『欲望の街 東京』
- 2018/07/23(Mon) -
西村京太郎 『欲望の街 東京』(徳間文庫)、読了。

気晴らしに、いただきものの本作をば。
十津川警部の短編が4作収録されています。

冒頭の「十津川警部の苦悩」は、部下が署内で拳銃自殺し、
その遺書に「恨むならTさんを恨んでくれ」とあったため、
自らのことではないかと責任を感じる十津川警部。

この設定は面白かったです。
でも、肝心の自殺の理由は、「俺のヘビースモーカーぶりに嫌煙家の彼は悩んでいたんだ」と
思い込んで苦悩し、さらに同時に起きた菓子職人の殺害事件においても
「ヘビースモーカーの彼は吸わない同僚に嫌われていたんだ」と思い込みで推理。
こんな上司が居たら、部下の刑事たちはドン引きでしょう(苦笑)。

証拠も何もない、思い込み、思い付きでの推理が
他の作品でも展開されていき、もう、これは推理小説ではなく
単なる十津川警部シリーズでしかないですね・・・・。


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西村京太郎

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『常識として知っておきたい「世界の中の日本」』
- 2018/07/22(Sun) -
三浦朱門 『常識として知っておきたい「世界の中の日本」』(海竜社)、通読。

どういう経緯でこの本を買ったのか記憶にないのですが(もらったのかな?)、
作家・三浦朱門さんが日本の歴史や民族性について語った本。

と、期待したのですが、「語った!」というほど重たくなくて、
歴史をネタにしたエッセイみたいな感じでした。

1つ1つのテーマが短く、5ページぐらいなので、
すぐ話が終わてしまって、「今の話はどう考えれば良いのだ?」と
放り出される感じでした。

各話が短いので、歴史の本としての裏づけとかはどうやって取ってるのかとか
それは著者の感想なのか分析なのか事実なのかとか、
あんまり良く分かりませんでした。

というわけで、さーっと流し読みで終わってしまいました。


常識として知っておきたい「世界の中の日本」常識として知っておきたい「世界の中の日本」
三浦 朱門

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『工学部・水柿助教授の日常』
- 2018/07/21(Sat) -
森博嗣 『工学部・水柿助教授の日常』(幻冬舎文庫)、読了。

森博嗣作品、今まで何作か読んできましたが、
世間の評判ほどには私には響かず、「ちょっと合わない作家さん」というカテゴリに
入りつつありました(苦笑)。
が、「この作品は面白いよ」と教えてもらったので、お試しに。

一応、「小説」だとされていますが、実質はエッセイです。
著者が大学の助手~助教授だった時代の日々をネタにしてますが、
過剰なぐらいのユーモアにあふれ、自分のことや奥さんのことをネタにし、
とにかく明るく楽しく読める作品になってます。

しかも、当時、三重大学の助手だったということで
三重大のある津市について詳細な描写が出てくるのですが、
これは、津市出身者にとっては、とっても嬉しいことでした。
だって、津市って、あまりに地味で、郷土史ぐらいにしか登場しないんですもの(爆)。

こんな、有名作家さんの作品に堂々と登場してくるなんて、夢のようです。
田舎ネタで馬鹿にされたって、自虐的に嬉しいです(爆)。
ただ、三重大学の裏の海岸が阿漕浦だとか、ところどころ事実誤認があるようですが
ま、「小説」だから、いっか。

大学における先生同士の会話とか、
受験のときの採点担当者の事前ミーティングの白熱ぶりとか、
大学の内情がわかって面白かったです。
勝手に、知ってる三重大の先生の顔を当てはめてみたり(笑)。関係ないのに。

著者が投影された水柿くんが文学好きなのは当然ですが、
奥さんの須磨子さんが大のミステリ好きということで、
やっぱり、そういう人同士が惹かれ合って家庭を作るのね~と納得。

この須磨子さん、超機械音痴だったり、著者の変なこだわりに寛容だったり
変な細かいところに拘ったり、なかなか面白いキャラクターでした。

シリーズ化されているようですので、この後も追いかけていきたいと思います。
でも、三重大はもう出てこないのかな?


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『熊野誌 第64号』
- 2018/07/20(Fri) -
熊野地方史研究会、新宮立図書館 『熊野誌 第64号』、読了。

地域の活性化に取り組んでいる人から貸してもらいました。
地元の郷土史家などが寄稿して作られている本のようです。

やはり土地柄、熊野信仰と伊勢信仰に関わる話が多かったですが、
昭和初期に当地を旅行した人の旅行記フィルムの分析の話や、
郷土料理なれ寿しの魚種の移り変わりの話が面白かったです。

こういう風に、地元の1人1人の努力で記録を残していくというのは
大事なことなのでしょうね。


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『I'm sorry, mama.』
- 2018/07/17(Tue) -
桐野夏生 『I'm sorry, mama.』(集英社文庫)、読了。

かなり久々の桐野作品は、桐野ダークワールド全開でした。
いやぁ、気持ち悪い・・・・・。

とある町で、60過ぎの老女と25歳年下の旦那が焼死。
ガソリンをかけられ放火されたとみられたが、
その犯人は老女がかつて保育士として育てた児童福祉施設の生徒だった。

物語は、この殺人犯・アイ子の行動を軸に進んでいきます。
売春宿で孤児として子供時代を過ごし、虐待され、誰も庇ってくれず、
目の前の自分の人生しか考えないという独特な人生哲学を持つ大人になります。
そして、食べていくために売春婦のもとに転がり込んだり、
ホテルの掃除婦として働きながら盗みを働いたり、
そして、邪魔になった人間を殺して亡き者にしたり。

アイ子の異様な行動力と目の前の現実を受け入れ柔軟に対応する力には驚かされますが、
この作品を通して、私は、アイ子がそれほど不気味に思えませんでした。

むしろ、アイ子を取り巻く人間たちの生き様が何とも不気味で、
こんな住人が近くにいるような世界に住みたくないな・・・・と思ってしまいました。
例えば、最初の章で殺された年の差の夫婦。
児童介護施設の保育士であった女が、依怙贔屓して溺愛した男の子を
卒園後にそのまま同棲に持ち込み、結婚してしまうとか、
一般的な人間の倫理観みたいなものが歪んでいて、気持ち悪~い。

その保育士の葬式に参列した、孤児の引き受け先だった夫婦の旦那は、
なんと寝たきりになってしまった妻の喪服を着て、女装しています。
妻公認の女装。女装のきっかけは、妻が寝たきりになり、
もう着られなくなった妻の服が勿体ないなぁと。
試着しているところを妻に見つかるも、おどおどすることなく、
女装の理由を述べる夫。気持ち悪~い。

こんな人ばかりが登場してきます。
アイ子は異常者として描かれていますが、
むしろ、一般人として描かれている人間たちの方が気持ち悪いです。

桐野ダークワールド。
気持ち悪~いと思いながらも読み進めてしまうのは、
やっぱり著者の力量ですかね。


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『地下鉄に乗って』
- 2018/07/16(Mon) -
浅田次郎 『地下鉄に乗って』(講談社文庫)、読了。

浅田次郎のヒット作。
どんな話だか知らないままに読み始めたのですが、
戦後の成金を父に持ち、その父をはじめ家族としっくりいっていない主人公の男が、
タイムスリップして父の過去を知ることにより、家族を見る目が変わっていくというお話。

主人公の男の子供の時代が東京オリンピックの年という設定に、
「現在の時間軸も、ちょっと過去に設定されてるんだな」と思い込んで読んでいたのですが、
本作の発行年が1995年、31年さかのぼれば東京オリンピックの年に当たるということで、
実は、発行年における今を描いたお話でした。
そんな時代に、地下鉄ストアとか、スーツケースに下着を詰め込んで地下鉄沿線を歩き回る
訪問販売ってあるのかしら?なんだか時代感覚が掴みにくい設定です。

事故の影響で地下鉄が来なくなり、
別の路線へ乗り換えようと歩き出した主人公。
地下通路でふと横を見ると、見慣れない階段が。
気になって昇っていくと、そこは30年前の世界。
近所に初めて地下鉄が通った主人公にとっては記念すべき日であり、
同時に、兄が鉄道自殺を図った日。
兄の自殺の時間よりも前の時刻にタイムスリップしたと知り、
必死になって兄を探し始めます。

この一件を皮切りに、何度かタイムスリップをする主人公。
しかも、同僚であり愛人である女も、同じようにタイムスリップするようになり、
あちらの世界で主人公と一緒に行動していきます。

タイムスリップするきっかけは様々で、
夢を見ていたらタイムスリップしていたり、地下鉄に乗っていたらタイムスリップしていたり
終いには、単に生活しているだけでタイムスリップしてしまったりします。
なのに、主人公と愛人は常に同時にタイムスリップしており、
向こうで一緒に活動します。

なんだか、都合よすぎない?みたいな印象で、あんまり世界観に入っていけませんでした。
主人公の父親にとって人生の切り替え点になるような場面にばかり
タイムスリップしていくのですが、まあ、情念が集中している場面ということなのかもしれませんが
やっぱり、都合イイよなぁ・・・・・みたいな。

浅田次郎作品の、泣かせる演出が詰まりまくっているスタイルが
多分、私はあんまり得意なのではないのかなと思います。
泣きたい!という思いで読書する人にとっては、ぴったりの作家さんなのでしょうね。

個人的に面白いと思ったのは、
戦後成金で、冷徹な男と思われていた父親の人間らしい一面を見ていくことで、
逆に大企業のトップに立つことの孤独さのようなものが感じられました。
自分を殺して社長業をしているんだろうなという点で、私は主人公よりも父親の方に
共感しながら読んでしまいました。


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『ドスコイ警備保障』
- 2018/07/15(Sun) -
室積光 『ドスコイ警備保障』(小学館文庫)、読了。

相撲取りが現役を引退してからの生活を不安なく遅れるように
相撲協会理事長の親方の発案で開業した警備会社、その名も「ドスコイ警備保障」。
室積作品らしい設定です。

が、内容は、正直、イマイチでした。

創設期のメンバーとして、
現役を引退した力士たち数名、経営サポートする芸能事務所社長とその同級生という
組み合わせですが、なんで同級生がこんな会社に集まってくるのか理由が
良く分かりませんでした。あまり効果的な演出になっているとも思えず。

最初は、相撲の後援会長が経営する会社の警備から始めますが、
とくに大きなトラブルもなく、順調に事業が展開されていくので、
なんだか拍子抜け。
もっとドタバタ劇かと思っていたのですが、力士として、また人間として能力の高い
力士がそろっているせいか、結構、うまく進んでいってしまいます。

マイケル・ジャクソン的な歌手に気に入られて知名度が上がったり、
マイク・タイソン的な人に殴りかかられてニュースになったり、
警備の本筋とは異なるところばかりが取り上げられてて、
お仕事小説として物足りないです。

力士の過去を掘り下げて人情ものにしているところもありますが、
ちょっと中途半端だったかな。

八百長とか、暴力事件とか、理事会の派閥とか、
そういう闇ネタを、著者らしい毒で味付けしたら面白かっただろうに・・・・・
と思ってしまいました。


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『バルセロナの厨房から』
- 2018/07/12(Thu) -
高森敏明 『バルセロナの厨房から』(グルメ文庫)、読了。

スペインにも料理にも特別な興味はないのですが、
ブックオフのワゴンで50円セールをやっていたので
何とはなしに買ってみました。

そもそもスペイン料理って、美味しいですよね。
そんな高級店で食べたことはないですが、
スペインバルが東京で流行りだしてからは、よく使ってました。
タパスが豊富で、目移りしちゃう美味しさですよね。

本作は、そんなスペイン料理について
スペインに料理修行に行っていた著者が紹介した本。
話の舞台は、スペインの修行先のこととして語られることが多かったですが、
スペインでの生活よりも、スペイン料理そのものについての情報が多く、
料理好きにはたまらないエッセイでしょうね。

私としては、もうちょっと生活や文化みたいな部分の掘り下げが欲しかったなというところ。
やっぱり比較文化論的な視点に興味があるので。
その点、本場のスペイン料理と、日本で提供されているスペイン料理の比較が
なぜそんな変化をしたのかという考察も含めて、面白かったです。

今や、スペイン料理店なんて何百km先にあるんだろうか・・・・・
という田舎に住んでいるので、なかなか食べる機会もないですが、
東京に出たときに、昔通ってたバルに行ってみよかな。
それとも、自分の料理の腕をあげるか・・・・・無理か(笑)。


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『万博少年の逆襲』
- 2018/07/12(Thu) -
みうらじゅん 『万博少年の逆襲』(河出文庫)、読了。

みうらじゅん氏の私的エッセイは初めてでしたが、
うーん、キャラが強すぎて、私には付いていけない内容でした(苦笑)。

『見仏記』のような、特定のテーマがあるエッセイは興味深く読みましたが、
本作のような、私的な青春エッセイとなると、
その生き方に共感できる人じゃないと読みづらいかな・・・・という感じです。

少年みうらが見た世界、感じた世界、
同じような少年時代を送ってきた人には、楽しめるんだろうな。


万博少年の逆襲 (河出文庫)
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『三月の招待状』
- 2018/07/11(Wed) -
角田光代 『三月の招待状』(集英社文庫)、読了。

ある日届いた招待状は、「離婚パーティ」のお知らせだった。
大学時代から10年以上も付き合いのある友人同士の夫婦が破綻。
そのパーティをきっかけに、友人5人がお互いの関係を改めて見つめなおすことになった
1年の模様を、それぞれの視点から描いていきます。

この、仲の良い大学生仲間の関係が30代になっても続いているというのは、
私自身、そういうグループに属しているので、すごく親近感をもって読みました。
大学時代に一緒にバカをやった仲間、卒業後も何かにつけて集まっては飲んでる仲間、
私は今地方に住んでいるので、昔のように気軽に飲み会には参加できなくなりましたが、
でも、連絡は取り合ってます。

本作に登場するグループと唯一違うのは、
私は、この仲間が一般的な大学生の姿ではなく、特殊なグループだと思っていたこと。
作中で充留は、同棲相手の重春が大学時代の仲間について思い入れがなく、
大学生活を「つまんなかった」と総括する姿にカルチャーショックを受けてましたが、
私は、重春のような大学生の方が多いかなと思ってました。

重春は、充留たちの結束力を「愛校精神」という拙い表現で言い表していましたが、
確かに、愛校精神というのも重要なファクターだなと思います。
自分たちのグループのことを思うと、卒業後も何かと理由をつけてキャンパスに遊びに行ったり
学校のことがニュースになると飲み会のネタになったり、
卒業10周年パーティを学年全体を招待して盛大に行ったり、
ま、学校のこと自体が好きじゃなきゃ、こんなことしませんわね。

個々のメンバーが好きだという部分も重要ですが、
土台となる「同じ空間で同じ空気を吸って一緒に日々を送ってきた」というところに
他にはない濃厚な何かがあるような気がします。

本作では、30代に差し掛かり、そんな関係性に違和感を覚え始めたというか、
他の人生もあるんだと知った各々の葛藤を描いています。
でも、他の存在に気づいても、この仲間関係を捨てられない、逃れられないという
ジレンマが上手く描かれているなと思います。
結局、困ったら頼りにしてしまうのが、このメンバーなんです。

彼ら自身の内面の描写も興味深かったですが、
このメンバーの外の人間である重春や、遥香の目線で描かれる冷静な観察内容が
非常に面白かったです。
私たちも、こんな風に、外の人から見られてるんだろうなぁ・・・・という点も含めて。

私は、地方に転職するという選択をしたおかげで、
自分から、このグループから少し外れる行動を起こしたわけですが、
物理的な距離が空いても、再会すればすぐにいつも通り楽しめる仲間がいるという
安心感を覚えるようになりました。
それはそれで、心地よかったり。

自分の大学の仲間たちを思い続ける読書となりました。


三月の招待状 (集英社文庫)三月の招待状 (集英社文庫)
角田光代

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