『山の音』
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- 2010/10/08(Fri) -
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川端康成 『山の音』(新潮文庫)、読了。
川端康成の長編は、どうにも苦手意識があり、 あんまり楽しめた作品がありません。 ちなみに、短編集の『掌の小説』には衝撃を受けました 大傑作だと思います。 で、本作ですが、はじめて、川端長編で面白いと思えました。 還暦を超えた老人・信吾の目を通して、 その日常や家族とのやりとりを淡々と描いていきます。 そして、底辺を流れる死の影や青春時代の懐古などが、 淡々とした描写に暗い色を投げかけてきます。 ぼわぼわと進んでいく物語に、さして大きな山はありません。 息子の愛人と対決するシーンなど、いくらでも盛り上げられる場面はあるのですが、 あえて静かに筆を進める落ち着きに、この作家の力を感じました。 日常の会話の中に、季節の花や催し物の話題を入れてくることで、 暗いテーマに、ほんのりと彩が添えられ、 そのバランス感覚が見事です。 やはり、大作家とされるだけのものはありますね。
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『みづうみ』
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- 2009/05/23(Sat) -
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川端康成 『みづうみ』(角川文庫)、読了。
う~ん、難しい。 難解さというよりも生理的に合わないことの方が 読んでいて辛かったかもしれません。 空想癖、妄想癖のオンパレードのような男で、 現実と頭の中の出来事を自由に行ったり来たりするので、 ついていくのが大変でした。
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『雪国』
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- 2006/04/17(Mon) -
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川端康成 『雪国』(新潮文庫)、読了。
阿刀田高だったかな?『雪国』の書き出しは、 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」が有名だが、 実はそこに続く「夜の底が白くなった」こそが素晴らしい描写なのだと。 ふと、この指摘を思い出したので、『雪国』に挑戦してみました。 が、 ・・・・う~ん。 ストーリーに浸ることができませんでした。 金持ちの息子と芸者という世界が、 現在から見ると想像し難い世界だからでしょうか? わたしの力不足か。 駒子の喜怒哀楽についていくのが大変でした。 ただ、ある瞬間を切り取った描写は、圧巻です。 川端康成といえば、私は『掌の小説』で衝撃を受けたのですが、 彼の描写力に最も惹かれるようです。 あと、注釈多すぎ。 芸者世界の用語を解説しているならともかく、 注釈者の主観を解説されても読んでいて邪魔なだけ。
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