『オテル モル』
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- 2010/06/19(Sat) -
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栗田有起 『オテル モル』(集英社文庫)、読了。
最近お気に入りの栗田作品ですが、本作も面白かったです。 他の作品同様、言ってしまえば、設定の突飛さはあるものの、 物語としては、あまり何も起こらない展開なのですが、 その何も起こらない中で、結構、きちんと世の中を眺めて、 そして、冷静に軽い毒を吐いている主人公が好みなのです(笑)。 相当重たい家庭環境に置かれているにもかかわらず、 カラッとした陽気さを感じさせてしまう主人公。 決して、悲壮感でいっぱい・・・という感じになってしまわないのが 清々しいくらいです。 ところで、このホテル、会員になってみたいわー。
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『お縫い子テルミー』
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- 2009/12/26(Sat) -
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栗田有起 『お縫い子テルミー』(集英社文庫)、読了。
『ハミザベス』が面白かったので、買ってきました。 こちらも、期待に違わず良かったです。 流しの縫い子として歌舞伎町で生きるテルミー。 この設定が非日常的なのですが、 なんだか、この女の子ならやって行けそうな気がしてしまうのです。 南の島から出てきて、東京に馴染むのにあまり葛藤が無さそうだったことに ちょっと違和感を覚えましたが、その家族からして不思議な生態なので(苦笑)、 都会に溶け込むのもワケなかったのかもしれません。 シナイちゃんや、野豚さん(笑)との関係が素敵でした。 「ABARE・DAICO」のほうは、またまた不思議なタイトルでしたが、 読み終わって、暴れ太鼓に似合わぬ、ほっこりした気持ちになりました。 でも、ABARE・DAICOというタイトルには納得。 大人びた少年誠二くん。 気になる言葉を国語辞典で調べては、変な感想を持ったりして。 大人の世界を見つめ、ストレスを感じずにはいられない環境に置かれながらも、 なんとも子供らしい方法で空気を変えていく、 その姿勢に惚れ惚れしました。
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『ハミザベス』
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- 2008/12/18(Thu) -
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栗田有起 『ハミザベス』(集英社文庫)、読了。
どんな物語なのか、どんな作風なのか、どんな文体なのか、 全く予想がつかないまま読み始めましたが、 面白い!! 「ハミザベス」も「豆姉妹」も、 人間関係が、たぶん世間一般の人々よりもおかしな濃さを持っている人たちが 出てきているはずなのに、何故だか異様にカラッとしてます。 たぶん、それは文体と会話文の量のせい。 この明るく軽い感じにユーモアが乗っかって 読んでいて小気味よい世界観が広がってます。 そして、このカラッとした世界に突然出てくる性的なモノ。 この違和感の塊が違和感なく作品に中に落ちているのも凄いです。 佳作な作家さんなようですが、 楽しみです~。
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