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『寂聴古寺巡礼』
- 2018/10/16(Tue) -
瀬戸内寂聴 『寂聴古寺巡礼』(新潮文庫)、読了。

寂聴尼による京都や奈良のお寺巡り。

その寺が歩んだ歴史や、仏教における位置づけなども詳しく説明されていますが、
軸となるのは、寂聴尼がその寺で何を感じ、どこが好きなのかという
非常に主観的な言葉で紡がれていきますが、
そこに著者の思いが乗っているから、とても読み心地が良いです。

このお寺は、この季節の、この景色が素晴らしい。
私は、こじんまりとしたお寺が好き。
著者の感情で成り立っている文章ですが、
その分、伝わってくるものがあります。

私自身は、三重県生まれなので、遠足とか修学旅行とかで
奈良や京都のお寺は巡っているはずですが、
子供では理解できないところもあり、記憶があやふや。
非常にもったいないことです。

大人になってから行った知恩院仁和寺は素敵でした。
素直に建物や仏像の迫力を感じましたし、
また、仏教の教えや、その寺の歴史なども知っていたので
感慨深いものがありました。
遠足や修学旅行は、大人になってからしたいものです。




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『御不浄バトル』
- 2018/10/15(Mon) -
羽田圭介 『御不浄バトル』(集英社文庫)、読了。

芥川賞作家さんの本。
タイトルからコメディかなと思い、試しに買ってみました。

が・・・・・私は一体何を読まされているのだろうか・・・・という気持ちになった作品でした。
トイレ内での排泄の様子が細かく描かれ、
排泄後に個室内で食事までするという主人公の姿に
そもそも引いてしまいました。

男性で、電車に乗ると便意を催し、駅に到着後ダッシュでトイレに駆け込むという
体質の方がいるという話題は聞いたことがありました。
なので、主人公もそういう体質に困っていて、
かつ悪徳企業に勤めているという精神的なプレッシャーから悪化しているのかなと
想像しながら読んでいたのですが、
トイレの話と仕事の話はあんまりリンクしてくることもなく、
そもそも、この体質自体をそんなに困難に思っているようにも感じられず、
何のために詳細なトイレの描写があるのか、腑に落ちないところがありました。

仕事の方も、どんな悪徳ぶりかは描かれていますが、
今時点で会社に通勤してきている面々は、それほど苦痛を感じずに職場に慣れているようですし、
人材の離職回転が速いと言いながら、離職していく様が描かれていないので
なんだか半信半疑な感じ。

辞めた人間として山城という人物が登場しますが、
行動が不気味で、この人物に気持ちが行くこともなく・・・・・。

駅のトイレですれ違う人物たちと、結局何の接点もないですし、
彼らが主人公に影響を与えることもなく、彼らに対する描写は何だったのかな?と。

物語の結末のつけ方も、尻切れトンボな感じですし、
何だか、変なものを読まされたという感想しか残りませんでした。

併録された「荒野のサクセス」は、表題作「御不浄バトル」に登場する
トイレメンバーの1人が主人公ですが、
こちらは、もはやトイレメンバーという繋がりしかなく、
若者メンズ雑誌編集者としての職場の様子が描かれています。

ある若者の働く姿の描写なのでしょうけれど、
こちらもそれだけのような印象でした。

芥川賞受賞作品、読むべきかなぁ・・・・・迷いが出る本作の感想でした。




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『世論という悪夢』
- 2018/10/12(Fri) -
小林よしのり 『世論という悪夢』(小学館101新書)、読了。

新書の棚で見つけました。
「そういえば、小林よしのり氏の本って、読んだことないなぁ・・・・・」と思い、買ってきました。

こんな有名な人の作品を、なんで今まで読んでこなかったんだろう?と思ったのですが、
よく考えれば、私がマンガの棚に近づかないから、出会いようがなかったんですね(爆)。
こんど、ブックオフでマンガの棚を覗いてみようかな。

さて、本作は、著者が責任編集長をしている『わしズム』という雑誌の巻頭に
毎号毎号著者が書いた文章をまとめたものです。

時事ネタに対する批評が中心ですが、
著者が何に対してどう思ったかという基本的な話よりも、
著者の主張に対して誰がどう噛みついてきたので、こう反論してやった!という話が多く、
そもそもの著者の主張がわかっていないと理解が進まないところがありました。

主にマスコミの主導によって、世論がどんなふうに形成され歪められていくのかは
何となくわかりましたが、でも、著者の主張の核が掴めてないので、
マスコミが捻じ曲げてるのか、著者の主張が極論なのかが把握しきれず、
ちょっと読書としては消化不良感が残ってしまいました。

やっぱり、著者を知るには、著者のメイン作品のマンガから読まないとダメですね。








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『かわいそうだね?』
- 2018/10/11(Thu) -
綿矢りさ 『かわいそうだね?』(文春文庫)、読了。

綿矢さんって、洞察力が高い女子を描いたら、上手いですよね~。
というか、その視点で語られる世界の見え方が、非常に興味深いです。

表題作「かわいそうだね?」は、恋人の部屋に元カノが住み着いてしまうという
良く分からない設定で話が進んでいきます。
その状況に戸惑う主人公や、対話にて解決しようとする姿勢は面白く読みましたが、
そもそも、こんな女を部屋に住まわせてしまう男って、どこが魅力的なの?と思ってしまったら
主人公がただ空回っているだけのように思えて、後半は醒めてしまいました。
特に、元カノがどんな人なのか描写が具体的になってくるあたりから。

彼氏の発想も理解できないし、それを受け入れてしまう主人公の考え方も理解できません。
唯一理解できたのは、元カノの本能の赴くままに行動する姿勢(苦笑)。動物的。

なので、設定は面白そうだったのに、話の展開に説得力がなく、
あまり好きではありませんでした。

むしろ、併録された「亜美ちゃんは美人」が非常に面白かったです。
高校の入学式で、前後に並んでいたという理由で友達になった主人公と亜美ちゃん。
亜美ちゃんは超絶美人。
分かれてもすぐに彼氏ができるモテモテぶり。
でも、天然さんなのか、天狗にならず、意外と女子ウケもよいという超人。

そんな亜美ちゃんがべったり頼る相手が主人公。
地味だけど頭が良く、機転が利き、気も配れる。
亜美ちゃんの引き立て役のように見えて、実は亜美ちゃんは主人公の真似をしているだけ。
それに気づいている主人公。
このあたりが、女性の嫌らしさみたいなものを感じさせてくれて、興味深いです。

序盤で、亜美ちゃんのことを「嫌いだった」と振り返る主人公。
どこで、主人公と亜美ちゃんの関係性が変化するのかとハラハラかつ期待しながら
読み進めていきましたが、決定的なシーンは訪れず、
むしろ亜美ちゃんが自分から、2人の輪からドロップアウトしていってしまった感じ。
そこは物足りなかったかな。

でも、主人公の目を通した、亜美ちゃんとその周辺の人間関係の観察と洞察は
読みごたえがありました。




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『大阪維新で日本は変わる!?』
- 2018/10/10(Wed) -
福岡政行 『大阪維新で日本は変わる!?』(ベスト新書)、通読。

最近、橋下徹さんが出演しているネット番組を時々見るようになったので、
知事や市長をやっていたときよりも、橋下さんへの関心が高まってます。

で、タイトルを見て、そもそも橋下さんが何をやりたくて
大阪維新の会を立ち上げたかわかるかな?と思い、買ってきました。
ちなみに、著者の名前は知りませんでした。

が、読んでみてガッカリ。
タイトルだけで、維新の会について深く掘っているページは全くありません。
維新の会もみんなの党も登場してきますが、
批判している内容が凄く表面的なことばかりで、
ワイドショー的な目線で語っているように感じました。

もっと、ローカルパーティーズが出てきた歴史的意味とか、
それぞれの党の方針や存在力、今後の展望などを知りたかったのですが。
(ま、知ったところで、過去の時点での評価に過ぎないのですが)

あとで著者のことを調べたら、
結構、TVとかに出て、解説なりコメンテーターなりしてた人みたいですね。
うーん、論客というよりは、TVコメンテーター的な人だったのかな。




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『陽気なギャングの日常と襲撃』
- 2018/10/09(Tue) -
伊坂幸太郎 『陽気なギャングの日常と襲撃』(祥伝社文庫)、読了。

『陽気なギャングが地球を回す』の続編。
前作を読んだのがかなり前だったので、ギャング団の面々のことを忘れてしまっており、
最初、短編が続くので、「どの人がギャングなんだっけ?」と想像しながらの読書に。

で、各短編で、それっぽい人物(苦笑)が脇役で登場してくるものの、
アクションシーンで活躍するわけではなく
どちらかというと安楽椅子探偵的な活躍だったので、
「あれ、こんな静的なキャラクターだっけ?」と思ってしまいました。

が、そこは伊坂作品。
前半は4つの短編でしたが、
中盤に4人のギャングが集結し、再び銀行強盗。
そして、そこで新たな事件が勃発!

そして、物語の視点は、ギャング団4人のそれぞれに移り、
まさにギャングが物語を動かしていく流れになります。

こりゃまた、複雑な構成にしたのね・・・・と思っていたら、
あとがきによると、最初は短編8つで終わらせる予定だったらしいです。
しかし、4つ書いたところで、1つの物語に収斂させようと構想が変わり、
そこから、この構成に持ち込んだのだとか。

当初の短編4つを手直ししたとは言え、
1つにまとめてしまうのは、相当な力技!
実行できてしまうのは、さすが伊坂幸太郎ですね。

でも、やっぱり脇役で華を添えるギャングよりも、
自分たちが世界を回しているギャング達の方が、読んでいてスカッとします。
それでこそ、響野のおしゃべりや、成瀬の冷徹さや、雪子のドライビングテクニックや
久遠のスリの技術が活きてくるというものです。

さらに続編もあるようなので、楽しみです。




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『骨は珊瑚、眼は真珠』
- 2018/10/08(Mon) -
池澤夏樹 『骨は珊瑚、眼は真珠』(文春文庫)、読了。

幻想的な物語から、皮肉の効いたコメディまで
結構幅広なジャンルの短編が収録されていましたが、
楽しめたものと、そうでないものの温度差が激しかったかな。
個人的に、幻想的な味付けの物語が得意じゃないということもありますが。

好きだったのは、コメディタッチの「アステロイド観測隊」。
小惑星の食を観測するために、南洋の小さな国にやってきた観測隊。
目的の観測を達成するには、照明が邪魔な大統領官邸の噴水の明かりを消さなければ!
ということで、なぜか発電所に潜り込むことに(笑)。
この顛末を、日本に帰国し大学助教授になった主人公が学生に向けて語るという設定ですが、
主人公の皮肉なキャラ、南の国のおおらかな国民性、そして大騒動、
これら要素のミックス加減が絶妙でした。
へぇ、こんな作品も書くんだ!という驚きもありました。

それと、表題作の「骨は珊瑚、目は真珠」。
病気で亡くなった主人公が、死後に妻のことを回想した物語。
死んだことへの怒りや悔やみが感じられないさらっとした文章なのですが、
なぜか、この主人公なら、こんな感覚がありえそうだなと思えてしまう存在でした。
妻への温かな視線、友人たちとの思い出への感謝、そして自分の人生への満足感、
なんだかそういう満ち足りたものを感じる作品でした。




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『「恐怖の報酬」日記』
- 2018/10/07(Sun) -
恩田陸 『「恐怖の報酬」日記』(講談社文庫)、読了。

恩田さんのエッセイはお初です。
小説家のエッセイ作品に手を出す時は結構慎重に検討するのですが、
本作は「飛行機嫌い!」「ビール大好き!」っていうテーマだったみたいなので即買い(笑)。
だって、私もそうだから。

エッセイは、なぜか新国立劇場のビュッフェからスタートします。
この時点で、すでに現実逃避気味(笑)。
数日後に迫った飛行機搭乗(人生2回目!海外は初!!)があまりの恐怖で、
どれだけ自分の日常に支障を来しているかということから始まります。

私も、恩田さんほどではないですが、飛行機は嫌いです。
理由も同じで、鉄が空に浮いてる、閉じ込められてる、トラブル時に自力ではどうにもならない、
というところに集約されていきます。
船旅も、太平洋の真ん中でトラブルになったら全員死ぬんでしょうけど、
「もしかすると無人島にたどりついて生き延びられるかも・・・」みたいな夢を見られるので
まだ落ち着いていられます。
統計的には最も安全な乗り物なのかもしれませんが、
何かトラブルが起きたら死の恐怖に直面して逃げられないというシチュエーションが苦手です。

搭乗日が近づくと憂鬱になり、機内で読む本を準備するときに「読む気になるのか?」と不安になり、
空港のカウンターに行くと「職員の対応が機械的だ」と思ってしまう
この心情、とても共感できます。

でも、恩田さんは、「怖い怖い飛行機に乗るんだぴょん」って、
躁的に怖がっているのが凄いなと。
だから、読んでて面白いんですけど。ぴょんって(笑)。

そして、やっとの思いで初海外に行ったら、
もちろん取材として観光地などに寄っていますが、
とにかくビールの話が多い!
ビール好きがイギリスに行ったら、そうなりますわなぁ。
さらにアイルランドにも行っちゃったら、そうなりますわなぁ。

あぁ、海外で現地のビール飲みたい!
仕事で何か所か海外に行きましたが、
それぞれの旅の一番の思い出は、MLB球場のスタンドで飲んだビールとか、
なぜかオーストラリアで韓国焼肉を食べながら飲んだビールとか、
メキシコ料理屋で出会ったテカテを、帰国後の打ち上げでもまた飲んだとか、
一緒に出張した人たちと飲んだ思い出ばかり(苦笑)。
でも、ビールって、みんなでワイワイ飲むと美味しいんですよね~。

恩田さん、小説作品では、鬱々とした雰囲気を感じることが多いのですが、
エッセイでは開けっぴろげで、面白い人ですね!
エッセイ作品も気を付けていきたいと思います。




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『レター教室』
- 2018/10/06(Sat) -
三島由紀夫 『レター教室』(ちくま文庫)、読了。

「読みたい本リスト」に、ずーっとあった本。
ようやくブックオフで出会えたので購入。

レター教室という名前ですが、手紙の指南本ではなく、
5人の登場人物たちが書きまくる手紙を通して、いろんな物語が断片的に紡がれていきます。

いくつか手紙のやり取りがあって、そのエピソードの紹介はそれで終わるので、
次のエピソードに移った時に、「この前の手紙のやり取りが人間関係にどう影響してるのかな?」
というところを想像で補いながら読むのが面白かったです。

そして、手紙の文字に現れる表の建前と裏の本音、
それをまた別の人宛の手紙で吐露してしまったり、
人間の心の裏表が表現されていて、
「あぁ、他人とのコミュニケーションって難しいなぁ」と思ってしまいました。

登場人物たちは、かなりコメディタッチにデフォルメされているので
手紙の内容は極端な感情も書かれていますが、
形式的に送る手紙以外の内容のある手紙というのは
実はこんな感じで、エキセントリックなものが多いのかなと感じました。

三島由紀夫、やっぱり凄いわ。




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『おひとりさまの老後』
- 2018/10/05(Fri) -
上野千鶴子 『おひとりさまの老後』(文春文庫)、読了。

上野女史の最大のベストセラーが本作ですかね?
期待して読み始めたのですが、なんか思ってた感じと違いました。

いつもの社会学者としての鋭い考察が繰り広げられるのかな?と思っていたのですが、
かなり個人的な老後の過ごし方アイデアを述べているので、
著者の趣味嗜好に共感できる人には面白いと思えるでしょうが、
特にそうではない人にとっては、とっかかりがないように感じました。

特に私は、自分自身、30代のおひとりさまで、結婚する気もないため
たぶんこのまま、おひとりさま人生だと思うのですが、
そういう風に割り切っている自分にとっては、
同じことがくり返し語られていてクドいように感じました。

本作が相手にしている読者というのは、
夫が定年したばかりとか、定年間近みたいなお歳の主婦なのかな?と。
夫に頼って、もしくは夫から頼られて何十年も暮らしてきた女性たちに向けて
「自立しろ!」と言っているように感じました。
だから、同じことをくどいほどに繰り返して、心変わりを促しているのかなと。

ただ、そういう立場の一般女性たちが、
上野女史が書いているような、1人暮らしの仲間たちと共同生活を送るとか、
現実感をもって読めるのかしら?という疑問も感じました。

そういう女性たちにとって、本作は、結局、おとぎ話のような、
小説を読んでいるかのような感覚で楽しんだのではないかなという気がします。

最後、解説で角田光代氏が書いていた、
互いの老後の面倒を押し付けあうために友人たちを淘汰していく
という言葉が、一番印象に残りました。




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