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『「働き方改革」まるわかり』
- 2024/05/20(Mon) -
北岡大介 『「働き方改革」まるわかり』(日本経済新聞出版社)、読了。

中規模企業への事業拡大を目指してる今は小規模企業の知り合いの社長さんから
ここ半年ぐらい「採用しても定着しないわー、教育しても全然育たんわー」と愚痴を聞かされており、
「助けて―」と言われているので、時々事務所にお邪魔させてもらってます。

積極的に若い人を雇っているけど、経験不足で社長が期待するレベルになかなか追いつけない、
そもそも社長自身が優秀で自分でなんでもできてしまう人なので
部下にもかなr高いレベルを最初から求めてしまっている、というような悪循環に見えます。

「もうちょっと成長を待ってあげたらどうですか?」「口伝だと細かく説明できるけどふとわからないときに
参照できるマニュアルも一定必要では?」と伝えてはいますが、なかなか頭ではわかっても手が回らない
というか、人間の性格ってそんなに自分の意思で変えることってできないですよね(苦笑)。

ご本人は、たぶん「24時間戦えますか」みたいな時代にしっかり働いて成果を出してきた人だと思います。
頭では「今は昔と違う、若い人の感覚に合わせないといけない、働き方改革にも取り組まないと」と
分かっていて、ご自身でよく口にされてはいますが、じゃあ、若い人の感性に合うような職場環境にして
働き方改革で言われている諸制度を積極的に取り入れたら、売上があがるのかというと
それはまた別の話でありまして・・・・・。

というわけで、「新制度」と「今風」と「健全経営」って、成り立たせるのも能力いるよなーと思いつつ、
働き方改革について、もう一回頭の整理をしてみよう・・・・と思って、手頃そうな本作を読んでみました。

が・・・・・

たぶん、大企業の人事部の人が、働き方改革に伴い新たな人事制度を構築しよう!とか、
不具合が起きている制度のこの部分を改善しよう!とか、そういう場合に、
社内の会議、特に取締役会などに諮る場合の資料作りには、本作は便利かなと思います。
制度改定の流れや、そこに至った社会的事件の内容と結果、またサラリーマンの残業の実態など、
取締役会附議資料を作成するのに必要な情報が一通り乗っているので、情報のつまみ食いに便利です。

一方で、私の知り合いの社長さんが、仮にこの本を読んでも、何の役にも立たないでしょうね。
もともと大企業での働き方を想定した事例紹介になっているし、制度設計をする人事部ではなく、
実際に残業をしている現場の人の目線での意見が登場してこないので、目の前にある課題の解決に
必要な知恵は拾えなさそうです。

今週また社長のところにお邪魔することになってるのですが、どんな話をしようかなぁ・・・・・。




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『田中角栄の超人材育成術』
- 2024/05/19(Sun) -
小林吉弥 『田中角栄の超人材育成術』(講談社+α文庫)、読了。

タイトルを読むと、田中角栄の人材育成術そのものを書いているように見えますが、
どちらかというと、吉田茂から森喜朗に至るまでの政権の移り変わりと、
自民党内部での派閥争い、権力闘争についての本であり、
各政局でのキーマンについて、「田中の師匠筋」「田中の盟友」「田中のライバル」「田中の手足」
みたいな感じで紹介していますが、田中角栄ぐらいの大物になれば
自民党幹部とは全部つながっているのは当たり前だから、あんまり意味がないような・・・・。
まぁ、タイトルに田中角栄と入ってた方が売れるということなんですかね。

登場人物の中で特に興味を持てたのは、野中広務氏。
剛腕ということは知識として持っていましたが、具体的なエピソードはあんまり知りませんでした。
京都を地盤とする自民党政治家ということで、あの共産党の巣窟の地域で勝てるのは凄いな
と思ってましたが、京都府議会議員時代に共産党府知事と真正面から対決してきたとのことで
筋金入りの政治家ですね。
この人の伝記のようなものを読んでみたいです。

あとは、渡辺美智雄氏のミッチー節と言われてたという発言集も読んでみたいかも。
私が小学生ぐらいの頃に活躍していたような記憶があるのですが、
さすがに私が幼過ぎてミッチー節までは覚えてないですわ。
そして大学の先輩だったと初めて知りました。
基本的に一橋大学はお上品な人が多いと思ってるのですが、
政治家の道に進む人は口の悪い人が多いんですよね。
石原慎太郎氏とか、河村たかし氏とか、田中康夫氏とか・・・・。
まぁ、面白いからいいんですけど、誤解されがちですよね。

この本には、「支援金として100万円渡した」とか金権政治が露骨に書かれており、
しかも、「議員本人ではなく妻に渡して生活の足しにさせる気配りに皆が感動した」的な
良いこととして描いており、今の裏金問題に騒いでいる状況と比べると隔世の感です。

個人的には、政治活動にはある程度の金は必要だと思っているので、
クリーンさを求めるあまりキツキツのルールで縛ってしまうと、この本に出てくるような
大胆な政治家が生まれてこなくなってしまい、日本という国の全体のエネルギーが萎んでしまうような
気がしています。

カネ最優先の政治はダメだと思いますし、私腹を肥やすのも間違っているし、
カネを持っていなければ権力を握れないという世界も間違っていると思います。
でも、政治家に清貧さを要求する社会は、その先にどん詰まりしかないように思います。

大胆な政治家さん、もっと出てこないかなぁ。
資金作りという意味では、立花孝志氏とか変わり種で興味深く見ていますが、
しかし彼が国の未来を描き実現することはないと思うので、
政権与党を取りうる政党の中に出てくることを願ってますが、野党がしょーもないのはもとより、
自民党も小粒な人しかいないようで、悲しいですねぇ。




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『リベラルという病』
- 2024/05/16(Thu) -
山口真由 『リベラルという病』(新潮新書)、読了。

これは期待値以上の面白さでした。

テレビ番組やネット番組での著者の発言を見ていると、
リベラル的な発想を他人に強制しようとするグループには懐疑的な立場である一方、
かといって保守的思想にどっぷりというわけでもなく、
うまーくコメンテーターとしてバランスとりつつ、顧客層が一番厚いと思われる
穏健保守派あたりを落としどころにしているのかな?という目で見ていました。
いわゆる、イデオロギーを奉じている人ではなく、ビジネス評論家かなと。
私的には、それぐらい割り切ってる人の意見が一番素直に聞けます。
で、得なのはどっち?みたいな感覚なので(苦笑)。

うちの父親は学生運動の世代の人で、かつサラリーマンとかの組織勤めをしたことのない
家族経営の会社でずっとやってきた人なので、社会のロジックや組織のロジックに洗われたことがなく
たぶん、学生時代の純粋な思考回路をまだそのまま持っているように思うことが多々あります。
父を見てると、結局、今、テレビの画面越しで見るデモとかやってるおじいちゃんおばあちゃんたちは、
そういう組織勤めを経験することなく年を重ねていった人たちなのかな?と思ってしまいます。

私はその反動なのか(苦笑)、組織としてもお堅さではトップクラスと思われる金融機関に勤めて、
会社という組織のものの考え方とか、金融インフラとして時の政権の政策が事業運営に大きな影響を
与えるので、政治とか官庁とかのものの考え方も、それなりに仕事を通して学んできたつもりです。
その結果、政権運絵をできるのは保守系のお堅い政党であり、
日本で言うなら自民党くらいしかないよな・・・・と思うに至りました。

民主党も、自民党を割って出た人たちが中心であったなら、もう少し、国の運営をどうするかとか、
諸外国との付き合い方を長期的視野で戦略だてて進めるにはどうしたらよいかとか、
そういう議論が党内でできていたかもしれませんが、今の立憲民主党とか、
個人の権利の主張と、時の政権への批判しか言うことができなくなってるような印象で、
いったい日本という国をどうしたいのか見えてきません。
真面目にそのあたりを語っているのは国民民主党ぐらいじゃないでしょうか。
維新も最近は個々の政策実現に対する強引さが目立って全体感が見えにくくなっているような。

そんなときに、この本を読んでみて、頭が非常にすっきりしました。
基本的に、アメリカにおけるリベラルとコンサバの対立を、大統領選挙や司法、家族制度などの
制度思想を中心に解説したものですが、そもそもの日米の「リベラル」「コンサバ(保守)」という
定義や語感の差異をわかりやすく説明しながら論を進めていくので、
アメリカの実態を知ることを通して、却って日本の「保守 vs リベラル」の構図が分かりやすくなっています。

そもそも安倍政権以降が進めてきた働き方改革とか、賃上げ政策とか、
それって労働組合が支持基盤の民主党系の人たちがすべき主張なんじゃないの?と思ってきましたが、
結局、日本では、自民党の派閥政治により、自民党内にコンサバからリベラルまでが幅広く揃っていて、
自民党の政策内に、十分、リベラル色の強いものを取り込んでけるから、最近は特に
氷河期世代や、その下の若い世代の支持を獲得するために、リベラル的な政策を入れつつ、
国家運営の方向性はコンサバ的という、不思議なバランスのもとで、なんとなく上手に運営されて
きたんだなと感じました。
まぁ、ちょっと社会保険料の値上げ等は、失われた30年にどっぷりと漬からされてる氷河期世代に
さらなる負荷を強いるものとなるので、やりすぎるとコア支持層を失うことになり、
与党の座がヤバいんじゃない?と思っちゃいますが。

そして、本作を読んで、結局、なんで私がリベラルに共感ができないのかがよくわかりました、
最後に著者が、「一貫してるのは、リベラルが徹底的に、自分たちのコントロールできる領域を
拡大しようとしていることだ」と書いているのを見て、「そうか!この傲慢に思想を押し付けてくるところだ!」
と腑に落ちました。

もともと、アメリカのコンサバ系(共和党支持者)の思想について、私は、
例えば「家族とはこうあるべきだ」「夫婦は異性愛者であるべきで、子供は父と母のもとで育つべきだ」
みたいな家族観について、「あるべき姿」を押し付けているのはコンサバの人たちだと考えていました。
しかし、本作を読んで、コンサバの人たちは、確かに理想の家族像を強固に持っているものの、
「みんなそれを目指そうと自分たちなりにそれぞれ努力するから、どう努力するかは放っておいてくれ」
という考え方なのだと分かり、「あ、「自分たちなりのやり方を認めろ、介入・指導してくるな!」という
そちらの方が本質として重要なんだなと腑に落ちました。

これは、私の感覚と近いので、だから自分も保守的な考え方の人に近いんだなと。
リベラル側の人は、「環境保護とはこういう行動をすることだ、またはこういう行動を禁じることだ」というように
事細かに行動に対していちゃもんをつけてくるような印象があるので、
「自由や多様性を謳っているはずなのに、なんでこんなに押し付けがましく、かつ許容範囲が狭いんだろ?」と
疑問に思うことが多々ありました。
結局それは、大きな政府の考え方と同じで、こういう活動を推進している「進んだ人たち」が最も頭が良いので、
その人たちの言うとおりに庶民は従いなさい、従っていれば考える頭が無くても幸せになれるから・・・・
極端な表現をすると、こういう態度が気になってしまうんですよね。

そういう物言いを死ぬまで盲目的に信じられる人が、一番ハッピーなのかも(爆)。
途中で何かに気づいてしまって、疑いを持ってしまったとたんに地獄ですけど。

というわけで、とりとめもない感想になってしまいましたが、
この本は、とても勉強になり、かつ自分の頭の中がかなり広い範囲にわたってすっきりと整理できました。

この本の内容は、著者の考え方がかなり反映された解説になっているのか、
それとも、アメリカで論じられていることを、上手く編集して見せてくれたその編集力がお見事なのか、
どちらなのかはアメリカの論壇のことが分からない私には判断が付きませんが、
しかし、とても面白い本でありました。




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『最高のチームをつくるシンプルな仕掛け』
- 2024/05/14(Tue) -
黒岩禅 『最高のチームをつくるシンプルな仕掛け』(こう書房)、読了。

ブックオフで目に留まり、著者のことは全く知りませんでしたが、帯を読んで、
日本全国のTSUTAYAの店舗間コンテストでグランプリ獲得とは凄いな、
どんなチーム運営をしているのか知りたいな、と純粋に感じて買ってみました。

で、しばらく積読にしていたあと、さて読むか・・・・・・と思って手に取り、再度表紙の帯を見たら
「小山昇氏絶賛!」の文字が・・・・。
あ、武蔵の案件か・・・・・と、ちょっと色眼鏡で読み始めることに(苦笑)。

著者は20歳で大阪の某TSUTAYAフランチャイズ店の店長に就任。
他にスタッフがいなかったから20歳の若輩者でも店長にならざるを得なかった、みたいな感じで
謙遜して書いてありますが、しかし、やっぱり20歳の人間に店長を任せようと思わせるだけでも
それなりに能力のあるスタッフだったんだと思います。
とりあえず任せてみようと思わせるだけの信用できるスタッフがいなければ、経営者自らが
一時的に店長を兼任することだって普通にあると思いますから。

そして、当時の著者は「北風マネジメント」と振り返っているように、店長権限で高圧的に
部下を管理する手法を取っていたようで、その時点で、TSUTAYAの全国コンテストで
優秀な成績を収めています。
部下に無理やりやらせて獲った賞、というように批判的に振り返っていますが、
正直、部下ウケは最悪だったとしても、それで成果をきちんと出していること自体が凄いです。

その後、部下との関わりの中で、自分のマネジメント法が間違っていると感じて、
「太陽マネジメント」に変えたというプロセスが語られていますが、
成果を出している方法を、よくぞ変えようと思ったな、と驚きました。
確かに、著者がマネジメント法を変えようと決心した部下の一言、
そして、過去に自分が経営者から言われて感じた屈辱とがリンクして・・・・という流れは
客観的な読者という立場で読んでいれば理解はできますが、当事者として「今のままではダメだ!」と
現在の自分にダメだしできる勇気が凄いなと思いました。

それと、小山昇系列の人に良くあてはまるのが、その徹底力の凄さ。
ビッグモーターは、それがダメな方に極端に出てしまったわけですが、
「お客様と向き合う時はこう振る舞え」「店頭の商品管理はこれだけしっかり気を配れ」みたいな
細かく運営ルールや基準が決まっていて、それを凡事徹底!という感じで
全てに100%の達成度を求めるような徹底さ加減が、並みのマネージャーにはできないよな、と感心します。

小山氏自身の著作を読むと、コミュニケーションとか、よく観察するとか、
スタッフと如何に熱く関わっていくのかみたいなことろが強調されていますが、
私は、武蔵野メソッドの肝は、スタッフみんなが同じルールをきちんと守るように
毎日凡事徹底を実行することにあると思っています。よりキツく言えば実行させる強制力です。

これって、私自身、小さな会社を経営している身からすると、簡単なように見えて、非常に難しいことに思います。
スタッフに守らせることが大変なのはもちろんのこと、自分自身でさえ、時には
「まぁ、今日はこの辺で良いか」とか「時間ないからスキップしよう」とか考えてしまいます。
しかし、決めたことを必ずやる、スタッフとコミュニケーションをとって、一見本人の自由意志のように見えて
決めたことをやらざるを得ないような状況・環境に追い込むということなのかなと。

このブラックさを、いかにブラックに見せないか、というスキルの部分が
コミュニケーションだったり観察だったりの方法論として具体的に語られているように思います。

今後、こういう熱い組織の運営メソッドが、時代に合わないとして敬遠されるようになるのか、
それとも、やっぱり成果を出すには厳しさも必要だ!として組織運営論の一翼を担い続けるのか
そこに興味があります。




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『人を見る眼 仕事を見る眼』
- 2024/05/13(Mon) -
松下幸之助 『人を見る眼 仕事を見る眼』(PHP文庫)、読了。

松下幸之助氏のエピソード集。

簡潔にたくさんのエピソードが紹介されており、なにより、松下幸之助という経営者の
姿かたち、立ち振る舞い、経営理念、そして言いそうな事がすぐにイメージできるので
短い文章でも、頭の中で幸之助翁が生き生きと動き回る感じです。

一方で、PHPの出版物は、基本的に松下幸之助の良い面しか描かないので、
キツい言い方をすれば、キレイごと集でもあります。

ただ、「こうするんだ!」と決める前の、悩んでいる幸之助翁の姿も書いているエピソードもあり、
「この大経営者でも悩むんだな」と、ちょっとホッとします。

松下幸之助翁に関しては、称賛する本が多いのですが、
一度、バチッと真正面から批判するような本も読んでみたいものです。
両面知ってこその、大経営者像だと思うので。




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『津市の思出』
- 2024/05/11(Sat) -
堀川美哉 『津市の思出』(自費出版)、読了。

叔祖父の遺品分けで、うちの父がもらってきた本。
巡り巡って私の手元に来たまま、しばらく積読でした。

著者名から、女学校の女性教師の思い出話みたいなものかな?と思い込んでいたのですが、
読んでみたら、なんと、戦中戦後に3回にわたって合計20年近く津市長を務めた人物でした。

津市長って、私が子供の頃には、岡村さんという人が20年ぐらい務めてて、
その後の市長もそれぞれ10年ぐらいずつ務めているので、
正直、長期安定政権ばかりで、あんまり興味持って眺めたことないんですよね。

県庁所在地ではあるものの、大きな産業があるわけでも、有名な観光地があるわけでも、
突出した企業があるわけでもなく(・・・・井村屋さんとかは全国に誇ってよいのかな)、
革新的な政治家が似合わないというか、やりがいのない町なんだろうなと思います。

それが証拠に、戦時中に市長を務めた著者が、その時代を振り返って市内の様子を描いた部分は、
津の海岸、偕楽公園、繊維工場など、たぶん今の市長が津市を紹介するときに出してくるものと
大して変わらない気がします(爆)。
昔の歴史を大事にしている、という言い方もできるかもしれませんが、
とりあえずチャレンジングなものは一生懸命探さないと見当たらない土地柄のように思います。

鈴鹿市や亀山市、松阪市などが企業誘致とか頑張っているのを横目に、
県庁所在地としての自尊心で成り立っているような・・・・・。
まぁ、でも、穏やかで良い町ですけどね。
適度に発展してて、適度に人口が減っていってるので、インフラはあるけど混雑はしないという(苦笑)。

老後に住むには適した町のような気がします。


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『悪人正機』
- 2024/05/10(Fri) -
吉本隆明、糸井重里 『悪人正機』(新潮文庫)、読了。

思想の大家と日本一有名なコピーライターの組み合わせに、「なんか変なの(笑)」と思って
買ってきました。

ぱっと見、対談なのかと思って買ってきたのですが、糸井さんの方は「聞き手」という位置づけで、
糸井さんが聞きたいテーマについて吉本氏にインタビューし、その内容をまとめたものということで
文章は、吉本隆明談、糸井重里編、みたいな感じです。

確かに、吉本隆明氏は敷居が高いから、糸井さんにかみ砕いてもらわないと
なかなか大変だったかもしれません。
読みやすくまとめられており、また、糸井さんの聞き方が上手いのか、
内容も柔らかい感じで言葉が紡がれていて、吉本隆明氏のイメージが少し変わりました。

吉本隆明氏というと、労働運動だとか共産党だとかと近いところにいたイメージで、
単純に「左翼系の人」と括ってしまっていたのですが、
(そして今まで著作を読んでいないので、そのイメージを修正する機会もなく・・・・)
結構、現実社会を突き放して冷静に見ている印象を受け、
普通の左翼系の人の「世の中はこうである!だからダメなんだ!」という決めつけのような批判精神は
感じられなかったので、意外と著作を読んでみたら面白いのかも・・・・と思いました。
それでも文章のハードルの高さがあるので、尻込みしちゃいますが。

吉本隆明初心者には良い本でした。




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『日本人の死に時』
- 2024/05/08(Wed) -
久坂部羊 『日本人の死に時』(幻冬舎新書)、読了。

最近、45歳になったのですが、誕生日の手前頃に、ネット記事でカナダの安楽死制度の現状について
読む機会があり、それ以降、「65歳ぐらいで『楽しい人生でした、お世話になりました、バイバイ!』と
身内に挨拶して安楽死できないかなぁ・・・・・」と思うようになりました。

今の安楽死制度を認めている国でも、基本的には「不治の病気で耐えがたい苦痛がある」というような
要件下で行われていると思いますが、時代が進んで、「確実に死ねて事後の処理をきちんとやってもらえる自殺」
として安楽死が認められるようにならないかなぁ、と漠然と思ってます。

私たち氷河期世代が高齢者となるころには、今以上に少子高齢化が進み、
なおかつ大した資産を持っていない高齢者や、親しい家族がいない高齢者が
今よりもずっと増えるのではないかと思っており、日本社会が維持できなくなるという差し迫った事情と
もう一方で、「死ぬ権利」みたいなものを主張する意識高い系の人たちが現れて、
その双方からの圧により、なし崩し的に安楽死が制度化されるのではないかと思ってます。

あと15年働いて、60歳でリタイアし、5年間かけて旅行と読書をめいっぱい楽しんで、
65歳で苦痛なく確実に自殺する、という人生設計です。
「65歳まで」と期限が切られていれば、老後の資金面での不安はかなり軽減できると思いますし、
60~65歳の間なら十分に旅行や読書を楽しむ体力や集中力も残ってるでしょうし、
大きな病気になる可能性も比較的低い年代でしょうし、65歳で死んで残った持ち金は弟なり
その子供たちに遺産として渡せれば、まだ若い彼らにとって使い勝手の良い資金になると思いますし。

そんなことを考えているときに、このタイトルの本を見つけたので、早速読んでみました。
著者は、ブラックな医療系の小説を書いている久坂部羊氏。
正直、その救いようのないブラックさに、読んでいて嫌になることが多いのですが(苦笑)、
本作で著者が終末医療や在宅介護の世界で働く医師だと分かったので、
「あぁ、あの小説作品たちは、やっぱり医師としての思いがこもった作品たちだったのか」と納得しました。

辛い病気を抱えながら、なお長生きすることを強制される高齢者たち。
下手な延命治療は望んでないのに、息子や娘の意思により生き伸ばされる高齢者たち。
そこに幸せはあるのかな?と思わざるを得ません。

私自身、長生きに興味がない理由として、一つは自分自身に子供や配偶者が居ない
気楽な立場であることと、自分の両親が目に見えて老いてきたこと、
そして、私の母が、その母(私の祖母)の終末期において、病院に搬送された祖母を診た医師から
「今晩がヤマです」と言われた時に、「延命治療は不要です」とはっきり回答したのを目の前で見たという
経験があるからなのかなと思います。

普段はおとなしく、あまり自分の意見を主張する姿を見たことのない母ですが、
このときははっきりと「延命治療は不要(=自然体で死なせてあげてほしい)」と意思を表明し、
医師も「分かりました」と素直に受け止め、投薬も機械を繋ぐこともせず、看護師もナースステーションに
引き上げ、心拍数と呼吸を測定する装置だけを繋いだだけの状態で、祖母と母と私の3人だけで
最後の時間を過ごしました。

そして呼吸が止まったことを機械の音で理解し、すぐにナースステーションから看護師が来てくれて、
そのまま医師が「ご臨終です」と申し渡す静かな最期でした。
しかし、とても厳粛な最期だと感じました。
苦しまずに自然と呼吸が弱くなっていく姿を見て、安らかな最期で良かったなとすら思いました。

反対に、母の妹が若くしてガンで亡くなったときは、終盤、痛みと苦しみに七転八倒する感じで、
モルヒネを大量に投与して意識をなくすことで痛みを和らげるような最期で、
その時も私は入院している叔母に数日泊まり込んで付き合いましたが、
「あの明晰で溌溂とした叔母がこんな姿になるなんて・・・・・」と相当ショックでした。

苦しそうな姿も見ていて辛かったですが、モルヒネで意識朦朧とし幻覚を見るのか
うわごとをずっと言っていたり、何かを嫌がるような身振りを見せたり、
そういう現実と夢うつつの間を行ったり来たりしているような姿も辛かったです。

この2つの死に向き合った経験から、「静かで安らかな最期を自分の意思で迎えたい」という気持ちが
強くなっているのだと思います。

65歳になって、実際に「安楽死したい」と覚悟が決まっているのか、
60歳ごろから「もうちょっと長生きしても良いかな」と思いが変わっているかは分かりませんが、
とりあえず現在は、「65歳でバイバイ!って悔いなく言える人生を、あと20年間しっかりと生きたい」
と心に誓っております。                                                                                                                                                                                                                                                                                                




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『利益を上げる会社の社長が必ずやっていること』
- 2024/05/06(Mon) -
中島孝志 『利益を上げる会社の社長が必ずやっていること』(PHP)、読了。

見開き2ページずつで、80個の教えを紹介しています。

短い分量の解説なので深さはないですが、分かりやすい日本語文章と
イメージしやすい具体例のおかげで、すいすい読めます。
経営を学び始めた初学者が、観点を広げるには便利かなと思いました。

どうしても具体事例は、みんなが知っている企業を・・・・・ということで大企業の話になりやすいですが
個人的には、自分の仕事に取り入れられるレベルの中小企業の事例で解説してくれると
嬉しいのになぁ・・・・と感じることも。
でも、知られてない企業の取り組みを事例に出すには、それなりに事象説明に行数を割かねば
ならなくなるから、見開き2ページでサクッと解説・・・・には不向きですかね。

著者の本は何冊か読んだことがりますが、何が専門なのかつかみどころがありません。
プロフィールを見ても、ずらずらと経歴が並べられており、多様な経験を積んでいるように見えて
反面、長続きしない多重転職者のようにも見えて、一体どんな人なんですかね?




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『もう銀行はいらない』
- 2024/05/05(Sun) -
上念司 『もう銀行はいらない』(ダイヤモンド社)、読了。

百田尚樹氏が政治活動に本腰を入れて、情報発信が一層盛んになるのと比例して、
上念氏による百田批判が勢いを増しており、正直、しつこ過ぎるんじゃなかろうか・・・・・と
上念氏のYoutube動画や"X"ポストからは距離を置いちゃってます(苦笑)。

まあ、本なら冷静だろうと、100円だったので買ってみました。

上念氏がメディアにどうやって登場してきたのかはよく知らないのですが、
本作を読んで、一般聴衆からすると、話の分かりやすさは魅力的だし、
メディアが重宝するコメンテーターだろうなと感じました。

自分自身の体験を交えた具体例の提示、読者も同じような体験をしているであろう共感、
数字やグラフで視覚的に見せるテクニック、日銀トップや銀行トップなどの責任者を
名指しかつ具体的理由付きで糾弾する明確さ、そして読みやすい日本語。
経済という誰もが関心を持っているけど、理解が難しい分野について、
これだけ分かりやすく解説できるのは流石だなと思います。
Youtubeと違って、著作では、多少の皮肉は込められていても、
冷静な文章で綴られてますし。

私自身、金融機関に勤めていたので、銀行は親会社として身近な存在でしたが、
とんでもなく優秀な一握りの人間が、一定の知識水準にある従順なスタッフを率いて
組織の力で経済を動かしていく事業体、というイメージです。

一方で、基本的に私はリテール分野だったので、法人融資の分野は全く無知です。
リテール分野の審査は、私がいた20年前でも、システムで一定程度の与信審査を行い、
そのスコアリングに応じて、人間が最終判断をするという流れになっており、
いわゆる「与信力」に関しては、個々のスタッフの能力をいかに高めるか、というよりも
優秀な与信判断力を持つスタッフの頭脳をどうやってシステム審査ロジックに落とし込むか、
みたいな観点で議論がされてました。

その点では、著者の言う「銀行員の99%は要らない!」も、99%が妥当か否かは別として、
そういう方向に進んでいくだろうなと思います。
少なくとも、システムは、人間みたいに融資先と癒着して金をごまかしたり、
逆に融資先をだまして金を着服したりという不祥事がない分、
安心して業務にあたらせることができますよね。

自分自身、脱サラして起業してからも、無借金経営できているので、
銀行は、ただ口座を開いて、取引先からの入金の受け口になっているだけです。
ほとんどこちらから振込することもないですしね。
クレジットカード決済か、自動引き落とし設定の取引先が多いので。

東京から三重県に戻って、最初のカルチャーショックが、地元の信金職員が「口座開いてくださいよ~」
とやってきて、「必要な時には融資もしますから~」と軽いノリで言ってきたので、
「自己資金があるし、追加資金が必要になったらクラウドファンディングで集めるから融資は不要です」
と回答したら、「クラウドファンディングって何ですか?」と、軽いノリで質問されたこと。
正直、気の利いた高校生の方が金融知識あるんじゃないかと思ってしまいました。

融資側がこの程度の金融知識と情報アンテナしか持ち合わせていないのであれば、
碌な提案はできないだろうし、彼からお金を借りる事業者のレベルも知れてるだろうな・・・・と。
地方の金融機関は、存在意義が加速度的になくなっていくのではないかと感じた一コマでした。




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