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『佐保姫伝説』
- 2019/04/22(Mon) -
阿刀田高 『佐保姫伝説』(文春文庫)、読了。

ブックオフの棚に並んでいるような阿刀田作品はあらかた読んでしまったので
久々の阿刀田読書となりました。

タイトルの雰囲気から長編かな?と思ったのですが、短編集です。
昔の記憶と今が繋がっていく・・・・という、主人公の頭の中が過去と今とを
行ったり来たりする短編が並んでいて、ノスタルジーに浸れます。

ただ、作品の切れ味はあんまり良くない印象を受けました。
阿刀田作品好きには安心して楽しめるけど、
安心以外の面白味が薄味のように思いました。

著者の年齢が上がっていく一方で、
私自身の年齢は作品に登場してくる中年の域に入っており、
「こんな喋り方しないよなぁ」とか「こんな考え方は違和感あるなぁ」とか
リアリティの面の粗が気になってしまっているのも、一つのマイナス要素かも。

まぁ、そうは言いながらも、安定感を求めてこれからも阿刀田作品は読んじゃうと思います。




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『ポジショントーク未来予測法』
- 2019/04/21(Sun) -
渡邉哲也 『ポジショントーク未来予測法』(ヒカルランド)、読了。

「ポジショントーク」って、最近使われるようになった言葉ですよね。
その概念自体は昔からあって、私自身、大学の講義で
「マスコミが伝える言葉を鵜呑みにするな、その裏にどんな思惑があるかを意識しろ」とか
教えられたので、世の中そういうもんだと思ってました。

むしろ、「単純な事実を伝えるだけの言葉であっても、必ず発言者の主観が入る」と教えられてきたので、
マスコミとか、政府とか、そういう立場の発言だけでなく、
自分も含めてすべての発言がポジショントークであるという風に考えています。

そうなれば、考えるべきことは2つで、
「他人のポジショントークの本音は何か?」と、「自分のポジショントークをいかに効果的に行うか」です。

前者については、学生時代以降、それなりに学んできたつもりなので、
どちらかというと後者の方に関心があって本作を手に取ったのですが、
「政府が~」「新聞が~」という話がほとんどで、前者の話中心でした。

あと、具体的な政治家の発言などを事例に出してポジショントークの解説をしているのは
分かりやすかったのですが、しかし、そこから引き出される教訓というか、
作中に大きな文字で書かれている内容は、ありきたりというか抽象的というか
あまりズバッと本質を突く印象を持ちませんでした。
ちょっとボヤっとしている感じです。

うまく世の中を渡っていきたいので(爆)、
「あなたも使えるポジショントークテクニック!」みたいな、下心丸出しの本を読んでみたいです。




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『飛ぶ教室』
- 2019/04/20(Sat) -
ケストナー 『飛ぶ教室』(光文社古典新訳文庫)、通読。

前から読みたいと思っていた作品だったのですが、
あんまり頭に内容が入ってこなくて、ざっと眺めただけのようになってしまいました。

寄宿舎生活をする少年たちの話ということで
キラキラした青春モノを想像していたのですが、
なんだか平板な物語が展開されていっているような印象で
ちょっと退屈に感じてしまいました。

登場してくる大人たちは魅力的なように見えたのですが、
彼らを表現する文章がなんだか単調で・・・・。

ケストナーの作風に私が合わないのかなと思って読み終えたのですが、
最後の訳者の文章を読んで、やたら自分の訳の意図について自信満々に書いているので、
これは、翻訳者の作風が私には合わなかったのかなと思い直しました。

Amazonのレビューを見ていると、いろんな方が翻訳されているようなので
他の翻訳なら面白みが分かるのかもしれませんね。




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『国家は僕らをまもらない』
- 2019/04/19(Fri) -
田村理 『国家は僕らをまもらない』(朝日新書)、読了。

タイトルから、ちょっと皮肉った政治談議なのかなと思って買ったのですが、
憲法論のお話でした。
よく見たら、サブタイトルにもそう書いてありました(苦笑)。

中身の話に入る前に、文章が読みづらいです。
冒頭、フレンチレストランの話から始まり、
「気取ってばかりでとっつきにくい」フランス料理と憲法の話を重ねていきますが、
その文章自体が「気取ってばかりでとっつきにくい」です。

その後も、憲法論の話をするのに、キムタク扮する久利生検事が登場したり、
パタリロが登場したり、スッパマンが登場したりするのですが、
どれも読者が知っているキャラではあっても、それほど詳しいわけでもないので
著者のようなマニアックな参照の仕方をされると、読みづらいです。
しかも、思い入れたっぷりに語られるので、さらに読みづらい。

大学の講義における学生とのやり取りも、なんだかレベルが低くて残念です。
学級崩壊みたいな大学ですね。

で、肝心の憲法論ですが、
「立憲」とはどういうことか、という点では、分かりやすかったです。
「憲法とは、国家=権力に余計なことをさせないための規範である」。なるほど。
だから、憲法は、国家=権力に対して向かっているものであり
国民1人1人に対して何かを言っているものではないという話は、
「あぁ、そういうことだったのか!」と目からウロコでした。
憲法論の初歩ぐらいは、学生時代に講義を取っておくべきだったと後悔しました。

ただ、その「立憲」の考え方が、
具体的な日常の政治の話になってくると、
あんまり現実的ではない空論のような気がしてきて、
腑に落ちる感覚が味わえませんでした。

どんな社会を目指すべきと考えているのか
(文章の読みにくさのせいもありますが)、良く分かりませんでした。




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『木をみて森をみない』
- 2019/04/17(Wed) -
青山南 『木をみて森をみない』(同文書館)、読了。

全然知らない作家さんでしたが、
近所のおっちゃんにもらったので、読んでみました。
翻訳家さんのエッセイとのことです。

最初は、翻訳家さんらしく欧米文学作品の話から。
私には馴染みのないジャンルなので、知っている名前がほとんど出てこない・・・・・。

本から音楽や映画の話に広がっていきますが、
こちらも馴染みがないので、ちょっと入り込みにくく・・・・。
文章はすごく読み易いので、興味のある範囲があんまり重なっていないことが残念。

ただ、娘さんに関するエッセイは面白かったです。
たった2本でしたが、娘さんの聡明な感じが伝わってきましたし、
著者が、父親の立場で温かい眼差し眺めながらも
冷静に観察しているような部分もあり、興味深かったです。

最後の著者紹介を見てたら、娘さんに関するエッセイ本もあるようなので、
そちらを読んでみたいなと思いました。




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『僕に働く意味を教えてくれた29通の手紙』
- 2019/04/14(Sun) -
福島正伸 『僕に働く意味を教えてくれた29通の手紙』(中経文庫)、読了。

表紙のイラストが可愛らしかったので買ってしまいました(笑)。
自己啓発系の本ですが、小説形式になっています。

毎日の仕事を受け身の姿勢でこなしている主人公。
上司には怒られ、部下には反抗され、新規契約も取れない。
八方塞がりな感じですが、最大の原因は自分自身のやる気のなさ。
自己中心的な考えばかりで周囲を腐し、自分のことは棚に上げて成長ゼロ。

最初は、「こんな主人公に共感しちゃう人って、こんな自己啓発本は読まないんじゃないの?」と
思ってしまいましたが、途中からは、自分には良く分からない所謂「下流社会」(by三浦展さん)に
所属する人々の思考回路が、この本を読めば理解できるのかも・・・・という視点で読んでました。

なんで、ここまで他人のせいにできるんだろうか?とか、
なんで、こんなにすぐに頭に血が上るんだろうか?とか、
私にはわからないところが多く、「こういうモノの見方があるんだなぁ・・・・」と
客観的に眺めるような感じでした。

そんな投げやりな主人公に対して、誰かから短文の手紙が届くようになるのですが、
その手紙に書かれた言葉は、なかなか重みがあって面白かったです。
自分の立場に置き換えて、自分なりに解釈ができるというか、
考える余白が大きいというか。

ただ、その手紙を解釈するための肝心の小説の方が面白くない(爆)。
投げやりな主人公に対して、会社の同僚や元上司、元同僚などが
ボランティア的に助けてくれるのですが、「みんな忙しいのにそんなお人好しいないよ」てな感じです。
取引先の課長までが、何日も何日もボンクラ君の相手をしてくれて、
一体何をやってるんだよ・・・・てな世界です。

小説とはいえ、もうちょっとリアリティのある世界で、仕事を描いてほしいなと思ってしまいました。

でも、挿絵もイラストはかわいい(笑)。




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『ストーリー・セラー』
- 2019/04/13(Sat) -
有川浩 『ストーリー・セラー』(幻冬舎文庫)、読了。

小説家である妻が病気になった。
脳を思考で使えば使うほど寿命な縮まるという奇妙な病気。
それは妻に絶筆を迫る病気だった・・・・。

裏表紙のあらすじからは闘病モノのように思えたのですが、
正直、このあらすじは本作の本質を捉えていないような気がしました。

会社員時代に出会った妻は、実は小説家だった。
誰も知らないその副業に、夫となる男だけが気づいた。
小説を読むことが好きな夫と、小説を書くことが好きな妻の物語。
私的には、要約するならこうなります。
病気の話ではなく、小説という存在をめぐる話だと思います。

そもそも話の前半は、二人が出会った頃が中心に書かれ、
後半で病気の話になっていきますが、
私が心を寄せたのは前半部分でした。
本読みさんなら、「そうそうそう!」と共感してしまうポイントが盛りだくさん。
小説読みの男の言動に簡単に自分を重ねることができて、楽しかったです。
まぁ、私は、ここまで特定の作家に入れあげているということはないですが。

後半も、闘病というよりは、病というきっかけを得て、
夫婦の間での「小説書き」「小説読み」というものを見つめ直す作業が行われたというところが
私にとっては大事な部分で、正直、病気の部分については
「そんな病気、あるかよ~(苦笑)」ぐらいの、雑な扱いでした(苦笑)。
まあ、小説というものの特殊性を表現するための舞台装置に過ぎないかな。

書く人と読む人がセットになった夫婦って、本作では理想の夫婦のように描かれてましたが、
現実世界においては、そんなキレイごとにはならないだろうな・・・・と思ってしまったり。
どの作品も満点をつける読者って、居ないんじゃないかなと思ってしまうので、
そこはちょっとリアリティがなかったかな。
まあ、これは作家さんの願望世界なのかもしれませんね。

Side-Aでは、妻の両親がいかんともしがたいダメな人物で、
ここまで極端な設定にする意味ってあったのかな?と思わずにはいられませんでしたが、
夫の優しさや強さを引き出すためには必要だったのかな。

本作は、本読みとしての共感度は高かったですが、
小説の構成としては、ちょっと歪なものを感じてしまいました。

Side-Bは、似たような夫婦関係で、別の物語が走りますが、
こちらは夫が病に倒れるという展開。
Side-Aに比べると、作家視点で描かれているので、本読み共感度は下がりましたが、
これまた素敵な夫で、有川さんの理想の夫像ということなのでしょうかね。




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『不肖宮嶋 南極観測隊ニ同行ス』
- 2019/04/11(Thu) -
宮嶋茂樹、勝谷誠彦 『不肖宮嶋 南極観測隊ニ同行ス』(新潮文庫)、読了。

カメラマンの不肖・宮嶋が南極の観測隊に同行するという紀行モノ?

宮嶋さんは、何度かネット番組で話をしている様子を見たことがあるのですが、
その時の落ち着いた印象と、本作の文章のエログロナンセンスな感じと
ずいぶん印象が違うので、「若い頃はキャラづくりしてたんだな・・・・」なんて
違和感を覚えながら読んだのですが、あとがきを読んだら、文章は実質的に
勝谷氏が書いたものだと分かり、「あな、あの人ならこうだわな」と納得(苦笑)。
つまりは、文春テイストということなわけで。

第38次南極越冬隊に同行し、昭和基地からさらに奥地のふじ基地まで行き、
交代した第37次隊員と一緒に帰ってくるという4か月間のお話です。

初の雑誌カメラマンの取材で気合が入っているというか、
お堅い新聞記者取材との差をつけるためというか、
文春テイストで塗り固められた取材は
隊員たちの奇行やシモの話に偏っていて、
彼らが一体何のために南極に来ているのかは、さっぱり伝わってきません(爆)。

しかし、1年4か月もの間、閉ざされた南極の大地で少数精鋭の男たちが
一生懸命生きている様子が垣間見えるという点で、
非常に人間らしさが出ている面白い内容でした。
日本人って、結構ユーモラスなんだな、と思えてきます。

カメラマンなので、当然、写真もたくさん掲載されていますが、
モヒカン刈りだったり、女装してたり、大便中だったり、
キョーレツな写真に目が行ってしまいます。
半分は、ちゃんと南極観測隊の業務の様子が収められた良い写真なのに、
それが霞んでしまうほど、他の写真の圧がすごいです(苦笑)。

ただ、途中から、「一部の隊員の写真に偏ってるな・・・・、このシーンの写真はないのかな?」
と思うようになり、これまたあとがきで、どうやら内容のエログロナンセンスさに
雑誌掲載時に隊員の家族や、一部の隊員自身が激怒したという事件があったようで、
「ああ、だから単行本で写真NGな人がいるのかな?」と勘ぐってしまいました。
ま、文章は多分に加筆されているようなので、
文春のやりたい放題加減は減殺されてないようですが。

どの程度、勝谷氏による演出が行われているのか分からないので、
宮嶋さんが書いたというデータ原稿というものも読んでみたくなりました。
本作の中で紹介されている宮嶋さんから編集部への手紙のような感じの文章なら
そっちの方が落ち着いたユーモアがあって読みやすそうだなと。
まあ、分量が本作の10倍あるとか、繰り返し同じ話が書かれてるとか言われると
読む気は失せますが・・・・。




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『みだれ髪』
- 2019/04/10(Wed) -
与謝野晶子 『みだれ髪』(角川文庫)、読了。

近所のおばちゃんがくれた本。

与謝野晶子と言えば、教科書にも出てくる人物なので
当然、顔と名前は一致していますが、
どちらかというと日本史の教科書で「君死にたもうこと勿れ」を学んだので、
短歌そのものについては、あまり知りませんでした。

で、この機会に読んでみたのですが、
まず、本の構成として、短歌がずら~っと並んでいるだけで、
素人が見ると、ちょっと怖気づいてしまうようなページ構成でした。

本当は、1日1首ぐらいのつもりで、じっくり1首1首読むべきなのでしょうけれど、
だーっと読んでしまうと、なかなか頭に入ってこないですね。

でも、歌の艶っぽい感じは、凄く印象に残りました。
何となく「反戦の人」というイメージから、戦時中の暗い雰囲気をこの人には持っていたのですが、
そりゃ、ずーっと戦争しているわけではないですから、
恋する気持ちを歌ったものはありますわね。

でも、それにしても、感情豊かというか、艶やかさを開け広げに歌っているというか、
当時にしては、相当進んだ歌だったのではないかと思います。

でも、古の時代の短歌も、開けっぴろげな恋の歌や情念を女性が歌いあげていたわけで、
これは、日本の文化なのかな。
ここまで女性が堂々と気持ちをオープンにできる文化が昔からあるという社会は
実は珍しいのではないだろうかという気もしてきました(何の調査もしてない、思い込みで書いてます)。

日本文化と日本社会の関係性を、ちゃんと学びたいなと思った作品でした。




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『橋ものがたり』
- 2019/04/09(Tue) -
藤沢周平 『橋ものがたり』(新潮文庫)、読了。

橋が物語の中でアクセントになっている短編集。
かなり前に、阿刀田高氏の『面影橋』という短編集を読んだことがありますが、
「橋」というのは、小説家にとって想像を掻き立てるものなのでしょうね。
二つの世界を橋渡しするもの、もしくは、二つの世界を隔てるもの。

本作では、どちらかというと、二つの世界を隔てるものとして存在しているような
作品が多いように思いました。
橋で隔てられた二つの町は、違う文化や習慣で動いているような。
そして、「あの橋の向こうには行っちゃいけねえ」と言われるような
境界としての役割を担っているような。

登場してくるのは、職人だったり商人だったり、
市井の一人に過ぎないような人々ですが、
皆さん、自分の人生を一生懸命生きていて、凄いなと。
借金のカタにイカガワシイお店に売られたような立場の女性でも、
自分の立場を受け入れて、その店で一生懸命働いているようなところがあり、
日本人って勤勉だなぁと変なところで感心してしまいました。

短編集で、話はテンポよく展開しますし、
最後もサクッと切り上げて、あとは余韻を楽しんで・・・・・みたいな感じなので、
自分で想像できる余白があって、良い短編集だなと思いました。
さすが、藤沢周平です。





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