウェブ進化論』
| ||||
- 2009/08/05(Wed) -
| ||||
梅田望夫 『ウェブ進化論』(ちくま新書)、読了。
今更ながらではありましたが、大ヒット新書でございます。 最初の数ページで、Googleの事業内容を 「『知の世界の秩序』の再編成」と定義づけたことで、 「あっ、この本は面白いゾ」と引き込まれました。 単なる急成長企業・高収益事業として捉えるのではなく、 これまでにない「野望」の存在を感じさせてくれます。 それはまさに、「世界征服」のような。 しかし、世界征服というのはあながち冗談ではありません。 情報が世界を支配する現在、 その情報を体系づける「知の世界」を再構築する力を持つことは、 まさに世界征服と同じ状態、神となることだと思います。 検索システムに何らかの意図を介在させることで、 情報の体系をある一つの方向に向かわせることもできるのですから。 現に、「グーグル八分」という言葉もあるようですね。 ユーザーである我々は、 すでに、Googleのその行為が良いか悪いかという議論をする段階にはなく、 そういう可能性を孕んだGoogleをどう利用していくのか、 また、今存在する情報体系はGoogleなどの極一部の知の集団により再構築されたもので あるということをどう理解し、実感し、実践していくのかということを 各自が真剣に考えなければいけないと思います。 ますます「リテラシー」という概念が広がっていき、 その重要性が増すことで、血肉化が必要な時代になってきましたね。
![]() |
||||
| メイン |
|