『ランゲルハンス島の午後』
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- 2018/09/13(Thu) -
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村上春樹、安西水丸 『ランゲルハンス島の午後』(新潮文庫)、読了。
いつものコンビで送るエッセイ集。 劇的な出来事も、斬新な情報も、特には出てこないエッセイ。 でも、日常における、小さな幸せ、 著者が言うところの、人生における小さくはあるが確固とした幸せ、略して「小確幸」の ような気分が得られるナイスなエッセイです。 安西さんの良い感じに緊張感のほぐれた絵も、 読んでいる気分を和ませてくれます。 たまたま時間が空いたので、出先の文化センター内の図書館で ゆったりソファに座って読んだのですが、幸せなひと時でした。 これで、手元にビールグラスでもあれば、至福の時間だったのに(笑)。
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『本当の戦争の話をしよう』
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- 2016/03/10(Thu) -
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ティム・オブライエン 『本当の戦争の話をしよう』(文春文庫)、通読。
ベトナム帰還兵が綴った、「本当の戦争の話」。 戦争というのは、ヒーローを生んだり、助け合う美談があったり、 奇跡の生還劇があったり、敵との駆け引きがあったり・・・・・というような 物語になるべくしてなるものではなく、 「本当の戦争」とは、戦地に送られ、命令を待ち、人を撃ち、人に撃たれる、 ただただ、それだけの世界であるということを書いているのかなと思います。 伝えようとしていることは重要なことだと思います。 ただ、その分、小説のお話の方は、淡々とした描写になってしまい、 正直このテーマに思い入れがないと、読み進めることが難しかったです。 まだまだ、私がお子ちゃまの読書をしているということでしょうかね。
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『レキシントンの幽霊』
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- 2015/05/03(Sun) -
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村上春樹 『レキシントンの幽霊』(文春文庫)、読了。
短編なら読める!春樹さんです(苦笑)。 7つの作品が収められていますが、どれも抵抗感なくサクサクと読めました。 (一応)、現実の日常世界が舞台であることが第一の要因だと思いますが、 もう一つ、今回読んでいて感じたのは、一文一文が短いので リズムよく読み進められることです。 こんなにワンセンテンスが短い作家さんだったっけ?と、改めて思ったのですが、 短い文章で物語を進めていき、多くを語らないことで読者の想像を呼ぶ・・・・・。 好きな人には堪らないシチュエーションなのかと思いますが、 私は、もっと書き込んで欲しい!と思ってしまいます。 それでも、1つ1つの作品の設定や、物語のターニングポイントの置き方などは 面白いなと感じる作品集でした。 1箇所、「台風が上陸してから急激に速度を落とした」という箇所は、 気象予報士として看過できませんな(笑)。
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『アフターダーク』
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- 2014/05/31(Sat) -
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村上春樹 『アフターダーク』(講談社文庫)、読了。
最近、ハルキ長編への苦手意識が少々薄れてきたので、 調子に乗って本作にチャレンジしてみました。 が・・・・・やっぱり難しい・・・・。 現実世界で起きている物語なので、1個1個の場面は分かります。 でも、なぜ、このようなストーリーなのかが理解できないのです。 頭で読むものではないのかもしれませんが、 最後に、「・・・・・で、どういうことなの?」という疑問が付いて回ります。 ハルキ作品に登場する男性たちが、私はちょっと苦手なのかもしれません。 「なんでこんなにおしゃべりなんだろうか」とか 「なんで初対面の人に、こんなにグイグイ入ってくるのだろうか」とか いろいろ行動に抵抗感を感じちゃうんですよねー。 携帯電話のくだりは、星新一のとあるショートショートを思い出してしまいました。 このショートショートは傑作!
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『カンガルー日和』
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- 2014/04/03(Thu) -
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村上春樹 『カンガルー日和』(講談社文庫)、読了。
短編集・・・・というよりもショート・ショート集に近い印象です。 星新一的な、起承転結のはっきりした作品だと面白く感じられるのですが、 ふわふわしたまま終わってしまったり、ファンタジー感200%だと、 ちょっとついていけず・・・・。 ま、でも、以前に比べると、だいぶ苦手意識は薄らいできました(笑)。 ハルキ作品ではみんな良くしゃべりますが、 そのあたりの抵抗力が付いてきたのかしら。
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『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
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- 2014/03/10(Mon) -
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村上春樹 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)、読了。
我が家にはハルキストは居ません。 「こんな世界、なんか、よぅ分からんわー」てな一家です。 なのに、なぜか父が血迷って買ってきてしまい、実家の本の山の一番上に置かれてました。 で、それを東京に持ってきたものの、半年間積読状態。 ようやく手に取りました。 そして、本作で革命的な出来事が・・・ 初めてハルキ長編をちゃんと読めた!!! なお、「ちゃんと読めた」というのは、「理解できた」「解釈できた」という意味ではなく、 「最後のページまで読み進んだ」ということです(爆)。 ファンタジー爆発な世界ではなく、 あくまで現実の世界における物語だったので、読み通せました。 しかも、日曜日の夕方に手に取り、そのまま夜も読書に当てて、 月曜日の昼休みに読み終わったのですから、かなり熱中して読んでいた気がします。 でも、ふと読み終わって考えてみると、 何に共感してたのかしら???と、よく分からないモヤモヤが残りました。 主人公の、表面的には人間関係を穏やかに過ごしつつも深くは入り込まないところとか、 あれこれ理由をつけて、自分の傷には触れないようにするところとか、 私自身と似たような行動傾向に、親近感を覚えたのは確かです。 でも、主人公の36歳という年齢とは、非常に隔たりを感じました。 私の1歳、2歳上の学年のはずなのに、 この主人公であったり、その仲間のアカ・アオ・シロ・クロだったりが、 例えば自分の学校の友達の輪の中に居そうな気配が全く感じられないのです。 同世代のはずなのに、こういう人たちに出会ってたかも・・・という現実味が非常に乏しいのです。 なので、読み終わって、何かが自分の中に残ったのかというと、 残念ながら、そのような感覚にはなれませんでした。 ひとつの小説としては面白いと思いましたが、 なぜ、あれほどまでに売れたのか、多くの人が読んだのかという回答は この読書からは、得ることができませんでした。 謎。
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『うずまき猫のみつけかた』
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- 2014/01/25(Sat) -
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村上春樹 『うずまき猫のみつけかた』(新潮文庫)、読了。
久々にハルキ・エッセイをば。 ケンブリッジで生活をしていた時代に月刊誌に連載されたエッセイです。 難しいことを考えず、日々、見たこと、感じたことを 軽やかな文体で綴っていきます。 リズム感が心地よいのと、肩の力の抜け具合に安心感を覚えます。 小説家の「くせに」フルマラソンを走ったり、 野菜中心の食生活を送ったりと、なんだか凄く健康的なのですが、 まぁ、破滅的な生活だけが小説家じゃあないですよね(苦笑)。 ちょいちょい出てくる近所の猫の話(+写真)が これまた穏やかな愛情に包まれていて、楽しく読めました。 大学で教えたり、小説を書いたり、翻訳をしたり、 仕事は非常にお忙しいのでしょうが、 それを感じさせない私的時間の充実ぶりがうらやましいです。 こういう大人になりたい!
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『パン屋再襲撃』
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- 2013/04/14(Sun) -
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村上春樹 『パン屋再襲撃』(文春文庫)、読了。
世の中、村上春樹さんの新刊本でえらいことになってるようですねー。 私も本好きの一人ではありますが、 徹夜で並んで本を買うという意味は、正直、よくわかりません・・・(苦笑)。 ま、ファンたちのためのイベントの一つなんでしょうね。 てなわけで、手元にあった春樹作品を読んでみたのですが、 むむむ・・・やっぱり難しい。 自分で作品の世界をいろいろ想像して広げていけばよいのかもしれませんが、 何分、もう少し、しっかりした理屈がないと、 私には世界観を構築できません。 想像力が貧相なのかなぁ。 あんまり、想像をめぐらして「自分なりの」解釈をすることが、 私は好きではないのだと思います。 つまり、分かりやすいお話が好き。 お子ちゃまなんでしょうね。
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