『築地を考える人』
- 2017/09/20(Wed) -
月間ソトコト編集部 『築地を考える人』(木楽舎)、読了。

未だに先行きが見えない築地移転問題。
石原都知事の時代から、あーだこーだとやっていますが、
本作は、その当時に発刊されたもの。

築地の関係者の生の声が聞けるのかなと期待したのですが、
冒頭の対談で登場したのは、建築家の隈研吾氏と生物学者の福岡伸一氏。

その後も、建築家とか作家とか批評家とか寄稿が続き、
築地の仲卸や干物生産者、寿司屋などが登場してくるのは後半です。

なんじゃ、この構成は!(怒)
築地のことなんだから、築地の人の声を拾わんかい!!と思ってしまいました。

地方の過疎地の展望を、地元の人に聞くのではなく
移住促進NPOとか古民家リフォーム業者とかに聞いている感じ。
あ、ソトコト編集部だから、それが王道の取材スタイルなのか。

豊洲移転推進派、反対派、それぞれの立場の当事者の声を
もっと読んでみたかったです。
もっと「魚の流通」という基本的な話を聞いてみたかったです。
築地市場の建物の価値とかいう話の前に。

日本橋から築地への移転も揉めてたようで、
その時は、関東大震災が起きたために移転せざるを得ない状況に追い込まれたようですが、
東日本大震災を築地は乗り切ってしまったがために、
移転で揉める余裕を得てしまったのかもしれませんね。


築地を考える人―世界を動かす魚市場におくる52人のメッセージ築地を考える人―世界を動かす魚市場におくる52人のメッセージ
月刊ソトコト編集部

木楽舎 2011-04-01
売り上げランキング : 905702

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則』
- 2017/09/19(Tue) -
ジム・ドノヴァン
  『誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則』(ディスカバー携書)、通読。

ドカ買いしてきた中の一冊。

誰でもできるシンプルな行動法則が書かれています・・・・・・103個(爆)。

1個1個できるかという話の前に、103個もできないでしょうに。
103個いっぺんにやらなくて良いよと言うなら、
優先順位付けてあげなきゃ、どれもやれないままに終わりそう。

結局、シンプルな行動法則だろうが何だろうが、
継続して実行できるということが鍵なのであり、
そして、継続できるということ自体が、1つの能力だと思います。

だから、「誰でもできる」というワードは真実ではなく、
「誰でも1回はできる」という表現が正しいのではないかと。

ありがちな自己啓発書の落とし穴。


誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則 決定版 (ディスカヴァー携書)誰でもできるけれど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則 決定版 (ディスカヴァー携書)
ジム・ドノヴァン 桜田直美

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2014-08-26
売り上げランキング : 21399

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『漁の旬を喰らう』
- 2017/09/18(Mon) -
木村聡 『漁の旬を喰らう』(生活情報センター)、読了。

期間限定Tポイントがドカッともらえたので、
ブックオフオンラインでお買い物。

『週刊金曜日』での連載をまとめたものということですが、
まず何よりも、漁場を写し取った写真が素晴らしい。
躍動感、緊張感、達成感のようなものが伝わってきます。

命がけの仕事ですからね、迫力が違います。

そして、そんな仕事場に同行した著者のレポート。
様々な漁の手法が紹介され、また漁場の違いも分かり、
どの海も興味深かったです。

もちろん、旬の魚をどのように味わったかも書かれていますが、
もう、こりゃ、現地に行くしかないですな。

日本でも有数の魚種が獲れる三重県の海が紹介されなかったのは
ちょっと残念。
マスコミへのPR活動不足ですね。


漁の旬を喰らう―春夏秋冬・潮の味漁の旬を喰らう―春夏秋冬・潮の味
木村 聡

生活情報センター 2003-10
売り上げランキング : 2310715

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『まほろ駅前番外地』
- 2017/09/17(Sun) -
三浦しをん 『まほろ駅前番外地』(文春文庫)、読了。

便利屋さんシリーズ第2弾。

第一作で登場してきた依頼人の生活を、さらに深掘りした短編が並びます。
もちろん、多田&行天のコンビが、お悩み解決に奔走。

今回は、依頼者側の目線で物語が進むので、
どんな日々を送っているのか、どんな過去を抱えているのかが
より詳しく描かれており、厚みのある作品になっていると思います。

曽根田のおばあちゃんの恋物語とか華やかなお話ですが、
私は、岡夫妻の地味な日常の方に惹かれてしまいました。
奥様の観察眼と冷静な行動、そして気難しい旦那への返答が冴えてます。

高齢になるにつれて偏屈になる人って多いですが、
(うちの家族や親戚を見てても、ほんと思います・苦笑)
そんな人と2人で暮らしていく相手の方は大変だなぁと。
岡夫人のように、適度に突き放しながらコミュニケーションを取るのが
一番うまいあしらいかたなんでしょうね。

そして、相変わらずの不思議ちゃんの行天ですが、
この人の憎めない感じは何なんでしょうね。
そこに居るみんなが、「この人なら仕方がない」という認識を
すっと共有できるのは、すごい個性だなと。

そして、そんな行天を助手として使いこなす(?)多田の経営術も
意外と凄いのかも。

まだまだシリーズは続くようで、今後も楽しみです。


まほろ駅前番外地 (文春文庫)まほろ駅前番外地 (文春文庫)
三浦 しをん

文藝春秋 2012-10-10
売り上げランキング : 7530

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  三浦しをん | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『うわさの人物』
- 2017/09/16(Sat) -
加門七海 『うわさの人物』(集英社文庫)、読了。

「お、うわさの神仏シリーズだ!」と思って買って来たら、
なんと現代社会の霊能者たちのインタビュー集でガックシ。

これまでのシリーズが、神社仏閣巡りだったので、
てっきり、安倍晴明とか空海とか歴史上の霊能者にまつわる神社仏閣でも
巡るのかと思ってました。
ま、ちゃんと裏表紙には「インタビュー集」って書いてあるので、
そこを見ずに買ってしまう私が悪いのですが。

まえがきで著者が、「霊能者は統合失調症と評価する人も多い」と書いていますが、
私も、同じような目で見ているところがあります。
常識的な価値観を共有できないというか。

その問題について、インタビューの中でどう答えを出すんだろうか、
そして、その答えに私は納得できるだろうかという興味で読みました。

9人の霊能者たちとのインタビューを通して、
著者の結論は、「霊能者と統合失調症患者は違う、会えばわかる!」という
ことに落ち着いたように感じました。理論的じゃないけど(苦笑)。
あとは「当たるか、当たらないか」。これも検証できそうに見えて実は難しい。
彼らの言葉が抽象的だったり断片的だったりするから。

私自身の結論は、常識では測れない世界の話を
自分の思うがままに口にして周囲と折り合いがつけられないのが統合失調症、
聞き手に伝えるというところを意識して言語化できるのが霊能者という定義になりました。
つまりは、霊能力の否定ですが(爆)。

思うまま、感じたままを口にするのではなく、
自分なりの解釈の世界観を構築でき、それを他人に伝えて理解してもらおうという
努力とコミュニケーションができる人が霊能者なんだろうなと思います。
そして、理解できちゃった人が信者となり、傾倒していく。
理解できない人は、インチキ霊媒師みたいな目を向ける。

私としては、たぶん、この先も理解できない世界のように思いますが、
信じる人がそれで何らかの安心感を得られるのであれば、
それで良いのではないでしょうか・・・・・という感じです。
大金を払わされるとか、身体を傷つけられるとかいう刑事事件に発展さえしなければ。
なんだか、冷たい結論ですけど。

インタービュー対象は、「私には霊能力があります!」というガンガンのスタンスで話す人より、
「私には能力はないです」と謙遜しながらも、霊能力と一般社会との関係性みたいなことを
冷静に話す人の方に興味を覚えました。
自分たちの存在を、第三者的な目で冷静に捉えていそうで。
でも、結局、彼らも、聞かれれば「実はこんな体験が・・・・」と語りだし、同類か。


うわさの人物―神霊と生きる人々 (集英社文庫)うわさの人物―神霊と生きる人々 (集英社文庫)
加門 七海

集英社 2010-03-01
売り上げランキング : 49665

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  加門七海 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『盗作』
- 2017/09/15(Fri) -
飯田譲治、梓河人 『盗作』(講談社文庫)、読了。

作家さんがエッセイの中で紹介していたのだったか、
雑誌や新聞の書評欄に載っていたのだったか、
とにかく、何かで紹介されてて、読みたい本リストに入れた作品。

どんな紹介のされ方をしていたのかスッカリ忘れていたので、
てっきり盗作事件を巡る謎解きミステリーだと思っていたのですが、
そうではなくて、作品が自分に降りてくる、ある種のトランス状態があって、
そこから生まれてきた作品は、果たして創作なのか・・・・という問いをテーマにした
ちょっと哲学的な作品でした。

私自身、芸術作品を生み出すという行為からは縁遠い人間なので、
自分のアウトプットは、基本的に自分の頭の中で論理的に考え出したものです。
ひらめきみたいな瞬間はありますが、
アウトプットが丸ごとどこかから頭の中にやって来るという体験をしたことは
ありません。

なので、この作品で描かれている「降りてくる」という現象が
なんともファンタジーのように思えてなりませんでした。

降りてくる対象である主人公の女性が、
地味で目立たず自己主張もせず想像力もない女性という
芸術家とは対極に居そうなキャラクター設定なことも、
なんだか作り過ぎているように感じられてしまいました。

そんな風に感じているうちに、第2の降臨が起こり、
またまた事件へと繋がっていきます。
しかも、テーマは絵画から音楽へ。
ますます現実味が乏しい展開となっていき・・・・・。

この時点で、読む目的は、一体どうやって話に結論を付けるのだろうかという
その一点のみとなりました。
が、第3の展開は、なんとノーベル賞がらみ。
うーん、とことん飛んでいくなぁ・・・・・という世界観。

で、最後の最後は、ああ、輪廻転生みたいな・・・・・というわけで、
最後までファンタジーだったので、私の好みではありませんでした。
どんな書評を見て、この作品をリストに加えたのか、見当がつきません(苦笑)。

むしろ、私が興味を持ったのは、
盗作問題が起きたときの社会の反応の方。
常に誰かが、社会の憎悪を受ける対象となり、その的が順番に代わっていくだけという
社会の仕組みの方が気になりました。
グッピーのいじめの対象Zとか。

この作品の主題からすると、芸術を生み出すという行為そのものに興味がある人には、
読み応えがあり、また考えさせてくれる作品なのではないかなと思います。


盗作(上) (講談社文庫)盗作(上) (講談社文庫)
飯田 譲治 梓 河人

講談社 2008-04-15
売り上げランキング : 738388

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

盗作(下) (講談社文庫)盗作(下) (講談社文庫)
飯田 譲治 梓 河人

講談社 2008-04-15
売り上げランキング : 717781

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ


この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『誰がケインズを殺したか』
- 2017/09/14(Thu) -
W・カール・ビブン 『誰がケインズを殺したか』(日本経済新聞社)、通読。

推理小説のようなタイトルですが、
経済学のケインズ理論がどのように栄え、どのように反論され
どのように衰退していったかを描いたもの。
小説風に書かれているわけではなく、そのまま経済学史です(苦笑)。

経済学オンチな私でも、読めるかな?と思って買ってきましたが、
やっぱり経済学の基礎が頭に入っていないと、しんどい内容でした。

改めて思ったのが、経済学の公式化しよう、理論化しようという
純粋さを目指していく考え方が私には苦手なこと。
確かに、一定のパターン分析は何をするにも大事だともいますが、
経済学ほどピュアな公式に辿り着こうという学問はないような気がします。

物理学とかも、同じようにピュアな公式を求める分野なのかもしれませんが、
実験や観測で正否を確認できるので、納得しやすいです。

それが経済学となると、個々の人間の活動の集合体を相手にするので、
必ずしも誰もが公式通りには動かないだろうに・・・・・・と思ってしまい、
どうにも、その乖離や誤差の存在が気になってしまうのです。
人間に向けて、公式通りに合理的に活動しろ!と言っているのではなく、
人間の行動に式を当てはめるのは、無理なんじゃないかということです。

もちろん、一定のパターンを掴んでおくことは有意義でしょうから、
それは私も理解できますが、それなら、学ぶ側・使う側も、
経済学の概要を掴んでおけば済むんじゃないかと思ってしまいます。

誰か、経済学にどうやったら興味が持てるか、教えてください~。


誰がケインズを殺したか―物語・経済学誰がケインズを殺したか―物語・経済学
W・カール ビブン 斎藤 精一郎

日本経済新聞社 1990-04
売り上げランキング : 1412514

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL | | CM(0) | TB(1) | ▲ top
『中山間地域は再生するか』
- 2017/09/13(Wed) -
白樫久、今井健、山崎仁助 『中山間地域は再生するか』(アカデミア出版会)、通読。

タイトルから、農業を主軸にした産業復活の事例の話でも読めるのかな?と
勝手に期待して買ってきたのですが、
内容的にもアプローチ的にも、期待していたものとは異なりました。

まず、本作は、あくまで岐阜大学を中心とする岐阜県の高等教育機関による
研究成果の発表であり、ビジネスサイドの思惑とは、違う視点を持っているということ。

そして、研究対象の郡上和良という地域について、
何か突き抜けた1つの重要な要素を追いかけるというよりは、
「集落」「産業」「医療」「行政」というような多面的な観点から、
いわば総花的に考察した結果の報告であり、
正直なところ、面白みに欠けました。

研究成果としては、様々な角度からアプローチするというのは大事なことだと思いますが、
この研究を受けて、中山間地域の再興や政策の見直しに着手しようと思ったら、
もうワンステップ、間に入って翻訳・解釈してくれる人が必要だなという感想です。

「地域のための大学」ということを標榜し、
着手したプロジェクトのようですが、
地域との距離、産業界との距離を縮めるには、
もう少し努力が必要だなと思います。

本作を通して私が思ったのは、
例えば、過疎に悩む農業の町で、農業は大事な産業だから残そう!と
努力を続けることは、果たして意味のあることなのだろうかという疑問です。
本作に登場する人々の生活の様子や、また村の歴史を見ても
生きた行くためには稼がなければならず、
稼ぐためには、人々は、これまでの稼業を捨てて新しい仕事に果敢に取り組むという
柔軟性や積極性を持っているということです。

それは、先進的な産業がある都市部の人にだけ与えられた特権ではなく、
地方においても、その地方なりの新しい産業というものが常に生まれたり
他所からやってきたりするわけで、そのような新しい産業に取り組むために
過去の産業を放棄するという判断も、前向きに受け入れるべきなんだろうなと感じました。

農業は大事、農業はやり甲斐がある、
そういう思いをもって、新規就農者が入って来るなら、大いに支援した方が良いと思いますが、
農業をやっている当事者も将来がないと悲観し、
支援する行政の側も打つ手がなく、本心では新たな産業を生み出したいと思っている状況なら、
過去にこだわらず、新しい道を目指した方がエネルギーは生まれるのではないかと。

ま、一枚岩で動けるわけではないですから、
簡単なことではないというのは分かりますが、無意味に過去を継続させるのは
集落が疲弊していくだけなんだろうなと思いました。


中山間地域は再生するか―郡上和良からの報告と提言 (地域際の書彩)中山間地域は再生するか―郡上和良からの報告と提言 (地域際の書彩)
白樫 久 山崎 仁朗 今井 健

あおでみあ書斎院 2009-03
売り上げランキング : 1064162

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『あいるさん、これは経費ですか?』
- 2017/09/12(Tue) -
山田真哉 『あいるさん、これは経費ですか?』(角川文庫)、読了。

久々に山田センセの小説モノをば。
女子大生会計士シリーズとは別のシリーズを始める意味あるの?と思っちゃいましたが、
読み始めてみると、芸能界専門の会計事務所ということで、
新鮮な気持ちで読むことができました。

タレント、文筆、作詞というような、特殊な世界における会計処理の在り方を紹介することで、
むしろ、税務上の考え方というか、哲学みたいなものが象徴的に出ているように思えて、
考え方を勉強するには良い題材でした。

作曲家のゴーストライター騒動など、時事ネタも盛り込みつつ、
実はゴーストライターが脱税の温床になっているという指摘は目からウロコでした。
言われれば、なるほどなぁ、です。
税務署が、どんなところに目をつけているのかも分かって、
会社経営で気を付けなければならないことも勉強になりました。

デキル女会計士+こき使われる男の子という構図は変わりませんが、
楽しく読める作品にするには、分かりやすい設定なのでしょうね。
アハハと笑って読める作品になっています。

シリーズ続編が出ているのならば、読んでみたいと思います。


あいるさん、これは経費ですか? 東京芸能会計事務所 (角川文庫)あいるさん、これは経費ですか? 東京芸能会計事務所 (角川文庫)
山田 真哉

KADOKAWA / 角川書店 2014-11-25
売り上げランキング : 93441

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL |  山田真哉 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
『ニート』
- 2017/09/12(Tue) -
絲山秋子 『ニート』(角川文庫)、読了。

何とも飾り気のないタイトルです(笑)。
その表題作が冒頭に納められていますが、
賞を受賞したばかりで景気の良い作家の女と、
ひきこもりで所持金3000円という状況の男。
引きこもる前に飲み屋で知り合った2人は、
その夜限りの関係のはずが、なぜか時々メールをし合い、
窮状を見かねたというか、受賞で気が大きくなっていた女は
男に資金援助を申し出て・・・・・。

成り上がりとヒモみたいな関係の話で、
正直、私の苦手な人間関係(依存度が相互に強すぎる関係)だったので、
普通なら嫌悪感を抱いてしまいそうなのですが、なぜか本作は読めました。

女が、自分の成り上がり具合や天狗具合、調子に乗ってる具合を
それなりに自覚していたからかもしれません。
そして、男の方も、ちゃんと遠慮というものを知っていたからかもしれません。
そのあたりの匙加減が絶妙でした。

で、この話には続編があり、それも収録されていたのですが、
そちらはイマイチ・・・・・・好みではありませんでした。
数年後に、男が再び現れ、女は同居を提案します。
ルームシェアしている同性の友人が居るのに。
そして、その友人とは喧嘩中で、数か月口をきいていないという状況なのに。
このあたりの常識を超えちゃった感じが、どうにも苦手でした。
結局、依存関係が深まってしまっているだけで、何の解決にもなっていないという。

後半に収録されていた「へたれ」も「愛なんかいらねー」も、
依存関係が深すぎるというか、相手に無防備に踏み込み過ぎるというか、
そのブレーキの利かない感じが、私は嫌悪感を抱いてしまいました。

前半に収められていた「ベル・エポック」が良かったです。
引っ越しというテーマが、背景はどうであれ、吹っ切れた爽快な感じを与えてくれるので。
引っ越し先が三重県というので、ポイントが上がったのかも(笑)。


ニート (角川文庫)ニート (角川文庫)
絲山 秋子

角川グループパブリッシング 2008-06-25
売り上げランキング : 377252

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


にほんブログ村 本ブログへ

この記事のURL | | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン | 次ページ