『江戸の備忘録』
- 2018/05/21(Mon) -
磯田道史 『江戸の備忘録』(文春文庫)、読了。

表紙絵とタイトルから、徳川家のエピソード集かな?と思ったのですが、
読んでみたら、室町時代から大正時代あたりまで言及されていて
なんだかピントがぼんやりした本でした。

ジャンル的にも、武武家の話もあれば江戸の庶民の話もあり、
遊女の話から幽霊の話まで雑多です。

朝日新聞に連載されていたということですが、
新聞紙面上で箸休め的に読むなら丁度良いのでしょうけれど、
一冊の本として通して読むと、内容が軽すぎて辛かったです。

ただ、後書きで著者自身は、
歴史の肝になる話だけを厳選したと語っており、
私の感想とはズレております・・・・・・。

『武士の家計簿』を書いた著者なので、
もっと、「歴史文書から当時の情景を探る」という姿勢に
フォーカスを絞っても良いのではないかなと思いました。


江戸の備忘録 (文春文庫)江戸の備忘録 (文春文庫)
磯田 道史

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『クロネコヤマト個を生かす仕事論』
- 2018/05/20(Sun) -
瀬戸薫 『クロネコヤマト個を生かす仕事論』(三笠書房)、読了。

普段、クロネコヤマトさんには大変お世話になっています。
他の運送会社さんとは違って、1人1人の従業員の方のホスピタリティが
非常に高い会社だという印象を持っています。
その人づくりの秘訣は何なのか。

また、一運送会社が、民間向けの小口宅配というサービスを開発し、
宅配便というジャンルを確立させたという成長譚は、
毎日サービスを利用させていただきながらも、どうやってこんなネットワークを
張り巡らせることに成功したのだろうかと、不思議な気持ちにとらわれます。
誰もやろうとしなかったビジネスモデルを、一事業者の立場で
どうやって全国展開をなし得たのか。

この2つの疑問が、いつもクロネコヤマトさんには付きまといます。
それが本作で分かるかな?と思い、手に取ってみました。

しかし、著者は、「宅急便」の生みの親である小倉昌男氏に仕えていたとはいえ、
入社年に「宅急便」サービスが始まっており、
そのサービス開発秘話の最も根源的なところには関われていないため、
本作でのエピソードも、必然、「宅急便」を拡大していく過程の話になります。

1つ1つのサービス拡充エピソードも面白いのですが、
しかし、やっぱり枝葉末節感は拭えません。

人材育成に関しても、著者の仕事観はモーレツ社員に近いように思え、
今の時代では「ブラック企業」と叩かれかねない感性に思えました。
昨年の値上げのドタバタの原因は、この人に代表される経営者の姿勢に
あったのではないかと思えるほど。

というわけで、残念ながらニーズに合わない読書となりました。
やはり小倉さんの著作を読まないとダメなようです。


クロネコヤマト「個を生かす」仕事論―“伸び続ける集団”の「発想・行動・信念」クロネコヤマト「個を生かす」仕事論―“伸び続ける集団”の「発想・行動・信念」
瀬戸 薫

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『一角獣』
- 2018/05/19(Sat) -
小池真理子 『一角獣』(角川文庫)、読了。

小池真理子女史の作品は、ほとんど読んだことがありません。
こういうタイプの作家さんというイメージも特に持ち合わせていません。
ブックオフで薄い本を見つけたので、試しに買ってみました。

短編というよりも掌編と言った方が良さそうな短い作品が並んだ一冊。
短い中に、女の情念のようなものが濃厚に詰まっていて、
個人的にはちょっと苦手なジャンルでした。

ドツボにはまっていくような感覚があり、
読んでいる自分も一緒に溺れていきそうで、息苦しかったです。

それだけ筆力のある著者ということなのでしょうね。


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『シャイロックの子供たち』
- 2018/05/19(Sat) -
池井戸潤 『シャイロックの子供たち』(文春文庫)、読了。

第1話を読み終わり、第2話に入った時に、
主人公が変わったので、「あぁ、短編集なのね」と思って読んでいたら、
東京第一銀行長原支店という、下町の小さな支店が舞台だと分かり、
1つ1つのエピソードだけでなく、支店の人間関係なども複雑に絡まって来て、
後半になればなるほど面白さが積み重なってくる連作短編集でした。

冷静に考えれば、どんだけ問題児が集まってるんだ!?という支店ですが(苦笑)、
問題を抱えているのに、解決せずに蓋をする対応を続けていると、
一気に爆発するよ!という事例なのかも。

個人的には、第1話で主人公の副支店長の思考回路が
この問題支店を象徴しているように思えました。
危機的状況に直面しているのに、その本質を見抜けずに
的外れな解決策を自分の頭の中だけで思い描いてしまうという
ダメ上司ぶりを見せつけていますが、
防御に弱いモーレツ社員というのは、こんなものなのかもしれませんね。

この視点、女性行員さんが冷静な目と頭を持っていて
なかなか頼りになる感じです。

個人的には、西木という人物の立ち居振る舞いが気になりました。
最初に登場してきたときは、支店上層部から部下の女性行員に向けられた疑いの目を
強い態度で振り払う正義感を見せて、カッコいいなぁと思ったのですが、
その後の別のエピソードに登場してくる彼は、頼りなかったり、つかみどころがなかったり、
登場してくる場面ごとに印象が違ってきます。

そして、終盤には西木氏自身が事件に巻き込まれ、
さらにはどんでん返し的な真相の可能性も出てきて・・・・・・。
20人近く登場する長原支店の行員さんの中で、
一番興味深い人物でした。

一体、真相は何だったのか。
気にはなるけど、変なモヤモヤは残らないという、
著者の物語展開力がお見事な一冊でした。


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池井戸 潤

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『配達あかずきん』
- 2018/05/16(Wed) -
大崎梢 『配達あかずきん』(創元推理文庫)、読了。

書店員が主人公の日常の謎解き。
謎解きよりも、お仕事小説の要素に期待して手に取りました。

冒頭、主人公のキャラクター紹介的なまくらの部分で、
お客様が主人公に本探しを依頼するシーン。
タイトルや著者名、出版社名が分からないだけでなく、
内容もあやふやな状態で本探しを依頼する客。こんな奴いるんかい!?と疑問噴出で、
主人公の本に対する愛情を見せるための過剰な演出ではないかと訝しみましたが、
著者は元書店員ということですから、こういうお客さまもいるんですかねぇ・・・・・。

というわけで、何となく主人公との距離が空いたまま読書はスタートしてしまいましたが、
お仕事小説としては、書店員の役割分担とかシフトとか、1日の業務の流れとか
そういうものが断片的にでも情報として分かるので、興味深かったです。

店頭のディスプレイコンテストとか、そういう販促戦略があるのねーという
出版社側の事情も分かったりして、面白かったです。

日常の謎の方は、ちょっと無理やりすぎないか?と思えるような
動機や犯行内容が多く、もう少しリアリティのある方が好みでした。

シリーズ化されているようなので、お仕事小説と割り切って
もう1冊読んでみようかな。


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『0葬』
- 2018/05/13(Sun) -
島田裕已 『0葬』(集英社文庫)、読了。

タイトルは「ゼロ葬」と読むそうです。
初めて知った言葉でしたが、著者のあとがきを読むと、
この本の発売以来、世間に根付いたそうで、検索してみると確かに「0葬」を謳った
葬儀屋さんのサービスがそれなりにヒットしてきました。

私自身が30代で、まだ父母の葬儀というものに現実味を感じていないので
そういうニュースや広告があっても、目にとまらないんでしょうね。

さて本作は、「0葬」に代表されるような現代の葬儀の在り様をレポートした本。
「0葬」とは、火葬した後の遺骨の処理を火葬場に任せて引き取らない方式を指す
著者の造語だそうです。

そもそも、火葬場で遺骨を引き取らないという選択肢があることに驚きました。
地域によって、条例や火葬場のルールで、引き取り必須のところもあるようですが、
火葬場で供養(処分)してくれる地域も多いようです。

行きつくところまで行ってしまったような感じですが、
遺族がそれで納得してるなら、それで良いのかなという印象です。
そもそも葬儀も法事も、亡くなった本人のためよりも
遺された人々のケアの意味合いが強いと思うので、
遺族が好きなようにすればよいのかなと。

本作では、「0葬」の具体的な内容というよりは、
なぜ「0葬」というものが生まれてきたのか、その背景にはどんな環境要因があるのか
というような分析が具体的にされており、興味深かったです。

墓に遺骨を納めて供養する 
⇒ どの家も墓が必要になる
⇒ 人口が増え家が増えると必要になる墓の数も増える
⇒ 日本の土地は狭く墓にできる土地も限られている
⇒ 墓の取り合いになる
⇒ 墓が高騰する
⇒ 安く供養できる方法が求められるようになる

宗教とか信心とかのアプローチではなく、
経済的なアプローチで「0葬」へ行く着く過程を描いていて
社会科学的に面白い題材だなと思いました。

宗教学的な考察も必要だと思いますが、
葬儀の費用の推移とか、お布施の相場とか、
とにかく下世話なデータをしっかり集めて、これまでブラックボックスだった部分を
明らかにしていくというのも、社会学者として重要な活動だなと思いました。

現代の宗教というもののデータを記録し、考察を行い、推移を観察する、
今の時代というものを掴むのに、面白い研究だなと思いました。

本作を、「0葬」のガイドブックとして期待すると、がっかりすると思います。
本作はあくまで社会学の本だと思います。


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『にゃんくるないさー』
- 2018/05/12(Sat) -
北尾トロ 『にゃんくるないさー』(文春文庫)、読了。

久々のトロエッセイ。

ところが、いつものアグレッシブなテーマ設定ではなく、
ネコとの日常を描いた、非常に穏やかな本でした。

愛猫家と呼ばれる人ほどにはネコにベタベタではなく、
あくまで野良猫で家の庭に入ってきたもののうち
面倒なく関わり合えそうなネコだけを選んでいるので、
結構、視線は冷静です。

でも、ネコNGな借家にネコを入れちゃったり、
公園で日がな一日ネコを眺めていられるというのは、
やっぱりネコ病患者さんですね(笑)。

庭にやってきたネコに残り物を投げてやり交流を図るものの、
来なくなればなったで、「最近来なくなったねー」でサッパリしているので、
特にネコに思い入れのない私としては、
抵抗感の少ないネコエッセイでした。

最後の方は、家でネコを飼い始めている(しかも2匹!)ので、
もう立派なネコ病患者さんですが、
ネコとの間の不思議な距離感が面白いエッセイでした。


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『食後のライスは大盛りで』
- 2018/05/11(Fri) -
東海林さだお 『食後のライスは大盛りで』(文春文庫)、読了。

お気楽読書に本作を。

食に関するエッセイが多いですが、
スキーや犬、競馬など、日常的なテーマも幅広に扱ってます。
本当に、身の回りのことに、どんなふうに興味の眼差しを向けているのか
ということが勉強になります。

個人的には、山菜採りの話や、温泉一泊作法、夜行列車、東京湾クルーズなどが
本音ベースの毒舌も少しずつ混じりながら、ふふふと笑えます。

裏表紙の紹介文のとおり、
「深く考え込まないで」読むのが良いのでしょうね。


食後のライスは大盛りで (文春文庫)食後のライスは大盛りで (文春文庫)
東海林 さだお

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『ハッピーロンリーウォーリーソング』
- 2018/05/11(Fri) -
枡野浩一 『ハッピーロンリーウォーリーソング』(角川文庫)、読了。

枡野さんの短歌集。
昭和な感じが残っている東京の風景写真と一緒に綴られています。

短歌の印象は、イマドキのネガティブさ。
引きこもりとは違う種類だけど、教室の隅でいじけてそうな感じの
そんな根暗な男の子の頭の中を覗いたような感じがしました。

世の中の観察眼は鋭いけれど、
それを外に向かって発する勇気はなくて頭の中にこだまさせているような感じ。

でも、みんな、自分の中に、そんな根暗な一面を持っていると思います。
だから、どの歌も、何かが自分の中に残っていきます。
「そうだよね」と素直に頷けるものもあれば、
「そうかもしれない」と思ってしまうものもあります。
共感度はいろんなレベルがあるけれど、腑に落ちる感じが味わえます。

今を感じられる、興味深い歌集でした。

でも、全ページに写真を入れて、かつコストを抑えようとしたせいか、
紙質が分厚くて開きにくいので、読みづらかったです。


ハッピーロンリーウォーリーソング (角川文庫)ハッピーロンリーウォーリーソング (角川文庫)
枡野 浩一

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『暴走する国家恐慌化する世界』
- 2018/05/08(Tue) -
副島隆彦、佐藤優 『暴走する国家恐慌化する世界』(日本文芸社)、通読。

佐藤優さん、一時期は面白いと思って続けざまに読んでいたのですが、
最近はご無沙汰してしまっています。

本作では、冒頭から、なぜ副島隆彦という人をこんなに持ち上げるのか
ちょっと、しっくりきませんでした。

もともと私に副島さんへの苦手意識があるからかもしれませんが、
いきなり「アポロ11号の月面着陸はなかった」という陰謀論の話から始まって、
ついていけませんでした。
(副島さんの『人類の月面着陸は無かったろう論』は、単なる陰謀論に終始した話ではなさそうなので、
 一体どんなことが書かれているのか機会があれば読んでみたいと思います)

陰謀論的な話から、ロスチャイルドとかロックフェラーとかの話も出てきますが、
ユダヤ系の話を理解しようとするなら、やはりユダヤ教やキリスト教への最低限の理解が
必要になってくるんだなぁと痛感。私の苦手なジャンルです。
欧米人のバックグラウンドを理解するには、神学的な知識が必要ですよね。
それがベースにあるから、佐藤氏の分析は大局観を感じられるんですよね。

あとは、日本の政局についてですが、
リーマンショック直後で、民主党への政権移行が期待されていた時期のため
お二人とも民主党政権誕生にワクワクしているようで、
そこは、ひと時代昔の本だなぁという印象を受けてしまいました。

結局、一番面白かったのは、佐藤氏によるロシア政府の内情解説といういつもの要素。
学識者が自分の別荘に客人を招いてどんな議論をしようが
政府は干渉しないというところに、ロシアという国の不思議な懐の深さを感じてしまいました。


暴走する国家 恐慌化する世界―迫り来る新統制経済体制(ネオ・コーポラティズム)の罠暴走する国家 恐慌化する世界―迫り来る新統制経済体制(ネオ・コーポラティズム)の罠
副島 隆彦 佐藤 優

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