『theTEAM』
- 2017/02/24(Fri) -
井上夢人 『the TEAM』(集英社文庫)、読了。

これまで井上作品は、ちょっと肌に合わないものが多かったのですが、
これは面白かったです!

次々と悩み事を解決していく霊媒師・能城あや子。
その実態は、科学的な捜査活動をするチームが見つけた真実を
さも霊媒の結果のように伝える演出力にあった。

このチームの捜査のテクニックの数々と、
それを霊媒師がTVスタジオという舞台を使って
相談者に真相を突き付ける迫り方を面白く見せることで、
良質のエンターテイメント作品に仕上がってます。

能城あや子を含め、このチームの面々が、
全く霊感などを信じておらず、ビジネスに徹している姿勢も
良い味付けになっています。

そして、天敵の週刊誌記者が仕掛けてくる罠も
見事に回避するというか、反撃に打って出るアグレッシブさ。
最後は、ビジネス徹底で、さっと撤退するあたりもお見事。

楽しい読書となりました。
井上作品は、こういうポップなものが合うみたいです。


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井上 夢人

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『果つる底なき』
- 2017/02/23(Thu) -
池井戸潤 『果つる底なき』(講談社文庫)、読了。

銀行の融資先とのトラブルを巡る死。
事故死なのか、他殺なのか。
同僚の銀行員が真相を探る・・・・・てな感じでしょうか。

銀行業務の根幹である融資と回収について扱っているので、
金融モノが好きな私にとっては、面白かったです。

ただ、死の真相については、
「そんな動機で、そんな立場の人が、人を殺すかいな?」というのが
私の個人的な感想です。
罪の重みと得られる利益がアンバランスな気がします。

副支店長も精神的に弱すぎで、
墓穴掘りまくりなところも、ちょっと銀行員らしくない。

だから、江戸川乱歩賞受賞とか言われると
非常に違和感を覚えてしまうのですが、
金融ビジネスの世界を久々に覗いて、
懐かしいなぁ・・・・・と感慨に浸るには手頃な作品でした。


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『一橋ビジネスレビュー64巻3号』
- 2017/02/22(Wed) -
『一橋ビジネスレビュー64巻3号』

今回は戦略論の特集でしたが、
以前に比べて、こういうテーマに興味を持てなくなっている自分が居ます(苦笑)。

大きい企業には、戦略論は重要ですし、
小さい企業にとってもビジョンと計画は重要ですが、
でも、自分が小さいビジネスに携わるようになった今、
大きな視野の戦略論よりも、小回りの良さやスピード感の方に
気持ちが向かって行ってしまっています。

というわけで、戦略そのものよりも
戦略をいかに実行していくかの方に目が行きがちなので、
清水勝彦先生の「良い失敗とコミュニケーション」が興味深かったです。
あとは、特集の稿ではないですが、井上達彦先生の「良い模倣と悪い模倣」。

結局、経営とは、いかに実行し継続していくかが鍵のような気がします。


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『蒼林堂古書店へようこそ』
- 2017/02/21(Tue) -
乾くるみ 『蒼林堂古書店へようこそ』(徳間文庫)、読了。

古本屋を舞台にした連作短編集。
店主と常連客達が日常の謎解きに挑戦します。

しかし、それよりも印象に残るのは
ミステリ作品に関する多量の情報。
ミステリ好きたちが交わす会話がどんなのものなのか
体験できるようになってます。

日常の謎解き自体は、
謎が提示されたら、特に推理を戦わせるわけでもなく
店主がさらっと解いてしまうので、
ミステリ好きの登場人物がそろってる割には、
推理合戦を楽しめるわけではありません。

やはり、これは、どれだけ自分がミステリ好きかという
その会話の応酬を楽しむ作品なのでしょうね。
著者もそれが書きたかったというのが本音ではないでしょうか?
そして、各短編の章末に付いたミステリ作品案内を。

ミステリ「小説史」好きな人は非常に楽しめそうですが、
単なるミステリ好きの人にとっては、どうなんでしょうかね?

あと、気になったのは古本の買取価格。
100円以上だと珈琲が無料サービスという設定のためか、
買取価格が非常に甘いように感じました。
そんな値段で買い取りしてて、利益の出る値段で売れるんでしょうかね?


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『SOSの猿』
- 2017/02/20(Mon) -
伊坂幸太郎 『SOSの猿』(中公文庫)、読了。

ポップに知的で面白い作品を読みたいなぁ・・・と思い、
積ん読状態の伊坂作品の中から本作を選んでみました。
裏表紙に「面白くて考えさせられる、伊坂エンターテイメントの集大成!」
とあったので。

いきなり西遊記や悪魔憑きの話から始まるのですが、
ポップさというより理屈っぽさ全開で、
期待していた突き抜け感は得られなかったです。

エクソシストを副業とする(?)「私の話」と、
株の誤発注問題の原因究明に取り組む男について語る「猿の話」とが
交互に繰り返される物語構成で、
いったいこの話は、どこでどうやって繋がっていくのだろうかと
それが気になってグングン読めました。
そこは、さすが伊坂作品。

読み進められるんだけれども、なんか伊坂作品としては
すっと腹に落ちてこない感じのもどかしさ。
以前にも別の作品で感じたのですが、
内面に落ち込んでいくときに、極端な思考回路で思いつめちゃうタイプの
キャラクターが登場する作品は、理屈っぽくなり苦手なのかも。

「私の話」と「猿の話」は、ちゃんと「五十嵐真の話」として
繋がって収斂していくのですが、
ちょっとずつ不整合を起こしているというあたりは、
面白い仕掛けだなと思いました。
そして、その理由も、悪魔とか孫悟空とかではなく、
ユングを介しつつも、なんとなく現実世界に折り合いをつける感じで
まとめていくところも、さすがです。

スカッと爽快!というまでの終わり方ではなかったですが、
1つ1つ原因は究明されていくので、読み終わったときの
「あぁ、読み終わった」という感覚は十分得られました。


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伊坂 幸太郎

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『桐島、部活やめるってよ』
- 2017/02/19(Sun) -
朝井リョウ 『桐島、部活やめるってよ』(集英社文庫)、読了。

タイトルが気になっていた作品でした。
ようやく100円で見つけられたので、早速。

田舎の県立高校のバレー部キャプテンが、
突然、部活を辞めてしまった。
それに巻き込まれるバレー部の面々、周囲の部活の面々、
さらにその周辺の人々の各人の視点で高校生活を描写していくというもの。

読む前は、段々と辞めた真相が分かってくるような仕掛けになっているのかな?と
思っていたのですが、そうではなくて、桐島が部活を辞めたということが
どんな立場の人にどのような影響を大なり小なり及ぼしたのか、
意識的に、または無意識の面で影響したのかを描いていて
非常に面白く読めました。

結局、桐島という人物に迫っていくことはなかったのですが、
途中から、そこはもう、どうでも良いような感じになってきました。
それよりも、子供の頃って、毎日こんな感じのことを考えてたよなぁ・・・・なんて
感慨にふけってしまいました。

ま、私は、進学校の高校に行ってしまい、部活は半端な状況でしたし、
勉強ばっかりで、あまり休み時間とか放課後とかに遊んだ思い出がないので、
むしろ、中学校の頃を思い出しながら、本作を読んでいました。
それはそれは、楽しい中学生活だったので。

直接、桐島のことを知らない人間も、
桐島の行動に何らかの影響を受けているということ。
社会という仕組みの興味深い一面を上手く利用した作品だなと思いました。

これを19歳で書いたという作者。
驚きです。
でも、高校生に近い感性だからこそ、書けたという面もあるのでしょうか。
男性の作家さんで、ここまで高校生の瑞々しさを描けるのは凄いなと思いました。

そして、ふいに登場してきた「ウッチャンナンチャンのナンチャンのほう」。
笑ってしまいました。


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『イニシエーション・ラブ』
- 2017/02/18(Sat) -
乾くるみ 『イニシエーション・ラブ』(文春文庫)、読了。

「最後から2行目で全く違った物語に変貌する」
という裏表紙のあらすじ紹介を読んだので、
素直に読めず、不自然なところはないか探すような目で読んでしまいました。

それが良かったのか、普段なら苦手な感じの恋愛モノでも
読み通すことができました。

で、肝心の最後から2行目の件ですが、
読んでいるうちは分からなかったです。
最後まで読んで、「え!?どういうこと??」とネットでネタバレ検索して
なるほどねぇ~と納得。

確かに、読んでいるときの違和感はあったんですよね。
主人公から見た感想とは違って、意外と静かに迫ってくる感じの女の子だなぁとか、
主人公は上京してから随分ワイルドな感じになったなぁとか。

真相を知って、なるほどねぇ・・・・とはなりました。
恋愛小説としては、特に面白いものではなかったと思いますが、
パズルに向かったときのようなワクワク感は読んでいる間は感じました。

裏表紙のあらすじ紹介で
「最後から2行目!!」と強調されていなかったら、
普通の小説として読んでしまい、「大したことが起きずつまらない恋愛小説だなぁ」と
思ってしまっていたと思います。

結局、出版社のプロモーションが上手かったということですね。


イニシエーション・ラブ (文春文庫)イニシエーション・ラブ (文春文庫)
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『一橋ビジネスレビュー64巻2号』
- 2017/02/16(Thu) -
『一橋ビジネスレビュー64巻2号』

かなり積読状態だったのですが、
読み始めたらベンチャービジネスのエネルギーに当てられ、
特集を一気に読んじゃいました。

やっぱり、新しいビジネスを興していこうという人々のエネルギーは凄まじいですね。
そして、常識が覆され、新たなビジネスモデルが提起される新鮮さ。
目からウロコの指摘も多く、読んでいてワクワクしました。

連載モノでは、相変わらず無印良品が本音が混じってて面白かったのと、
雪国まいたけのドタバタぶりに驚きました。


一橋ビジネスレビュー 2016 Autumn(64巻2号) [雑誌]一橋ビジネスレビュー 2016 Autumn(64巻2号) [雑誌]
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『悪意』
- 2017/02/15(Wed) -
東野圭吾 『悪意』(講談社文庫)、読了。

面白くて一気読みでした。

気鋭の作家とされる男と、その幼馴染の子供本作家。
引っ越し間際の男の家を訪れたら、男は殺害されていた・・・・・。
捜査に来た警察官は、子供本作家が以前勤めていた学校のかつての同僚だった。

1つの殺人事件をめぐる推理なのですが、
それを語っていく小説の形態が、
作家の手記と刑事の独白を交互に見せていくという構成で、
客観性がなく、主観的に描かれているというところがポイント。

手記のどこまでが事実なのか、どこに不自然な箇所があるのかを
突き止めていくことで、真相にたどり着いていくという展開で、
捜査自体に大きな動きや大立ち回りはないのですが、
頭の中で大きな世界が動いていくような感覚があり、面白かったです。

報道もルポルタージュも歴史書も
どれほどまでに主観的な描写がなされているのかということを
思い浮かべてしまう作品でした。

日高という男のキャラクターが
随分、散漫な印象というか、固定しない印象でしたが、
その謎が解けてスッキリ!


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『タルト・タタンの夢』
- 2017/02/14(Tue) -
近藤史恵 『タルト・タタンの夢』(創元推理文庫)、読了。

近藤史恵さんは、本当に幅の広い作家さんですよね~。
本作では、フレンチのビストロを舞台に、
美味しいお料理の数々を登場させながら、
日常の謎を解いていく軽いタッチのミステリー作品となっています。

私は、レストランが舞台の作品は合わないことが多いのですが(苦笑)、
本作はお仕事小説ではなく、あくまでミステリ小説だったおかげか、
素直に楽しむことができました。

このビストロで働く4人のキャラクターが
お互いに干渉しない自然な感じでチームワークの良さを発揮しているところとか、
特に主人公が出しゃばって何かを解決しようとしないところとかが、
自分の職分をわきまえているような謙虚さがあり
好感が持てたことも理由の1つかもしれません。

冷静に見ると、お客さんの個人的な事情に
シェフがかなり立ち入って謎解きをしてみせる展開なので、
本当の世界に存在していたら、ちょっと鬱陶しく感じるのかもしれませんが、
ファンタジーのような美味しさを提供するビストロなら、
なんだか夢物語のように問題が解決されるような雰囲気もあり、
それほど気になりませんでした。

このあたりの匙加減が、さすが近藤史恵作品!と唸らずにはいられません。

これからも、いろんな作品を読み進めていきたいと思います。


タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)
近藤 史恵

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