『幻色江戸ごよみ』
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- 2016/02/14(Sun) -
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宮部みゆき 『幻色江戸ごよみ』(新潮文庫)、読了。
ちょっとホラー色のかかった時代モノです。 謎解きというよりは、人情話のような印象で、 手軽に読める時代モノというところでしょうか。 女中さんや職人さんなど 市井の人々の目線での話が多かったので そういう生活臭のある世界観を覗けたのは面白かったです。 ただ、著者への期待からすると、ちょっと物足りない感じかな。
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『震える岩』
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- 2012/08/19(Sun) -
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宮部みゆき 『震える岩』(講談社文庫)、読了。
真夏のホラーシリーズ第4弾(笑)。 どんどんホラーの本質から外れていってますが、もう何でもあり。 江戸の時代を舞台に、死人憑きと幼子殺しの真相に迫ります。 意外と、死人憑きの描写が怖かったです。ホラーも堪能。 本題の謎解きのほうは、 前半、いくつかの事件がどんどん繋がっていくので、 「都合よすぎだろ!」と思ってしまったのですが、 後半の真相究明の段になって、納得のいく形でリンクが見えてきたので、 そこからは一気読みでした。 さすが、宮部みゆき作品。 短編から長編へと成長した本作ですが、 主人公や脇役のキャラクターだけでなく、 活力のある商いの町を舞台にしていることや、不思議な話を集めている御奉行様など 続編を作っていくための設定がしっかりしてますよね。 これも宮部作品の安心感。
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『誰か Somebody』
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- 2011/08/22(Mon) -
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宮部みゆき 『誰か Somebody』(文春文庫)、読了。
事故でなくなった会社関係者の娘さんから、故人の生涯を辿る本を出したいと相談された主人公。 半分仕事という位置づけで関わり始めたら、次第に過去の事件が見えてきて、 そして、現在の問題も見えてくる・・・・。 巨大グループ会社の会長の娘婿、しかもその娘は愛人の子という、 主人公の微妙な立場が、面白い味付けになっていたと思います。 仕事の実力重視というよりは、婚姻関係により担っている感のある社内報担当という役職。 その仕事の自由度と、立場的に使用できる力とが、 本作の主人公に必要な行動力を与えていて、納得感がありました。 また、彼を取り巻く、奥さん、義父である会長、毒舌の実母など、 サブキャラも光ってました。個人的には実母の毒をもっと読みたかったのですが・・・。 本題の探り当てた過去については、一般人の身に起きるにはちょっと大き過ぎる気もしましたが、 辿っていく過程を適度に楽しめました。 主人公は、探り当てた過去や、周りで起きた一つ一つの出来事を 自分なりに咀嚼して、また自分の身に置き換えて考えたりするので、 本題の過去を探るという行動以外の描写も多々出てきます。 普段は、その手の主人公を、それを饒舌過ぎて鬱陶しいと感じてしまうことが多いのですが、 本作では意外とすんなり受け入れられました。 これは、彼の奥さんや娘さんのキャラがあってのことかな。 最後は、ハッピーエンドというものではありませんでしたが、 現実とはこんなものなのかもしれませんね。
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『蒲生邸事件』
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- 2011/03/01(Tue) -
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宮部みゆき 『蒲生邸事件』(文春文庫)、読了。
何も考えずに読み始めたのは、なんと2月26日。 まさに二・二六事件の日です。ちょっと不思議な縁。 さて、本作は、本読みさんたちのBlogで絶賛されていることが多いので、気になってました。 というわけで期待値は大きかったのですが、前半がちょっと退屈でした。 主人公が、あまり知識・教養のない設定なので、二・二六事件の説明が ところどころに入ってきて、すこし冗長な印象です。物語の進みも遅いし。 また、どうにも、主人公のキャラクター設定に満足できず。 本作に限らず、「勉強の出来が悪く、世間にも疎い、何も考えずに生きてる男子」という 主人公が、どうも私は苦手のようです。 何か一つ、他人よりも秀でた特徴や、個人的な興味関心があるのなら、 それをキーにして巻き込まれた事件に対処していく・・・というのは納得感が高いのですが、 「この男子がこの場面でこんなに柔軟に対応できるか?」という疑問を持ってしまうと、 なかなか感情移入がしにくいんです。 本作でも、二・二六事件どころか、日本の近現代史が全く分かっていない主人公が、 いくらタイムトリップしたからといって、こんなに状況を即座に把握して 上手く立ち回れるのかいな?と疑問に思ってしまいました。 あ、あと、タイムトリップものも、あまり私は得意じゃないかもしれません。 タイムパラドックスの方に意識が行ってしまうのと、 どうしてもご都合主義な展開に思えてしまうところがあるので。 ただ、本作は、2人目の時間旅行者が登場して、 その2人の時間旅行観の違いが顕わになってきてからが面白かったです。 ま、かなり後半ですけれど。
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『今夜は眠れない』
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- 2010/05/13(Thu) -
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宮部みゆき 『今夜は眠れない』(中公文庫)、読了。
以前、軽いタッチの宮部作品が苦手と書いたことがあるのですが、 本作を読んで、認識を改めました。 「狙った感じがアリアリと見える作品が苦手」と言った方が、正確だと思います。 本作の主人公は、中学生の男の子ですが、それにしては、ちょっと幼い感じ。 二十歳前の初対面の女の子から「坊や」呼ばわりされてます。 一方、その相棒ともいうべき親友は、偏屈系の含蓄野郎。 「こんな凸凹2人組を作ってみました。どうでしょう!」と 無暗にプッシュされているような印象で、この2人の座りが、どうにも悪いです。 トリックが、夢物語のような話なので、 軽~い感じの構成にしておかないと全体のバランスが取れなくなるというのは よくわかるのですが、何とも作り物めいた感じが拭えませんでした。 この作家さんの作品では、 奇をてらわない王道モノを、自分は読むべきだと再確認しました。
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『あやし』
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- 2009/04/07(Tue) -
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宮部みゆき 『あやし』(角川文庫)、読了。
宮部ホラー時代小説。 どれもコンパクトにまとまっていて面白かったです。 やっぱり和のホラーは怖いですね。 「恨みの蓄積」みたいなものが見えてくるので。 でも、一番怖かったのは 人間が正気から狂気へと移っていく過程でした。 「あぁ、今、何かが外れた」と思われる瞬間の描写が怖いです。 こんな瞬間が自分に訪れることがあったらどうしようかと。 そんな狂気の世界に足を踏み入れてしまった人たちを 守ってくれる人たちが居てくれるので この作品では救いがあるように思いました。
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『初ものがたり』
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- 2009/03/06(Fri) -
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宮部みゆき 『初ものがたり』(新潮文庫)、読了。
頭がつかれてきたので、お手頃な短編集をば。 岡っ引きの茂七親分による謎解きの数々。 下っ引きの糸吉&権三もなかなか使える手下たちで、 一方、侍上がりの稲荷寿司屋や拝み屋の日道坊主など 話のワンポイントに現われる脇役たちも魅力的です。 謎解きよりも、これら登場人物たちの日常生活の様が面白かったです。 そして、タイトルの「初ものがたり」は、 季節の「初もの」と絡めてあったのですね~。 読み終わってから気づきました(爆)。
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