『にゃんくるないさー』
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- 2018/05/12(Sat) -
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北尾トロ 『にゃんくるないさー』(文春文庫)、読了。
久々のトロエッセイ。 ところが、いつものアグレッシブなテーマ設定ではなく、 ネコとの日常を描いた、非常に穏やかな本でした。 愛猫家と呼ばれる人ほどにはネコにベタベタではなく、 あくまで野良猫で家の庭に入ってきたもののうち 面倒なく関わり合えそうなネコだけを選んでいるので、 結構、視線は冷静です。 でも、ネコNGな借家にネコを入れちゃったり、 公園で日がな一日ネコを眺めていられるというのは、 やっぱりネコ病患者さんですね(笑)。 庭にやってきたネコに残り物を投げてやり交流を図るものの、 来なくなればなったで、「最近来なくなったねー」でサッパリしているので、 特にネコに思い入れのない私としては、 抵抗感の少ないネコエッセイでした。 最後の方は、家でネコを飼い始めている(しかも2匹!)ので、 もう立派なネコ病患者さんですが、 ネコとの間の不思議な距離感が面白いエッセイでした。
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『裁判長!死刑に決めてもいいすか』
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- 2015/04/23(Thu) -
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北尾トロ 『裁判長!死刑に決めてもいいすか』(朝日文庫)、読了。
いつもの裁判傍聴シリーズかと思い、お気楽な気持ちで手に取ったら、 裁判員制度が始まる直前に、傍聴マニアの立場から、制度を考えてみようという なかなか硬派な内容で、思わず襟を正して読んでしまいました。 ま、ウィットに富んだツッコミは健在なのですが。 裁判員制度が始まる前後は、メディアもいろいろ取り上げていたこともあり、 「もし自分が選らばれたら・・・・」なんて考えていましたが、 その後、自分はもちろん、周囲でも裁判員になったとか、候補になったとかいう人は居らず、 急激に関心は下がってしまいました。 ホントは周囲で経験者がいるのだけれど、本人が話してないだけなのかしら? 自分がなったら・・・・で考えていたときは、 裁判の内容が理解できるかしら、正しい判断ができるかしら、 自分の意見を他の裁判員に対して主張できるかしら・・・・・てなポイントだったのですが、 本作を読んでみて、著者は別の観点から裁判事案を捉えていました。 今回の判決で厳罰化のバーを下げることになると、それが前例となり今後の事案に影響する、 80歳の被告に懲役10年を課すべきなのか、 反省の弁、謝罪の言葉が無い被告を死刑にすべきか、無期懲役で反省を促す時間を与えるべきか、 このような、社会への影響などを勘案して、非常に幅広い見地から裁判を考えています。 しかも、幅広く考えた上で、判決を自分で下す際の判断ポイントは 非常にシンプルな形で絞り込んで、ほぼ1点に集中して裁判に臨んでいます。 うーん、これは並みの人間ではできない情報整理力と判断力です。 傍聴マニアという経験による部分も大きいのかとも思いますが、 それ以上に、著者の人間力といいますか、思考力により、 このような優れた整理ができているのではないかと思います。 もし、裁判員6人の中に、このような論点整理ができる人が1人も居なかったら・・・・・ 被告も検察も弁護士も裁判官も、不運と嘆くしか無いのでしょうか・・・・。 そんな著者でさえ、自身が初めて模擬裁判を裁判員役として経験してみて 新たに気づいたところもあるようですし、人が人を裁く、そのために協議をするというのは 本当に難しいことなんだなと再認識しました。 良い本でした。
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『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』
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- 2010/06/26(Sat) -
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北尾トロ 『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』(幻冬舎文庫)、読了。
手術直後ということで、この週末は家でゆっくりしようと思い、 WOWOW&読書三昧となりそうです。 それも、あんまり硬いものは避けてね。 読書は、まずは北尾トロさんから。 あまりにバカバカしいタイトルに惹かれて買ってしまいました。 「やってみたいけど、ちょっと勇気がいること」に、敢えて挑戦しようとした コトの顛末を一冊にまとめた本。 ま、タイトルが、わかりやすい例でしょうね。 この、勇気をもって一歩踏み出すまでの逡巡の様子が面白いんです。 どうでも良いことに、ここまで気を使って、考え抜くか?というバカバカしさ。 私も小心者なので、そのドキドキ感はよくわかります。 ただ、前に読んだ作品でも感じたのですが、 北尾トロさんって、ちょっとテーマを拡大解釈する傾向がありますよね。 今回も、「勇気」に値する行動もあれば、単なる「稚気」にすぎない行動もあり、 ま、がんばっている様子は分かるのですが、 共感できるものとできないものがありました。 電車の中で初対面の人に声をかけて飲みに誘うなんて、 今の世の中では犯罪に近いんじゃないですか(苦笑)。
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『怪しいお仕事!』
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- 2009/08/31(Mon) -
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北尾トロ 『怪しいお仕事!』(新潮文庫)、読了。
怪しいお仕事がザクザク出てくるのですが、 それよりも読みどころは、北尾トロ氏の命がけの取材と 厳しい状況でも取材対象の観察を怠らない眼差し。 これだけクダラナイことに体張れるのは、ある意味、凄いです。 そして、怪しいお仕事に手を染める人々は、 オイシクお金を稼ぎたい!というよりは、 その世界そのものが好きな人がホンモノなんだなって分りました。 鍵屋のお兄さんの職業哲学、なんだか尊敬すらしちゃいます。 必殺掲示人の方も頭脳明晰な感じがして、 パソコン通信の世界を自分なりに分析し、再構築してるんですよね。 そして、そんなホンモノの人の列に、 北尾トロも並べても良いような気がします。 なんせ、自分で3行広告出しちゃうんですから。
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『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』
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- 2008/10/23(Thu) -
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北尾トロ 『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(文春文庫)、読了。
一時期、話題になっていた「裁判傍聴マニア」。 ブームの火つけ役とも言える本著を興味本位で読んでみました。 裁判は面白い。 確かに面白いいけれど、自分は見には行けないなー、 というのが感想です。 そもそも感情を剥き出しにすることを野蛮だと思って嫌悪してしまうのですが、 裁判と言えば欲望と欲望のぶつかり合い。 「戦略」と称して本心と違うことをペラペラ口にしたり もしくは黙りこんだり。 「こんな世界に直面したら狂っちゃうよー」というぐらい ドロドロした世界のようです。 こうやって、第三者が客観的に書いてくれることで楽しめる世界。 というわけで、結局、本作は非常に面白かったです。
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