『いっしょにお茶を』
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- 2020/11/15(Sun) -
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田辺聖子 『いっしょにお茶を』(角川文庫)、読了。
表紙絵が、これまでに読んだことがある短編集と同じ雰囲気だったので 短編集だと思い込んで買ってきたら、エッセイ集でした。 (下のAmazonの写真はKindle版なので私の手元の古本とは表紙が違ってます) 基本的に、作家・田辺聖子の日常を、作家の目線で描いているエッセイです。 なので、創作の苦しみだったり、取材旅行の楽しみだったりが描かれていて 一般人には興味深い日々です。 作家・田辺聖子のもとに創作の神様が降りてこないというときに 同居人のスヌーピーのぬいぐるみに当たり散らすというか、 スヌーピーに神様を呼んでくるように懇願する様子などを見ると、 作家の苦しみを思う前に、その滑稽さに笑ってしまいます。 自分の大変な苦労ですら、笑いの材料に変えてしまうのは、 さすが生粋の大阪人ですね。 ![]() |
『ほどらいの恋』
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- 2016/02/06(Sat) -
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田辺聖子 『ほどらいの恋』(角川文庫)、読了。
おせいさんの短編集。 様々な形の男と女の関係を巡る日常を描いた作品。 恋人同士、不倫の関係などの恋愛最中の2人以外に、 お見合い相手、幼なじみ、取引先、お客様など、恋愛前だったり、恋愛とは無関係そうな2人も いろいろ登場してきます。 そして、どの作品も、抽象化しすぎたり、内面に落ち込んでいったりせずに、 あくまで日常レベルで男と女の姿を描き、具体的な会話や行動を通して、 人と関わるというのはどういうことかを描いていきます。 私はやっぱり、おせいさんが描く関西弁の会話分のポップさが好きで、 とにかく読んでいて心地よいです。 リズム感や語幹だけでなく、切り返しのフレーズの妙だったりするところも含めて こういう心地よさを小説から得られると、 自分の日常生活も、気をつけて見ていれば もっともっと楽しく心地よいものなのではないかな、それを見落としているだけじゃないかなと 前向きな気持ちになれます。
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『源氏紙風船』
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- 2014/12/26(Fri) -
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田辺聖子 『源氏紙風船』(新潮文庫)、通読。
源氏物語に対する著者の熱い思いを語った本。 著者の思いが熱すぎて、 『源氏物語』のファンの人か、 これから『源氏物語』を是非とも読んでみたい!と思っている人か、 何かしら思いを共有できないと、熱さについていけないかもしれません。 私は、感覚がオジサンだとよく周りから言われるので、 まさに冒頭で著者が世の中の男性諸君を嘆いているように、 『源氏物語』の世界観には、少し距離を感じてしまっていると思います。 ま、食わず嫌いなのかもしれませんが。 なかなか、あのボリュームを前にすると、 尻込みしてしまうのですよねぇ・・・・・。
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『百合と腹巻』
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- 2014/05/26(Mon) -
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田辺聖子 『百合と腹巻』(ポプラ文庫)、読了。
おせいさんの小説は、気づけば4年ぶりとなっておりました。 「田辺聖子コレクション」ということで、 文化勲章を受章したあたりで発行されたものでしょうかね。 大阪という街における恋愛5つが収録されていますが、 やっぱり、おせいさんの書く大阪弁は素敵です。 その大阪弁をしゃべる男も女も、登場人物みんな素敵です。 客観的に見れば、はぐらかす男や、ぐずぐずしている女たちなのですが、 自分の気持ちに正直に行動しているところが 清々しいように感じるんです。 その正直さが、大阪モンの魂のように思ったりもして。 やっぱ、おせいさんの描く大阪人は素敵やなぁ。
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『舞え舞え蝸牛』
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- 2012/09/22(Sat) -
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田辺聖子 『舞え舞え蝸牛』(文春文庫)、読了。
おせいさんの「おちくぼ姫」。 以前、その名も『おちくぼ姫』を読みましたが、 本作では、一層、個々のキャラクターが立っているように感じました。 おちくぼ姫はしとやかに、 北の方は激烈に、 阿漕ははしこく。 おせいさんの、おちくぼ姫への愛情がひしひしと伝わってくる作品になっています。 それにしても、何度読んでも、 このストーリー構成は上手いですよね~。 ある意味、王道の物語展開なのですが、 人々に愛されるエンターテイメントをよく理解して作られているように思います。 10世紀にこんな作品を生み出す日本文化って、すごい!!
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『おせい&カモカの昭和愛惜』
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- 2011/02/19(Sat) -
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田辺聖子 『おせい&カモカの昭和愛惜』(文春新書)、読了。
「おっ、おせいさん、新書も出しているのかー」と思い、 何も中身を確認せずに買ってしまったのですが、アフォリズム集でした。 ・・・というか、これまでに発表した小説やエッセイの数行を 切り出してきて並べたという内容。 う~ん、これは、分かってたら、買わなかったなぁ・・・・。 断片的に読まされても、やっぱり面白さは伝わらないと思うんです。 いわゆるアフォリズムの妙というのは、 一言でズバッと本質を突く気持ちよさだと思うのですが、 本作は、数行で描写しようとするので、なんだか冗長。 中途半端さが付きまといます。 唯一読めたのは、カモカのおっちゃんとの「中年いろはがるた」の作成談。 ここは、一つのエッセイとして完成していて、面白かったです。 これは、騙されたなぁ。
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『おちくぼ姫』
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- 2010/11/03(Wed) -
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田辺聖子 『おちくぼ姫』(角川文庫)、読了。
おせいさんによる『落窪物語』の現代語超訳。 平安時代のシンデレラ物語というのは、言い得て妙ですね。 おせいさんが相応の手を入れているようなのですが、 それでも、内容面で、ストーリーの面白さはサスガ。 この時代にまで伝わっているだけのことはあります。 私は、てっきり原作者は女性だと思っていたのですが、 どうやら、男性下級貴族の手によるものという説が主流なんですね。 男性がこのような恋愛ものを書きあげるとは、驚きです。 作品を通して見えてくる、平安時代の貴族の生活の風雅の豊かさ、 そして、このような文学作品を残せる教養の高さというものを 十分に楽しめる作品でした。
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