『間抜けの構造』
- 2017/08/20(Sun) -
ビートたけし 『間抜けの構造』(新潮新書)、読了。

『甘えの構造』や『「いき」の構造』に乗っかったタイトルだったので買ってみましたが、
思ったほど刺さるものではありませんでした。

確かに、日本人のコミュニケーションにおいて、
「間」というものは重要な役割を持っていると思います。

以心伝心とか、空気を読むといった間接的な意思疎通において、
「間」が有言に語る部分があると思います。

そこまでは共感できたのですが、
中盤で、お笑いの解説になってしまったのが、個人的に好みではなかったのかも。

「間」を説明するのに、漫才などでの「間」の扱い方は
格好の材料になるとは思いますが、
でも、お笑いの人がお笑いを解説するのは、やっぱり「間抜け」な感じがします。
かといって、お笑いじゃない人がお笑いの解説をしても面白くないのですが。

むしろ、映画のカット割りで解説している部分の方が
頭にスッと入ってきました。
映画人の常識と、それを壊そうとした北野監督の思いと。

お笑い論よりも、日本人論の方を読んでみたいですね。


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ビートたけし

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『教場』
- 2017/08/19(Sat) -
長岡弘樹 『教場』(小学館文庫)、読了。

この教場とは、警察学校の教室を指しています。
警察官に採用され、配属されるまでの半年間、
みっちりと警察官としての心・技・体を叩き込まれます。

某県の警察学校第98期生の面々が、
どのような思い、野望、陰謀を抱いて入学してきたのか、
連作短編集形式で1話1話、1人1人見ていくことになります。

まず驚かされたのは、校則というか、
勉強から日常生活まで丸ごとを取り仕切る規律の厳しさ。
教官の指導に従い、またテキパキと行動することを求められ、
出来ない奴は即刻クビになる、まさにふるい落とすための仕組みです。

そして、この生活に耐えられた者だけが、
警察組織という独特な組織の一員となり、
犯罪防止、犯人逮捕という命を懸けた仕事に就けるようになります。
これはもう、組織の役割からすると、必要な厳しさなのでしょうね。
規律が緩い警察組織では、日本という国家の存立が危ぶまれますから。

というわけで、そんな警察学校での出来事が描かれるのですが、
主人公となる生徒さん皆、腹に一物持っているというか何というか、野心家ですね(苦笑)。
同級生が50人程しか居ないのに、非常にグロい人間関係が展開されていて、
大丈夫か警察組織!?ってなっちゃいます。

しかも、皆さん、超優秀というか、
自分の野心のためにはやたらと知恵が回る人が多くて、
これは特殊任務機関の話か?と思えてしまいます。

まぁ、この、リアリティという点を無視してしまえば(爆)、
謎解きものというか、冒険活劇というか、
どうやって風間教官が絡んでくるのかな?ということを読む楽しみがありました。

現代の話として読むよりも、
軍国日本時代の諜報人材育成学校の話と思って読むと、
面白く読めるかと思います・・・・って、それじゃあ某シリーズか(爆)。


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長岡 弘樹

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『さよなら、そしてこんにちは』
- 2017/08/18(Fri) -
荻原浩 『さよなら、そしてこんにちは』(光文社文庫)、読了。

タイトルと表紙絵から、
ハートウォーミング系の小説かな?と思い買ってきたのですが、
中身は、コメディタッチのお仕事小説短編集でした。

冒頭に収録されたお話が葬式屋の社員が主人公だったため、
このようなタイトルになったようです。

葬儀屋、新規就農者、スーパーの食品担当、主婦、寿司職人、料理家、僧侶、
こういう人たちの日常が描かれますが、
どの主人公も、自分の職業には肯定的な感情を持ちつつも、
目の前の利益に対して自分の信念がブレるところがあるので、
お仕事小説としては頼りない面々です(苦笑)。

ま、短編小説ですから、頼りない人間がちょっとした勇気ある行動で
困難を回避するもしくは乗り越えるというのが
扱いやすいのかもしれませんが、あまり気持ちが入っていけませんでした。
こんな程度で成り立つ職業なのか・・・・と思えてしまったり。

やっぱりお仕事小説は、長編の成長物語もしくは異才の物語が
読みごたえがありますよね~。

ま、お気楽読書にはちょうど良いかもしれません。


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荻原 浩

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『おれはろくろのまわるまま』
- 2017/08/17(Thu) -
千早耿一郎 『おれはろくろのまわるまま』(日本経済新聞社)、読了。

私が、三重県の渋沢栄一だと思っている川喜田半泥子。
その評伝が祖父の本棚にあったので読んでみました。

百五銀行の頭取として、市議会・県議会議員として、
そして、陶芸家として、さらには絵を描いたり俳句を詠んだり。
多面的な氏の半生を追うには、
時系列で生まれたときから追っかけていたのでは間に合わない!ということなのか、
いくつかの主要な社会的役割にスポットあてて、
そこを深堀りするスタイルになっています。

それが、銀行頭取、陶芸家、そして人と人をつなぐハブのような役割、
これら3つに絞っているので、理解しやすかったです。
ま、川喜田家自身の商売の話は、もう少し読んでみたかったですが。
そして、政治家としての実績も多少は気になるところではありますが。

私自身、陶芸というジャンルは良し悪しが全く分からず、
実際に、石水博物館で半泥子の作品を見たり、
国立東京博物館などで国宝級の作品を見たりしても、
正直、あまり心を動かされたことがなく・・・・・・。

しかし、そんな私でも、半泥子の陶芸へののめり込み具合と、
のめり込んでも、現実世界とのバランス感覚を持ち続けており、
形式的な茶会などは敬遠したという姿勢に、
実業と芸術と両方をこなせる人の感覚を感じさせられました。

そして、銀行頭取としては、全国的な取り付け騒ぎの中で、悠々と百五銀行の店頭に現れ、
この銀行は大丈夫であるということを、口で説明せずに態度で示すという逸話も。
それを見て、顧客が信用して帰ったというのは、もともとの半泥子への信頼や
百五銀行への信頼があってこそでしょうし、
こういう危機において信頼してもらえるだけの、平時の勤勉があったのだろうなと思います。

人と人を繋ぐということについては、
そもそも繋ぐことよりも、自分が繋がりたいという強い思いがあり
様々な人の元にフットワーク軽く出向いたんだろうなと思います。
あくまで人間関係の中心には自分が居て、気が合う仲間たちが会を作る。
そんな社交的な場だったのだろうなと思います。

一方で、一緒に活動していた人と絶交することもあったようで、
信念の強い人だったのだろうな、信頼関係を大事にする人だったんだろうなと思います。

本作の著者は、半泥子と同じ銀行家という立場のため、
銀行業務にも明るく、また物語を過度に飾り立てることもせず、
非常に素敵な文章で書かれていたと思います。

今度は、川喜田家という大きな流れの中で、
半泥子を扱った作品を読んでみたいです。


おれはろくろのまわるまま―評伝・川喜田半泥子おれはろくろのまわるまま―評伝・川喜田半泥子
千早 耿一郎

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『日本農業への正しい絶望法』
- 2017/08/16(Wed) -
神門善久 『日本農業への正しい絶望法』(新潮新書)、通読。

タイトル買いしてしまいましたが、これはハズレでした。

とにかく日本の農業に関する全てのことに嚙みつくかのような
批判のオンパレード。
農協、農政、兼業農家、スーパー、消費者、
ありとあらゆるものに憤ってます。

で、結局どうしたいの?というところが
ボケちゃってる気がします。

先日読んだ農協&農政批判の本は、
批判対象が農協と農政に特定されていたので、
理解しやすかったですし、解決すべきポイントも明確でした。

何か物事を変えようと思ったら、
こういう優先順位付けって大事ですよね。
それができていない、机上の空論という印象でした。


日本農業への正しい絶望法 (新潮新書)日本農業への正しい絶望法 (新潮新書)
神門 善久

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『次世代農業ビジネス』
- 2017/08/15(Tue) -
井熊均、三輪泰史 『次世代農業ビジネス』(R&Tブックス)、通読。

こちらも現代農業の解説本ですが、
総花的な内容で、あまり面白味はないです。
事例紹介も通り一遍で、Wikiで拾える程度の情報しかありません。

それに加えて、「温室効果ガス削減」とか「生物多様性」とか
余計な価値観が介入してきていて、興ざめしてしまいます。

イマイチでした。


図解 次世代農業ビジネス―逆境をチャンスに変える新たな農業モデル (B&Tブックス)図解 次世代農業ビジネス―逆境をチャンスに変える新たな農業モデル (B&Tブックス)
井熊 均 三輪 泰史

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『夢ふくらむ海洋牧場』
- 2017/08/14(Mon) -
市村武美 『夢ふくらむ海洋牧場』(東京電機大学出版局)、通読。

農業の次は漁業。

「海洋牧場」という呼び方で、
養殖や稚魚放流などの育てる漁業について解説しています。

しかし、著者の頭の中にある事実を整理しているだけというか、
成功事例や失敗事例の紹介がないので、
リアリティのない教科書的な感じです。

先に読んだ農業の本が
事業者への突っ込んだインタビューに基づくものだったので、
余計にそう感じてしまったものと思います。

農業以上に漁業は、ガチガチの保守的体質があるように思うので
難しいのかもしれませんねぇ。


夢ふくらむ海洋牧場―200カイリを飛び越える新しい漁業 (ハイテク選書ワイド)夢ふくらむ海洋牧場―200カイリを飛び越える新しい漁業 (ハイテク選書ワイド)
市村 武美

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『渋沢栄一 巨人の名語録』
- 2017/08/14(Mon) -
本郷陽二 『渋沢栄一 巨人の名語録』(PHPビジネス新書)、読了。

「日本経済を創った90の言葉」というサブタイトル通り、
渋沢翁の言葉が右ページ、その解説が左ページにあるというシンプルな構成。

この手の本は、渋沢の言葉に乗せて、著者の主張がドーっと語られるケースがありますが、
本作は、渋沢の思いと著者の思いとがバランスよく解説されていたのではないでしょうか。
出しゃばらないという意味で。

また、渋沢の思想は、「論語と算盤」というようなゴロの良い言葉に
まとめられているものがありますが、
本作では、あくまで渋沢自身が語った言葉を紹介しており、
その点でも誠実だなと感じました。

この本から入ると理解が浅いままで終わってしまいそうですが、
何か渋沢本を読んでからこの本に入ると、
結構、頭の中で上手くつながっていく感覚が味わえるのではないかと思います。


渋沢栄一 巨人の名語録 日本経済を創った90の言葉 (PHPビジネス新書)渋沢栄一 巨人の名語録 日本経済を創った90の言葉 (PHPビジネス新書)
本郷 陽二

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『新・日本のお天気12か月』
- 2017/08/13(Sun) -
清水教高、時田正康 『新・日本のお天気12か月』(アリス館)、読了。

近所の図書館のリサイクルフェアでもらってきた本。

12か月の毎月のお天気の特徴を書いたエッセイです。
総ルビなので、子供向けなのでしょうかね。

基本的な日本の気象現象を押さえており、
分かりやすい本だと思います。

ただ、特にこれといった特徴がないので
この手の本をいろいろ読んできた人には物足りないと思います。


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『企業の知恵で農業革新に挑む!』
- 2017/08/12(Sat) -
山下一仁 『企業の知恵で農業革新に挑む!』(ダイヤモンド社)、読了。

一時期、他産業からの農業参入ってニュースというかブームになってましたよね。
ユニクロとか、オリックスとか、近鉄とか。

今、思い返すと、その後どうなっちゃったの?という感じですが、
それらの成功事例や失敗事例について詳細に追った本です。

この本が凄いのは、登場してくる企業や農業部門責任者が
しっかりと実名で登場し、そして、農業政策や農協への批判も含めた意見を
きっちりと自分の言葉で語っていること。

農協から嫌がらせを受けたとか、行政から不公平な対応を受けたとか
そういう告発のようなものまで含んで発言を取っているのは、
著者とインタビュー相手との信頼関係がないとできないことだと思います。

そして、そういう告発をスキャンダラスに扱って終わるのではなく、
何がいけないのか、何故改善できないのかということまで
著者が掘り進めて解説してくれるので、非常に勉強になります。

農業従事者の減り具合に比べて、
農家数はそれほど大きな減り具合になっていない。
つまりは、家族で農業をしていたものが、おじいちゃんだけの農業になってしまったり
サラリーマンが本業の兼業農家になってしまったりという事象の現れ。

農業は大変というイメージがありますが、
これって、兼業でも農家ができてしまうということでもありますよね。
まぁ、農業一本で食べていくことは大変なことでしょうけれど、
副収入的に農業を続けることは可能なわけで、
そこが、零細商店の廃業率の高さと比べて、
農業が惰性的に続いてしまう理由なのかなと。

そうすると農協は、そういう惰性の人を囲い込んで自らの地盤を守ろうとするでしょうし、
行政も、国のトップが農政改革を打ち出さない限りは現状維持を目指すでしょうから、
チマチマとした成長性のない産業に成り下がってしまいますよね。

本作では、果敢にも、そのような農業政策に挑んでいく
カゴメ、ワタミ、セブンアイ、らでぃっしゅぼーや、パルシステム等の企業を
その立ち上げから、現在の事業スキームまでつまびらかにしており、
どこで農協や行政とぶつかったから、どう方向修正したかも描いています。

企業という立場で、農業に参入する勇気ある人々を応援したくなる一冊です。


企業の知恵で農業革新に挑む!―農協・減反・農地法を解体して新ビジネス創造企業の知恵で農業革新に挑む!―農協・減反・農地法を解体して新ビジネス創造
山下 一仁

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