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『日本酒の愉しみ』
- 2021/04/14(Wed) -
文藝春秋編 『日本酒の愉しみ』(文春文庫)、読了。

ルポあり、インタビューあり、紀行文あり、居酒屋巡りあり、
いろんな企画がバランスよく配置されていて、
さすが文藝春秋がちゃんと企画構成しただけあるなぁ・・・・というレベルでした。

ムック本的な感じです。

カラー写真もふんだんに使われており
日本酒造りの様子も分かりやすいです。

書き手も、企画に応じてあった人を選んでおり
文章も読みやすく、臨場感もあり、良かったです。




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『オカマだけどOLやってます。完全版』
- 2021/04/12(Mon) -
能町みね子 『オカマだけどOLやってます。完全版』(文春文庫)、読了。

著者がメディアに出る切っ掛けとなった本ですよね。
Blogに書いていた文章の著作化だとは知りませんでした。

まだ男性の体のままで女性の格好をして、OLとして会社に勤めていた時代の話。
「OL」という言い方をしているので、「どうやって採用試験で性別を隠して通れたの?」と疑問でしたが、
アルバイトとして会社に勤めているようで、「それってOLなの?」とちょい疑問。

ま、でも、アルバイトだったとしても、いわゆる普通の会社で
性別を隠して勤務しているという実態は、勇気あるなあと思います。
どこでバレるか分からないですからね。
本作の中でも、「くしゃみでバレそう」「悲鳴でバレそう」というようなくだりがあり、
あぁ、そうやって素が出ちゃう状況というのは確かに危ないなと。

著者は「オカマ」「ゲイ」「ニューハーフ」「性同一性障害」という呼称について
自分なりの基準を設けて、自分のことを「オカマ」と表現していますが、
私の中の言語認識とはズレがありました。
「オカマ」って、心は男性だけど女性的な格好をすることを好む人かと思っていたので、
「性同一性障害」と「オカマ」は別物と考えていました。

でも、当事者が「オカマ」という呼び方を選んでるってことは、イコールになりうるのでしょうかね。
うーん、LGBTの世界は、まだ定義が落ち着いていないような気がして
素人が気楽に触れられないですね・・・・。

そして、著者は、いわゆる「性同一性障害」のグループの中で
一般的というか、代表的というか、そういうタイプなのかな。
それともユニークな存在なのかな。その辺も素人にはわかりません。

女性的な格好をすることは子供のころから親しんでいたけど、
自分は女の子が好きなんだと思っていて、「性同一性障害」と気づくまでに
結構時間がかかっているような印象です。
そういう人の方が一般的なのかな?
なんとなく、子供のころから自分の性に違和感を持っているものなのかなと思っていたので。

大学生の頃も自らの意思で彼女を作ったりしていますが、
彼女に対して性的な欲望を抱けないという点から、自分の性の方向性について考え始めるという流れは、
あぁ、そういうプロセスで自分の性に気づいていく人もいるのかと驚きました。
人生いろいろですね。

著者は、「オカマ」として生きることを、友人や両親に伝えていますが、
意外とみんなすんなりと受け入れていて、そういう点では幸せな環境だったのかなとも思いました。
著者は東大ですし、高校も進学校のようなので、友人たちの考え方も進歩的なところがあったのかな、
内心は驚いていても大人の対応ができる人たちが揃ってたのかなとも思います。

私の周囲の友人や仕事仲間には、LGBTの人は居ないという認識なのですが、
隠している人もいるのかなぁ。
実際の人間関係の中でLGBTの人と向き合った経験(という認識)がないから
あんまりリアルな感覚でLGBTのことを考えたことがなかったのですが、
本作で、とりあえず著者個人として、どんな感覚で日々を送っているのかを知ることができ
良い勉強になりました。




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『生きているだけで、愛。』
- 2021/04/11(Sun) -
本谷有希子 『生きているだけで、愛。』(新潮文庫)、読了。

ブックオフで発見。
「読みたい本リスト」の中にあったので買おうと手に取りましたが、
裏表紙に「芥川賞候補」と書いてあり、「う、私と相性の悪い芥川賞・・・・・」と若干躊躇。
ま、でも、読まず嫌いはいかんかと、買ってきました。

お話の主人公は、25歳、無職、同性相手の家にひきこもるメンヘラ女子。
鬱期に入って、部屋から出られなくなり、同性相手に無理難題を吹っ掛ける自分を
冷静に自虐も含めながら描いています。

鬱になると、こんな感覚に陥るのか、こんな風に世の中が見えてしまうのか、と
その世界の見え方については興味深く読みました。

でも、やっぱり、感情が不安定な人が繰り出す理屈は苦手。
頭の固い私にはその突飛な感情の揺れが理解できないので、
共感ができないんですよねー。
これは、作品がとか、文章がとか、そういう作家側の問題ではなく、
私の感性の問題だと思います。

なんで、こんな行動をしちゃうんだろう?
なんでこんなに突飛なんだろう?と頭で思ってしまうので、
メンヘラという状態というか、症状というか、そこに気持ちを寄り添えないんですよね。
・・・・・・冷たいわ、自分。

たぶん、自分がそうなってしまうことが恐怖で、
そういう人の物語を遠ざけようとしているのだと思います。
いつか素直に読めるようになるのかなぁ・・・・。




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『カエルの楽園2020』
- 2021/04/08(Thu) -
百田尚樹 『カエルの楽園2020』(新潮文庫)、読了。

『カエルの楽園』が面白かったので、続けざまに続編をば。

コロナ禍での最初の自粛要請が出た2020年5月に、
家に閉じ込められている人々の慰みに・・・・ということでネットに掲載されたという本作。
ネットでは無料で読めたのに、「形に残すために出版を!」との声が多かったようで
本になったようです。

私自身、著者が本作をネットで公開していると言っていた当時から本作のことは知っていたのですが
『カエルの楽園』の方をまだ読んでいないしな・・・・・ということでネットでは読みませんでした。
あえて本の形で順番に読書。

というわけで本作ですが、前作と同様に日本における政治構造の歪さを寓話で嗤っていますが、
前作とはパラレルワールドという設定で、今回は「ウシガエル病」が蔓延する世界をテーマに
物語が展開していきます。

その中で、あえて、同じ人物を登場させながら、発言や見解が前作とは異なっているというところで
政治の一貫性のなさを嗤える構造になっているのは、パラレルワールドという設定を
上手く活かしているなと思いました。
こういう、物語の構造や設定のうまさは、流石ですね。

で、「ウシガエル病」に右往左往するツチガエルの国において、
著者を投影したハンドレッドは、最初に「ウシガエルを国に入れるな!」と主張し、
入国禁止措置を取らなかったために国内に病気が広がってからは一転「経済を止めるな!」と主張します。
昨年5月の時点で、ここまで割り切った主張を繰り広げるのは、
それが正しかったかどうかは別として、凄い勇気だなと思います。
ネットで公開するだけでなく、本として出版し、物理的な作品の形として残すというのも、
後から情勢が変われば大きく叩かれるリスクがあるのに、そうとうな自信と勇気でもって作品を
世に問うているんだなという姿勢には感心しました。

一方で、年明けごろに、百田 vs 上念 がネット上で話題になっていた時に、
「エコノミンは上念氏を揶揄している」という書き込みを見て、
「いくらなんでも書籍でそんな露骨に個人が特定される形で書くのかな?」と疑問に思ってましたが、
実際に読んでみたら、こりゃ、上念氏のことだわ(爆)。

結局、1年近くたったけど、百田氏の言うことが正しかったのか、
上念氏の言うことが正しかったのか、決着はつきませんわね。
どちらの提言とも違う道を日本政府は選択したのだから。

再び、大阪周辺で変異株による感染拡大がニュースになっていますが、
私の住む県でもまた感染者が増えてきており、その増えるスピードが
これまでの波の高まり具合よりも大きい気がして、怖いですね。

まぁ、でも、怖い怖い言ってても仕方ないので、仕事の用事を中心に
必要あるところには出歩いていますが・・・・。

私は、個人的には、無観客でも選手の出場辞退が一定数出ても、
東京オリンピックはやった方が良いのではないかと思っている口ですが、
うーん、かなり逆風になってきてますね。
池江選手の涙のカムバックでちょっと良い風が吹いたのに、残念。




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『カエルの楽園』
- 2021/04/07(Wed) -
百田尚樹 『カエルの楽園』(新潮文庫)、読了。

前々から読みたかった本作、ブックオフで続編とセットで見つけたので即買い&即読み。

いやー、一気読みでした。

憲法9条で戦争は回避できる!と信じ込もうとする日本人と、
隣の大国・中国、日本周辺の情勢を遠くから監視している米国などを
カエルの国の寓話で表現しています。

寓話化することで、問題の本質をものすごくシンプルに描いています。
この削ぎ落し方が見事です。
全く無駄なく、今の日本の憲法9条をめぐる問題点を抉り出しています。

カエルの国の「三戒」をめぐる混乱に的を絞って、
無理にほかの要素を詰め込まなかったのが凄いなと。
百田さんなら、いろいろ言いたいことはあったはずなのに、
他はすべて抑え込んで、「三戒」だけに絞る決断が凄いなと。

こうやってシンプルに日本の状況を描いてもらって、
私の中で一番の疑問だったのは、「デイブレイクって何でこんなことをしてるのかな?」という動機の部分。

たとえば、高齢の元老たちが「三戒」にしがみついたのは保身と思考停止だと思いますし、
ハンニバル三兄弟は能力を持っているのに行使できないのはルールに従うという判断でしょうし、
スチームボートがカエルの国を去ったのは居てもメリットがないと判断したからだと思います。

みんな、それぞれの立場があるので、その判断が、仮におかしなものだったとしても
理解はできるという感じです。
でも、デイブレイクだけは、なんで毎朝毎夕、カエルたちの危機感を鈍らせるような情報を流し、
はたまた危機感を訴えるカエルの口を封じようと、他のカエルたちを扇動しようとするのか、
その目的が分かりませんでした。

決して、百田氏の寓話化がうまくいっていないという批判ではなく、
そもそものモデルとなっている新聞社の目的が
私には理解できないんだということが、よく分かったということです。

私は、世の中の構造とか仕組みとかを知ることが大好きで、
人間社会の仕組み、経済の仕組み、自然の仕組みなど、いろんな本を読んだり
講義を聞いたり、動画を見たり、ということを重ねてきましたが
この新聞社が社会の中で果たそうとしている役割、その仕組みが理解できていません。

うーん、もっと読書を続ければ、いつか理解できるのでしょうか。
それとも、永遠の謎となってしまうのでしょうか。
最近は、動画でいろいろ保守派がこの新聞について発言するようになっているので
読んだり聞いたりする機会は格段に増えましたが、理解の糸口は見つからないままです。




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『龍神の雨』
- 2021/04/06(Tue) -
道尾秀介 『龍神の雨』(新潮文庫)、読了。

大藪春彦賞受賞作品ということですが、
あんまり意識したことがなかったので、受賞作が自分の好みに合うのかどうか
イメージがわかなかったのですが、検索してみたら受賞作も候補作もそれなりに読んでました(笑)。

ハードボイルド小説・冒険小説に与えられるということなのですが、
本作を読んでみて、うーん、その定義に合っているのかしら?とやや疑問。
というか、他の受賞作を見ても、ピンとこないです。
硬派な感じの作品というぐらいの緩やかな括りのような気がします。

親の再婚により血の繋がらない他人が「家族」として家庭の中に入ってきた後で、
血の繋がった親が亡くなり、継母・継父と兄弟だけが残されてしまった特異な家族が2つ。
その2つの家族が、万引き事件をきっかけに接点を持ち、
そして、殺人事件に巻き込まれていく・・・・・・。

この子供たちの目から見た、継母・継父への嫌悪感とちょっと配慮をする感覚が
見事に描かれていて、「あぁ、知らない人が突然家族として家の中に入り込んでくるのって
こんな感覚なんだなぁ・・・・」と、4人の視点から見える景色に納得しました。

一方で、ミステリとしては、物足りない感じでした。
殺人事件が起き、それをいかに隠ぺいするかという視点で物語が進んでいきますが、
淡々と進んでいくような印象を受けてしまい、あまり興味が持てませんでした。
隠ぺいしようと兄妹は必死に頭を回転させますが、ちょっと理屈っぽいかなと。
人間、窮地に陥ったときに、こんなにいろいろ考えられるだろうかと。

事件の展開にドキドキしたのは、むしろ万引きシーンの方。
店員側の視点も含めて、どういう展開になるのか、発覚後の駆け引きにおける心理戦も含め
面白かったです。

個人的には、圭太の視点が、一番、人間として安心できる心情の持ち主だったので
圭太目線で本作を読んでました。

最後のシーン、小学生ながらこんな場面に居合わせてしまった彼の不幸を思い、
その後の人生において、少しでもトラウマにならなければと祈りたくなりました。




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『絶望の国の幸福な若者たち』
- 2021/04/05(Mon) -
古市憲寿 『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)、読了。

しばらく前、古市センセって、落合陽一さんにブチ切れられてましたよね~(苦笑)。
ブチ切れた切っ掛けの古市氏の発言については別に何の感想もないのですが、
ただ、古市氏が「社会学者」っていう肩書で紹介されるのは、私も違和感を覚えます。

大学院まで社会学を学んだという実績をもって言論界や芸能界に入ってきた
いわゆる「高学歴タレント」という位置づけで私は見ています。
これは、ディスる意図はなく、そういうポジションの言論人が居ることも多様性であり、
そういう立場だからこそできる思い切った発言や軽いノリの発言もあるはずで、
そういう社会的な役割の人の発言に、いちいちブチ切れるのもどうかねぇ・・・・・というのが
騒動に対する私の感想です。

さて、本題から話が逸れましたが、本作は、日本の若者の実態を解説した本。
「大人」の学者先生や、「大人」のメディアが論じる「若者像」とのズレを
若者側の目線で語っています。

「大人」の勘違いやレッテル貼りに対して、真正面から怒って反論するのではなく、
「分かってないよね~」と半笑いで馬鹿にするような雰囲気もあり、
「大人」な読者は嫌な顔をしそうですが、天邪鬼な私は面白く読めました。

内向き志向とか、プチナショナリズムとか、イマドキのデモ風景とか、
様々な切り口で若者像を捉えていきますが、個人的に一番衝撃だったのは、
「20代の生活満足度が上昇するのは不況期のような暗い時代」という指摘。

要は、明日が今日よりも良くなると思えないときに、今に満足しようとしてしまうということ。
これって、満足度は自分の中から湧き出てくるものではなく、
社会環境という外部の特に制約面からもたらされているということになり、
あまりにも能動性がないというか、自主自律の考え方が乏しいというか、
受け身な感覚に唖然としました。
受け身なうえに、妥協しているところがなんとも・・・・・。
まぁ、好景気の時は、自分と周りを比較してしまい、不満がたまるという面が大きいのでしょうけれど。
私自身も、頭では前向きに考えているつもりでも、本能的には社会環境次第なのかなぁ。

あと、イマドキのデモ風景のリポートは興味深かったです。
正直、まじめなデモはプロ市民的な中高年が主体であり、
一方、今風のデモは、「よく分からないけど楽しそ~」という人たちを集めてイベント化しているという
そんなイメージだったのですが、本作では、そんな「楽しそうだからとりあえず来てみた」という
意識程度の人から、もう少しデモのテーマにきちんと興味を持ちつつ、でもプロ市民の活動には
シンパシーを感じられないという人たちまで、幅広くインタビューしており、
あぁ、こういう構造をなしているんだ・・・・と、なんとなく実像がつかめました。

ただ、あくまでデモに参加している、つまり、集められた側の人々の声ばかりで、
デモを主宰している側の、中心人物たちの声が拾われていなかったので、
そこは物足りなかったです。

楽しそうなふりして軽いノリで若者を集めて、そこから次第に思想を吹き込んでいき
見込みありと思う人を、より次元の高いデモ活動やその他の活動に巻き込んでいくのではないかと
勝手に思っているのですが、そこの仕組みも解説してほしかったです。
裏では、プロ市民層と繋がっているのではないかと思っているのですが、
その辺はどうなんでしょうかね?
あんまり思い込みで判断しない方がよいかな。

今の時代は、デモというリアルな場での活動以上に、
Youtubeなどのオンラインの場での主義主張の展開が広がっており、
リアルとオンラインとをどのように組み合わせて、若者たちを取り込もうとしているのか
そのあたりの最新レポートも著者にしてほしいものです。




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『たった一人の熱狂』
- 2021/04/04(Sun) -
見城徹 『たった一人の熱狂』(幻冬舎文庫)、読了。

幻冬舎社長の著者が、自分の仕事哲学、人生哲学を語った本。
どちらかというと本作の編集にあたった箕輪厚介さんの方に先に興味を持ち、
そこから本作を知りました。

ホリエモン等のビジネス系Youtube動画を見ていると箕輪さんが登場してきて、
その仕事に対するエネルギーの大きさ、判断する際の視野の広さ、処理スピードの速さ、
あらゆることが、凄い能力の高さだなぁと感嘆しました。

で、そんな編集者が著者に直談判して作ったという本作、
そして、その後、幻冬舎に転職したという経緯からも、興味津々です。
もともと著者の本は、藤田晋氏との共著を面白く読んだ口なので、
期待しましたが、期待以上に濃厚なメッセージの集合体でした。
どの本も、単行本は幻冬舎からの出版ではないというところも興味深いです。

正直、「ワークライフバランス」とか「長時間勤務の禁止」とか
そういうことが議論されている時代においては、著者の働き方は時代錯誤というか
時代の流れに逆行しているように捉えられかねないと思いますが、
私は、世の中の多様性を生み出すためには、こういう哲学の人が存在していることは
大事なことなのではないかと思っています。
この働き方を部下などに強要さえしなければ。

ここまで自分の時間と情熱を注ぎこんでこそ見えてくる世界観や
得られる信頼、人間関係というものはあると思います。

ホリエモンとか、ひろゆきさんとか、口の悪さや非道な物言いで目立っている人がいますが
そういう表現面での特殊性を取り除いた中身の人間としては、
勉強家で努力家で、努力することそのものを成長の過程として楽しんでいるような人だと思います。
見城さんも、Twitterでの某作家さんとの喧嘩において、暴露行為で炎上してましたが、
そういう外に対する表現面の問題点に目をつぶれば、著者の努力のプロセスというのは
とても勉強になります。

私には、同じようにはできませんが、自分で限界線を引かずに
できるところまでやり尽くす気概というのは、仕事にも生活にも大事なことだなと改めて思いました。






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『横道世之介』
- 2021/04/03(Sat) -
吉田修一 『横道世之介』(文春文庫)、読了。

吉田作品は、ドロドロしたものからカラッとしたものまで振り幅が大きいので
いつも新しい作品を読むときに楽しみなのですが、
本作は、あんまり私には合わなかったです。

男子大学生が主人公ということで、爽やかでちょっとおバカな青春小説かと思っていたのですが
爽やかというよりも、少し無関心さが気になってしまい、作品に入っていけませんでした。

入学式の日に最初に友だちになった男友達と、教室で最初に会話を交わした女友達と
3人で一緒に過ごすようになり、サークルも3人で同じところに入り、サークル新入生はその3人のみ。
私の中では、これって相当親しい間柄になっていく設定だと思うんですよね。

なのに、主人公は、この2人との関係がいつの間にか距離ができるようになり、
たまたま食堂で言葉を交わした男の家に入り浸るようになり、毎日のように寝泊まりするように。

そして、さらに、季節が変わりクーラーが要らなくなったら、この男の家にも寄り付かなくなり
自分の部屋で過ごすようになります。

あらー、ずいぶん、あっさりした人間関係なんだなぁ・・・・・と思ってしまいました。
関係が希薄というか。
まぁ、私自身が、サークルよりももっと体育会系に近い文化の組織に居たので、
同期や先輩・後輩と活動時間も遊びの時間も一緒に居たことが多く、
普通の大学生よりも閉鎖的な人間関係の中に浸かっていたという可能性もありますが・・・。
主人公のような、どんどん人間関係の軸が変わっていく方が普通なのかも。

でも、私は、濃厚な人間関係の中でやりとりされる青春のバカバカしさみたいなものが好きなので
単に好みが合わなかったというところかなとも思います。

というわけで、大学生時代の描写には、あんまり共感を覚えられませんでした。

しかし、そんな大学生時代の描写の合間、合間に、
彼らが年を重ねて30代、40代になったときの様子も描かれています。
ここに、吉田作品の厚みというか、人生というものに対する厳しく重たい視線が置かれていて、
あぁ、青春はキラキラしてても、現実世界はこんな感じで曲がっていくんだろうなぁ・・・・・と納得。
キラキラの物語でまとめるのではなく、その後も冷たく描いてしまうのが吉田作品の厚みかなと。

で、主人公やその周囲の人のその後が描かれるんですが、
主人公のその後は思わぬ展開に繋がっていき、「え、そういう作品だったの?」と、
そこに私はついていけなかったので、読後感がイマイチだったのかなと思います。
Amazonでは非常に評価が高い作品ですが、このその後の展開が全てではないでしょうけれど、
この展開を受け入れられると、大学生時代のバカさ加減も別の意味を持って見えてきて
多面的で面白い作品だったという感想になるのかな。

私は、この、その後の展開が、現実社会のとある事件と繋がっている点で、
小説世界の中で世界観を完結させるのではなく、現実社会で多くの日本人が感じ入ることがあった事件に
投下させる手法が、ちょっと小説作品としては、逃げのように感じてしまい、受け入れにくかったです。
唐突感も覚えましたし。

最後、読み終わってから裏表紙を見たら、「本屋大賞第3位」とのことで、
あぁ、やっぱり私は本屋大賞と相性が悪い・・・・・という結論になりました(苦笑)。




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『さらば財務省!』
- 2021/04/01(Thu) -
高橋洋一 『さらば財務省!』(講談社+α文庫)、読了。

たくさん本を出している著者において、
一般向けの本というのは本作が最初なのかな?

財務省という組織の中でどういう仕事をしてきたのか、
そしてなぜ財務省を出る羽目になったのかを、詳細に語っています。
こんなに政治・行政の中枢の話を書いても大丈夫なんだろうか?と思ってしまうぐらいに。

「元財務省」という肩書で今もメディアに出ていますが、
正直、本作を読むと、財務省の本道の仕事からは早々に外れてしまい、
籍は財務省に残しながらも、時の大臣や有力政治家に上手く一本釣りされて
財務省からはフリーな立場で活動していたように感じます。
ま、むしろ敵対関係というか。

そんな人材を、本人が辞めると言うまで組織内に留めておいたというのは
ある意味包容力があるのか、それとも除外する理屈を見つけられなかったのか・・・・。

本作では、政治家個々人が、どんな思想・発想で行動しているのか
小泉純一郎氏、竹中平蔵氏、安倍晋三氏、麻生太郎氏、いろんな方が登場しますが
紹介されたエピソードを読むと、どんな人物かだいたいわかりますね。
麻生さんは昔から財務省の代弁者だったのねーとか。

竹中平蔵氏の、政治の思惑とか派閥の駆け引きとか省庁間の駆け引きとかを省いて、
純粋に自分が信じる理論を日本社会をより良くするために実現したいという
強い思いは理解できました。その理論の妥当性は評価しきれませんが。
そして、小泉純一郎氏の、独特な政治嗅覚というか、
政治課題に緩急をつけて対応するセンスは、誰にも真似できないものだなとも思いました。
安倍晋三氏の「高橋さん、あなたは入省前に天下りというシステムを知っていましたか?」という問い。
素直にシンプルに本質を考えようとする姿勢が垣間見えました。

竹中平蔵氏のスタッフとして岸信之氏が登場してきて、
「あぁ、よく2人は共演してるけど、こういう太いつながりがあるのね~」と納得。

出版当時読んでいたら、同時代性が強すぎて、
あれこれ財務省に反発を覚えたり、改革反対派の政治家の言動にうんざりしたり
素直に読めなかったような気がします。
10年以上経過した今だからこそ、
また、登場してくる政治家たちのその後の10年を見ているからこそ
興味深く読めた本だなと思いました。




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